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読書 「天人 深代淳郎と新聞記者の時代」_早逝の天才コラムニストの人となりに迫った本

f0090954_08184507.jpg今から40年近い昔になりますが、大学卒業後は新聞記者になりたくて募集枠が各新聞社1~2名という狭き編集部の入社試験を片っ端から受けていたことがありました。

大手も主だった地方新聞の試験も全滅で、体育系の部活経験者ということを買われたのかあるスポーツ新聞社だけ試験に受かりました。

面接に伺ったところ、労働争議の真っ最中でした。それにその新聞社では入社後編集の仕事に就けるのか販売の仕事に回されるのか曖昧でした。

丁度そのタイミングで米系商業銀行からの募集が大学の就職課に回ってきていました。2名の募集でした。顔見知りになっていた大学就職課の職員さんから勧められてその入社試験も受けました。英語と作文は新聞社の試験と同様でした。受かりました。

当時大卒の初任給が10万円を超えない水準でしたが、その外資系銀行の初任給は10万円近くでスポーツ新聞社と比べて3万円近くの開きがありました。

いろいろと家庭の事情もあり、初任給の高さから外資系銀行を就職先に選びました。 その後、2回転職しましたが、通算で35年間外資系金融機関で働くことになりました。

ブログで柔道とか駅伝とかのスポーツ記事を書くときはつい熱が入ってしまうのも昔の夢の続きのようなものかもしれません。

朝日新聞の「天声人語」についてはいろいろ思い出があります。

中学校の頃同級生が父親の勧めで「天声人語」の切り抜きをし、その要約を書きだしていたノートを見たとき、「すごいな」と思ったこと。 米系銀行に入社してから、英語の達人と言われた年配の先輩に秘訣を聴いたところ、「天声人語」を英訳されていたこと等です。

感心しながらも、私は要約修行も英訳修行も長続きしませんでした。

英訳修行のほうは、NHK国際ラジオニュースの記事を書いていらっしゃった方に師事し、放送ニュースの英作文を毎週1本のペースで5年近く書き続ける形に落ち着きました。会社での英文報告書を書くにあたってその修行は役立ちました。

ただニュースという人に伝える報告のための文と違って「天声人語」というと、融通無碍でとらえどころがなく何となく敷居が高い感じは否めません。 たぶん「天声人語」で使われる言葉の表現に遊びが入っているため解釈に余韻や幅があり適確な英語表現に置き換えることに相当悩まされるわけで、そのあたりが私の英語の学習修行には向かなかったのだろうと思います。

十分絞り込まれた言葉で筆者の思いを紡ぎあげる「天声人語」は煮詰まった言葉の結晶のようでもあるのでその意味から要約修行にも不向きだったかもしれません。

その放送英語の作文修行に落ち着くまでに、「天声人語」の原文と英訳の対訳本を買ってむなしい努力を重ねた回数は数知れません。深代惇郎の「天声人語」の単行本も買ったことがあります。しかし読み通さなかったし「天声人語」を題材とした英語修業は長続きしませんでした。 大手新聞社の入社試験不合格経験と合わさってこの「天声人語」も苦い思いだけが残っているのです。

そうした「天声人語」を執筆された朝日新聞社のコラムニストの中でも、異彩を放っている深代惇郎氏について書かれた本がこの「天人」です。

どのような人となりなのか興味があって手に取りました。

深代淳郎氏は急性骨髄性白血病のため46歳で急逝しました。「天声人語」を書いていたのは わずか2年9か月という短い期間です。深代氏は府立三中(両国高校の前身)・一高・東大法学部を経て昭和28年に朝日新聞に入社し、ロンドン支局から東京へ戻り、天声人語を担当したのは入社19年目で43歳の時でした。

著者の後藤正治氏は、深代氏と交流のあった人々からのインタビューを通じてこの「天人」を書きあげました。

後藤氏は深代氏のことを「競馬で言えば、深代は何十年に一度出るか出ないかの名馬である。資質からいっても、知識や教養の面でも、また人間性においても、彼は飛び抜けていた。」と言っています。

私の人生の経験からもそのような人はいますのでなんとなく重ね合わせてイメージしながらこの著作を読みました。 少し良く書かれ過ぎの感は否定できませんが、深代氏の最初の結婚の失敗のこともきちんと書き込んでありました。

後藤氏は、「新聞のコラムニストは一般にいうエッセイストとは性格が異なる。森羅万象、日々生起するホットなニュース、社会的な課題をまな板に載せて論評することを課せられている。あくまでもジャーナリストの筆によるエッセイである。時がたてば使われた素材は古びていくのは当然であるが、深代惇郎の「天声人語」はいま読み返してもなお、立ち止まらせるものを含んでいる。」と賞賛しています。

後藤氏は、さらに、「(深代淳郎の)文章は滑らかにして自在である。難しいことをわかりやすく伝えていく。曖昧さがない。書き出しから一気に話題が転換することがしばしばあって、結語はまず予測できない。構成に定まったものがない。古今東西の、政治、社会、文化、歴史・・・・への造詣と見識の深さはおのずと伝わってくるが、あくまで自分の頭でモノを考え、言葉を紡ぎ出している。文体は抑制が利いていてウィットに富んでいる。」とベタ褒めでした。

今まで、2~3回買って、本棚に長いこと寝かせ、そのうち古本屋へ売ることを繰り返していたような記憶しかない、深代惇郎版「天声人語」でしたが、この「天人」を読んだことで彼の「天声人語」との距離が縮まったように思います。

この「天人」の中にもたくさんの深代淳郎氏の天声人語コラムが引用されていましたが、確かに立ち止まらせるというか考えさせられる名文が多くありました。

今度こそは「深代淳郎の天声人語」を読み通してみようと思いました。


by zoompac | 2018-02-16 08:31 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「翔ぶが如く(五)」 司馬遼太郎_大久保利通、面目躍如の対清交渉@北京

f0090954_05253279.jpg西郷隆盛の人気が高いのに比べると、その反比例で大久保利通は評判が悪いイメージがつきまといます。

俗にいう判官贔屓(ほうがんびいき)というやつですね。人々は弱い立場の義経に同情や哀惜の心情を持ちますが、その反面、頼朝は嫌われます。徳川家康が、秀吉、信長に比べて人気のないのも同じような理由でしょう。

ところが、この「翔ぶが如く(五)」で描かれる大久保利通が、私は好きです。多分読者の私がそう思うのですから、作者の司馬遼太郎さんも実は大久保利通を憎からず思っていたのではないでしょうか?

判官びいきと同じような心理だと思うのですが、私たちは勝ち目の薄いものが勝つのを見るのが好きなのだと思います。

司馬遼太郎氏は、判官贔屓で評判の悪い大久保利通に、あえてその判官贔屓で征台の後始末について対清交渉の八方塞がりの苦境下で脅威の粘り勝ちを収める活躍を活写してくれました。そしてこれがこの五巻の目玉でした。

西郷兄・隆盛の征韓論は、大久保利通に対して「そりゃ貴公、本気の一言か」という捨て台詞で、けんか別れになってしまいました。西郷隆盛が東京を去ると、近衛兵を統括していた桐野利秋も近衛将校たちと集団辞職して鹿児島へ帰郷してしまいます。そんな最中、弟の西郷従道は征台を思いつき、大久保がそれを採用してしまいます。国内に沸騰する征韓気分を鎮めるためでした。

まさに、「兄が征韓、弟が征台」という奇妙なことになったのです。

琉球民が台湾の生蕃に殺害された事件は征台当時から2年位前の古い事件で清との微妙な関係を斟酌して有耶無耶になっていましたが、西郷隆盛、桐野等が征韓問題の決裂で鹿児島に閉じこもってしまったことを契機に弟・西郷従道が持ち出したのです。

長州の木戸孝允は当然のことながら怒り心頭です。「国家は薩摩の玩具ではない。西郷従道も大久保利通も薩摩の問題で国家を振り回している」として参議を辞職してしまいました。

台湾での戦闘は20日で終結してしまいます。原住民の武器は火縄銃だったからです。征台軍3000人の戦死者は12名の大勝利でしたが、マラリア熱に征台軍は苦しめられます。

いざ、交渉が決裂して清との戦いとなったとき先鋒の働きをするのがこの征台軍の役目でもあり、大久保の北京での外交交渉が決着するまで彼らは身動きがとれませんでした。その交渉50日の間、マラリア等での病死者が561名に上ったのです。

大久保のつらさは、台湾にいる西郷従道以下3000人の将兵があたかも巨大な鍋の上でなす術もなくマラリアと戦う惨状でした。彼らは大久保の北京での外交が好転しない限り征台軍は日に日に炒られる鍋の外に出ることが叶わなかったのです。

しかし大久保の北京に向けられた粘着力は、常人離れしたものでした。清国は、払いのけようとしても歯を喰い込ませて離れない動物に食いつかれたかのようでした。

ただ、大久保も北京との交渉では途方に暮れる思いでした。彼の主張には無理もあり、矛盾もあったからです。

他国の領土の島に、他国の人民を懲らしめるべく、その国の政府の了解も得ず、いきなり軍隊を派遣しているのです。それをその国の政府に乗り込んで謝るのではなく、抗議をしさらに出兵につかった金の賠償まで要求したのです。

そのうえ、大久保は、外国人の誰もが台湾は清国領だとしているその時代に台湾は清国領ではないということも主張しているのです。

台湾が清国領でないとすれば、清国が日本にお金を払う必要がないのが道理ですが、この道理が引っ込んで大久保の無理が通ってしまいます。

清国に確立した既得権を守りたいがため英国が清と日本の戦争を回避すべく調停役を買って出たからです。 ドイツやフランスに戦争のどさくさで英国の持つ既得権に付け入る隙を与えたくなかったのです。

大久保は結局50日間の交渉の結果、清国から賠償金50万両を得、押し込み強盗のような征台を「義挙」と清に認めさせたのです。それだけではありません。大久保の「わが琉球の人民を台湾の生蕃が殺傷した」との抗議が通ってしまったため、琉球が日本の領土と公然と認められる副産物までつきました。

司馬遼太郎氏は、大久保利通の立場に寄り添って、西郷隆盛を非難している一方で大久保利通を擁護しているようにも感じられる五巻でした。

「ー何を、恥ばかきにゆくか、西郷がこの現場にいれば、一言で吐き捨てたに違いない。西郷ならば、かれも壮士ではなく政治家であるにせよ、しかし多分に後世悲壮の慷慨詩にうたわれるような美的行動を好むところがあり・・・。」

「大久保の特徴のひとつは、自己の責任についてはつねに不退転でいることであり、決して回避しないことであった。大久保が、盟友だった西郷に終始不満をいだいていたのも、この点だった。西郷は事に乗り出して途中で嫌気がさすとさっさと身を退いてしまうところがあり、そのことについては大久保の解釈では西郷は気ままで、泥をかぶって責任を全うすることに欠けている、ということになる。」


by zoompac | 2018-02-09 05:41 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「銀河鉄道の父」_宮沢賢治と父・政次郎の二人三脚ぶりを活写した直木賞受賞作!

f0090954_06022253.jpg門井慶喜が、父・政次郎の目を借りて、宮沢賢治の生涯の物語を紡ぎだ小説だと思っていました。

確かにそうした読み方もできるのですが、宮沢賢治という天才作家を媒体として、普遍的な父親像を描き出してくれているという読後感でした。

この作者の物語の切り口・手法は斬新なものがあります。

この「銀河鉄道の父」では、宮沢賢治の父・政次郎を狂言回しとして操るのかと思っていましたが、逆でした宮沢賢治をの生涯を軸に描かれたのは政次郎の父としてのとまどい、瑞々しい感性でした。

政次郎が主役です。

父・政次郎の立場から、賢治を物足りなく思ったり、病気になった賢治をかいがいしく看病したりする一方で、あきらかに著者の門井慶喜が政次郎を通して著者目線の宮沢賢治の人物や作品の分析や感想を述べたりしています。

政次郎が息子・宮沢賢治に接したり、突き放して観察したり、心配したり、世話を焼いたりする様を作家門井慶喜がさらに高みから俯瞰しているような構図なのですが、著者の目線と父親の目線がときどき重なってみえることもあります。

そこらあたりの操り方が実に巧みです。それに父親目線での表現の一つ一つの瑞々しさにも驚かされました。

たとえば、

「政次郎は、目の奥で湯が煮えた。あやしてやりたい衝動に駆られた。いい子いい子。べろべろばあ!それは永遠にあり得なかった。家長たるもの、家族の前で生をさらすわけにはいかぬ。 つねに威厳をたもち、笑顔をを見せず、きらわれ者たるを引き受けなければならぬ。」

「政次郎は、認めざるを得ない。その証拠になるかどうかわからないが、この二週間のいとなみは想像していたより楽しかった。腹が痛いと言われれば湯沸し部屋でこんにゃくをあたため、薬の時間になれば白湯に溶かして銀の匙で口へ運んでやる。ひたいの手ぬぐいを冷たくする。全身をぬぐう。着替えさせる。便所に立つとき肩を貸してやる。われながら有能だったのではないか。ときおりは賢治と無駄話ができたのも貴重な時間だった。その代償として下腹の激痛と高熱を得たくらいなら、収支は十分(黒字だな)。」

「子供のやることは、叱るより、不問に付すほうが心の燃料が要る。そんなことを思ったりした。」

などです。

他に印象に残った点は、この著者の読者の視覚に訴えかけるような土地の説明のうまさです。それは2016年の直木賞候補作「家康、江戸を建てる」を読んだときも感じました。

「岩手県は、海鼠(ナマコ)を縦に置いたかたちをしていて、その左三分の一を奥羽山脈が、右三分の二を北上山地が、それぞれ縦につらぬいている。」

「岩手県をまないたに載せ、すっぱりと包丁で東西に切れば、その断面はMの字を成しているだろう。そのMの字のまんなかのくぼみ、ふたたび俯瞰すれば細道のような縦長の平野は、古来文字通り、細道の役割を果たしたのである。」

司馬遼太郎も「城塞全三巻」で大阪城のことを、上町台地をナマコにたとえて。その南北に横たわったナマコの北の端に建っているような表現をしていたことを思い出しました。

「花巻はその宿駅ないし停車場のある街として発達したのである。たまたま岩手県のほぼ真ん中に位置するのも、-岩手の、へそだじゃい。 などと、どこかしら住民の誇りになっていた。」

「花巻は地勢的には南北に走る二本の山脈のあいだに位置するが、その二本は、じつは生まれ年がうんとちがう。西の奥羽山脈は新生時代、東の北上山地は古生代と中生代。」

「いうなれば小学生と老人みたいなもので、地中の様子もまったく別。それを北上川がそれぞれの山から支流を集めて南下してくるものだから、花巻の人は、いわば労せず地質時代(の鉱石)を一網打尽にできるわけだ。」

いやいやこれは楽しみな作家が登場してくれました。

宮沢賢治は、質屋のお金持ちの長男さんだったんですね。 政次郎という父親の存在なしには、イーハトヴ・岩手を覆う夜空の銀河に鉄道を走らせることはなかったことでしょう。

父親としての政次郎の決断と反省の往復の苦悩から国民作家・宮沢賢治の傑作の数々が誕生しました。 童話創作には賢治の妹トシの存在も大きかったですね。


by zoompac | 2018-02-06 06:03 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書「白村江」荒山徹_大胆な著者の発想から半島を舞台に紡ぎ出してくれた古代史ロマン!

f0090954_07191162.jpg百済の王子「余豊璋」が蘇我入鹿に救われるところから物語が始まります。

昔、日本史の勉強で遣唐使の年代を、「蒸される(630)夜に」に「ゲロ吐くよ(894)」とか「白紙に(894)に戻す遣唐使」等の語呂合わせで覚えました。 630年が第1次遣唐使で、894年、菅原道真によって白紙(894)というか廃止になった遣唐使です。

この遣唐使派遣は360年続き19回遣唐使が唐に派遣されていますが、そんな中、白村江の戦い(はくそんこうのたたかい、はくすきのえのたたかい)が、663年10月に朝鮮半島の白村江(現在の錦江河口付近)が、倭国・百済遺民の連合軍と、唐・新羅連合軍との間で勃発しているのです。

白村江の戦い(ろくろくみないで白村江・663年)の前後では、第4次遣唐使が659年、第5次が665年です。百済の復興を巡って倭国と唐が戦争をした割にはわだかまりもなく(なさそうに)、遣唐使派遣が続いていることに違和感を覚えたという記憶があります。

この荒山徹の「白村江」の物語はそんな私のモヤモヤを吹き飛ばしてくれました。

この先、ネタバレ注意です!

白村江の戦いへ向けての倭国からの派兵は智将葛城皇子(中大兄皇子?)のやらせというかフェイクだったというのです。そこには新羅を仲介し唐-新羅-倭国の間に密約があったという大胆な著者の歴史解釈が描かれていました。

倭国にとっての密約のメリットは、百済の人材です。 消滅する百済に形だけの援助で恩義を売っておけば百済の優秀な人材を自国に取り込むことが可能になります。そんな倭国にとって百済はむしろ滅亡してくれた方が好都合でした。

百済を例えるなら倒産間際の企業のような捉え方なのです。いかにも再建に力を貸すような形をとって恩を売って、その実、形だけの茶番劇で実のある援助がないわけですから百済は倒産してしまいます。 百済で働く優秀な技術者や研究員がその倒産後倭国に丸ごとリクルートされたってイメージでしょうか。

倭国に丸抱えされた百済の優秀な学者や政治家とかお坊さんは亡命貴族ですから、唐の影に怯えて防衛体制も構築し強化しました。一方倭国にとっては律令体制を構築する等国家体制の確立に貴重な人材を多量に確保できました。

これはありかも!?という気持ちで読んでしまいました。 フェイクな派兵であれば遣唐使が何事もなかったように続いていても不思議はないですね。

人は言いたいことしか言わないし、聞きたいことしか聞かない・・・という法則のツボにはまったようです。

そのアイディア自体は面白かったのですが物語の構成にはややバランスの欠けた感じがありました。

中大兄皇子・中臣鎌足等による蘇我入鹿の暗殺、乙巳の変と呼ばれる政変がすこぶるあっさりと書かれていた一方で、百済からの攻撃に苦しむ善徳女王の新羅が、王位継承者である金春秋を高句麗に送り込み高句麗の実権を握る泉蓋蘇文との交渉が不首尾に終わるにも拘らず長い(長すぎる)紙面を割いて語っていました。 このあたりは筆者の書き残しておきたかった部分なのでしょうがややこだわりが出過ぎていたようにも思えました。

全体的にちぐはぐな感じがしたのも無理からぬことを後で知りました。この小説は昨年末恒例の週刊朝日の2017年度歴史・時代小説ベスト10の第1位に選ばれており、そこで荒山徹氏が次のようなことを述べられていました。𧐐

元々の原稿は大河ドラマが演じられるくらい長いもの(原稿用紙3000枚)だったらしいです。それを大河ドラマの総集編くらい(原稿用紙600枚)にカットして出来上がったのがこの小説だとのことでした。書きたかったところは残し、といってバランスを考えて著者は豊璋の成長物語として軸を据えてつなぎ合わせたと言っていました。つなぎあわせでは、ちぐはぐ感はやむを得ないかもしれません。というか、百済、新羅、高句麗の三国志の物語に唐と倭国の絡みが書かれているのであればその原作を全編通して読んでみたいなと思いました。

「古代東アジアを舞台にした国際謀略小説」とは書評家の末國善己の言葉ですが、いい得て妙だと思いました。

天皇位簒奪を目論む倭国の蘇我入鹿を暗殺した葛城皇子等の陰謀の構想が白村江開戦の20年前から水面下で暖められ、実行に移されていくサスペンスフルな物語でした。

それにしても謀略に利用された余豊璋の妻はああしたけじめのつけかたしかなかったのでしょうね。 終盤はあまり多くを語りませんが古代史ロマンというような余韻は深く感じるところも広がっていくいい幕切れでした。


by zoompac | 2018-02-03 07:17 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書「ローマ人の物語1(上)_ローマは一日にしてならず」塩野七生_全43巻の読了も一日にしてならず!

f0090954_07080300.jpg文庫版ローマ人の物語43巻の読みはじめの1巻です。昔、単行版全15巻中5巻まで読みながら、次第に刊行スピードについていけず6巻以降ドロップアウトしてしまいましたが今回は43巻という頂点が見えていますので高い山を登るように倦まず弛まず読んでいきたいと思っています。

木馬で有名な戦いで敗れたトロイの王の血筋の落人たちがたどり着いたイタリア西岸で、何代か後の子孫であるロムスとレムスという双子がローマ建国者となる伝承の紹介からこの物語は始まっていました。

テヴェレ河に打ち捨てられた双子は狼に育てられ、やがて羊飼いに引き取られ、羊飼いのボスとなって、やがて自分たちを捨てたトロイの王家の子孫であるアルバの王(アルバロンガの王である娘が双子の母親で、ここでいうアルバの王は双子の母親の叔父です。 彼が王の座に就いたとき、将来自分を脅かすだろ王位継承者の資格を持つ双子をテヴェレ川に捨てたというわけです)を殺し、その後アルバ(ロンガ)には戻らずロムルスの名前を取ったローマの国をを自分たちが捨てられたテヴェレ川の下流に建設したのです。B.C.753年のことでした。

ローマ人は戦いの末ラテン民族であるアルバ人、サビーニ人、土木建築技術に優れたエルトリア人等を攻略していきますが、他民族を淘汰するのではなくローマにある七つの丘にそれぞれそれらの人々を住まわせローマ化(同化)を図って大きくなっていきます。エルトリア人技師等によって運河や土木建築、公共建造物などの都市開発も進みました。

このエルトリア人技師を取り込んで発展する様は、時代が違いますが、7世紀の日本が白村江の戦いで滅んだ百済から多くの官僚、政治家、技術者等の亡命貴族を受け入れ律令国家を確立した過程に似ています。 優秀な人材は貴重です。

ロムルスを初代としてローマの王制は7代、244年(B.C.753年~509年)で終わりますが、元老院制度から、多民族同士の習慣、考えの違いを律するための法制度の制定、さらには軍制=税制=選挙制等の立脚などを行っていきます。

7人の違った部族の王がローマの指導者として次から次へと出来過ぎと思われるくらい適時適材適所の働きをして、やがて個人のリーダーシップよりも法が支配する共和制国家に変わっていきます。

王、元老院、市民集会というローマの発展を支えてきた三本柱の王が執政官に変わっただけで、三極構造の機関設計は変わらないものでした。

こうしたローマの発展過程を読んでいくと、そのプロセスがアメリカ合衆国に似ているなと感じます。最初はWASPが、そして黒人や、アイルランド人、イタリア人等、様々な民族で、様々な宗教を持った、多種異民族の集合体法治国家として大きく発展してきたアメリカを彷彿させられます。

共和制への移行と共に、それまで支配階級だけのものとされた法の適用を民衆が要求し始め、法の成文化が急務になります。

そこで、ローマから三人の元老院議員からなる調査団が法治都市国家として先進国であるギリシアのアテネとスパルタに派遣されることになったのです。

ここから時代はB.C.1700年~B.C1500年のクレタ文明にまで遡り、トロイの落城で凱歌をあげたミケーネ文明のB.C.1200年頃の衰退を経て、B.C.800年前後のギリシア文明への言及となります。

私は漠然とギリシア時代の後がローマ時代と勘違いしていました。

ギリシア文明が早々と衰退しただけで、ローマ時代初期とギリシア時代はほぼ同時代のものだったんですね。

B.C.776年に第1回のオリンピア競技大会がギリシアの地で開催されています。ローマ建国はその13年後です。

イタリアの南にあるナポリも元々ギリシア人の勢力圏内でした。「ナポリ」の地名はギリシア人が新しい都市国家として目ぼしをつけた新しい都市国家(ネア・ポリス)が語源となっています。

ギリシア人はポリスと呼ばれる都市国家集団で、ドーリア人によって建設されたスパルタとアカイア人によって建設されたアテネがポリスの代表として有名です。

普段はポリス同士で仲が悪い彼らですが、共通の敵ペルシアには結束して立ち向かいました。難敵ペルシアをエーゲ海から駆逐した「サラミスの海戦」の下りはわくわくしながら読みました。

塩野七生氏の最新作は「ギリシア人の物語3巻」ですが、この文庫版「ローマ人の物語(1)_ローマは一日にしてならず」の上巻の後半と下巻全般かけてにもギリシアの発展から衰退からやがてローマとの対決にいたる過程が書き込んであります。

ローマが参考にしたがっていた、アテネの市民集会の直接民主制(市民一人に一票)や追放したい人の名を陶片に記して投票する陶片追放と呼ばれた一種の(独裁制)自浄システムのエピソードも面白く読みました。アメリカに陶片追放のための投票制度があれば、トランプ大統領はすぐその対象にされるかもしれませんね。

先だって新年会の高齢者4人の飲み会で私が少し酔っぱらって語ったのが、「私は、塩野七生と司馬遼太郎という偉大な二人の歴史小説家の作品が読めてつくづく幸せだぁ~!」という言葉でした。

昨年読んだ伊坂幸太郎が、「ホワイトラビット」の中で「レ・ミゼラブル」のヴィクトル・ユゴーが『これは作者の特権だから、ここで話を前に戻そう』とか、『ずっとあとに出てくるはずの頁のために、ひとつ断っておかねばならない』とか、妙にしゃしゃり出てきていることを面白おかしく紹介していました。

塩野七生も司馬遼太郎も結構そうした傾向がありますね。 そして私はそれが嫌いではありません。 塩野七生の作品にはふんだんに地図をさしはさんでくれていて文中の地名などを地図で確認する作業も楽しいです。

今回読んだ作品の中では、「スキャンダルは、力が強いうちは攻撃してこない。弱みがあらわれたとたんに、直撃してくるものである。それが当人とは無関係な事でも、有効な武器であることでは変わりはない。」という彼女の含蓄ある言葉が心に残りました。

後は、蘊蓄として、戦略(ストラテジー)の語源はポリス国家アテネの内閣の構成員となる1年任期の10人に命名された「ストラテゴ」(国家政略担当官)であること、ローマの王制を廃し、共和制の最初の執政官となったルキウス・ユニウス・ブルータスのブルータスは馬鹿者を意味する言葉であること、続いて執政官となったヴァレリウスは王制から共和制への舵取りの中で民衆懐柔策として民衆の権益にすり寄った法改正を行いそれが公共の利益を重んずる「ブブリコラ」というあだ名をつけられましたが、そのブブリコラがパブリックの語源であること等を知りました。


by zoompac | 2018-01-27 07:08 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「翔ぶが如く(四)」司馬遼太郎_四巻後半からスポットライトを浴びる大久保利通!

f0090954_06002097.jpg明治6年(1873年)11月10日に西郷隆盛が郷土鹿児島へ下野します。

「東京には一蔵どん(大久保利通)がおりもす。おいどんがおらんでん、心配はいりもはん」という言葉を残して。

大久保利通は、逆に心配の種を抱え込みました。同年同日に内務省を設置し、11月29日に内務卿に就任します。

翌年の明治7年(1874年)2月には、征韓論問題で敗れ西郷同様、下野した江藤新平が佐賀の乱を引き起こします。

しかし政府軍にあっけなく10日で敗れます。大久保は乱の報を耳にするや直ちに九州に赴き一時の事とは言え兵刑の全権を掌握し、江藤を捕縛するや裁判にかけることもなく梟首(さらしくび)処分にしてしまいます。前参議であろうが政府に逆らえばこうなるぞという恫喝でした。

結果からいえば、江藤は大久保の餌食になったといっていいでしょう。江藤の佐賀の乱を契機に、明治政府の権力も大久保の政治統制力も飛躍的に強化されました。

大久保はしかし、佐賀の乱鎮圧とほぼ同時期に台湾への出兵を決意します。鹿児島に閉じこもった不平士族達に対して、江藤に対する処置が見せしめのムチだとすれば、台湾出兵は行き場のないエネルギーのガス抜きの場を提供するアメという意味合いがあったようです。

台湾問題はそもそも1871年の事件でした。暴風のため台湾へ流された琉球人54人が土着の高砂族に襲われ虐殺されたのです。当時は財政難と対清関係の悪化への懸念から沙汰やみになっていたのです。

征台を思いついたのは西郷従道でした、採用したのは大久保です。台湾が欲しいのでも、外征したかったのでもありません、鹿児島に帰郷した西郷や取り巻き士族の征韓論でくすぶったエネルギーのはけ口を提供したかったのです。それだけ大久保は明治政府の東京に対して一独立国の観をなしている西郷のいる鹿児島県に怯えていたのです。江藤を晒し首にするという果断な処置も大久保の恐れが成した業としか思えません。

当然、長州の木戸孝允は怒り心頭です。「国家は薩摩の玩具ではない。西郷従道も大久保利通も薩摩の問題で国家を振り回している」として参議を辞職してしまいました。

ですから、大久保はこの時期「反乱制圧」と「外征」という二つの大事業を一人で獅子奮迅の指揮どりをやっていたことになります。

かつて征韓論の決裂で薩摩には主として近衛将校が大挙辞職して帰ってきていました。その余波から警視庁に籍を置く薩摩士族もあとから多数辞職しました。西郷従道が征台に同行させたのは大久保憎しの想いの強い近衛将校達ではなく、警視庁組の連中でした。従道が台湾へゆく兵800人の募集を兄隆盛に相談したところ、「警視庁組がよかじゃろ」という一言で決まってしまいました。

台湾での戦闘そのものは20日でケリがつきました。火縄銃しか持たない原住民相手に圧勝しました。全兵力3000余りの遠征軍中戦死者はわずか12名でしたが、マラリア熱で561人が死ぬという悲惨な結果でした。

それに追い打ちをかけたのが清国からの抗議でした。外国にも知らせず、国内でも公にしなかったこの外征には英国も難色を示し西郷従道も大久保利通も四面楚歌という感じでした。

このときの駐清公使は柳原前光、のちに大正天皇の生母の兄となり、柳原白蓮の父となるこの若公卿は清の大立者李鴻章に翻弄され手も足も出ません。

清に対して大きな利権を持つ英国などの横槍も入り苦境に陥った大久保利通はしかし底冷えのする勇気の男でした。「冷厳なること北海の氷山のごとし」と恐れられた男が北京に乗り込んで面目躍如の外交結果をもたらす物語は、次の五巻です。

割りに多くの人から西郷隆盛の出番が減って停滞気味だと批判される四巻、五巻ですが、私は司馬遼太郎が描く大久保利通が好きなので、逆に「翔ぶが如く」十巻の中ではお気に入りの巻が続くことになります。


by zoompac | 2018-01-26 06:00 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「かがみの孤城」辻村深月_本屋大賞最有力候補?

f0090954_07011566.jpg和製ナルニア国物語って感じで、いい年こいたおっさんが読む本じゃないよなと思いつつ、いつも間にかかがみの向う側の世界に引きづり込まれていました。

ふと我に戻ったときには読み終わっていたという不思議な体験でした。

まあ、昨年の王様のブランチの一押し小説だけのことはありました。今年の本屋大賞の最有力候補でしょうね。

学校に行けなくなってしまった中一の少女が鏡の向こう側の世界に入り込みます。そこにはお城があって彼女を含めそれぞれの事情で学校に通えなくなった中学生7人が限られた1年の刻を共にすることになります。徐々にお互いのバックグランドを知ることになるのですが、・・・・・。

今、その時、その場所で、自分の居場所が無くて、出口を見いだせない閉塞感に息が詰まりそうに感じている少年・少女やその両親に是非読んでもらいたいです。自分の居場所はいくらだってあるし、時間は流れて、自分の経験から必要だと思えることを次の世代の悩める後輩たちに施すことができる、そうした将来があるってことを知るだけでもずいぶん気が楽になることもあるんだろうなって思います。(「時間が必ず解決するのよ~、ど~んなに苦しい出来事だぁって~♪」って演歌がありました。)

「人は見かけによらない」とか「思い込まないことの大切さ」もさりげなく教えてくれています。いじめた(といじめられた側が思っている)側といじめられた側の感情の濃淡(いじめられたと思っているほどいじめたとは思っていない)ことなども客観的に描かれていますが、その感じ方の違いの大きさに驚くとともに「ありかも~!」って思いました。

今は、酸いも甘いも経験した海千山千の親父になってしまいましたが、遠い太古の世界に確かに初々しい心の折れそうな中学生時代があったことをふっと思い出しました。

小学校とか中学校時代に親の事情で結構頻繁に転校を繰り返していたので、主人公の「こころ」が裏切られたと思い込んでしまった転校生の東条さんって女の子の「こころ」が思い込んでいた想像と実態の違いの描写に感じ入ってしまいました。

まあ、ほとんど鈍感力でそれぞれの厳しい試練を乗り越えてきた私ですがこの小説で描かれたそれぞれの中学生たちの心理描写、いろいろ緻密に配置された伏線の見事さは、さすがに辻村深月だなってうならされました。

同窓会等のお笑いネタ提供にも面白い本かもしれません。


by zoompac | 2018-01-24 06:01 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

本屋大賞2018候補作_私の一押し本命は「かがみの孤城」!

f0090954_07011566.jpg2018年本屋大賞ノミネート10作が発表されました。(作品名五十音順)

『AX アックス』(伊坂幸太郎/KADOKAWA)
『かがみの孤城』(辻村深月/ポプラ社)
『キラキラ共和国』(小川糸/幻冬舎)
『崩れる脳を抱きしめて』(知念実希人/実業之日本社)
『屍人荘の殺人』(今村昌弘/東京創元社)
『騙し絵の牙』(塩田武士/KADOKAWA)
『たゆたえども沈まず』(原田マハ/幻冬舎)
『盤上の向日葵』(柚月裕子/中央公論新社)
『百貨の魔法』(村山早紀/ポプラ社)
『星の子』(今村夏子/朝日新聞出版)

気になった作品のコメントです。

本屋大賞2018の最有力候補は辻村深月の「かがみの孤城」だと思います。和製ナルニア国物語って感じで、いい年こいたおっさんが読む本じゃないよなと思いつついつも間にかかがみの向う側の世界に引きずり込まれていました。ふと我に戻ったときには読み終わっていたという不思議な体験をさせてもらいました。まあ、昨年の「王様のブランチ」の一押し小説だけのことはありました。まだ読んでいない本も多いのですが、今年の本屋大賞の大本命だと確信しています。

伊坂幸太郎は2008年に「ゴールデンスランバー」で本屋大賞を受賞しているのでとりあえず外します。

小川糸の「キラキラ共和国」は、去年の本屋大賞4位の「ツバキ文具店」の続編のようです。「ツバキ文具店」は多部未華子主演でNHKのドラマ10でドラマ化されました。同じ鎌倉で文具店を営む代書屋のポッポちゃんのお話です。今回は雨宮鳩子から守景鳩子に姓が変わっています。幼稚園児QPちゃんのパパのミツローさんと結婚したんですね。

巻を措く能わず、とはまさにこのこと――。鮎川哲也賞を受賞し話題沸騰の新人・今村昌弘の「屍人荘の殺人」も気になっています。 デビュー作にして前代未聞のミステリー国内部門ランキング3冠に輝いています。(『このミステリーがすごい!2018年版』第1位、『週刊文春』ミステリーベスト第1位、『2018本格ミステリ・ベスト10』第1位) とんでもない理由の密室殺人を理論的に解き明かす本格推理小説の傑作のようです。

「罪の声」で2017年本屋大賞第3位の塩田武士が、 俳優・大泉洋を主人公に「あてがき」した挑戦作!が「騙し絵の牙」です。「斜陽の一途を辿る出版界に、圧倒的リアル筆致でメスを入れる!」という宣伝文句です。

「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」等の絵画ものを得意とする原田マハが、今度は「誰も知らない、ゴッホの素顔」に迫ります。「天才画家フィンセント・ファン・ゴッホと、商才溢れる日本人画商・林忠正、この二人の出会いが、〈世界を変える一枚〉を生んだ。」という謳い文句の本です。「1886年、栄華を極めたパリの美術界に、流暢なフランス語で浮世絵を売りさばく一人の日本人がいた。彼の名は、林忠正。その頃、売れない画家のフィンセント・ファン・ゴッホは、放浪の末、パリにいる画商の弟・テオの家に転がり込んでいた。兄の才能を信じ献身的に支え続けるテオ。そんな二人の前に忠正が現れ、大きく運命が動き出す――。」と続きます。

オランダ人ゴッホに関しては司馬遼太郎氏が「街道をゆく オランダ紀行」でまとまった枚数を割いて取り上げていました。小林秀雄もゴッホが好きですね。「人生について」や「考えるヒント3」等でゴッホに関するエッセイを書いています。昨年秋に「ゴッホ、最期の手紙」という映画公開もあったのですがこちらは見逃しました。

昨年の前半は、藤井聡太四段のプロデビュー以来の連勝記録更新(29連勝)で盛り上がり、後半は羽生善治が初の永世七冠(永世竜王、十九世名人、永世王位、名誉王座、永世棋王、永世王将、永世棋聖)を達成したことで盛り上がった将棋界でした。この「盤上の向日葵」にも出ていますよ、羽生善治をモデルとした棋士が。そしてもちょっとだけゴッホの「ひまわり」も登場します。
「実業界の寵児で天才棋士。本当にお前が殺人犯なのか!? 埼玉県天木山山中で発見された白骨死体。遺留品である初代菊水月作の名駒を頼りに、叩き上げの刑事・石破と、かつてプロ棋士を志していた新米刑事・佐野のコンビが調査を開始した。それから四ヶ月、二人は厳冬の山形県天童市に降り立つ。向かう先は、将棋界のみならず、日本中から注目を浴びる竜昇戦会場だ。世紀の対局の先に待っていた、壮絶な結末とは――!? 日本推理作家協会賞作家が描く、渾身の将棋ミステリー!」という宣伝文句です。松本清張の「砂の器」を彷彿させる小説でした。ベテランと若手刑事の聞き込み調査の足跡を追って読んでいるうちにだんだん事件の全容と犯人の動機が見えてきます。犯人は最初からわかっているのですが、何故というところが謎のまま物語の時間が前後しながら全容が見えてくる仕組みになっています。

今村奈津子氏の「星の子」もいろいろ書評での評判が良かったと記憶しています。「主人公・林ちひろは中学3年生。出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族を崩壊させていく」って内容のようです。前作『あひる』が芥川賞候補となった著者の新たなる作品です。

以上10作品の中で、私がすでに読んだのは「AX アックス」、「かがみの孤城」と「盤上の向日葵」の3冊です。

気になるので読んでみたいのが、小川糸の「キラキラ共和国」、今村昌弘の「屍人荘の殺人」、原田マハの「たゆたえども沈まず」、そして今村夏子の「星の子」の4冊です。 「キラキラ共和国」と「屍人荘の殺人」はすでに購入済みです。

本屋大賞の発表は4月10日火曜日です。


by zoompac | 2018-01-20 07:07 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

第158回直木賞は門井慶喜氏の「銀河鉄道の父」に決まりました。

f0090954_06251227.jpg昨年12月20日に直木賞候補5冊が選ばれましたが、その候補作の中で私の興味を引いたのは、澤田瞳子氏の「火定」と門井慶喜氏の「銀河鉄道の父」でした。 早速、その2冊を購入し、とりあえず読んだのは「火定」でした。

門井慶喜氏は推理小説でデビューされているようですが、私は彼の「シュンスケ」(伊藤博文)や「家康、江戸を建てる」等の歴史小説しか読んでいません。第155回の直木賞候補作となった「家康、江戸を建てる」が面白かったので「銀河鉄道の父」も気になっていました。

「銀河鉄道の父」は詩の「雨にもマケズ」、童話の「風の又三郎」や「銀河鉄道の夜」等で後世に語り継がれる作品を多く残した宮沢賢治の37年の短い生涯を父親・政次郎の視点から描いた長編小説です。

宮沢賢治と言えば結核で倒れてしまう妹のトシが賢治のよき理解者として有名です。 家族の看病もむなしくトシは亡くなり、やがて同じ病が賢治をも襲うことになります。(傑作詩篇「永訣の朝」が最愛の妹・トシとの死別に描かれる兄妹愛を描いたものとして有名です。)

家業の質屋を継がせるか迷う政次郎と夢を追い続ける賢治の愛憎半ばの父子の物語です。 妹の病や死をきっかけに創作に目覚める様が父親の目にどう映ったのか、料理屋経営者の父を持つ作者も父の後を継がず物書きを目指してきたそうですが、自分を賢治に重ねて「物書きとはどうしょうもない生き物」だと思ったそうです。

その作者の思いを掬い取れるように読んでみたいと思います。

余談ながら、「西郷どん」の鈴木亮平主演のWOWOWドラマ「宮沢賢治の食卓」全5話が1月28日日曜日の深夜一挙放送予定になっています。 父親役を平田満ですから笑ってしまいました。 平田満は「西郷どん」で大久保正助(利通)の父親役を演じています。 妹トシは石橋杏奈です。

by zoompac | 2018-01-17 06:25 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

2018年の私の読書に関する展望_さて何を読もうか?

目先の直木賞候補の中で私の興味を掻き立ててくれるのは澤田瞳子の「火定」です。 彼女は前回候補作となった「若冲」で受賞していてもおかしくなかったと思います。 選者の目は節穴かと思ってしまいました。 「火定」では社会事業として光明皇后が創設した「悲田院」や「施薬院」が舞台になっていましたが、時代は8世紀の奈良時代から18世紀の八代将軍吉宗の享保の改革時代に飛んで「施薬院」同様貧しい病人の養生所の「小石川養生所」を舞台とした山本周五郎の「赤ひげ診療譚」も読んでみたいです。 澤田瞳子の平安時代ものの「孤鷹の天」や「満つる月の如し」にも興味があります。

週刊朝日が選出した2017年の歴史・時代小説ベスト10の1位に選ばれた荒山徹の「白村江」も読みたいです。 (荒山ではなく荒川ですが、漫画荒川博の「銀の匙」も読みたいです。)、オール読物の本屋が選ぶ時代小説大賞の「会津執権の栄誉」佐藤嚴太郎も気になっています。去年7月の直木賞候補になっていました。 短編集ですが青山文平の「遠縁の女」と吉川永青の「裏関ケ原」も読みたいです。

「本屋大賞」候補作はまだ発表になっていませんが王様のブランチの2017年の一押し本に選ばれた辻村深月の「かがみの孤城」は受賞に限りなく近い候補作になると予想しています。

NHK大河関連は、一昨年が「真田丸」、去年が「女城主直虎」と2年連続徳川家康関連が続きました。おかげで司馬遼太郎の「関ケ原」3巻、「城塞」3巻、「覇王の家」の2巻の再読ができました。

今年は「西郷どん」に沿って、司馬遼太郎の「翔ぶが如く」を読み、さらに余力があれば「歳月」、「峠」、「竜馬がゆく」、「燃えよ剣」等に拡げていきたいと思っています。伊藤潤の「武士の碑」、「走狗」、「西郷の首」の西郷隆盛三部作にも、葉室麟の西郷隆盛ものの「大獄」、遺作となった松平春嶽を扱った「天翔ける」にも興味があります。 佐藤賢一も西南の役を扱った「遺訓」を最近刊行しています。

来年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」は宮藤官九郎の脚本ですが、マラソン足袋で走っていた日本のマラソンの父とも箱根駅伝の父ともと呼ばれた1912年のストックホルム大会のオリンピック初参加の金栗四三(中村勘九郎)とオリンピックを東京に呼んだ田畑政治(阿部サダヲ)を中心とした話になりそうです。 そこでとりあえず池田勇人と田畑政治の東京五輪誘致の物語である幸田真音の「この日のために~池田勇人・東京五輪への軌跡」と早坂隆の「昭和18年の冬 最後の箱根駅伝」を読んでみようと思っています。

去年は佐藤賢一の「小説フランス革命」18巻と塩見七生の「海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年」6巻を読了しました。 今年は、塩野七生の「ローマ人の物語」43巻と「ギリシア人の物語」3巻に取り組んでいきたいと思っています。

ミステリーではとりあえず去年の12月19日に発売されたダヴィド・ラーゲルクランツの「ミレニアム5~復讐の炎を吐く女」の上下本を読みたいです。

上巻だけ読んで下巻を読んでいない仕掛本には司馬遼太郎の「空海の風景」と小川哲の「ゲームの王国」、その他1巻だけ読んだ司馬遼太郎の「この国のかたち」全5巻、浅田次郎の「天切り松 闇がたり」シリーズ5巻があります。宮城谷昌光の「湖底の城」も8巻まで出ていますが5巻までしか読んでいません。

小説だけでなく「サピエンス全史」上下巻等も読みたいと思っています。

さてこれら読みたいと思っている本のどれだけが読めますことやら。


by zoompac | 2018-01-09 05:54 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)
RELEASE INFORMATION NEW ALBUM

[通常盤]「Now On Sale!!」
TOCP-66380/¥2,548(税込)

[DVD付 初回生産限定盤]
「Now On Sale!!」
TOCP-66381/¥3,500(税込)

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