年の瀬で世の中あわただしい中、またまた木場シネマ109で2本続けて映画三昧してきました。
硫黄島からの手紙・・”父親たちの星条旗”が個人と国家のの物語だとしたら、これは家族・個人と戦争の物語です。クリント・イーストウッドは”戦争は集団の犯す最大の罪なのに、その贖罪は個人に課せられてしまう。”と言っています。クリント・イーストウッドがこの映画を撮るにあたって、日本兵のことですが、理解しがたかったことがあったようです。米国兵は、危険だろうし、命を落とすことはあっても、国に帰ることはあろうし、普通の生活に戻れるかもしれないと考えながら戦場に行くけど、日本人兵は違っていたと言うことです。彼らは、生きて戻れると思うなと言われて島に送られてきたというところが、クリント・イーストウッドにとって理解するのが難しいメンタリティーだったようです。ただ、発見された硫黄島に残された兵が本土に送られることのなかった手紙から、繊細で家庭的な日本人兵を描くというインスピレーションが涌いたようです。渡辺謙演じる栗林中将だけでなく、伊原剛志演じるバロン西や、二宮和也演じる西郷が見事に描かれていました。邦画だとこれほど客観的な映画が出来たかどうか疑問です。
007カジノ・ロワイヤル・・・人間ボンド(ダニエル・クレイグ)とボンド・ガール(エヴァ・グリーン)の会話が驚きです。その観察眼、洞察力でお互いの境遇、性格等を読み合うのです。まあ、その読みの深さが、ボンドをして生い立ち紹介とカジノでの賭けの活躍への二重の伏線になっているのですが・・・。二人の会話の中で、”ローレックスの時計?”という彼女の質問に対して、”オメガだ”という答えも驚きでした。堂々と作品の中で商品の宣伝をする時代になっているんですね。このしゃれた時計談義も相手のステータスや性格を読む話の中で出てきたものです。そういう意味で、アクション中心ではなく、心理的な格闘技の面をギャンブルだけでなく、男女の心の機微においても堪能できます。冷徹なボンドも女性の複雑な心は読みきれなかったようです。私にとっては2006年の年末にいい映画を観て、儲かった・・という心境でした。あまり期待していなかったワインが驚きの味ってやつですね。(やつって表現は少々下品でしたか?・・・)
このダニエルとエヴァの2人は、2007年のライラの冒険/黄金の羅針盤、(His Dark Materials: The Golden Compass)でも共演するようです。