駅伝は、ニューイヤーズも箱根も高速レースで区間新記録出まくりでした。
天候に恵まれたのと、選手の実力向上の賜と思っていたのですが、どうやらナイキの開発した厚底シューズがその記録更新に大いに関わっていたようです。
ニューイヤーズでは、下馬評で3連覇中の旭化成とこのところ2位や3位に甘んじているトヨタの一騎打ちと言われていました。そしてほぼ予想通りの展開でした。
前半出遅れたトヨタは3区の駒大出身の西山雄介が区間新の激走を見せ、40秒あった差を8秒に縮め4区の大石港にタスキを繋げました。大石はトップを走る旭化成の市田孝を前半で捕らえ、逆に12秒差で5区に繋ぎました、5区も拮抗して、勝負がついたのが6区でした。
トヨタの6区は田中秀幸というこれまで6区で区間賞2回の実績十分のベテラン強豪選手がエントリーされていました。一方の旭化成の6区は小野知大(ちひろ)という20歳でニューイヤー駅伝の大舞台初出場という無名選手でした。
これで勝負あった(トヨタに軍配!)と思った人は私も含めて多かったと思います。
小野は中学時代の駅伝全国大会でごぼう抜きの活躍していたらしいのですが、高校時代は怪我に苦しみ、高卒で旭化成に加入してからもこれといった実績がなかった選手でした。
この選手がなんと結果的には旭化成の秘密兵器でした。
ベテランの田中にいったんは先行され差を広げられましたが、その後、追いつくと並走する間もなく追い越して差を広げる区間新記録の走りを披露したのです。トヨタに46秒という大差の貯金を作り、続くアンカーの鎧坂哲也まで区間新記録の連鎖をもたらしての旭化成の余裕の4連覇の立役者になりました。
箱根も区間新記録続出のすごいレースでした。
結局、取りこぼしなく卒にまとめた青山学院が追いすがる東海を寄せ付けず逃げ切りました。
2区の東洋大相沢晃や6区の東海大館澤亨次の魂のこもった区間新記録の走りが私には印象的でした。これもあれも靴のおかげだけだとは思えません。
それにも増して10区の創価大の選手の活躍には感銘を受けました。
10区でタスキを11位で受け取ったとき、創価大嶋津雄大の前を走るシード圏内10位の中央学院とは約1分(距離にして約300m)、そのとき7位だった東洋大とは3分(1㎞)の差がありました。それを彼は区間新記録の走りで、中央学院、東洋を抜かし、堂々大逆転9位でチームのシード権獲得に貢献したのです。
試合後のインタビューで、嶋津は自分が「網膜色素変性症」に罹っていることを告げ、同じように病気を抱えている人たちに勇気を与える走りができたと思うと語っていました。彼が、創価大を選んだ理由も、夜盲となる彼にとって明るい照明の練習環境があったからと付け加えていました。
この病気、歌手の藤圭子が罹っていました。娘に光(ヒカル)と命名したのも失明に至る可能性のあるその病気に罹っていたせいだと言われています。
ちなみに嶋津はナイキの厚底シューズではなく、ミズノの白い靴で走っていました。そのミズノの靴も厚底だったらしいですが。
12日の都道府県対抗女子駅伝では、1区の廣中璃梨桂の区間新の走りが圧巻でした。
昨年日本郵政グループに所属が決まった廣中璃梨花(昨年のクイーンズ駅伝でも新人ながら1区を断トツの区間賞で走り、チームの優勝に貢献していました)も今や19歳になりました。
廣中は、長崎県代表として中学生のときから走っています。その中学生時代に1回、高校生時代に3回、そしてこの社会人になって1回の5年連続5回の区間賞走りという記録もすごいです。
特に一昨年の猛吹雪の中で視界が遮られながら4区、21位でタスキを受けた廣中がごぼう抜き20人を達成してトップに躍り出た区間新記録の走りが凄かったです。解説者の声が興奮で裏返ったことを覚えています。
今年のレース展開も唖然とさせられました。1区で早々と飛び出した廣中が後続との差を一方的に広げて一人旅の区間新記録でした。恐れ入りました。
いずれ近いうちに、東京代表でアンカー区間を走った大砲・新谷仁美と同じ区間で、あるいは同じトラックで新旧対決をしてもらいたいです。
2020年の都道府県対抗女子は、3年ぶりに京都が優勝しましたが、5区~7区の3区間で、立命館宇治高の三原梓(2年)、村松灯(2年)、村松結(1年)の3人が共に区間賞(5区と7区は区間タイ記録)の走りで京都の優勝を手繰り寄せました。
暮れの全国高校駅伝では、1区の三原が区間9位、2区の村松結が区間4位、アンカーの村松灯が区間7位で、チームも7位でした。ちなみに都道府県対抗女子駅伝で優勝した京都に続いての2位は、その高校駅伝で優勝した仙台育英高の選手が6人も代表に選ばれていた宮城でした。
仙台育英のエース木村梨七(3年)を5秒押さえて5区の区間賞を勝ち取った三原梓の大殊勲の走りは、後続の村松姉妹の走りに勢いをつけました。
そういう意味では二重(高校駅伝で上位に喰い込めなかった+同区間を走った仙台育英の走者に競り勝った)に、同じ都大路を舞台とした高校駅伝の仇を都道府県対抗でとった3人の京娘でした。来年の高校駅伝でこの立命館宇治の3本柱がどのような活躍をみせてくれるか楽しみです。