
日比谷のTOHOシネマズ・シャンテで観ました。このあたりから、ペニンシュラ・ホテルの経由して東京駅方面に、クリスマスのイルミネーションがずーっと連なっており、映画を観た高揚感を盛り上げてくれました。
最初に歌ありきで作られた映画作品です。
1984年の発売以降、クリスマスの定番ソングとして全世界で愛されている「ワム!」の「ラスト・クリスマス」をモチーフに、10年前から制作企画が始まりました。
プロデューサーが、ジョージ・マイケル(二人組「ワム!」の片割れでボーカル担当、「ラスト・クリスマス」の作詞作曲者)に企画を持ち込んだところ、エマ・トンプソンの参加を条件に快諾されたとのことです。
エマ・トンプソンと彼女の夫のグレッグ・ワイズで物語の概略をまとめ、ブライオリー・キミングスに脚本草稿を依頼し、エマ・トンプソン夫妻でさらに脚本を練り上げました。
その脚本完成間近の2016年のクリスマスにジョージ・マイケルは亡くなってしまったのですが、彼はイギリスの抱える社会問題に大いに関心を示しており、そうした要素をこの映画に取り入れたのは彼のアイディアだったそうです。
舞台はおそらく1980年代のロンドンだと思うのですが、移民問題、ブレグジット(イギリスのEU離脱)、ホームレス等の現代のイギリスの抱える深刻な社会問題を取り込むことでよりメリハリのある物語になっていました。
彼の名曲「ラスト・クリスマス」に乗せたこの素晴らしい映画を、ジョージ・マイケルに見せることができなかったことは、制作に関わり、自身も主人公の母親役として演じたエマ・トンプソンにとっても心残りのことだったでしょう。
スターを目指してクリスマスショップでバイトをしながらオーディションに通うケイト(「ゲーム・オブ・スローンズ」でカリスマティックなデナーリス・タガーリエンを演じているエミリア・クラーク)は心の余裕がなくて自己中心的な生活に明け暮れていました。
そんな彼女が、ちょっと世離れしたかのような青年と出会って、世の中の見方や自分のかかわり方を少し変えることで、他人を思いやることの大切さに気付き自分の人生も大きく変えていく物語でした。
ある意味、ジェームス・スチュアート主演の「素晴らしき哉、人生!」のテーマに通じるものを感じました。
余談ながら、エミリア・クラークのオーディションでのアカペラやクライマックスでの「ラスト・クリスマス」の歌が上手で、彼女の意外な明るさにもちょっと感動しました。「恋とニュースの作り方」や「アバウト・タイム」のレイチェル・マクアダムスとイメージが似ているなと思いました。
期待以上の作品でした。
クリスマスの新しくて、古典的な名作になるかもしれません。