中国春秋戦国時代を舞台にした原泰久のベストセラー漫画を山崎賢人主演で実写映画化した作品です。一言でいえば秦の始皇帝誕生に至るまでの過程で、将軍に成りあがっていく李信(山崎賢人)の成長物語です。
この映画では、オネエ言葉の将軍役の大沢たかおの威風堂々とした色気と山の民を束ねる王役の長澤まさみの美脚を駆使しての格闘シーンが印象的でした。
そのあおりでしょうか、W主役であるはずの山崎賢人と吉沢亮の影が薄かったですね。
それほど、役者の存在感にギャップを感じた作品でした。
大沢たかおが演じるのは「秦の怪鳥」と怖れられ、中華全土に名を轟かせた大将軍・王騎(おうき)です。
何故かオネエ言葉を使うので怪しい雰囲気もありますが、主人公信(しん、後の李信、山崎賢人)が最も大きな影響を受ける偉大な将軍という設定です。
一方、長澤まさみが演じるのは、秦の西側に位置する深い山々の一帯を束ねる王・楊端和(ようたんわ)です。原作漫画でも、女性ながら、自ら先頭に立って幾多の山民族を武力で統合していくほどの武力と指揮力を持ち、他の山民族からは「山界の死王」と怖れられる類いまれなる強さと賢さと美しさを持った王として描かれています。
秦王嬴政(えいせい、あるいは政、後の始皇帝、吉沢亮)が王弟率いるクーデター軍から政権奪回を図るにあたって山民族に協力を要請します。幼少の頃から感じていた「世界を広げたい」という楊端和の想いと、「中華を統一して争いのない世界をつくりたい」という政の想いが重なり、秦と山民族の強固な盟が結ばれ、圧倒的な人数のクーデター軍に立ち向かっていきます。
長澤まさみのアクションがあまりにもかっけーかったので(格好良かったので)、彼女を主人公としたスピンオフ作品も検討されているようです。
「キングダム」の原作漫画は30巻あたりまで読みました。今、54巻まで出ています。完結には、60巻は軽く超えそうです。
今回の映画は原作漫画の5巻までカバーしています。1年の1回映画化とすれば、10年を超えるシリーズ大作に大化けする可能性も否定できません。
「スター・ウォーズ」のように役者の加齢が問題にならないうちにできるだけ撮りだめしておいて欲しいです。
岩波文庫の「史記列伝」ワイド版全5巻と宮城谷昌光の「奇貨居くべし」全5巻にも俄然興味が湧いてきております。それよりもなによりも30巻付近で読み続けることを断念した原作漫画を最初から読み返すべきかもしれません。