今年2月の第91回アカデミー賞では作品、監督など6部門にノミネートされ、脚色賞を受賞しました。
黒人映画の礎を築いてきた名匠スパイク・リー監督が脚色賞受賞で手にしたオスカー像を突き上げていた姿が印象的でした。眼鏡の形からでしょうかちょっとテリー伊藤に似た印象でした。
スパイク・リー監督の代表作としては「マルコムX」が有名です。
その主役を演じたのは名優デンゼル・ワシントンでしたが、彼の長男であるジョン・デビッド・ワシントンが今回の「ブラック・クランズマン」の主役のロン・ストールワースを演じていました。
1978年にコロラド州コロラドスプリングスの警察署で初の黒人刑事として採用されたロン・ストールワースの体験を綴った原作の映画化作品です。
黒人警官がKKKへ潜入捜査というだけで奇想天外の設定だと思うのですが、実話と聞いてまたビックリです。
署内の白人刑事たちから冷遇されながらも捜査に燃えるロンは、新聞広告に掲載されていたKKK(クー・クラックス・クラン、そのKKKの構成員のことを映画の表題にありますがクランズマンと言います)のメンバー募集に勢いで電話をかけ、黒人差別発言を繰り返して入団の面接にまで漕ぎ着けてしまいます。
しかし黒人であるロンはKKKと対面できないため、同僚の白人刑事フリップ(アダム・ドライバー、「スターウォーズ/最後のジェダイで演じた「カイロ・レン」は存在感たっぷりでした。何せレイア姫とハン・ソロの息子ですから。)に協力してもらうことになります。
電話はロン、対面はフリップが担当して2人で1人の人物を演じながら、KKKの潜入捜査を進めていくという筋書きです。
白装束に頭を覆う三角頭巾がトレードマークのKKKは白人至上主義のアメリカの秘密結社として有名です。黒人、アジア人、ヒスパニック系等の多人種に対する市民権に異を唱え続けています。この映画ではさらにユダヤ人に対しても差別していることを知りました。ネオナチと手を繋いだKKK思想はますます怖いですね。
瓢箪から駒のようなユーモラスな痛快劇にも思えたのですが、そこはスパイク・リー監督、ラストで現実に起きたヘイト関連事件の映像を引っ張り出してきました。
映画で登場するKKKの最高幹部の、「アメリカ ファースト」という発言に重ねて、トランプ大統領の姿を映す等のパンチの効いた脚色も印象的でした。