13日日曜日に西京極陸上競技場発着の9区間、42.195キロの都大路で繰り広げられた第37回全国都道府県対抗女子駅伝は、愛知が2時間15分43秒で、2016年以来3年ぶり2度目の優勝を飾りました。
愛知は1区で9位と出遅れましたが、2区の藤中佑美(光ケ丘女高)が区間賞の走りで、先頭に立ち、その後も上位を維持し、最終9区で、首位京都と2秒差の2位で出た16年リオ五輪代表の鈴木亜由子(日本郵政グループ)が逆転し優勝を果たしました。
16度の優勝を誇る京都は1分2秒差の2位。3位には大阪。2連覇を目指した兵庫は4位でした。
3年前は、トップの京都と1分37秒差の4位でタスキを受け取った鈴木亜由子が、3位の群馬を抜き、2位の兵庫を抜き、さらに1位の京都を抜き去る印象的な激走でしたが、今回はその時に比べるとトップとの差は2秒で楽な展開でした。
それにしても、鈴木亜由子は何故かこの都道府県対抗女子駅伝では区間賞がとれませんね。3年前は東京の関根花観に区間賞を、今回は東京の新谷仁美に2秒差ながら区間賞を獲られてしまいました。
その好走はするけど区間賞が獲れない鈴木に比べて今回1区を走った長崎の廣中璃梨花は区間賞女です。2016年の中学3年生の3区、2017年、2018年の4区、そして今回の2019年の1区と、4年連続の都道府県対抗女子駅伝での区間賞獲得者になっています
1区は各チームから有力ランナーが揃う最激戦区間ですが、廣中璃梨花は実業団の5000mでは最速ランナーとの呼び声の高い高知の鍋島莉奈とのデットヒートの末区間賞をもぎとりました。末恐ろしい大器の予感がします。
今回の駅伝で私が最も印象深く感じたのは、しかし、アンカーの鈴木亜由子でも、1区の廣中璃梨花でもなく、3区の中学生区間での千葉代表・葛飾中3年の南日向の快走でした。
南は、2013年の当時大阪・薫英女学院中の高松望ムセンビが出した区間記録:9分10秒と同タイムで3区を走りました。
トップの愛知と7秒差の6位でタスキを受けた南は、5位岡山、4位神奈川、3位京都、2位長崎と次々と抜き去り、4区との中継点手前で愛知に追いつきます。
愛知の水無瀬中の阪井空(彼女は区間3位の構想でした)も追いつかれ、いったんはリードを許しますが、巻き返し容易にトップを譲りません。
抜きつ抜かれつの鍔迫り合いを繰り返しながら最後に一段とギヤチェンジをして遂に5人抜きを達成しトップに躍り出て4区にタスキを繋いだのは南日向でした。(写真)
南の最後のトップギアのダッシュには鳥肌が立ちました。解説者の金哲彦氏も思わず驚愕の声を発していました。勇み足っぽく、区間新記録樹立だ~!と叫んでいましたが。
南日向は葛飾中の2年生ながら2017年8月の全中3位(1位は不破聖衣来)、10月のジュニアオリンピック1500mBではチャンピオンになりました。
そのときの1位から3位は、優勝 南日向(船橋葛飾中・千葉)4:27.57、2位 石松愛朱加(浜の宮中・兵庫)4:28.73、3位 米澤奈々香(浜松北浜中・静岡)4:29.27だったのです。
ところが、2018年8月の全中(全国中学校体育大会)の結果は、1位 米澤奈々香 4:27.42、2位 南日向 4:28.72、3位 石松愛朱加 4:29.26となりました。
さらに10月のジュニアオリンピック1500mBでは、米澤奈々香 (3)が4:30.86で優勝したのに対して、南日向は4:34.23で7位と不本意な成績でした。
ちなみに浜の宮中3年の石松愛朱加は健大高崎高1年の不破聖衣来を破ってジュニアオリンピック3000mAで優勝しています。石松の優勝タイムが9:18.38、2位の不破聖衣来は。9:24.91でした。
ということで、2017年に中学生トップランナーとして脚光を浴びた南日向が、2018年にはライバルに後れを取って悔しい思いをしていたのです。
ちなみにこの3区の区間2位は南のライバルである浜松北浜中の米澤奈々香の9分14秒でした。
もう1人のライバルである浜の宮中の石松愛朱加はもう1つの中学生区間8区を9分58秒で走り区間賞でした。去年、彼女はこの区間を区間記録にあと1秒に迫る9分42秒(9分41秒の区間記録は2009年の京都・綾部中の久馬萌と2016年の京都・桂中の村尾綾香)で走り、兵庫の優勝に大いに貢献していました。
南日向、米澤奈々香、石松愛朱加の今後のライバル対決に注目していきたいと思っています。