2016年から2018年にかけてシーズン4までNHKで放映された海外ドラマ「クイーン・メアリー 愛と欲望の王宮」をずっと観ていました。
その間、シュテファン・ツバイクの「メリー・スチュアート」を読みたいと思っていましたが、やっと読み終わりました。
ドラマではメアリーの6歳から17歳の12年(1548年~1559年)に渡るフランスにおける青春を長々と描き出していましたが、ツバイクの伝記では彼女のフランスでの青春や最初の結婚については簡潔な描写にとどめ、むしろ彼女のスコットランドへの帰国以降(1561年~)に焦点を当てていました。
23歳となった1565年に彼女はスコットランドの地で第二の結婚をしスコットランドに加えてやがてバージンクイーンであるエリザベスからイングランド王国も継承することになるジェームズを生みます。ジェームスはジェームス6世としてスコットランドの王位を、ジェームス1世としてイングランドの王位を継承することになっていくのです。
この後の2年はそれまでの彼女の平坦な生活と打って変わって情熱の嵐に身を任せることになります。
そして25歳以降の補囚時代は20年にも及ぶのです。
ドラマでは2度目の結婚相手ジェームズ5世を恋人ボズウェルと共謀して殺害し、その罪で幽閉されるところでジ・エンドとなっていました。
この伝記は彼女が情熱に身を投げ出した2年間の多事多難な様子を克明に描き出し、捕囚20年のエリザベスとメリーの心理的な攻防のやりとりもしっかり描いてくれていました。
結局、メリーは用意周到に張り巡らされていた罠にかかってエリザベス暗殺計画なるものの首謀者として断首の刑に処されてしまいます。1587年のことでした。
子のないエリザベスは、自分と同じくイングランドの王位継承権を保持しているメリーが王位継承権を辞退すれば保釈すると申し出ていたのにメリーがそれを拒絶し続けたのです。
最期はプロテスタントのエリザベスに対して、メリーはカトリックという旗幟を明らかにして女王としての威厳を保った正装で断首台に首を乗せました。落とされた首からカツラが外れ白髪頭がゴロリと転がったそうです。
日本では来年の3月の予定ですが、「ふたりの女王メアリーとエリザベス」が公開されます。
「ブルックリン」や「レディ・バード」のシアーシャ・ローナンがメアリーを、「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のマーゴット・ロビーがエリザベス1世を演じます。
この伝記でも16世紀のイングランドを舞台にメリーとエリザベスの愛憎相半ばする複雑な感情の揺れが描かれていましたが、そのあたりを映画ではどのように表現してくれるのでしょうか。
今から楽しみです。