第159回(2018年上半期)直木賞受賞作品です。
オール読物9月号の直木賞選者の方々の選評を読みましたが、他の選者の支持がさほどでもない中、伊集院静氏が口泡を飛ばしてこの「ファーストラヴ」を激賞されていた印象が残りました。
受賞作品は選者の多数決で選ばれるのではなく、声の大きい影響力のありそうな選者の意見に取捨選択を繰り返しながら、結局はその意見が少数派だったとしても、そこに求引され収束していくものだなと思ってしまいました。
私も一読して、文章の上手さと巧みな(サスペンス調の)構成は感じることはできましたが、やはりこの類のテーマには、「それがどうしたの!?」という感想が残ってしまいます。
文章の巧みさからするとこの作品は、私のあまり好きではない(お金を出してまで読もうと思わない)芥川賞にこそふさわしいという印象です。
直木賞には読んでワクワクドキドキの楽しい作品を期待しています。
この「ファーストラヴ」を読んでいるうちに、いろいろな過去の事実が明らかにされていくのですが、それを心地よいと感じる人と、私のように回りくどいと思う人と、読むひとによって印象が違う作品なのだろうと思います。
それにしても主人公のカメラマンの旦那さんの人間が出来過ぎでした。あり得ないでしょう!
長電話の好きな女性にはこの作品は受けるかもしれないと思っています。
私にとってはどうでもいいテーマについてのつべこべつべこべとした女性の長電話を聴かされた印象の作品でした。