堺筋線扇町駅近くにある小料理屋「いわ月」に行ってまいりました。
駅を出て、天神橋筋を南に少し歩くと左手に案内板が出てきます。そこから路地に入った奥にお店がありました。
「北よし」(兵庫県香住から直送の魚 カニ等を提供する天満にある居酒屋)で働かれたことがあるということが口コミに書かれていましたが、私が聞いていたのは、大阪を代表する老舗中の老舗の浪速割烹「喜川」で修行された方がオーナー・板前であるということでした。
そういえば、お店の棚に浪速割烹「喜川」(本当は七が三つ並んだ「喜」です)二代目料理長の上野修シェフの本が置いてありました。そして嬉しい全店禁煙でした。
料理は1人で切り盛りされているのですが、さすがに、「喜川」出身だけのことはあるなと思える仕事の速さでした。しかも手抜きなく行っておられました。おそらく、準備を相当丁寧にされていると思います。
美人の奥様(と思しき方)が御主人の料理の配膳とお酒の給仕をされていてアットホームな感じでした。まだ小学校にあがらないお嬢さんも来ていました。
日曜日であるにもかかわらず、お客さんがひっきりなしにやってきて、私どもを含めて、仮借なく飛びかう注文を冷静に捌いていました。
付き出しは「茄子の揚げ浸し」
刺身三種盛は、「甲イカ、ハマチ、とあと一品は・・・?」
これに、「蛸と茗荷の・・・」何やらでお酒が進みました。(刺身三種とこの蛸・茗荷はとりあえず写真を参考に・・・・)
さらに、「里芋を昆布締め鯛で巻いたナマス」「焼きノドグロ(一品だけで2000円を越えていましたが、濃い味で美味しかった!)」「角煮」「煮ツブ貝」「野菜の煮物」「薄揚げ(塩麴)」「出汁巻き玉子」「水茄子」
〆は、蛸とトウモロコシのバターの風味が効いた釜飯とさらに、鰻と青ネギの炒飯をいただきました。
で、お酒は、
軽く生ビールをいただいた後、
1杯目が、山口県の酒として私が大好きな「東洋美人」の「地帆紅(じぱんぐ)」(山口県萩市澄川酒造)です。スターターとしては、いきなりのスッキリ系で喉をするりと一涼の風のように通り過ぎていきました。
元王朝に一時仕えたこののあるヴェネツィア商人マルコポーロが見聞した黄金の国「ジパング」のモデルは平安時代末期に奥州藤原氏によって平安京に次ぐ日本第二の都市として栄えた奥州平泉の中尊寺金色堂のようですが、この「地帆紅(じぱんぐ)」の名前はいいですね。 倭寇として中国沿岸で暴れまくったワイルドさにヨーロッパからやってきた冒険商人の旅愁と一筋の品が感じられます。
この「いわ月」さんで出される1合は、趣向ある容器になみなみと入っていて、通常の1.5倍くらいに感じました。口が卑しい酒飲みには嬉しいサービスでした。
そして2杯目は、その萩市の近くの阿武郡にある阿武の鶴酒造の「ABU no TSURU」です。
その山口県萩市にある「東洋美人」の澄川酒造場で働いた後、阿武郡で休眠していた酒蔵を復活させ、新たな酒造りに挑んでいる若き作り手三好隆太郎さんが手掛けた酒です。私はこの方の造った「三好」という酒も気に入っています。「ABU no TSURU」もとてもすっきりした味わいでその爽やかさはまさに夏の酒って感じでした。
3杯目に、静岡県土居酒造の「開運」、そして4杯目にこれまた私のお気に入りである島根県「王禄」の「渓(けい)」です。写真掲載していますが、このボトルを裏から眺めると泳いでいるヤマメがみられる趣向になっています。
さらにさらに、5杯目に山形県麓井酒造の「フモトヰ 夏純吟」、最後の6杯目に神奈川県湘南の熊澤酒造の「天青」をいただきました。
どの酒も夏の季節にあったスッキリとしたお酒でした。4杯目までは、こちらで選んで、出す順番は、お店の大将にお任せしました。
3人で締めて23,000円?でした。 東京の小料理屋では考えられないほどコスパのいい店ですね。次回は晩秋にやってきて、季節の肴と秋味の日本酒を堪能してみたいです。