
渋谷のシアターイメージフォーラムで観ました。
2011年、総合情報誌「FACTA」のスクープとイギリス人社長マイケル・ウッドフォード氏の不当解雇をきっかけに、オリンパスが巨額の損失を隠蔽していたことが発覚しました。
イギリス重大不正捜査局やアメリカ連邦捜査局をも巻き込んだこの事件は世界中のメディアで報道され、日本社会の隠蔽体質が露見することになりました。
東北大地震で起きた福島原発事故報道と同様、日本メディアの対応の遅さが浮き彫りになった事件でもありました。
この映画は、イギリスBBCをはじめ欧州各国の放送局による協力のもと、これまで短編作品で国際的に評価されてきた山本兵衛が長編初監督を務め、ウッドフォード氏や事件をスクープした山口義正記者へのインタビューなどを通して事件の内幕を暴くものでした。
池井戸潤の小説のような最後は社員の意見の総和が独尊的な社長・会長を退陣に追いやってめでたしめでたしというダイナミズムはありません。
海外のメディアも最初は反社会勢力の関与を疑っていましたが、結局、バブル崩壊による財テク時代の投資の損失を先送りにし隠ぺいし続けた結果莫大な金額に膨張したものを20年以上たった2011年に解消するための資金捻出を企業買収で不当に高額の値を払うことで目論んだものでした。
東芝の粉飾決算とも五十歩百歩の問題で、企業の内での不都合な事項は代々のトップ経営陣の申し送り事項として何とか隠ぺいしていこうという体質が浮き彫りになっていました。
不正告発者は異端者とみなされ、組織存続のための大義名分の下、忖度が独り歩きしている日本文化の嫌な面を見せつけられた映画でした。
日本の国税官僚のトップが文書を改ざんし虚偽報告を国会の場で行ったにも関わらず不起訴という裁判所の判決に、この国のガバナンス(牽制体制)はどうなっているんだろうと首を傾げざるを得ません。こんな国の国会運営、裁判制度で、神戸製鋼の品質データー改ざん問題をどのように裁くのでしょうか?
日本の官僚行政の隠ぺい体質がそのまま合わせ鏡のように企業体質に染みついているのだとすれば、第二のオリンパス、東芝のような問題がまだ息を潜めているような不気味さを感じます。
日本にもこうした問題を切り取って映画化してくれる気概のある監督がいたことを評価したい映画でした。
余談ながら、相場英雄原作で同名の「不発弾」という企業ドラマも、そうしたバブル崩壊後の投資損失の飛ばしスキームを描いたものです。 来週日曜日(6月10日)からWOWOWで全6話でスタートです。