この映画の題名は如何なものでしょうね。内容からすると「長安の化け猫騒動 楊貴妃の死の謎に迫る空海と白楽天の妖魔界探偵コンビ」としたほうがわかりやすいですね。
空海(染谷将太)が遣唐使として長安に渡り滞在したのが804年~806年の「長安の化け猫騒動」の謎を空海が名探偵ホームズ、白楽天(ホアン・シュワン)が助手のワトソン君のような感じで解明していく物語でした。
2年の長安滞在で密教の大家となる空海ですが、司馬遼太郎氏の「空海の風景」という小説を読む限り、白楽天(白居易)との接点・交友の記述はありませんでした。
長安の化け猫事件(皇帝の怪死やその他の変事)を追っているうちに、その事件の発端はどうやら50年前の楊貴妃の死に結びついてゆきます。
50年前の国際都市として華やかさと多民族の溢れかえる長安の姿が映し出されます。そこには玄宗、楊貴妃(チャン・ロンロン)、安禄山、日本からの遣唐留学生で当時の長安での科挙の試験に合格した天才阿倍仲麻呂もいました。
奇しくも、白楽天は玄宗と楊貴妃の愛の詩・「長恨歌」を書いている最中の仕上げで悩んでいたところでした。空海の助手としてこの化け猫騒動の元凶となった楊貴妃の死の謎に空海と共に迫っていきます。
妖怪・魔界の類の話が楊貴妃の死の真相となると、今の政治家共が喜んで真似しそうな玄宗の政治的な判断と楊貴妃の忖度のような落しどころだったので竜頭蛇尾のような意気消沈の物語に思えてしまいました。
約1200年前の長安をスクリーンに再現してくれたことや、染谷将太空海の歩き方の演技が気に入った他は、みるべきものが少なく感じた映画でした。内容がないよう!