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読書 「翔ぶが如く(五)」 司馬遼太郎_大久保利通、面目躍如の対清交渉@北京

読書 「翔ぶが如く(五)」 司馬遼太郎_大久保利通、面目躍如の対清交渉@北京_f0090954_05253279.jpg西郷隆盛の人気が高いのに比べると、その反比例で大久保利通は評判が悪いイメージがつきまといます。

俗にいう判官贔屓(ほうがんびいき)というやつですね。人々は弱い立場の義経に同情や哀惜の心情を持ちますが、その反面、頼朝は嫌われます。徳川家康が、秀吉、信長に比べて人気のないのも同じような理由でしょう。

ところが、この「翔ぶが如く(五)」で描かれる大久保利通が、私は好きです。多分読者の私がそう思うのですから、作者の司馬遼太郎さんも実は大久保利通を憎からず思っていたのではないでしょうか?

判官びいきと同じような心理だと思うのですが、私たちは勝ち目の薄いものが勝つのを見るのが好きなのだと思います。

司馬遼太郎氏は、判官贔屓で評判の悪い大久保利通に、あえてその判官贔屓で征台の後始末について対清交渉の八方塞がりの苦境下で脅威の粘り勝ちを収める活躍を活写してくれました。そしてこれがこの五巻の目玉でした。

西郷兄・隆盛の征韓論は、大久保利通に対して「そりゃ貴公、本気の一言か」という捨て台詞で、けんか別れになってしまいました。西郷隆盛が東京を去ると、近衛兵を統括していた桐野利秋も近衛将校たちと集団辞職して鹿児島へ帰郷してしまいます。そんな最中、弟の西郷従道は征台を思いつき、大久保がそれを採用してしまいます。国内に沸騰する征韓気分を鎮めるためでした。

まさに、「兄が征韓、弟が征台」という奇妙なことになったのです。

琉球民が台湾の生蕃に殺害された事件は征台当時から2年位前の古い事件で清との微妙な関係を斟酌して有耶無耶になっていましたが、西郷隆盛、桐野等が征韓問題の決裂で鹿児島に閉じこもってしまったことを契機に弟・西郷従道が持ち出したのです。

長州の木戸孝允は当然のことながら怒り心頭です。「国家は薩摩の玩具ではない。西郷従道も大久保利通も薩摩の問題で国家を振り回している」として参議を辞職してしまいました。

台湾での戦闘は20日で終結してしまいます。原住民の武器は火縄銃だったからです。征台軍3000人の戦死者は12名の大勝利でしたが、マラリア熱に征台軍は苦しめられます。

いざ、交渉が決裂して清との戦いとなったとき先鋒の働きをするのがこの征台軍の役目でもあり、大久保の北京での外交交渉が決着するまで彼らは身動きがとれませんでした。その交渉50日の間、マラリア等での病死者が561名に上ったのです。

大久保のつらさは、台湾にいる西郷従道以下3000人の将兵があたかも巨大な鍋の上でなす術もなくマラリアと戦う惨状でした。彼らは大久保の北京での外交が好転しない限り征台軍は日に日に炒られる鍋の外に出ることが叶わなかったのです。

しかし大久保の北京に向けられた粘着力は、常人離れしたものでした。清国は、払いのけようとしても歯を喰い込ませて離れない動物に食いつかれたかのようでした。

ただ、大久保も北京との交渉では途方に暮れる思いでした。彼の主張には無理もあり、矛盾もあったからです。

他国の領土の島に、他国の人民を懲らしめるべく、その国の政府の了解も得ず、いきなり軍隊を派遣しているのです。それをその国の政府に乗り込んで謝るのではなく、抗議をしさらに出兵につかった金の賠償まで要求したのです。

そのうえ、大久保は、外国人の誰もが台湾は清国領だとしているその時代に台湾は清国領ではないということも主張しているのです。

台湾が清国領でないとすれば、清国が日本にお金を払う必要がないのが道理ですが、この道理が引っ込んで大久保の無理が通ってしまいます。

清国に確立した既得権を守りたいがため英国が清と日本の戦争を回避すべく調停役を買って出たからです。 ドイツやフランスに戦争のどさくさで英国の持つ既得権に付け入る隙を与えたくなかったのです。

大久保は結局50日間の交渉の結果、清国から賠償金50万両を得、押し込み強盗のような征台を「義挙」と清に認めさせたのです。それだけではありません。大久保の「わが琉球の人民を台湾の生蕃が殺傷した」との抗議が通ってしまったため、琉球が日本の領土と公然と認められる副産物までつきました。

司馬遼太郎氏は、大久保利通の立場に寄り添って、西郷隆盛を非難している一方で大久保利通を擁護しているようにも感じられる五巻でした。

「ー何を、恥ばかきにゆくか、西郷がこの現場にいれば、一言で吐き捨てたに違いない。西郷ならば、かれも壮士ではなく政治家であるにせよ、しかし多分に後世悲壮の慷慨詩にうたわれるような美的行動を好むところがあり・・・。」

「大久保の特徴のひとつは、自己の責任についてはつねに不退転でいることであり、決して回避しないことであった。大久保が、盟友だった西郷に終始不満をいだいていたのも、この点だった。西郷は事に乗り出して途中で嫌気がさすとさっさと身を退いてしまうところがあり、そのことについては大久保の解釈では西郷は気ままで、泥をかぶって責任を全うすることに欠けている、ということになる。」


by zoompac | 2018-02-09 05:41 | 読書・映画・音楽
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