昔、温泉巡りをしていて函館から長万部にある二股ラジウム温泉に向けてドライブをしていた途中このいかめしで有名な森駅に立ち寄ったことがあります。
びっくりするほど小さな駅のびっくりするほどスペースの小さないかめし販売所でした。
その北海道のJR森駅の名物駅弁「いかめし」を製造するいかめし阿部商店(北海道森町)は、森駅の直売所の他、全国のデパートの催事でその「いかめし」を販売しています。
東京では新宿にある京王百貨店が毎年正月に開催される「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」を開催しています。 「いかめし」はその駅弁祭りの常連で、1971年以来連続で同駅弁大会売り上げ1位の実績を誇っている超人気商品なのです。
東京駅構内にある駅弁屋「祭(まつり)」では、レジの横に積まれています。
私ごとですが、毎週木曜日のランチは駅弁と決めていまして、通勤乗換駅の東京駅で駅弁を買っています。最近の、私のお気に入りは、崎陽軒のシュウマイ弁当か湘南しらす弁当に副食としての「いかめし」の組み合わせです。 小ぶりの「いかめし」は、レジで清算するときつい手にしてしまいます。
その阿部商店が8月20日から「いかめし」を1箱650円から130円(20%)上げて780円としました。 原料のイカが不漁で高騰しているためで、値上げは3年ぶりとなりました。
レジでその値上げ幅に目をみはりました。 「えっ!」て感じです。
同商店は主にニュージーランド産のイカを調達しているそうですが、日本を含めて世界的なイカ不漁を受け、原料の仕入れ値は10年前の2倍以上になっているそうです。 今井俊治社長は「身の柔らかいニュージーランド産イカは北海道産よりも高い。値上げで採算を改善したい」と話していたそうです。
いかめしは、うるち米ともち米をイカに詰めて甘辛いタレで味付けしてあります。 冷めてもイカが柔らかく、腹持ちがいいので、ランチで半分食べて3時過ぎのおやつ代わりに残りの半分を食べるというパターンが習慣づいてしまいました。
個室とはいえ、職場にイカの香りというか匂いが漂わないかという心配の種がありますが、毎日ではなく週1回のことなのでと自分に甘い判断をしております。
ただ650円から780円だと、もはや副食という脇役の値段ではなく、立派な正規の主役の弁当代って感じが強くなってきました。 そろそろ潮時かもしれません。
そもそも、ソ連の侵攻に備えて北海道に配置された若い兵士たちを乗せた列車が乗り入れていた森駅で、駅弁調製業者だった阿部弁当店が米不足と豊漁のイカを組合せ考案の末、1941年に駅弁として売り出したのが「いかめし」の始まりだそうです。
その「いか」が、いつのまにやらニュージーランド産に変わって、温暖化のせいで、イカ不漁は日本だけの問題ではなく地球規模の問題となっているということを知らされました。
それにしても阿部商店の「いかめし」はどこまで値上げで対処できるのか疑問ですね。 温暖化は異常気象で顕著に猛威を振るっていますし、「いか」の不漁も続きそうです。
そのうち安さと旨さが魅力の「いかめし」が1000円の大台に乗る日も遠くないのかもしれません。あるいは、「いか」に包まれた「めし」から大盛飯の中に小ぶりの貴重な「いか」が1杯包まれるという「いかめし」に変貌を遂げるかも。