日曜日の深夜に録画した、奥原希望(オクハラノゾミ、日本ユニシス、22歳)の決勝を観ました。
決勝の相手は、リオ五輪の準決勝でストレート負けを喫した同じ22歳のシンドゥ・プルサラ(インド、リオ五輪銀メダリスト)でした。(ちなみに五輪金メダリストのマリン(スペイン)は、この大会三連覇を狙っていましたが、準々決勝で奥原に屈していました。)
リオ五輪では、奥原は結局銅メダルを獲得し、日本のバドミントン史上初のシングルスでのオリンピックメダリストとなりましたが、それで満足はしていませんでした。
五輪後に右肩を痛め、昨年末の全日本総合選手権で涙の途中棄権でした。このときの彼女の涙を見ていたからこそ嬉しさも倍加した奥原の快挙でした。
今年3月に実践復帰となったものの、完全復活までまだ時間がかかると思っていたのに凄いですね。
粘りが身上だと言います。しぶとく球を拾い、得意の我慢比べに持ち込んで勝機を見出すのが得意のパターンなのだそうです。(背面に飛びながら自分の後方にあるシャトルをスマッシュするこの一枚の写真に魅せられました。これは決勝ではなく準決勝の試合でのシーンだと思います。)
テニスでも卓球でもそうですが、「決めた!」と思った球が拾われてしまうと、対戦相手の調子は狂ってしまいますよね。
奥原の身長が156㎝だそうです。185㎝の竹内涼真と映画やドラマで共演してその身長差がちょっとした話題になっていた高畑充希(ドラマ「過保護のカホコ」155㎝~157㎝)や土屋太鳳(映画「青空エール」155㎝)とさほど変わりません。ただ、その奥原の小さな体には底知れぬ忍耐力と根性が詰まっているようです。
一方決勝戦の対戦相手シンドゥ・プルサラの身長はなんと179㎝でした。 その差、なんと23㎝です。 そんな長身から繰り出されるスマッシュを拾いまくっていました。 ラリーが73回って局面もありました。 一進一退のゲーム展開で、まさに驚異の粘り、驚愕の”おしん”ぶりでした。
21-19、20-22、22-20でのゲームで僅差であったものの勝利は奥原に転がり込んできました。 死闘といった表現が大げさでない展開でした。 最後の瞬間までどちらが勝つかわからないフルセット2時間に及ぶ接戦でした。
奥原は、高1、高2で全日本ジュニア連覇、高2、高3のインターハイ連覇等、高校時代から天才ぶりを発揮していました。 高2のとき2012年のアジアユースU19で銀メダルも獲得していますが、テレビ解説を聞く限り、そのときの決勝の対戦相手がこのプルサラでした。そういう意味では去年のリオ五輪の雪辱戦だけではなく、5年越しのライバル対決でもありました。 過去7回対決しているらしいですが対戦成績情報はアナウンサーの口からは語られませんでした。
そして奥原は高3の2013年1月に左膝の半月板を損傷し、手術を受けています。
重なる怪我を何度も克服し、日本のバドミントン史上初の五輪メダリストに輝いた翌年の2017年8月というか27日の日曜日ですが遂に世界バドミントンの女子シングルスで日本人女子初となる頂点に立ったのです。
英国スコットランドのグラスゴーで開催されたバドミントン世界選手権のこの大会で、リオ五輪の金さん、銀さんを打ち破り、五輪銅メダリストだった奥原が現時点では実質世界一の座に君臨することになりました。
奥原の世界選手権参戦は2度目だそうです。 2年前の初出場のときは初戦敗退だったようですが、2度目に日本バドミントン界の歴史が変わる偉業を達成してくれました。
東京五輪に向けてやや早すぎる快挙という気がしないでもありませんが、ここから世界選手権も連覇し、東京開催の五輪大会では是非金メダルを獲って欲しいですね。おしん奥原希望が大きな一歩を踏み出しました。