
戦前の予想では、3月の全国高校選手権の覇者・兵庫の夙川学院高の総合力を有利とみる向きもありましたが、蓋を開けると素根輝(そねあきら)1人に夙川の団体が束になって敗れてしまいました。
決勝は、夙川学院のエース先鋒の阿部詩(あべうた)が南筑高の4人を抜き、南筑高は大将の素根輝1人残しで後がなくなる絶体絶命の窮地に追いやられました。しかし素根輝が踏ん張りました。まるで三国志に出てくる英雄豪傑の武勇伝のような展開でした。土壇場から素根が5人を全て「一本」で抜き返す大活劇を演じたのです。金鷲旗史上初の「決勝での5人抜き」を達成してみごと初優勝をもぎ取りました。
写真は、ここまで4人を抜いた阿部詩から素根輝が開始早々に小外刈でまず「技有」をとった瞬間です。 この後素根は寝技で押さえ込んで1本勝ちをもぎ取りました。
夙川の阿部詩も、南筑高の素根輝もすでにシニア大会で活躍し、年末のグランドスラム東京大会では、阿部詩は52㎏級で、素根輝は78㎏級でそれぞれ2位入賞を果たしています。
素根はさらに、今年の4月の体重別で優勝候補の朝比奈が早々に姿を消したという幸運はありましたが、準決勝でリオ五輪代表の山部佳苗、決勝で実力者の稲森奈見を破って優勝しました。16歳の素根が21年ぶりとなる高校生優勝者となりました。この快挙で、世界選手権の個人戦代表にこそ選ばれませんでしたが、世界団体のメンバーに選出されました。
阿部選手は先鋒出場でしたので試合数が多く疲労がたまっていたと思います。一方で、大将素根は準決勝まではほとんど出番がなく体力を温存していました。 準決勝の愛知・大成高では4人抜き、決勝も絶体絶命の土壇場から5人抜きという離れ業を見せてくれました。
シニア大会の体重別で日本一の実力者の素根にとって高校生クラスの試合では、向かうところ敵なしってところでしょうか。