体重無差別で日本一の座を争う柔道の第32回全日本女子選手権は16日、世界選手権(8月28日開幕、ブダペスト)の78キロ超級代表選考会を兼ねて横浜文化体育館で行われ、朝比奈沙羅(東海大、写真右)が決勝で昨年準優勝の28歳の田知本愛(ALSOK、写真左)に優勢勝ちし、初優勝を遂げました。 この78㎏超級の第一人者は20歳の朝比奈沙羅であるとの印象を強くしました。
朝比奈は、渋谷教育学園渋谷高校へ進学直後に初出場した2012年の全日本柔道選手権大会で、準決勝で山梨学院大学の山部佳苗に払腰で敗れたものの、わずか15歳にして3位に入る健闘を見せました。 しかし、その後はメダルに届かず、念願の初優勝をこの2017年のこの大会まで待たなければなりませんでした。
一方、田知本愛にとっては、リオ五輪代表争いで山部佳苗にリードしながら、去年のこの大会の決勝で山部との直接対決となり敗れたためリオ代表の夢が潰えた鬼門の大会でした。決勝戦の途中で左膝を痛め試合どころか立ち上がるのもやっとの痛々しい状況で「技あり」から「押さえ込み」1本で山部に完敗となりました。まだ、去年のこの大会以来初の公式戦だったのではないですかね。 選抜体重別も欠場しこの大会に絞ってきたこの大会の決勝戦で相まみえたのはライバル「山部」ではなく、新鋭「朝比奈」でした。想定していた「山部」でなかったことが原因だったかどうかわかりませんが、決勝に上がってくるまでの見違えるような攻撃の早い柔道スタイルが様変わりし守りに徹したようなやや消極的な受けの柔道に変わっていました。
朝比奈が重く技がかからないということも田知本の攻撃力を削いでいたようです。
がっぷり四つの新旧対決は、スタミナで勝る朝比奈に軍配が上がりました。朝比奈が序盤から積極的に攻め、指導一つのリードで迎えた残り20秒に払い巻き込みで有効を奪って逃げ切りました。
昨年のこの大会で田知本を退け覇者となったリオデジャネイロ五輪78キロ超級銅メダルの山部佳苗(ミキハウス)は、3回戦で敗退しました。
78キロ超級の世界選手権代表には朝比奈が選ばれました。 昨年12月のグランドスラム東京、2月のグランドスラムパリの国際大会を2大会連続で優勝し、この全日本女子選手権を制したのですから文句無しですね。
その他、48㎏級の渡名喜南風、52㎏級の阿部詩も、それぞれの級の2人目の代表として追加選出されていました。