今年の日本アカデミー賞で宮沢りえが主演女優賞、杉咲花が助演女優賞を受賞した作品です。
去年の10月29日公開の映画なのでもう無理だと思ったのですが、さすがはヒューマントラストシネマ有楽町ですね。細々ながらもまだやっていました。(先週末に終映しました。)
杉咲花といえば、「トト姉ちゃん」の三女役というより、印象は、味の素「Cook Do」のCMで”ぐっさん”こと山口智充が食べようとした回鍋肉を横取りする挑発的で攻撃的な少女ですよね。憎ったらしいほどバクバクうまそうにホイコーローを食べるイメージが強すぎて、えっ、学校でいじめられ役???って感じでした。
その内向的な役が意外と言ったら失礼ですが、ハマっていました。
全体の印象ですが、余命何ヶ月のお涙頂戴的な鼻につくテーマを扱った作品としてはかなり個性的で面白い作品でした。
ひねりのある人情味あふれた物語の構成に、役者の演技も光っていました。賞を獲った宮沢りえ(激やせ双葉役、一時拒食症で”やせりえ”は珍しくもないかと思っていましたが、鬼気迫っていました!)も杉咲花もよかったですが、私には賞なしノミネートさえなしのオダギリジョーがよかったです。 この重いテーマの映画を少しオトボケで優柔不断ながら、暖かい雰囲気で包んでくれていました。
よく言えばさりげない遊びを取り入れた演出ともいえるのでしょうが、私にはさりげないどころかおふざけが過ぎてやや監督の悪趣味にげんなりする場面も目につきました。
宮沢りえのおかあちゃん双葉が、娘杉咲花演じる安澄 (設定はたぶん中学生?)に水色の下着をプレゼントします。「彼氏はいないの?これはここぞって時、勝負する時に付けなさい」と娘に伝えます。
後ほど、娘はこの下着で勝負に出るのですが、えーっ、ここでかよと驚愕するとんでもない場面が展開することになるのです。ネタばれになるので、これ以上は語りませんが、この映画の見どころの1つでしょうね。私には趣味の悪いブラックユーモアに映りましたが。
さらに、安澄 は、実母においてけぼりにされオダギリジョーの連れ子となった義理の妹(鮎子)が誕生日に母を待ちくたびれておもらしをしたパンツを(かつて鮎子とその母とオダギリジョーが共に暮らしていた家の)ドアノブに掛けて、「鮎子、ここにあり」との置手紙を残すのです。 これも、安積が気を利かして鮎子の代わりに施したいわば勝負パンツのつもりだったのかもしれません。 ここは少々書きすぎました。ネタバレ容赦あれ!
最後の最後に、この映画の題名を象徴する出来事が起きますが、この落とし所の奇抜さに感心しながらも、「そらないわ~!」と苦笑いのエンディングでした。ここも肝心な個所ですので、お口チャックにしておきます。興味あれば、DVDかなにかで観てください。
孫が遊びに来たら、うちも「しゃぶしゃぶ」を定番にするかな~、とぼんやり思った映画の帰り道でした。