剣道日本一を決める第64回全日本選手権は3日、東京・日本武道館で行われ、勝見洋介5段(神奈川県警)が初優勝を果たしました。昨年準優勝の勝見は準決勝で宮本敬太4段(国士舘大)を逆転で下しましたが、ビデオを見る限り宮本の突きが先に勝見の喉元をとらえていた様にも見えました。いずれにせよあの強烈な突きに体を崩さなかった勝見の面が見事に決まっての逆転勝ちでした。
決勝では国友錬太朗5段(福岡県警)からコテを奪っての優勝となりました。昨年の決勝で勝見を下して優勝の西村英久5段(熊本県警)は準々決勝で国友に敗れていました。神奈川県勢の優勝は58、59回大会を連覇した高鍋進錬士6段(当時)以来で5年ぶりでした。 過去に連覇を達成した剣士はこの高鍋進と宮崎正裕の2人だけですが、宮崎正裕も神奈川県警です。 宮崎正裕氏が休憩時間勝見選手にアドバイスしている場面がずーっとカメラに捉えられていましたね。
早くも、勝見の神奈川県警勢3人目の連覇に話題が飛びそうですが、今回は初出場の国士舘大3年の宮本敬太選手の活躍も特筆に値します。優勝した勝見選手との勝負は紙一重だったと思います。
前々回筑波大3年生で優勝した竹ノ内佑也(東京)は、去年は3回戦で敗退し、警視庁へ入った今年は東京予選で敗れてしまいましたが、多くの学生剣士へ大きな希望と勇気を与えてくれたと思います。
その竹ノ内裕也に続けとばかりの学生剣士宮本敬太の今大会での活躍が印象に残りました。只モノではありませんよ。アラサーの優勝者の多い全日本剣道にしっくり溶け込んだ老成とも思える落着きの中で、勝見と面を打ち合って1本を獲るスピードと切れには目を見張るものがありました。
学生チャンピオンになるには来年しかありません。来年、連覇を目指す勝見洋介対雪辱を果たして2人目の学生チャンピオンを目指す宮本敬太の夢の対決を期待しましょう。