ドリュー・バリモアが初監督を務めた青春ドラマで2009年のコメディタッチの成長物語映画です。
2007年の「JUNO ジュノ」で妊娠してしまった高校生役を演じアカデミー主演女優賞にノミネートされ、脚光を浴びたエレン・ペイジが演じる17歳の女子高生ブリスは、美人コンテストで優勝することが人生の成功と信じる母親や、田舎町の退屈な生活にうんざりしていました。
そんなある日、隣町の大都市オースティンに出かけた彼女は、化粧の濃いヤンキーな女性たちが繰り広げるパワフルなローラーゲームに魅了され、その世界に生きがいを見出します。
ブリスが洋品店でチラシを置きに来たローラーガールたちに出くわした時の目に映る光景がスローモーションになるシーンが笑えます。 漫画なんかで、一目ぼれの表現で、目からハートマークが飛び出すシーンがありますが、あれですね。 ブリスの求めていたもの全てがそこにあるということを彼女が本能的に悟った運命の瞬間を観客に巻き戻しスローモーションという技法で強調して見せてくれていました。
人と人の出会いも運命的な閃きがあるとかあったという人と、そういう経験はないという人、人それぞれですが、運命的にローラーガールのお姉さん達に出会って、まともにローラースケートで走れもしなかった彼女に、試合場の円錐状の傾斜で発揮することになるあのような天性の俊敏さとスピードがあっただなんて誰が予想できたでしょう。 運命のスポーツに引き合わされ、何度も倒され転んでいるうちにその引き合わされたスポーツが彼女の天性を引きだしたのですね。 エレン・ペイジが演じるXメンのキティ・プライド役のすり抜け技とちょっとかぶっていました。
ポイントゲッターとして覚醒したブリスのニックネームはベイブ・ルースレス(ruthless: 冷酷な、情け容赦のない、babeはbabyの意味もありますが、俗語で”うぶなね~ちゃん”とか”かわいこちゃん”くらいな意味合いです。)、その彼女のライバルのアイアン・メイビン役に女優でありロック歌手としてユニークな経歴をもつジュリエット・ルイスです。 監督のドリュー・バリモアもブリスのチームメイトとして出演していました。
過剰なメイクと入れ墨の苛烈なアマゾネスの中にあって、普通の家庭の女子高生がいかにして両親を説得したのかについては観てのお楽しみにしてください。ふしだらそうにみえる荒ぶる女性戦士たちにもいろいろ事情があり、な~んだ不通にいい人じゃんとの発見も多くあります。 人は見かけによらぬもの、そうした本質をつかむ才能にもたけた(鈍感力に長けた?)ベイブ・ルースレスことブリスの活躍を、あなたも両親目線から応援したくなることうけあいの楽しい映画です。