舞台は、ジョージ・W・ブッシュ米大統領が再選を目指していた2004年のアメリカで実際に起こった、あるスクープ報道が広げた波紋の一部始終を、ケイト・ブランシェットとロバート・レッドフォードの共演で描いた実録ドラマでした。
CBSニュースのベテランプロデューサー、メアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)は、伝説的ジャーナリスト、ダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)がアンカーマンを務める看板番組で、ブッシュの軍歴詐称疑惑を裏付けるスクープを放送し、全米にセンセーションを巻き起こします。イラクのアブグレイブ刑務所での捕虜虐待事件についてもすっぱ抜きの報道を行った後でメアリー・メイプス達の報道チームはノリノリでした。しかし、その疑惑の「決定的新証拠」を保守派のブロガーが「偽造」と断じたことから事態は一転するのです。
そしてメアリーやダンら番組スタッフをはじめ、CBSは猛烈な批判の矢面に立たされることになってしまいます。同業他社の批判報道もとどまるところを知らず、ついにCBS上層部は事態を収拾するため内部調査委員会を設置するハメになってしまいます。
圧倒的な不利な状況の中で、メアリーは圧力に屈することなく、真実を伝えるジャーナリストとしての矜持と信念を伝えるため、勇気を奮い起こします。
テンパった主人公を演ずるケイト・ブランシェットの表情と啖呵にご注目!と声を大にして言いたいです。鬼気迫るど迫力にさぶいぼたちまっせ!
本作は、メアリー・メイプスの自伝を基にしています。
ケイト・ブランシェットが演じた、鬼気迫るジャーナリストといえば、「ヴェロニカ・ゲリン」(’03)もお勧めです。こちらは、アイルランドのダブリンが舞台で、麻薬犯罪を追及し、1996年に犯罪組織の凶弾に倒れた、サンデー・インデペンデント紙の記者の半生を描いた映画でした。ケイト・ブランシェットのテンパった状況や窮地に立たされた演技の素晴らしさは、この「ヴェロニカ・ゲリン」でも味わえます。
ロバート・レッドフォードは、ウォーター・ゲート事件をすっぱ抜いたワシントンポストの記者をダスティン・ホフマンと共演した「大統領の陰謀」(’76)が有名ですよね。 私は観ていないのですが、2007年に自ら監督した「大いなる陰謀」という映画も政治とジャーナリズムをテーマにしています。
今年前半は、レイチェル・マクアダムスの「スポット・ライト 世紀のスクープ」が最も印象に残った映画でしたが、後半になって、「ブルックリン」、「トランボ」、そしてこの「ニュースの真相」と甲乙つけがたい作品が立て続けです。
以下は、私の備忘録です。 ネタバレご用心!
「取材の趣旨が気に入らないと、報道した人間の政治傾向や客観性、人間性までも疑ってかかり、スクラムを組んでわめき、真実を消し去ってしまう。異常なほどに騒いで、全てが終わったときには、本来の内容は何だったかさえも思い出せない」。
「質問をすることは重要だ。”やめておけ”と言われたり、”偏向だ”と批判されたりしても、質問しなくなったら米国は終わりだ。 私はそう信じている。」