TOHOシネマズ日本橋で観ました。午前十時の映画祭プログラム作品の1つで、今週金曜日までの公開作品です。
謎の多いモーツアルトの死ですが、この1984年に制作された映画「アマデウス」では、神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世 (オーストリア大公、マリー・アントワネットの兄)に仕える宮廷作曲家アントニオ・サリエリによる殺害説をフィクション仕立てにした物語でした。
1823年晩秋のある夜、ウィーンの街で自殺をはかった老人・元宮廷作曲家のアントニオ・サリエリが、精神病院に運ばれます。彼は病床で「許してくれ、モーツァルト!君を殺したのは私だ」とうわごとを言い続けます。
後日、病状が安定したサリエリを神父フォーグラーが訪問し、話を聞こうとします。この映画は、サリエリの回想録を通じて、彼と神童モーツァルトとの出会いから、ヨーゼフ2世に仕える同僚として天才モーツァルトの才能に驚愕し、嫉妬する様が、そして、放蕩でやがて金欠に苦しむことになるモーツァルトを、精神的に追い詰め、過労死へと誘う驚愕すべき内容の告白が、フラッシュバック映像と共に明らかになる仕掛けでした。
この映画版『アマデウス』は、アカデミー賞の作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、美術賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ賞、音響賞の8部門を受賞しました。主演男優賞は、アントニオ・サリエリを演じたF・マーリー・エイブラハムが受賞したのですが、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトを演じたトム・ハリスも実は主演男優賞にノミネートされていたのです。
主演男優として、甲乙つけ難いサリエリとモーツァルトだったということなのでしょうが、私は、むしろ、アカデミー主演男優賞はトム・ハリスにこそふさわしかったと思っています。
彼は、ピアノを猛特訓し、劇中の多くの場面で代役や吹替え無しでピアノを弾いていましたし、指揮法についてもプロについて相当程度のレベルまで修得していたそうです。あの狂気とも陽気ともとれるけたたましい笑い声が印象的な一生懸命な演技だったと思います。
映画は、3時間と長かったのですが、オペラ「後宮からの誘拐」「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「魔笛」等のハイライト・シーンがたっぷり挿入されるなど、映画版ならではの見どころ満載でお得感充実の作品でした。
日曜日の当日席をインターネットで買おうとしたのですが、売り切れで、それでは、翌日の「海の日」の席を予約しようとしたら、最前列のたった2席しか空いていないという盛況ぶりでした。見上げ放しの3時間でしたが、いい映画を観たので疲労感も軽くて大満足でした。