阪本順治監督が日本アカデミー賞最優秀監督賞など数々の映画賞を受賞した「顔」の藤山直美と15年ぶりにタッグを組んだ新作ということで前評判が高かった割には、有楽町スバル座というマイナーな映画館での上映でした。
大阪千里ニュータウンに住んでいた経験から、「団地」という言葉に郷愁を感じました。
また最近観た「海よりもまだ深く」で描かれていた団地の様子から、子供の姿が消え、独り暮らしの人が増え、エレベーターがないので、上階から人が住まなくなる、店が撤退し、過疎地と同じ悩みを抱えたそんな変遷に迫った物語を想像していました。
途中までは、過疎化した団地にやってきた新入居者にまつわる噂が勝手にその虚像を大きくしていくブラックユーモアを交えた新手のスリラーのように思えた展開でした。 ある程度の興味も持てたのですが、最終局面では、なにやら話があの世の話なのかこの世の話なのか、宇宙船まで現れて現実離れしたSFの話なのかよく掴めない、荒唐無稽というか違和感だけがとり残された映画に化けてしまいました。
マニアックな人には面白いのかもしれませんが、私には、あのまま団地という住居環境の噂が作り出す恐怖話で終始していたほうがなんぼかマシな映画になったのではないかと思えました。
落語で言うと、途中までの噺は笑えたのに、オチでふざけすぎてかえってしらけてしまったような感じです。
藤山直美、岸辺一徳、石橋蓮司、大楠道代、斎藤工等、そうそうたる役者が出演している割には、私にはよく理解できないヘンテコな映画でした。
それにしても、日本語の変な人を演じた斎藤工、最初は、中国か台湾から来た人かと思っていましたが、フムフムそうだったのですか、それにしてもって感じでした。