TOHOシネマズ日本橋で観ました。
タイ王宮に家庭教師として招かれた実在の英国人女性アンナ・レオノーウェンズの回想録に基づいたベストセラー小説を原作としたミュージカル映画です。王様も実在のタイ国王・ラーマ4世です。
役所広司と草刈り民代(あるいはリチャード・ギアとジェニファー・ロペス)の「Shall we dance?」の原典はこの「王様と私」だったのですね。 この映画の主題歌でしたよ。
一連のミュージカルや映画は、王室に対する不敬としてタイでは上映が禁止されてきました。軍事政権の今も例外ではありません。渡辺謙が王様を演じたブロードウェイ初挑戦舞台もタイでは発禁扱いとなっているそうです。
軍事政権への反感からか、首都バンコックで爆破テロが起こる等、タイは不安定な政情が続いているようですね。
19世紀中頃のタイは、まだシャムといった言葉の方がしっくりくるエキゾティックな国でした。映画の冒頭で、このシャムと呼ばれた当時のバンコックの風情が映像でたっぷり楽しめます。周りの国がどんどん植民地化される中(英国領ビルマ、マレーシア、仏領カンボジア、ベトナム、オランダ領インドネシア)で、タイだけは独立をたもっていました。
虎視眈々と植民地化の機会を覗っていた英国と仏国の勢力緩衝地帯となった幸運もありましたが、この映画の内容通り、英国人家庭教師アンナの外交顧問としての暗躍もあったのかもしれませんね。
ラーマ4世は、アユタヤ朝から続いてきた中国への朝貢を辞め、西と南からタイを狙っていた英国、東から狙っていた仏国と通商条約を結び、欧米諸国との自由貿易体制を築き、結果として英国、仏国を対峙させながら、タイの独立を維持した王として知られています。
さて、この映画の話です。
王子や王女の教育係として、夫を亡くした英国人アンナ(デボラ・カー)が息子を伴って王宮に赴任します。しかし、封建的で伝統を重んじる頑迷なタイ王(ユル・ブリンナー)とアンナはことごとく対立します。
文化の違いに悩まされながらも、しだいに理解を深めて行くアンナでした。
そんな中、国情調査にやって来る英特使のもてなしを、王はアンナに一任します。野蛮な国というレッテルを貼られて、侵略されることを王が恐れたのです。
アンナは王の期待に応えてヨーロッパ風の豪華な晩餐会を無事に成功させました。アンナはその夜、王と語り合い一緒にダンスを踊ります。あの「Shall we dance」の唄が流れるのです。さすがD・カーの歌にはしびれましたよ。 だがその頃、王宮ではひとつの事件が起きていたのです。事件の詳細は観てのお楽しみとしてください。
私の家庭教師三大ミュージカルの1つです。他は、サウンド・オブ・ミュージックとメリー・ポピンズです。
王役のY・ブリンナーがアカデミー主演男優賞を受賞したほか、計5部門を受賞しました。ゴールデングローブ賞では、アンナ役のD・カーが主演女優賞を受賞しています。