日比谷のTOHOシネマズ・シャンテで観ました。
なんだか、TVドラマの「北の国から」を強く意識してしまいました。 1981年から約1年半の金曜劇場として放映されたTVドラマは、その後もスペシャルドラマとして、倉本聰監督の下、2002年まで約20年に渡って放送されました。純役の吉岡秀隆は11歳から32歳まで、蛍役の中嶋朋子は10歳から31歳までこの「北の国から」に関わってきました。第一話では純が小学校4年生で蛍が2年生という設定で可愛かったですね。純が父の黒板五郎(田中邦衛)と丁寧な言葉で会話していたシーンが妙に親子の距離感を感じさせていました。
吉岡秀隆といえば、諏訪満男として、「男はつらいよ」シリーズのフーテンの寅さんの甥っ子役で、小学校年少組から社会人までを演じています。 まとめてこのシリーズを観ますと満男の成長ぶりがよくわかります。
この映画では、タイトル通り、6才の少年メイソン(エラー・コルトレーン)が18才になり、大学生として自立するため、家を出るまでの12年間が淡々と描かれていました。 その12年間は確かに淡々と描かれるのですが、パパ(イーサン・ホーク)とママ(パトリシア・アークエット)は離婚してしまい、ママは大学に通ってそこの教授と再婚しますが、家庭内暴力が原因でまた離婚してしまいます。自らも大学で教鞭をもつことになったママは元陸軍兵と再々婚します。 放浪癖のあったパパも定職に就き新たな奥さんを見つけ赤ちゃんができます。12年の間に彼の周りでは様々な変化があり、彼も成長します。
この映画の最大の特徴は、登場人物を俳優たちがリアルタイムで演じ、12歳の年を取っていくことです。 12年かけて、12年のドラマを作り上げたのです。
メイソン役のエラー・コルトレーンと吉岡秀隆がイメージとして重なってしまうのですが、この映画が新鮮に感じられるのは、そうした子供が大人に育っていく成長ぶりを異なるドラマやシリーズものではなく、ぎゅっと凝縮して、一つの映画作品の中で見せてくれたことです。 そういう奇抜なアイデアを考えだし、12年の歳月をかけてたった1つの作品を作り上げた粘り強さには大きな拍手を送りたいです。
この映画を参考に子供の成長記録をビデオ取りする夫婦が増えるのではないでしょうか? 子供が家を離れて一人暮らしを始めるとき、編集したビデオは凝縮された12年間の成長物語となっており、子供にとって唯一無二の貴重なプレゼントになるに違いありません。 毎年の家族写真よりそのビデオの中にはその当時の生活の息吹が感じられるでしょうから。