「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督が伝説のピアニストの半生を感動的に描いた人間ドラマでした。 1999年公開の作品です。
1900年、大西洋上を行く客船の中で生後間もない赤ん坊が見つかりました。その子供は、生まれた年にちなんで“ナインティーン・ハンドレッド”と名付けられます。
船内のダンスホールでピアノを聞いて育つうちに、驚くべき才能を発揮するようになります。
一度も船を降りることなく、船内で一生を終えた天才ピアニストの一風変わったお話を面白く、また感動的に聞かせてもらいました。
下船のタラップの途中にたたずんで、帽子を海に投げ込んで、また船に戻って来るシーンには思わずこぶしを握り締めてしまいました。
人間にはどこか閉塞感のある今の環境の殻から飛び出して、新天地で自由に羽ばたきたいという衝動はあると思うのですが、船の上で出会った女性との再会の夢がニューヨークというとてつもない大都会の摩天楼を前にして膨らむ不安に押しつぶされてしまったのでしょうか。 ピアノに関してと同様、独特の世界観と嗅覚をもった芸術家の人生についての考え方を興味深く見せてもらいました。
この風変りなピアニストの生き様をを通して、人生や芸術一般について考えさせられるいい機会が得られました。