両親から受け継いだ居酒屋「ぼったくり」の独身女性オーナーシェフ「美音」の心意気やよし!こういう居酒屋が近所にあったらいいなあ・・という気にさせてくれます。
名前に反して、美味しいものを安く提供してくれるコスパの高い良心的な下町の居酒屋さんです。
卵黄の味噌漬け、手羽先スぺシャル風、ゆかりとおかかのおにぎり、ゴーヤチャンプール等の品に、日本酒なら朝日山「百寿盃」、白ワイン「Night Music」、ビール「ヒューがルデンホワイト」等で合わせたくなります。
居酒屋での客同士の会話や、客と女主人の会話等も気になるものですが、そうした小話を7つの短編に分けています。人情家のお客連中に男前の「女主人」のやりとりがテンポよく語られています。
季節は最初の2編が冬、残り7編が夏で、枝豆や冷やし茶漬け等のメニューも魅力的です。
旨い酒、美味い料理、そこに優しい人達があつまれば、そこはもう理想的な居酒屋に違いありません。
書店員の間で評判になった本のようです。高田郁の「八朔の雪」等の「みをつくし料理帖」シリーズの現代版という感じです。安くて手頃な値段のお酒の紹介も好感できます。シリーズ化待望の一冊でしょう。