1965年の9月30日深夜にインドネシアで発生したいわゆる「9・30事件」後の大虐殺を描いたドキュメンタリーです。共産党を基盤としていた初代のスカルノ大統領は、いわばこのクーデターで失脚し、3年後の1968年に第2代スハルト大統領の誕生を迎えることになります。
その虐殺を実行した殺人部隊のリーダーアンワル・コンゴ、彼と行動を共にしていたヘルマン・コト、アディ・ズルカドリ等がこのドキュメンタリー映画に登場し、虐殺の再現映画作成の過程をカメラが追っていきます。
最初は誇らしげだったアンワル・コンゴの表情が、だんだん苦痛に変わっていく過程が映し出されていました。人は状況によって非情な殺人者にもなりうるという怖さがメッセージとして心を揺さぶる映画でした。
私が、インドネシアに仕事で滞在したのは1983年から1986年で、約30年前ですが、意外と語られるインドネシア語が字幕なしで理解できたのが、驚きでした。
たぶん字幕を見ながら、耳で聞いたインドネシア語をシャドーイングすれば、かなり上達するだろうな・・・と思います。ただ教材としてはかなり後味の悪い映画です。
渋谷の宮益坂上のシアター・イメージ・フォーラムで観ました。