天正10年(1582イチゴのパンツ)3月、織田・徳川の連合軍に追われた武田勝頼は小山田信茂の居城「岩殿城」にたてこもることを決意し、新築したばかりの新府城に火をかけて出発しましたが、笹子峠にさしかかったところで、信茂や穴山梅雪に寝返られてしまいます。止むを得ず勝頼は天目山に向いますが、武田家落ち目とと見て逃亡者が続出、従うもの数十人となってしまい、11日、遂に一族みな自刃して果ててしまいました。勝頼は37歳、長男の信勝はわずかに16歳でした。
天正3年の長篠の戦いに敗れて以降、7年間に渡って、武田家が滅亡に至る流れは、伊東潤氏の歴史・時代小説「武田家滅亡」に詳しく書かれています。
「神州天馬侠」では、史実から離れて、勝頼には運命を共にした信勝の他伊那丸という次男がいたという設定になっています。いわゆる児童向けの伝奇ロマンです。
同年の6月21日の本能寺の変、6月27日の清州会議の後の、織田信長の後継者争いの揺れるパワーバランス、羽柴秀吉、柴田勝家、徳川家康の三大勢力の覇権争いの中に、この武田家の遺児が巻き込まれていきます。
七将星の家来、果心居士の弟子、野武士(根来衆)の棟梁の娘の助けを借りながら、この三つ巴の戦いの渦のなか、いくどと危機を迎えながら何とかサバイブしていく物語です。秘宝の争奪戦や妖術師との闘い等を中心とした和製ハリーポッターのような物語とイメージしたほうが近いかもしれません。
小学生、中学生の昔に戻って、ただ単に、吉川英治氏の頭の中で展開される大風呂敷の物語の展開を楽しんでいます。