8月は、読書6冊です。映画は1本も観ていなかったようです。
読書は、相変わらず司馬遼太郎氏・宮城谷昌光氏の古代中国歴史もの中心に、岸恵子氏の「わりなき恋」と直木賞受賞作品桜木紫乃氏の「ホテルローヤル」が割って入ったという感じでした。
直木賞選考委員の間では、「生活苦」を描かせたらこの人に勝る人はいないという変な評価が認められて桜木紫乃氏に決定したようです。
浅田次郎氏は、「不幸には諸相があるが、不幸が劇的であれば万人を説得しづらい。桜木紫乃氏の作品はそのあたりの塩梅がよく、誰も反撥せず身近に感ずる不幸の様相を上手に表現していた。」 宮部みゆき氏は、「救済されるべき社会の構造欠陥としての貧困でなく、数値化することもできないけれど、かつては多くの日本人が実感し、決して忌避してばかりはいなかった生活苦を書かせたら桜木紫乃さんは天下一品の作家です。」
それにしても3回目の直木賞候補にあがった伊東潤氏の「巨鯨の海」は残念でした。林真理子氏は、今回も二作の受賞(今年1月の安部龍太郎、朝井リョウ氏の受賞のように)でいいのではということで、伊東潤氏作品も押したようです。北方謙三氏も積極的に押したが次作を期待するということになったと言っています。宮城谷昌光氏も「取材力には脱帽」という評価でした。
次回来年の1月の直木賞の候補に選ばれるかどうかわかりませんが、伊東潤氏は信長に仕えた男たちを主人公にした五編の短編集「王になりたかった男」を書き上げています。専門職に徹して出世しなかった男や出世欲から信長からの厳しいノルマに苦しむ男の姿などが描かれているようです。たぶん家来の姿から信長像が立ち上がってくるような構成になっているのではないでしょうか。一方、人気作家の伊坂幸太郎氏も「死神の浮力」という長編を書き上げています。
鬼が笑いますが、来年の1月の直木賞は伊東潤氏と伊坂幸太郎氏のW受賞だったらいいなと思っています。
130801 ホテルローヤル 桜木紫乃
130809 項羽と劉邦(中) 司馬遼太郎
130815 わりなき恋 岸恵子
130818 項羽と劉邦(下) 司馬遼太郎
130821 暗殺者たち 黒川創
130826 長城のかげ 宮城谷昌光