TPPによって日本が鎖国状態から脱しグローバル化を加速させることでGDPの増加を見込めるメリットの反面、よくデメリットとして議論されることに関税の撤廃により米国などから安い農作物(特に米)が流入し日本の農業に大きなダメージを与えるということがあります。
日本の農業は、零細の兼営農家が多く、非効率です。非効率さを国民の税金で賄って、あるいは国民に国際水準からみて競争力のない高い値段でコメなどを買わせています。農地には固定資産税がかからず兼営農家はなかなかその土地をはなそうとしないし、大規模農業をビジネスで始めようにもその土地を農地と認めてもらうにはいろいろ煩雑な手続きが障害となります。手続きをとばすと工業用地扱いとなり事業税がとられてしまいます。TPPは安倍首相が、外圧として農政改革に利用しようとしている一面も否定できないでしょうね。
ただ軽視できないもう一つの大きなデメリットに食品添加物・遺伝子組み換え食品・残留農薬などの規制緩和により食の安全が脅かされるということがあります。
百田尚樹の「海賊と呼ばれた男」を読むと世界の石油市場ではセブンシスターズと呼ばれていたコングロマリット集団がイランでの利権をめぐり暗躍していた様子が知れますが、篠田節子の「ブラックボックス」を読むと遺伝子組み換え作物に関しては、モンサント、シンジェンタ、バイエル、ダウ、デュポン、BASFで世界の農業販売の8割のシェアを占めているそうです。
世界のハイテク農業は生産から販売までのシステムが複雑で、それこそブラックボックスで何か問題が起きてもその原因を究明することが困難で、作者はまさにそのことを「ブラックボックス」と言っています。