TOHOシネマズ・シャンテで観ました。原題も「The Master」です。
ポール・トーマス・アンダーソン監督の作品にはこの「ザ・マスター」の他、「マグノリア」(トム・クルーズが教主)、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(ダニエル=デイ・ルイス主演)等、カルトっぽい宗教をテーマにした映画が多いですね。
戦争でトラウマを負ったフレディ(ホアキン・フェニックス)とそんな彼を無条件で仲間に引き入れた新興教団「コーズ(大義)」の指導者マスター(フィリップ・シーモア・ホフマン)の迫力あるせめぎ合いが見ものです。互いに惹かれあい、反発しあい、ねじれる葛藤を繰り返します。
マスターは社会に適応できない人々に独自の理論に基づく治療を施し、教団の活動を広げていきます。フレディはマスターの片腕として、ときに暴力をふるいながらも教団の守護者としての役割を引き受けます。ただ、フレディは心底マスターの教義に納得しているわけではありませんし、酒への依存を断ち切ることもできません。
マスターの妻(エイミー・アダムス)はフレディを教団の危険分子とみなし彼をマスターから引き離し、教団から遠ざけようと画策します。
フレディとマスターのまさに激突といった感じで、二人の顔の大写しのカメラワークの連続が迫力をあおります。ベテラン俳優二人の迫真の演技を堪能できました。
最優秀の受賞できませんでしたが、この作品で、本年度アカデミー賞3部門、主演男優賞(ホアキン・フェニックス)、助演男優賞(フィリップ・シーモア・ホフマン)、助演女優賞(エイミー・アダムス)にノミネートされた作品です。役者の顔の表情から、信頼、安心、希望、不安、躊躇、疑問、虚栄、落胆、怒り等の心理が活写された映画でした。 ザ・マスターのカリスマ性もよく描けていました。