昨日2012年度の「本屋大賞」に選ばれた作品です。
真面目で恋にも不器用な辞書編纂の編集者である主人公に共感を得た書店員は多かったと思われます。
「広辞苑」や「大辞林」に対抗して、「大渡海」という辞書を編纂する苦労話に主人公の恋物語がまぶされた気の利
いた小説になっていました。
「舟を編む」という題もなかなかいいです。
「辞書は言葉の海を渡る舟だ。ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かび上がる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし、辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう。」
「海を渡るにふさわしい舟を編む」ということでその辞書は「大渡海」と名付けられました。先生、ベテラン編集者、二人の先輩とともに新人主人公がチーム一体の努力で「大渡海」を誕生させる物語です。
カグヤという名の主人公の彼女との出会いから恋の成就の過程ももどかしくも新鮮でした。 派手さに欠ける縁の下の力的な書店員さんの心を鷲づかみにしたことも納得です。