この本を読むとしばらくファミレスやマックでのハンバーグは食べたくなくなります。
業者では「雑巾」と呼んでいるらしい老廃牛(乳を出さなくなったメス牛)のくず肉、内臓にたまねぎ、代用肉と血液を混ぜて食品添加物をぶち込んでハンバーグを作るようです。代用肉は食用油を摘出した後の脱脂大豆を原料とし、亜鉛酸ソーダ水溶液を混ぜ、亜鉛酸ガスを加えて作る繊維のような形をしたタンパク質です。これに牛の香りの合成香料と容量増しのための水が加わるそうです。値段の安いハンバーグに共通した材料のようです。
ステーキ用の肉も「成形肉」と呼んでいるらしいです。様々なくず肉を特殊な食用接着剤でつなぎ合わせてつくるようです。250gで5~600円の値段設定のステーキはこの類のようです。もはや加工品の域を脱して、工業製品と呼んだ方がいいかもしれません。
おにぎりも古古米が原料のようです。古米に乳化成分、ブドウ糖液、増粘多糖類を加えてつややかなおにぎりを作るそうです。
海藻サラダは次亜鉛酸ナトリウムという消毒剤、アスコルビン酸ナトリウムという酸化防止剤のプールに野菜が浸かっているそうです。
コンビニのサラダの野菜がカットして1日たtっても黒ずんだりしないのには多数の添加物がはいっているんでしょうね。
調味用、添加物なしの食生活を求めることの難しくなった時代にあって、リスクの高そうなものを避け、自分の身を守る知恵が必要な世の中になっているようです。
シャッター街を作り出す全国チェーンのスーパーマーケットの手口に、食品問題を織り込んだ小説です。安全より経済効率を優先する企業社会の問題を抉り出した小説となっていますが、ストーリーの展開は上記の企業裏話ほどの強烈な印象は残りませんでした。帯の宣伝文句の平成版「砂の器」という器ではなかったと思います。小学館の宣伝はちょっと行きすぎだと思いました。