チャイナ・シンドロームとはいわゆる炉心溶解(メルトダウン)といういう意味です。映画の中での「米国の原子発電所がメルトダウンを起こしたら地球を突き抜けて中国まで溶けてしまう」というジョークがそのまま映画のタイトルになりました。いわゆる~症候群(シンドローム)という流行語を生みだしたのもこの映画でした。
この映画が公開された1979年に、ペンシルバニア州スリーマイル島の原子力発電所で実際に事故があり、それも手伝って大ヒットした映画です。
キンバリー・ウエールズという米地方TV局のレポーターにジェーン・フォンダ、彼女と共に取材に飛び回るカメラマンにマイケル・ダグラス、そして原子力発電所の安全管理技士にジャック・レモンが扮しています。
事故調査をする団体と新規原発工事プロジェクトを推進する団体の裏に共通に存在するのが利益優先の経営者達で、事故の重大さを隠蔽しようとしたりその影響を小さくみせようとします。それに敢然と立ち向かったのが前述の3人でした。
原発反対の住民の抗議や原発側の説明会の様子も興味深くみることができます。
この映画は古くありません。経済界で大きな影響力をもつ日本最大の調達企業「東電」と政治家、企業、官僚の癒着ぶりや、日本の福島第一原発の事故の後の東電や経産省の傘下の原子力安全・保安院等の事態を小さく見せようという対応がそのまま描かれています。監視する団体が原子力を推進する団体から独立していなければ利益相反となり、国民の目線にたった安全規制が機能しません。
「日本中枢の崩壊」を書かれた古賀茂明さんとそれを出版された講談社ははそういう意味で勇気あるキンバリー女史やジャック・レモン演じる内部告発者の役割を果たされたのかもしれません。
原発事故を描いたサスペンス・アクションとして今もっと注目されていい作品だと思います。