出典は、「国境事変」 誉田哲也
とりあえず謝って場の空気を鎮めておく。こういったさじ加減を間違えると、得られるはずの情報も得られなくなるので注意しなければならない。特に身内の発言というのは、家庭の裏事情や財産に絡む損得勘定など様々な要素でがんじがらめになっているのが普通だ。そのため、押したり引いたり、時には怒鳴ってなだめて、感情をむき出しにさせた上で、本音を吐かせる。そこを端緒に、真実の情報を腹の底から引きずり出す。それが犯罪捜査における事情聴取の本道であると東は思っている。
真実なんてものは、すべて幻想なのだよ。事実そのものに力はない。あるとすれば、それは情報の中にこそある。情報こそが力を生み、事実を作り上げる。人々が受け入れたとき、初めてそれが真実と認知される。その情報を、これからは我々が操作し発信していくのだ。