提示された提案に反対するとき、よく考え抜いた上で確固とした根拠があって反対する人は少ないとのことです。多くの人は、その提案や意見が述べられたときの調子とか言い方、言った人の性格や雰囲気に対して反発の気分があるから反対するのだそうです。
表現の方法、説得の仕方、物言いの工夫等という技術的なものも確かにありますが、それ以上に、意見を述べる人の性格、容姿、人柄、生活態度などが大事なようです。「人間的な、あまりにも人間的な」ニーチェの言葉です。
落語家の桂枝雀も似たことを言っていました。人間は面白いから笑うのではありません。まず笑うのです。そうすると自然におかしくなって笑いが加速されるのだそうです。笑おうとうずうずしているお客様の背中を押してあげるのが落語家といいたかったのかもしれません。
理詰めでいくら諭されても感情に支配される人間は相手に対する好感や信頼感から「その気」になっていなければなかなか説得はされないということですね。
説得力や交渉力、言葉の選択力に磨きをかけるより人間力を鍛えて相手の信頼感を得ることに力を注いだほうがよさそうです。