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読書「自壊する帝国」佐藤優_博覧強記な佐藤優のソ連崩壊目撃体験談!

f0090954_05400803.jpg「博覧強記」とは佐藤優のことを言いえて妙な言葉だと思います。

1年半に亘って独房入りとなった「国家の罠」の前日譚という位置づけのルポタージュという印象を持ちました。

ソ連は1991年12月に崩壊しました。

佐藤優は1987年にモスクワの日本大使館に着任しました。 そのときの彼の肩書は「在ソビエト社会主義共和国連邦日本国大使館三等理事官」でした。

ソ連崩壊後4年経った1995年に離任したときの官職は「在ロシア連邦日本国大使館二等書記官」に変わっていました。

そのソ連崩壊前後の状況を佐藤優が独自に作りあげた人脈を駆使して書き込んだ人間ドラマとして読むことができます。その人脈形成に役立った武器が彼の修めた神学というところが興味深かったです。付け焼刃的なかじり知識ではなく体系立てて修めた学問の力を知ることができました。

彼の観察力の鋭利さは「国家の罠」で実証されていますが、同じような日記とも思える手法がこの「自壊する帝国」にも使われています。

あくまでも佐藤優の目を通しての話で、同志社大学神学部から何故外務省に入ったのかといういきさつから、ソ連・ロシアで27歳から35歳の8年間の彼の後期青春時代の物語という趣もあります。

大宅壮一ノンフィクション賞・新潮ドキュメント賞を受賞した作品で、国家とは宗教とは民族とは、ユダヤ人問題に遠隔地ナショナリズムそしてバルト三国(エストニアとラトビアはプロテスタント、リトアニアはカトリック)とソ連の歴史等について佐藤氏の解説と分析について考えさせられる事項の多い本でした。

美食家佐藤優の一面も顔を覗かせ、キャビア、イクラ、チョウザメの燻製のオープンサンドウィッチの「ブッテルブロード」、サーモンをのせサワークリームを塗ったパンケーキの前菜「ブリンヌィ」、チョウザメの串焼きの「シャシリック」、ウクライナ風餃子「バレンニキ」、メレンゲケーキ「鳥のミルク」、チョコレート・ケーキ「トルト・ブラガ」等々。

神戸にあるプリントかチョコレート菓子で有名な「モロゾフ」も帝政ロシア時代のモロゾフ財閥の一族の1人が日本に渡って(亡命し)お菓子屋を作ったこと、それを佐藤氏が日本の食文化にロシアが入っている例としてそのチョコレート菓子をロシア人への土産にしていたエピソードも興味深く読みました。食に絡む話は外交の世界でもビジネスの世界でも異国間交流の効果的な小道具になります。

少数民族(先住民族)について語っている個所では、東ドイツのエルベ川沿岸に住むスラブ系民族のソルブ人の話が印象に残っています。急速にドイツ人に同化しているようですが、ギュンター・グラスの小説で映画化もされた「ブリキの太鼓」の舞台とされるのがソルブ人居住地区だったそうです。

体の成長ががブリキの太鼓を与えられた3歳児で止まり精神年齢が大人の精神病院の住人オスカルの回想録で、彼の眼を通し、ナチ党政権前後におけるダンツィヒ自由市の小市民的心性、戦前・戦中・戦後の遍歴などが描かれているようですが、このダンツィヒ自由市のモデルがソルブ人居住地区なのだと思います。

この「自壊する帝国」は私が思い描いていた内容とは違い、あくまでも佐藤優氏の体験談でした。 佐藤氏はあとがきで、ソ連崩壊についてのもっとアカデミックな内容の本を求めている人には「国家の崩壊」という共同出筆の本がお勧めだと言っていました。

by zoompac | 2017-11-22 05:40 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

「西郷どん(上)」林真理子_隆盛の息子(奄美大島の愛加那との)菊次郎の回想録

f0090954_07050795.jpg原作が林真理子、ドラマの脚本が中園ミホということで、女性目線から捉えられた西郷隆盛像がとても気になります。

ということでまずは原作三部作の上巻を読んでみました。

西郷菊次郎という西郷隆盛が奄美大島に流されたとき島の娘との間に生まれた息子が登場します。(大河ドラマでは島妻になる愛加那を二階堂ふみが演じる予定です。)

冒頭から、西南の役を起こし一時は朝敵とされた西郷隆盛が、賊名を解かれ御一新を成し遂げた英雄として正三位の栄誉を与えられたこと、それには西郷を慕ってやまない明治天皇の強い意志が働いていたこと、その汚名を雪ぐ証として息子菊次郎が京都市長に抜擢されたこと等が記されていました。

西郷菊次郎の歓迎会で、京の芸子が西郷の手毬歌を歌います。菊次郎は、西南の役の後、西郷従道の支援で外務省に入り、アメリカ、台湾の外地で働いていたためその手毬唄を知りませんでしたが、明らかに奄美大島で生まれた自分の妹のことが歌われていました。

そこから、菊次郎の回想録という体裁をとりながら、西郷隆盛の物語が始まります。

上巻では、貧しい子だくさんの西郷家の長男としての生活、島津斉彬に抜擢され、江戸に呼ばれ、第13代将軍家定の御台所となる篤姫の婚姻の支度の取り仕切り一切を任される傍ら、斉彬の手足として第13代将軍家定亡き後の一橋慶喜擁立に向けての画策に江戸並びに京都を東奔西走します。

その画策は阿部正弘の死後泡沫に帰してしまいます。 大老となった井伊直弼によってちゃぶ台返しを喰らわされ14代将軍は徳川慶福(家茂)に決着します。将軍継嗣問題の政争の最中、島津斉彬も死去し、西郷隆盛は悲しむ暇もなく、吹き荒れる安政の大獄の魔手に追い詰められることになるのです。

そこから先の話は「中巻」を読むことにしましょう。 自然の美しい奄美大島を舞台に西郷と愛加那の恋物語が展開されそうな予感です。 激動の幕末から明治の時代を駆け抜けた西郷の生涯に天が与えたひとときの休息の時間が奄美大島蟄居だったのかもしれませんね。

by zoompac | 2017-11-20 07:11 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「町工場の娘」 諏訪貴子_やるき、元気、勇気の出る本!

f0090954_05295421.jpg東京大田区で町工場を営む家の次女として生まれ、32歳の時に突然、主婦から先代の後を継ぐことになった女性経営者の奮闘手記です。

父が急逝し、突然社長の座を継ぐことになった娘は、経営者の孤独感をなかなか受け止められなくて心が折れそうになったといいます。 その彼女を救ったのがシェイクスピアの次の言葉でした。

「世の中には幸も不幸もない。ただ、考え方次第だ。」

ハムレット 第2幕第2場の「Nothing either good or bad, but thinking makes it so.」の邦訳文です。

経営を引き継いですぐ、取引銀行から合併を勧められたのを断って・・・という下りは、TBS日曜ドラマの「陸王」を彷彿させましたが、新米女社長の強気は、並みの工場と違って、ゲージや治工具など精密金属工業の分野で国内随一の技術を誇る中小企業であったからだと納得させられます。

そこには娘の父親が残した会社と27人の従業員に対する揺るがない信頼がありました。

最低必要なリストラは敢行しますが、2004年から合併無しに会社の再建を成し遂げ、2008年のリーマン危機も乗り切った10年の軌跡(奇跡?)が手記のような体裁で平易に書き綴られています。

成蹊大の工学部で学んだ論理的思考や一時腰掛で自社で働いた経験、主婦として子育てに目途が立った頃結婚式場の司会として働いた経験等が丸ごと、彼女の社長業には活きていました。 人生、無駄なことは1つもないというのも彼女の信条の1つです。

悪口会議や大阪弁の日等ユニークなコミュニケーション活性化策や、社長と従業員のベクトル合わせに必要だからと経営方針をSWOT分析などを取り入れて説明したりと八面六臂の活躍です。リーマンショック後仕事が暇になったときの対応策も奇想天外なものが披露されています。

座学ではなく、局面局面に応じて柔らかでしなやかな対応で乗り切っていく究極の危機管理の手腕が見事です。  ”やる気”、”元気”、(米倉涼子のCMでは”歯茎~っ!”と続きますが・・・)”勇気”の出る本でした。

11月24日金曜日の夜10時からのNHKドラマ「マチ工場のオンナ」(主演内山理名)の原作です。

by zoompac | 2017-11-07 05:33 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「翔ぶが如く(2)」司馬遼太郎_西郷の下野のきっかけとなったいわゆる征韓論政変について

f0090954_07182932.jpg西郷隆盛が唱えていたのは、正確には「征韓論」ではなく「遣韓論」です。

明治維新後の日本は、財政難等からくる朝鮮通信使を通じての交流が1800年初期に途絶えた朝鮮に、対馬藩を介して新政府発足の通告をし国交を望む意思表示を行いましたが、日本の外交文書が江戸時代の形式と異なること等を理由に朝鮮側に拒否されました。参議であった板垣退助(昔の100円札)は閣議において居留民保護を理由に派兵を主張する一方、西郷隆盛は派兵に反対し、自身が大使として赴くと主張したのです。

西南の役での西郷隆盛の死後、板垣退助らの自由民権運動の中で、板垣の推進していた征韓論は西郷の主張として流布され、板垣ではなく西郷が征韓論の首魁として定着したようです。死人に口なしですね。

西郷の主張は、欧米列強の侵略を防ぐには、朝鮮を開国させて日韓協調することが不可欠ではあるが、そのためには武力行使も辞さずという前に、自ら武装ではなく礼装で遣韓させて欲しいというものでした。

朝鮮との直談判で説得する自信があったのではないでしょうか。彼の恩師である島津斉彬も「西欧諸国のアジアへの侵攻に対しては技術の発展と(アジア)諸国との連携によって制するべきだ」との思想を抱いており、斉彬に師事していた西郷はこの近隣アジア諸国と手を携えて特に南下意識の強いロシアにあたろうとしていたのではなかったかと思われます。

西郷が遣韓を強く希望したときに付け加えた一言があります。「万一、自分が殺されたら、そのときは武力行使に踏み切っても道義が通る」というものです。これが独り歩きして、西南の役での西郷の死後、征韓論の親玉に仕立て上げられてしまったような気がします。 また根強い西郷の自殺願望説もこの付け足しの言葉に依拠しているようです。

司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く(2)」にも、西郷の自殺願望が次のように書かれていました。

「西郷がこの一件(征韓論あるいは遣韓論)に固執しているのは、死にたいがためであった。かれは島津久光から、不忠ものとか、安禄山であるとか、島津家にとって毒物であったとかいうふうに罵倒されていることに耐え切れず、このため生きて新政府の栄誉を受けているよりも、すでに歴史的役割をはたしたこの体を韓京において殺してしまいたいという願望に取りつかれ、その願望が、彼の考えている国家の大政策と彼の論理では見事に結びつく以上、渡韓についても、それに伴う死についても熱情たらざるをえなかった。すでに彼は死に向かって乗り出していた。死に向かって乗り出している者が、政治工作の片々たる小細工を思い立つはずがなかった。西郷はすでに政治家というより行者の心境になっていたであろう。」

小細工をしない「西郷」に対して、「征韓」反対派はあの手この手で阻止を企てます。いったんは、1873年の8月に西郷隆盛を使節として派遣することを決定したにもかかわらずです。その決定には付帯条件がついていました、欧米へ視察旅行に出かけている岩倉具視右大臣が帰朝した後正式に奏上手続をとるといったものでした。

その西郷の渡韓の実現阻止に暗躍した黒幕は、西郷からすれば小僧として歯牙にもかけなかった伊藤博文(1万円札)でした。この伊藤博文の獅子奮迅の働きも、司馬遼太郎氏は、「翔ぶが如く(2)」で丁寧に描かれています。

結果的には、欧米への使節団(岩倉具視特命全権大使、以下参議・木戸孝允や大蔵卿・大久保利通、工部大輔・伊藤博文らが1年10ヶ月に渡って遊学した)が日本を離れたとき、留守を託された三条実美左大臣が、西郷の圧力に屈しそうになりながらしぶとくつけた付帯条件が効きました。その付帯条件を逆手にとって、ちゃぶ台返しをやったのです。 

博徒の親分のような岩倉具視(昔の500円札)の意見が明治天皇に容れられ、遣韓中止が正式に決定されます。

その結果、西郷や板垣らの征韓派は一斉に下野しました。この問題が後にこの新生国家を真っ二つに割って内乱の砲火のなかに叩き込むほどの凄惨な問題をはらんでいたことを知っているのは我々読者のみです。

語り部「司馬遼太郎の名調子の言葉に揺蕩うように酔いしれる時間を楽しみたいと思います。

by zoompac | 2017-10-29 07:18 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「石つぶて」 清武英利_石ころも石礫となる涜職刑事たちの活躍

f0090954_05453912.jpg11月5日日曜日の夜10時スタート全8話のWOWOWTVドラマの原作です。

主役の警視庁二課の情報係の偏屈な刑事に佐藤浩市、その上司の情報係の係長には同じ清武英利の原作「しんがり」のWOWOWドラマの主役を演じた江口洋介です。

原作「石つぶて」はノンフィクションで、2001年に発覚した元外務省ノンキャリア官僚で、外務省要人外国訪問支援室長だった松尾克俊が詐欺罪で逮捕された事件を扱ったものです。 警視庁二課が立件した金額は5億円に及びましたが、消えたお金は10億円を超える中、ノンキャリアの松尾がトカゲのしっぽ切りのように逮捕されただけで、事件はキャリア官僚にまで及ばず打ち切られてしまいました。

ドラマではこのノンキャリア官僚・松尾克俊を北村一輝が演じます。ドラマでは実名の松尾ではなく、間瀬和則という名が使われています。

1997年3月に週刊ポストに、「外務省に機密費を流用している官僚がいる」と報じられます。

その後、鈴木宗男に警察幹部から「九州沖縄サミットの経理を調べたら億単位の金を着服しているらしい。外務省が自主的に処分したら刑事事件にしない。」との情報が入ります。これを鈴木宗男から聞いた佐藤優は齋木昭隆人事課長に報告し、鈴木宗男も阿部知之官房長に電話する等の緊迫した内輪話も原作に紹介されていました。

2001年1月1日、読売新聞一面で、機密費流用疑惑が報道され、松尾は懲戒免職となります。 そして3月10日、遂に首相外遊の宿泊費を水増しし内閣官房機密費約4200万円を詐取したとして松尾克俊が逮捕されました。 そして2002年3月12日、東京地方裁判所で懲役7年6ヶ月(求刑10年)の実刑判決が下され、立件された被害額は約4億8千万円のうち3億円を自己弁済したそうです。

2001年~2002年頃と言えば、小泉政権が誕生し、田中真紀子女史が外務大臣に就任した頃です。日本外交が迷走し、外務省内部の権力闘争が「仁義なき戦い」の様相を呈したあたりの暴露も期待したのですが、そこまでには至っていませんでした。

彼女も外務省を「伏魔殿」と呼んで、外務省・外務官僚の閉鎖的な様子を鋭く表現し、外務省機密費流用事件や自身の進めようとした外務省改革・人事問題で外務省と対立していましたのでまんざら無関係でもなかったのですけどね。

いずれにせよ、以上が、外務省機密費流用事件のあらましです。題名の「石つぶて」の意味として次のような解説が付け加えられていました。

”石つぶて”、それは、ひとつひとつは小さな石ころでも、投げ続ければ敵陣に傷跡を残す。 確かな武器となる。」

この事件立件に大いなる貢献を果たした刑事たちは、表彰されたものの、その後には左遷という理不尽な扱いが待っていました。 官僚集団同士の遠慮とか政治の圧力とかがあって、名もなき刑事たちは石ころのように脇に追いやられてしまいました。

職を涜す(けがす)公務員を社会の敵としてあたりまえに追い詰めて、国家のタブーにまで挑んだ名もなき刑事たちの物語でした。

by zoompac | 2017-10-27 05:51 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「ゲームの王国」、クメール・ルージュの大虐殺が吹き荒れる1975年以降のカンボジアをたくましく生きる少年少女の不思議な物語!

f0090954_08062325.jpgポルポト率いるクメール・ルージュが政権を奪取したのが1975年4月17日で、その後4年間に渡って虐殺されたカンボジア人は100万人を超えると言われています。

クメール・ルージュ政権擁立時点で農村での食糧生産はすでに大打撃を受けており、こうした事態のなか食糧増産を図る為、プノンペンなど大都市住民、資本家、技術者、知識人など知識階級から一切の財産・身分を剥奪し、農村に強制移住させ農業に従事させました。

このあたりの事情は、映画「キリング・フィールド」という1984年の英国映画でアカデミー賞3部門(助演男優、撮影、編集)に輝いた実話に基づく映画に生々しく描かれています。

クメール・ルージュの政策は極端で、原始共産制社会を理想とする極端な重農政策を強行したのです。

学校、病院および工場も閉鎖し、銀行業務どころか貨幣そのものを廃止し、宗教を禁止し、一切の私財を没収しました。 さらに一切の近代科学も否定され、移住させられた人々は、「集団農場」で農業に従事させられる一方、知識人階級は「反乱を起こす可能性がある」とされ次々に殺害されました。

疑念が疑念を呼び、またチクリや告げ口等も奨励され、親から引き離された子供達が親世代を監視する異様な世界も映画「キリング・フィールド」に描かれていました。 子供たちによってベトナム派や反乱の可能性を疑われ摘発されたクメール・ルージュ内の人間も殺されていきます。 さらに悲惨なことに革命が成功したことを知り、国の発展のためにと海外から帰国した留学生や資本家も殺されました。f0090954_08202763.jpg

戦争で国内が疲弊し海外からの食糧援助がすべて打ち切られた状態の中、クメール・ルージュはソ連やベトナムとも断交します。

カンボジアからの避難民が一斉にベトナムに逃げ込んだことから、国境付近でカンボジアとベトナムが小競り合いとなります。 その地域紛争が2国の全面戦争となりましたが、ベトナム戦争が終わったばかりで南北統一を果たしたベトナムの軍隊は武器も最新、兵も精鋭で内部紛争で脆弱となっていたクメール・ルージュの敵ではありませんでした。 抵抗を難なく排し、驚異的な進軍速度でカンボジア領内を進み、わずか半月でプノンペンを堕とし、1979年1月7日にポル・ポト政権は放逐されてしまいました。

この小説は、そうした1975年のカンボジアを舞台にした小説です。 ポル・ポト政権前の秘密警察の暗躍、クメール・ルージュの恐怖政治、テロ、人々が特別な理由もなく殺されていく不条理な様子は描かれていますが、政治的背景が書き込まれているわけではありません。 その理不尽な世界もある種のゲームのように捉えてそのゲームの制限条件をクリヤしながら生き残りをかける少年(ムイタック)と少女(ソリヤ)の物語になっていました。

輪ゴムと会話ができ輪ゴムが切れることで殺される人数が読める「輪ゴム」と言われる男、13年しゃべらないことで人を魅了する美しい声を得た男、泥と会話ができる男、綱引きチャンピオン等異能を持つキャラクター達が独特の世界観を創ってくれています。

ちなみに、主人公のムイタック少年は恐るべき知力を持つ潔癖症(手洗いを何度も行う)の変人で、もう一人の主人公ソリヤはポル・ポトの落し児との噂をもつ聡明で美しい娘です。 人の心理を読め、嘘を見抜く力を持っていますので、ゲームに関しては負け知らずのムイタックもソリヤだけにはかないません。

書評家「大森望」の言葉を借りるなら、「カンボジアもポル・ポトも関係ない。これは運命に結ばれた少年と少女の(ボーイ・ミーツ・ガール)の物語。めちゃめちゃに面白くて、どうしょうもなく切ない。 空恐ろしいほどの傑作」だそうです。

f0090954_08210696.jpg下巻をまだ読んでいないのでそこまでの傑作という実感は持っていませんが、誇大宣伝乱発気味(あくまで私の個人的な経験からの評価)の大森望の書評を3割程度割り引いても、下巻を早く読みたいと思わされるほどには傑作です。

ちなみに、書評家「小谷真理」は、「クメール・ルージュ時代と生き残った人々の近未来社会を舞台にした二部構成。 前半はドキュメンタリー風、後半は脳科学やゲーム理論を駆使した文明批評的解釈。」と書いています。カンボジア大虐殺の謎に迫る物語であること、闇の彼方の希望が垣間見えるところに救いがあること等も付け加えられていました。

個人的には、2011年10月から3ヶ月過ごしたカンボジアです。 この小説をきっかけにもう一度 「キリング・フィールド」のDVDを観ようかなと思っていましたら、なんとアンジェリーナ・ジョリーが監督として「キリング・フィールド」と同じようなテーマを扱った「最初に父が殺された」という映画を作っていたそうです。 第90回アカデミー賞外国映画賞に向けカンボジア映画として出品するとか。 今年の9月15日からネットフィリックスで配信されているということですが、そのうち映画館で見る機会があれば是非観たいと思っています。


by zoompac | 2017-10-22 08:21 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

船場言葉について、山崎豊子の「花のれん」と「女の勲章」より

f0090954_05203130.jpg大阪の船場といえば、北の東西を流れる土佐堀川、南北に二本流れる東横堀川と西横堀川、そして南は東西に流れる長堀川に囲まれた一帯の商家街でした。土佐堀川は今も堂島川と中ノ島を挟んだ淀川の支流ですし、東横堀川は今でも大阪城の外堀として残っています。 しかし、長堀川と西横堀川は埋め立てられてしまいました。

NHKの連続ドラマで「わろてんか」で「お笑い天国」吉本興業創業者の吉本せいをモデルとしたドラマが放映されていますが、実は1966年にも1年に渡って吉本せいをモデルとしたドラマがNHKで放映され、同年映画化にもなりました。 山崎豊子の直木賞受賞作「花のれん」が原作で、テレビも映画も船場を流れる東西の川を総称した「横堀川」でした。吉本せいをモデルとした主人公多加には、映画は倍賞千恵子、ドラマは南田洋子でした。

最近、その原作である「花のれん」を読みましたが、解説で山本健吉が面白いことを言っていました。 大阪弁は商業語、商人言葉として驚くほど複雑豊富なニュアンスを持っている一方、ラブシーンの会話には不向きだというのです。

確かに大阪弁にはそのような感じは否めません。 ただ、厳密に言うと、大阪弁と船場言葉は別の言葉ですね。 船場言葉には、昔、御所御用達の老舗が多かったことから、明らかに京都の御所言葉が入り込んでいます。 語尾の「おます」とか「だす」がそれです。 普通の大阪弁で「見なはれ」というところを「見ておみやす」と持って回った言い方をするのもその名残です。

嫉妬(しっと)のことを「へんにし」と言ったり、お尻のことを「おいど」、「おしゃれ」のことを「やつし」と言って、「あの人やつしでおますなあ」というのもたぶん船場言葉でしょう。 はっさいという言葉もあります。小利口で浮気っぽい蓮っ葉な女という意味ではっさいな女(おなご)と言います。

「わろてんか」の主人公もてんごの「てんちゃん」って呼ばれていますね。 このてんごも京言葉の名残がありますが、大阪でも普通にいたずらとか悪さの意味で使われます。 船場風に言うと京言葉と同様なニュアンスになりますね。「そないなてんごしんといておくれやす~ぅ!」でしょうか?

「花のれん」でも多加が船場言葉を駆使して寄席小屋や果ては通天閣まで値切って買う交渉事のシーンが満載ですが、私は「女の勲章」で洋裁学校の銀四郎が、自分と別れたがっている主人公の式子とのせめぎ合いの会話が強烈な印象に残っています。 女との関係も船場言葉ではそろばん勘定の話にドライに置き換わるところが凄いです。

「先生(式子)の最もお嫌いな銭(ぜに)の話になって恐縮だすが、式子さんは今や僕のかけがいのない財産でっさかい、簡単に譲れまへん、勘定の合う清算をしてもらわん限り、きれいに引っ込めまへんから、先生もそのおつもりで、お考えをしておくれやす。」

「月謝収入だけでも1ヶ月270万円の水揚げをする京阪神一の大きな学校に仕上げたのは、式子さんの力でっか、そうやおまへんでっしゃろ、それだけにそんなはした金の分け前では引き下がれまへんわ」

あざといいやらしい会話ですが、標準語ではとてもここまでさらりとはいかんでしょうね。 「でっか」で問いかけ、「でっしゃろ」で断定し、柔らかく持って回わりながら理詰めで相手に畳みかけていくのにこの船場の商人言葉は最強の力を発揮しています。

ラブシーンには、しかし、このような理詰めのそろばん勘定はそぐわないですね。 非日常の感情に日常の下世話言葉は不要だということでしょう。

さて、最後に「花のれん」の解説で山本健吉氏が紹介していた船場言葉による主人公多加の虚々実々の商談会話の抜き書きを紹介いたしましょう。

「ところで、お多加はん、今度はちょっと高うおまっせえ」

「いきなり女なぶりは、きつうおます、なんし、後家の細腕一本でっさかい、気張って、まけておくれやす」

「後家はん云うたかて、あんたはたいした後家や、女や思うて甘うみてるうちに、ちゃんとした一本立ちの座主になって、こうしてわいにも買いに出てはる。 わいも寄席(こや)を手離すからには、もう歳だすし、あとは貸家業でもして楽隠居する気やさかい、まとまった銭を握らして貰いまっさ」

「まあ、そない、気忙しゅう切り出しはって、フ、フ・・・・」

「いや、この勘定次第で、酒の味まで違うて来まっさかいな」

「あんたも、なかなかしぶとい女(おなご)はんや、色気が無うても、顔にちゃんと金気が出てる。さあ、この辺が、もう、取引のきりだっせえ」

「ほんなら、2万1千円で手をうちまひょ、その代わり銀行で借りる金でっさかい、3回割払いということにしておくなはれ」

「それもあかん云うたら、親子ほど年の違う女の尻(けつ)の穴までしゃぶりよったということになるやろ、お多加はん、あんたはえらい女の大阪商人や、値切られへん思うたら、せめて銀行利子だけでも浮かしたろいう根性やな、よっしゃ色つけて3回払いにしまひょ」

「おおきに、金沢亭を譲って貰うたうえに、女の大阪商人やとまでいうて戴いたら、わてなりののれんを、この寄席(こや)に捧げさしてもらいます」

商業弁としての大阪弁、いや船場言葉の妙味を発揮した会話ですね。どちらも単刀直入に言いながら、真剣勝負をしているて迫力ももちながら、言葉の上では円滑に交渉が進行していることがわかります。船場言葉の柔らかさの中にゼニ勘定の欲得の剣が包まれていて、しれっと言いにくいことを波風たてずに言い切ってしまう交渉ごとに向いた言葉だということがよくわかります。

by zoompac | 2017-10-16 05:21 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

NHK大河ドラマ「西郷どん(せごどん)」の原作本は林真理子の著作

f0090954_07162094.jpg司馬遼太郎氏が「翔ぶが如く」の中で、「西郷のような、いわば存在することによってすでに世間的威力をもつという男は、その実態が何ものかということがわかりにくく、あるいは斧をふりあげて断ち割ってもなにも出てこないかもしれない。」と言っていました。

以前、この十巻本を読み終わったとき、西郷隆盛は明治維新後の不満分子をまとめて悲劇的な集団自殺の渦に自ら先頭に立って巻き落としていったという印象を持ちました。

司馬遼太郎氏は、やはり「翔ぶが如く」の何処かで、西郷の人間の度量があまりにも大きすぎて接する人との度量が違いすぎるため誤解を受けやすかったのではないか、そこに西郷の悲劇性があったのではないかと推量していました。

とにかく、立場の違いで、恐れられたり、とてつもなく慕われたり、極端に二分される人物でした。 島津久光は西郷のことを「安禄山」と呼び、大村益次郎も「足利尊氏」の再来のように警戒していました。

司馬遼太郎氏は、「関ケ原」でも登場人物の一人一人の関ケ原へ向けての準備、巻き込まれていくストーリーを縫い込むように描きあげて大曼荼羅模様の絵巻物のように物語を築き上げてくれましたが、この「翔ぶが如く」でもその手法は活かされています。

まずは、西郷隆盛の征韓論を軸に、三条実美、岩倉具視、大木喬任、土方久元、西郷従道、山県有朋、大村益次郎、川路利良、篠原冬一郎(国基)、村田経芳、大山巌、大隈重信、木戸孝允、大久保利通、桐野利秋、島津久光、森有礼等、明治が生んだ綺羅星のような人物群の1人1人を語り、彼らと西郷の関り、彼らが西郷をどのように感じ、どのように評しているかを細かく書き込んでいます。

司馬氏は「翔ぶが如く」の中で、氏なりの西郷隆盛像を描き切ってくれたように思います。 筆は行きつ戻りつのあら彫りのノミのように使って難行苦行の末に産み出した作品だと思います。

最近参加した、縄田一男氏と伊東潤氏のトークショーでも、西郷隆盛像を彼自身を主人公にして描くことの難しさを伊東氏が述べていました。伊東潤氏は、村田新八の目線でとらえた西郷隆盛像を「武士の碑」、日本の警察機構の創始者川路利良の視点から描いた西郷隆盛像を「走狗」で、そして最新刊「西郷の首」では加賀藩の二人の藩士の生きざまから西郷隆盛の人となりを描いたと語ってくれました。伊東潤氏は彼なりの西郷隆盛像の解釈をこの三冊を通してそのそれぞれの切り口で描き切ったと言っていました。

さすが元外資系のコンサルティング会社?勤務の経験者ですね。 弁舌爽やかにさりげなく自著の宣伝をされていました。

縄田一男氏は、伊東潤氏の「西郷の首」を評して「完敗した、評論家の首を賭けるに足る傑作だ!」と剽軽なことをおっしゃっていましたが、実のところ氏の口は重く、会場の空気を凍らせるほどの雰囲気を持った方でした。鹿児島出身かと(イメージは「北海の氷山」と言われた大久保利通)思って調べたら東京生まれのちゃきちゃきの江戸っ子さんでした。これまたご愛嬌でしたね。f0090954_07170112.jpg

実は、NHK大河「西郷(せご)どん」の原作を林真理子さんが書いているということを知ったのもこのトークショーでした。 角川出版の「西郷どん(せごどん)3巻本」で、1巻が11月1日の発売予定です。 恥ずかしながら、私はその日まで、原作は漫画の「せごどん」とばかり思っていました。

林真理子氏の著作は、浅丘ルリ子のことを書いた「RURIKO」が印象的でした。 林氏の描く西郷隆盛像はどのような絵柄になるのか楽しみです。

宣伝文句には、「なんという目をした男だ――。吉之助の目を見た者は、誰もがそう呟いた。下級武士の家に生まれた西郷吉之助は、貧しいながらも家族や友に恵まれて育つ。のちに大久保利通となる正助とは、素読をし、相撲をとる郷中仲間だ。藩主・島津斉彬の雄姿を間近に見た吉之助は、いつの日かこのお方にお仕えしたいと焦がれるようになる。時は幕末。夢かない斉彬のお側仕えとなった吉之助は、名君と心を一にし、江戸に京都に飛び回るようになる。激動の青春編!」とありました。

「2018年大河ドラマ原作小説! まったく新しい西郷隆盛の誕生!」とも付されています。

新しい西郷隆盛が、鈴木亮平によって演じられるとなると、重さがなくなって爽やかな風のような優しいイメージしか浮かばないのですが、林真理子の原作と共に、どのような西郷隆盛が飛び出してくるのか楽しみにしたいと思っています。

伊東潤氏の三部作もとりあえず購入しました。只今、「翔ぶが如く2巻」を再読中。今年の残り三ヶ月と来年は「西郷隆盛」一色の読書に染まりそうです。


by zoompac | 2017-10-14 07:17 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書「失敗の本質_日本軍の組織論的研究」_ユリノミクスの負けない組織のための指南書?

f0090954_07281735.jpg1年前の事ですが、築地市場の豊洲移転問題などで対応に追われる東京都の小池知事が、記者会見で、「都庁は負けるわけにはいかない」としながら取り上げた「座右の書」がありました。

「失敗の本質――日本軍の組織論的研究」戸部良一他(中公文庫)です。

「失敗の本質_日本軍の組織論的研究」は、日本は太平洋戦争になぜ敗北したのか、何が間違っていたのかについて、戦局に大きく影響したノモンハン事件、ミッドウェーミッドウェー海戦、ガダルカナル、インパール作戦、レイテ作戦、沖縄戦の六つの事例を取り上げ、これらに共通する失敗の要因を軍事の専門家ではなく外交史や組織論を専門とする学者達が冷静かつ客観的に分析した本です。

中央公論新社の販売企画部も、小池氏のインタビューに後押しされて、戦争本ではなく、ビジネス書として販売促進をしたことで売上を大きく伸ばすことに成功したと言っていました。

そもそも軍隊はすべての組織の代表ともいえる象徴的な機関です。 有事の究極である戦争に対応していかなくてはなりません。 この本を読むと日本軍がこの有事対応において如何にお粗末だったかということがわかります。 例えば陸軍と海軍の間で情報共有が図られていなかったこと等もその典型でしょう。平時の縄張り意識が有事においても解かれることがなかったようです。

遠因を探せば逆説的ですが、日露戦争での日本の勝利があったと思われます。 そのときの勝利のパターンを研究し尽くしてその過去の勝利の方程式から解き放たれることができなかったということです。

そして、アメリカやソ連、イギリスは第一次世界大戦を経験し、武器・弾薬・情報探知等に関する技術の最先端を走っていたのに対して、第一次大戦の経験のない日本は特に情報探知の技術では大きく遅れていました。

「根拠なき楽観主義」のようなものに支配されて戦争に突き進んでいった過程もこの本で明らかにされていました。

極端な精神主義に傾倒することで敵の戦力等を客観的に事実として把握することを阻む結果になっていました。精神主義から始まった戦争はその呪縛から解放されることなく、何度も同じ過ちを繰り返していくことになったのです。

「日本は追い詰められると戦略的思考ができなくなる国」だと小池氏は感想を述べられていたようですが、私は、追い詰められなくても、要するに平時も有事も戦略的思考が苦手な国民だと感じています。

戦略というより目先の打算を巡っての戦術というか駆け引きって感じが否めませんが、そういう点(戦略とか戦術)では、勝負勘に優れた(と思われる)安倍総理と小池都知事の解散総選挙に向けての丁々発止のやり取りが面白いですね。

モリカケ問題を卑小化し国家運営の実績を前面に出して博打を打った安倍さんの剛腕も凄いですが、小池氏の素早い対応にも驚かされました。

それにしても短期間で実績の安倍を選ぶか、希望という旗印の下小池に期待を託すのかの選択を国民は迫られます。

誇れる実績がない小池さんに国策運営失敗の印象が払拭しきれていない民進党が付いても安倍政権は揺らがないとは思うのですが、安倍剛腕に対する批判票はある程度集めそうですね。 したたかな小池氏もそのあたりは見切っているのではないでしょうか。

この「失敗の本質_日本軍の組織論的研究」について、アマゾンに感想を書込みをしていらっしゃった方が面白いコメントをされていました。

また聞きのまた聞きという感じで、どこまでが書いた方のコメントか曖昧なのですが(私はほぼ佐藤優氏の意見だと解していますが)、切り口が興味深いのでコピペさせてもらいます。

「伝聞によると小池都知事はこの本が愛読書だそうだ(佐藤優氏がラジオで言っていた)。
普通はこの本を読んで、こんな失敗はしてはいけないと考えるのだが、彼女はこれが日本人なのだから、皆を納得されるためには、この状態になるまで何もしないのが一番批判されないと考えるそうで、どうしようもなくなるまで決断をせずに引っ張るのが一番正しいと考えるそうだ。軍事上兵力の逐次投入は非難されるのが常識だが、逐次投入こそが日本では生き残るために必要という事で物事の成功や失敗はどうでも良い。自分さえ地位が保てればという事を読み取るという。つまり非難を浴びても損失を減らすために最善を尽くそうではなく、日本という組織の中で責任を取らされず生き残るためにはどうすべきか?という逆の意味での活用を考えるそうで。その意味では確かに並みの人ではないな。」

「失敗の本質_日本軍の組織論的研究」は、確かに人によって様々な捉え方のできる本でした。 外資系企業で働いた経験から、日本人が陥りやすい欠点もある程度習熟していたつもりですが、第二次世界大戦の事例研究でここまで典型的な戦略思考欠如の性向を突き詰められるとかえってすがすがしいですね。

そして、いまだ多くの不祥事問題で、敗戦時の原因とされる組織の論理や倫理がまかり通っていることが思い知らされました。

また、違った意味で、この本を愛読書としている小池百合子氏のユリノミクスならぬユリ(揺り)動かしパワーの程度を安倍(徳川)・小池(石田)の関ケ原戦で目撃したいです。

この本から「負けない組織」の要諦を掴んでいると思われるしたたかな小池氏がこの戦いで燃え尽きることはなく、ユリノミクスの第二の矢、第三の矢まで戦略として考えているならそれはそれで頼もしいです。

by zoompac | 2017-10-07 07:28 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「AX(アックス)」 伊坂幸太郎_家族思いの殺人者が振りかざした蟷螂の斧!

f0090954_05472974.jpgこの小説の題名は、AX(アックス)ではなく、ずばり「蟷螂の斧(とうろうのおの/Ax of mantis)」にした方が小説の内容にも沿っていてよかったのではないかと思います。

蟷螂とはかまきりのことで、斧に似た前脚を振り上げて自分より大きい敵に向かっていく様から、力のない者が、自分の実力もかえりみずに強い者に立ち向かうことのたとえに使われる言葉です。

兜とあだ名される殺し屋が、家庭では大変な恐妻家で、高校生の息子からもその点で同情を買っています。 兜は業界では名の売れた一流の殺し屋なのですが、そろそろ足を洗いたいと思っていました。

そうした中、殺しの斡旋を兜に注文していた表向き病院の医師から命を狙われることになります。簡単に足を洗わせるわけにはいかないということです。 逃亡すれば家族の命も狙われかねない状況で、兜の選んだ途は驚くべきものでした。

素直に読んでいくと心地よく話に誘導されて爽やかな読後感を得ることができます。

よくよく考えてみると、その物語での着地を決めるのに、偶然に任せている粗が見え隠れしていることに気づきます。

それが言葉の詐欺師といったら語弊がありそうなので、言葉の奇術師と言い換えておきますが、伊坂幸太郎の真骨頂だと思わされました。

殺人者と家族愛という、相いれない対極の二つの要素を上手く融合した作品を書いてくれました。

冒頭の蟷螂の斧の意味は、この小説のラストを読めば腑に落ちると思います。「 息子がドアを開けたらどうすんだよ~! 洒落にならんぞ~!」と私は突っ込みをいれたくなりましたが。


by zoompac | 2017-09-28 05:49 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)
RELEASE INFORMATION NEW ALBUM

[通常盤]「Now On Sale!!」
TOCP-66380/¥2,548(税込)

[DVD付 初回生産限定盤]
「Now On Sale!!」
TOCP-66381/¥3,500(税込)

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