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恵方巻を食べながら、NHKBS録画「北北西に進路を取れ」を観賞

f0090954_07291235.jpg昨日は節分でしたね。

今年の恵方巻を食べるときの方角は「北北西」だそうです。

テレビで司会者が、ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」ってイメージして覚えてくださいね~!とか言っていました。

原題は、「North by NorthWest」です。邦題の北北西という角度を表す意味ではNorth-NorthWest(NNW)とすべきです。 原題と映画の内容の関係が今一つピンときませんが、登場人物が利用した飛行機がノースウエスト航空の所有であり、この題名は「ノースウエスト航空で北へ」と解釈することもできるなんて、ますます困惑する説明まであるようです。この映画を作成するにあたってノースウエスト航空から多額の制作協力金の提供があったのかもしれませんね。

飛行機での移動シーンの記憶が薄く、主人公と謎の美人が出会う、寝台列車での移動シーンのほうがよほど印象に残っています。ラストも寝台列車でのシーンで締めくくっていましたしね。

この映画は“巻き込まれ型サスペンス”の元祖として有名で、ショーン・コネリー主演のジェームズ・ボンド007シリーズやこの「北北西に進路を取れ」と同じ主役のケーリー・グラントがオードリー・ヘップバーンと共演した「シャレード」等に大きな影響を与えました。

この「北北西」のラストは、ラシュモア山の岩肌に刻み込まれた米国の偉大な4人の大統領の顔の大彫刻を舞台にしたアクションシーンが印象的です。そしていきなり画面が切り替わって寝台車のベッドの上でソーンヒル(ケーリー・グラント)とケンドール(エヴァ・マリー・セイント、「波止場」(’54)でアカデミー女優賞)が抱き合うシーンで「完」となりますが、この幕切れシーンはショーン・コネリーの007シリーズですっかりおなじみとなりましたね。f0090954_07294344.jpg

007シリーズの原作者のイアン・フレミングも、ジェームズ・ボンドをケイリー・グラントをイメージして生み出したという話も有名です。

広告会社の重役のロジャー・ソーンヒルが、政府のスパイ機関がでっち上げた架空のスパイ「キャプラン」に間違えられて、誘拐されたり、命を狙われたりの巻き込まれ型サスペンスに、お決まりの謎の美人も登場して、尋常ならざるアルフレッド・ヒチコック監督がロマンの香り漂うスリリング・サスペンスに仕上げてくれた映画です。

節分の夜、恵方巻を食べながら、北北西は向かないながらも、「北北西に進路を取れ」鑑賞を楽しみました。

by zoompac | 2017-02-04 07:30 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

映画 「アラビアの女王 愛と宿命の日々」

f0090954_05582862.jpgドイツの巨匠ベルナー・ヘルツォーク監督のメガホンにより、「砂漠の女王」と呼ばれたイギリス人女性ガートルード・ベルの半生を、ニコール・キッドマン主演で描いた伝記ドラマです。 原題は「Queen of the Desert」です。

20世紀初頭、イギリス鉄鋼王の家庭に生まれ、オックスフォード大学を卒業したガートルード・ベル(1885~1960)は第一次世界大戦直後の中東政治、特にアラブ世界の再編に関与し、女ロレンスの異名を持ちます。

映画でもロレンス(トーマス・エドワード・ロレンス、Thomas Edward Lawrence、1888年8月16日 - 1935年5月19日)とベルの邂逅シーンがありますが、このときのベルはイギリスの高名な女性考古学者としての触れ込みでした。彼女はペルシア語、アラビア語に通じた語学の天才としても高名でしたが、このときのロレンスはまだ発掘現場での助手でした。

イギリスの上流階級の生活を捨て、アラビアへと渡ったベルは、大失恋の痛手を抱えながらイラン、ヨルダン、シリアなど約2500キロにもおよぶ旅を続け、各地の部族と交流を深めていきます。ベドウィンという遊牧民の部族長は野蛮ながら、詩の心を持ち、語学に堪能でなおかつペルシア文学や詩に精通した彼女を歓迎したのです。

そうした交流を通じて彼女は複雑に入り組む部族間の間で広く受け入れられ、やがてイラク建国の立役者として尽力することになりました。イラクの王様づくり、すなわちキングメーカーとして歴史に名を残すことになったのです。

映画では、ベルが三男ファイサル1世(王子)をイラク国王に、次男のアブドゥラ1世(王子)をヨルダン王に予言する下りがあって、実際そのようにカイロ・カンファレンスで選出されます。1921年、両国間に国境が引かれ、オスマン帝国支配からアラブの遊牧民ベドウィンが解放されたことへのベルの影響力がほのめかされていました。

歴史的な意味合いよりもベルの恋と愛と悲運と冒険に主軸を置いていました。

とにかくニコール・キッドマンの佇まい、存在感と演技力が全開の映画で、個人的には満足度の高い映画でした。 TVドラマ「ホームランド」で狂気の帰還兵を演じたダミアン・ルイスもベルの2回目の恋人役としていい味だしていましたよ。


by zoompac | 2017-01-31 05:58 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

映画 「ザ・コンサルタント」

f0090954_07523336.jpg御近所幼馴染で、出世作「グッドウィル・ハンティング」でも共演で親友役を演じた盟友マット・デイモンのジェイソン・ボーンシリーズ復活を横目にみながら、ベン・アフレックは「あ~、俺もああいう超人的な危険な男を演じたい」と思ったに違いありません。

指を銜えたままではありませんでした。 ベン・アフレックが、ゴルゴ13のような凄腕の殺し屋の顔を持つ謎の会計士という2つの顔を持つやや漫画チックなアンチ-・ヒーロー役でスクリーンに登場してくれました。 監督はギャビン・オコーナー。

イリノイ州シカゴ近郊の田舎町で小さな会計事務所を構える主人公クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)は、表では田舎の夫婦の税金相談に関わっていますが、実は裏社会での金の流れに熟知した会計コンサルタントだったのです。 原題はThe Accountant(会計士)です。

世界中の危険人物の裏帳簿を仕切り、年収10億円を稼ぎ出す命中率100%のスナイパーというもう一つの顔の持ち主だったのです。

彼が裏社会で長く生きながらえた陰に、高機能自閉症の少年時代に将来を心配した父親(軍人)からさまざまな特殊技能(格闘技や射撃等)を教え込まれていたというエピソードが回想シーンで紹介されます。 自閉症というより、映画「レインマン」でダスティン・ホフマンが演じたサヴァン症候群ですね。

ある日、大企業からの財務調査の依頼が舞い込みます。 15年もの会計帳簿を1日かけて読み解き重大な不正を見つけます。 このときのクリスチャン・ウルフの会計士としての仕事ぶりも印象深いです。そこに「マイレージ、マイライフ」のアナ・ケンドリック演じる女性会計士補ディナ・カミングも登場します。 彼女も数字オタクの変わり者で仕事を通じて次第に心を惹かれ合います。 自閉症の彼のその気持ちの表現の仕方がなかなかの演技です。

発見した不正を報告したところで、その依頼はなぜか一方的に打ち切られ、その日からウルフのみならずカミング嬢も何者かに命を狙われるようになります。

この何者かという設定はサスペンスとしてはしょぼいのですが、終わってみれば、クリスチャン・ウルフの弟や妹まで登場して、なあ~んだ、これは、シリーズ化するサヴァン症候群の天才会計士の顔をした危険な殺し屋の物語の序章だったんだぜ~!と合点がいきます。

「セッション」のJ・K・シモンズが、財務省犯罪捜査部のトップとして怖い中にも弱くて優しさのある人物を好演していたのもちょっと笑えました。

この作品、好き嫌いに二分される気がしますが、私は好きです。 サヴァン症候群で超人的な殺傷力をもつ危険な人物といえば、そうです、「ミレニアム」の超危険な女主人公リスベット・サランデルを彷彿させますね。

そのうち、冗談でいいから、番外編で、クリスチャン・ウルフとジェイソン・ボーンも闘って欲しいな! スーパーマン対バットマンのパロディみたいな。

by zoompac | 2017-01-28 07:53 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

2016年映画の総括、私のベストスリー

公開映画、NHKBS、WOWOW、TsutayaDVD等で年間109本の映画を観ました。

公開映画のベスト3は、1位「ブルックリン」、2位「この世界の片隅に」、3位は「スポットライト 世紀のスクープ」です。 「ハドソン川の奇跡」と「マネーショート」もずいぶん迷ったのですが、とりあえず両作品とも次点の4位としておきます。

「ブルックリン」を観て、興味が湧いて、司馬遼太郎氏の「アメリカ素描」とか「街道をゆく ニューヨーク散歩」を読んで移民大国アメリカについて多くを学ばさせてもらいました。 「アメリカ素描」の影響で、「怒りの葡萄」の映画も観ましたし、その時代背景も学べました。 主人公を演じたシアーシャ・ローナンにも興味が湧き、彼女が子役として出演した「ハンナ」や「つぐない」も観ました。そうした諸々の影響力の大きさを考えて、ことしの私にとってのベスト映画はこの「ブルックリン」でした。大きな客船に乗って大西洋を渡る航海での主人公の期待と不安は、山口県の田舎から大学生活を送るため、大阪に上ってくるときの私の経験した期待と不安に共鳴しました。

「この世界の片隅に」は、のん(能年玲奈)の広島弁にぐさっときました。 広島弁で感動したのは、仁義なき戦いシリーズの小林旭以来です(菅原文太の広島弁はさほど印象に残っていません)。 そういえば、年末に見た「聖の青春」という映画で松山ケンイチが演じた棋士村山聖も広島出身でした。「牛丼は吉野家じゃな~と、いけんので」「ほーなんか」「ほーなんじゃ」という語り口でしたでしょうか妙に耳に残っています。 戦時下に広島から呉に嫁いだ主人公すず(声:のん)のひたむきな生き様に強い感動をおぼえました。

「スポットライト 世紀のスクープ」を観ると、カトリック教会って中世からやることなすことろくなもんじゃないなと強い怒りをおぼえます。 そんな牙城にジャーナリストとしての矜持を持ち、おかしいことはおかしいと言い切ったその勇気に拍手喝采です。 レイチェル・マクアダムスが恰好よかったですね。

録画映画では、デビッド・リーン監督の 「アラビアのロレンス」や「ドクトル・ジバゴ」がよかったです。壮大なスケールと歴史を感じさせてくれる映画でした。 「怒りの葡萄」という映画もアメリカの歴史を考える上で衝撃を受けた作品でした。

2016年は、160307「サウルの息子」、160507「アイヒマンショー」、160509「パリは燃えているか」(WOWOW録画)、160522「ハンナ・アーレント」(WOWOW録画)、160610 「ブラジルから来た少年」WOWOW、160611 「オデッサ・ファイル」NHKBS、160713 「帰ってきたヒトラー」、160820 TsutayaDVD「フランス組曲」と、ヒトラー、ナチス残党、ドイツのフランス占領に関わる映画作品を8本観ました。

一昨年の2015年が戦後60年ということで、いろいろヒトラー関連の映画を観ていたように記憶しています。その流れだったかもしれません。

邦画では、160514「駅 Station」(WOWOW録画)も印象に残っています。2016年に廃駅となった留萌線の増毛駅がロケ地でした。倍賞千恵子が一人で切り盛りする居酒屋の大晦日に高倉健が訪れ、TVの紅白歌合戦で八代亜紀が歌う「舟唄」が妙に日本人の郷愁を掻き立てる、そんな映画でした。
「飢餓海峡」も時代性があってよかったです。 左幸子が演じた女性が可哀そうでした。

1月(11本)
160109- NHKBS映画 「素晴らしき哉、人生」
160111- 映画 「ブリッジ・オブ・スパイ」
160112- 映画 「アンジェリカの微笑み」
160113- 映画 「独裁者と小さな孫」
160114- 映画 「海難1890」
160115- 映画 「杉原千畝 スギハラチウネ」
160119- 映画 「消えた声がその名を呼ぶ」
160121- 映画 「クリード チャンプを継ぐ男」
160122- 映画 「パディントン」
160126- 映画 「白鯨との闘い」
160131- NHKBS映画 「グレン・ミラー物語」

2月(10本)
160204 「死刑台のエレベーター」
160206 WOWOW映画「第三の男」
160208 NHKBS映画 「めまい」
160212 「オデッセイ」
160214 「キャロル」
160216 「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」
160221 「オリエント急行殺人事件」
160222 「スティーブ・ジョブズ」
160223 「ディ「ディーパンの闘い」
160224 「俳優 亀岡拓次」

3月(7本)
160307「サウルの息子」
160309「虹蛇と眠る女」
160321「マネー・ショート 華麗なる大逆転」
160324「マリーゴールドホテル 幸せへの第二章」
160325「クーパー家の晩餐会」
160326「エヴェレスト 神々の山嶺」
160330「リリーのすべて」

4月(8本)
160409 孫君達と観た2016年春の映画、ドラえもんと仮面ライダー
160410「ルーム」
160412「家族はつらいよ」
160413「さざなみ」
160414 Tsutaya DVD映画「心の旅路」
160417「スポットライト 世紀のスクープ」
160421 Tsutaya DVD映画「戦場にかける橋」
160422 Tsutaya DVD映画「ハバナ」

5月(18本)
160504「レヴェナント」
160505「旅情」(新午前十時の映画祭)
160506「黄昏(たそがれ)」(WOWOW録画)
160507「アイヒマンショー」
160508「十二人の怒れる男」(WOWOW録画)
160509「パリは燃えているか」(WOWOW録画)
160511「ズートピア」
160512「薔薇の名前」(WOWOW録画)
160514「駅 Station」(WOWOW録画)
160515「セント オブ ウーマン 夢の香り」(WOWOW録画)
160516「アゲイン 28年目の甲子園」(WOWOW録画)
160517「女系家族」(WOWOW録画)
160520「アラビアのロレンス」(NHKBS録画映画)
160521「ドクトル・ジバゴ」(WOWOW録画)
160522「ハンナ・アーレント」(WOWOW録画)
160526「ちはやふる」
160528「海よりもまだ深く」
160529「64 前編」

6月(11本)
160606 「ベスト・フレンズ・ウェディング」WOWOW
160607 「マイ・フェア・レディ」午前十時の映画祭@TOHOシネマズ日本橋
160610 「ブラジルから来た少年」WOWOW
160611 「オデッサ・ファイル」NHKBS
160612 「刑事物語」WOWOW
160613 「いまを生きる」WOWOW
160623 「団地」@有楽町スバル座
160225 「64(ロクヨン) 後篇」@109シネマズ木場
160626 「マネー・モンスター」@TOHOシネマズ日本橋
160628 「楢山節考」(ならやまぶしこう)
160629 「シー・オブ・ラブ(Sea of Love)」

7月(13本)
160702 「ロイヤルナイト 英国王女の秘密の外出」@シネスイッチ銀座
160703 NHKBS映画 「ローマの休日」
160706 「ブルックリン」 @TOHOシネマズシャンテ
160708 WOWOW映画 「狼たちの午後」
160713 「帰ってきたヒトラー」@TOHOシネマズ日本橋
160715 WOWOW映画「リトル・ミス・サンシャイン」
160716 TsutayaDVD映画 「ハンナ」
160717 WOWOW映画 「冬の華」
160720 午前十時の映画祭「アマデウス」@TOHOシネマズ日本橋
160722 WOWOW映画「復讐するは我にあり」
160723 WOWOW映画 「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」
160726 「トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男」@TOHOシネマズシャンテ
160731 「シアター・プノンペン」@岩波ホール

8月(5本)
160806 WOWOW映画「刑事物語3 潮騒の詩」
160819 映画「ジャングルブック」
160820 TsutayaDVD「フランス組曲」
160824 映画「ニュースの真相」
160826 TsutayaDVD 「怒りの葡萄」

9月(13本)
160906 NHKBS映画 「ガス燈」
160910 DVD映画 「凱旋門」
160912 公開映画 「イングリッド・バーグマン~愛に生きた女優~ 」@ル・シネマ
160914 DVD映画 「真実の瞬間(とき)」
160916 WOWOW映画 「転校生」
160919 DVD映画 「太陽がいっぱい」
160920 WOWOW映画 「リプリー」
160921 公開映画 「君の名は」@109シネマズ木場
160922 公開映画 「シン・ゴジラ」@109シネマズ木場
160924 WOWOW映画 「ローラーガールズ・ダイアリー」
160925 公開映画 「ある天文学者の恋文」@TOHOシネマズシャンテ
160928 公開映画 「後妻業の女」
160930 DVD映画 「飢餓海峡」

10月(4本)
161004 NHKBS映画 「シックス・センス」
161006 映画 「怒り」
161013 映画 「ハドソン川の奇跡」
161025 映画 「ジェイソン・ボーン」

11月(1本)
161103 WOWOW映画 「コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)」

12月
映画(8本)
161211 「続・深夜食堂」
161213 「聖の青春」
161215 「ブルーに生まれついて」_イーサン・ホークが渋い!
161216 「ガール・オン・ザ・トレイン」で「ガール」について考えました。
161225 TsutayaDVD映画 「つぐない」
161228 「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」
161229「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」
161230 イーサン・ホークとジェリー・デルビーの9年毎の男と女の会話物語の三部作 「ビフォア・サンライズ、サンセット、そしてミッドナイト」

by zoompac | 2017-01-07 08:02 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

イーサン・ホークの「ビフォア・サンライズ、サンセット、ミッドナイト」の三部作の一気観!

f0090954_07400375.jpgイーサン・ホークとジェリー・デルビーの9年毎のミステリーあふれる男と女の会話物語の三部作をWOWOW録画で一気観しました。 1995年の「恋人までの距離、ビフォア・サンライズ」、2004年の「ビフォア・サンセット」、そして2013年の「ビフォア・ミッドナイト」です。 2021年に続きの物語が映画化されるかどうかは不明です。

恋人までの距離、ビフォア・サンライズ(1995年)
ヨーロッパの長距離列車の移動中に出会ったアメリカ人学生ジェシー(イーサン・ホーク)と、フランス人女学生セリーヌ(ジュリー・デルビー)は、ふとしたことから意気投合し、二人は、ウィーンで降り、翌日の朝までの時間、ウィーンの街を歩き回る、そして喋り捲る、それだけの映画です。

会話がすべてなのです。 相手のことを理解しようと、相手の感情に埋もれてしまった言葉を、お互いに救い合うという共同作業が続きます。その作業は曖昧で、複雑で、それでも妥協することなく真摯に続けられます。 そして、夜明け前の公園で二人は結ばれるのです。

誰しも経験する男と女の出会い、少しでも自分をよく見せようとする会話から、等身大の相手を知ろうとする会話まで、虚実相混ぜてという会話ではなく、学生同士の虚心坦懐な会話が印象的でした。

翌朝、二人はウィーン駅で別れます。 飛行機嫌いなセリーヌは列車でパリに、ジェシーは飛行機でアメリカに帰るのです。 6か月後の12月に再会を約して、電話番号も一切交換せずに別れた二人は果たして再び出会えたのかという謎を残してこの映画は終わります。

ビフォア・サンセット(2004年)
監督は1作目と同じリチャード・リンクレイターでした。主演も同じくイーサン・ホークとジュリー・デルピーで、今回は監督に加えてこの2人の主演俳優も脚本を手がけて、 第77回アカデミー賞の脚色賞に3人がノミネートされました。f0090954_07411305.jpg

ウィーンでの出会いから9年後。

前作の「恋人までの距離、ビフォア・サンライズ」で描かれたあの一夜のことを描いた小説 "This Time "を書いたジェシーは、小説のプロモーションで世界各地の書店を回る一環でパリの書店を訪れます。そこでインタビューを受けていた時、ふと横を見ると、なんとなんとセリーヌが立っているではありませんか。

ほほ笑むセリーヌと、驚くジェシー。 アメリカへ戻るジェシーの飛行機が出るまでの短い間、二人は秋のパリを歩きながら思い出を語り合います。

物語は、この二人の会話を中心に展開し、それ以外に物語に係わってくる登場人物はほとんどいないのです。 前作同様、映画内の時間がほぼ現実の時間と同時進行するように作られています。 主演の二人の会話の掛け合いの面白さが特徴的な作品なのです。

この「ビフォア・サンセット」で、前作の別れのその後が明らかにされます。 二人がウィーンで別れた後6か月後に再会できたのかできなかったのかが明らかになる仕掛けになっています。そして、彼らが今、どのように生きているのかということも会話を通じて観客は知るのです。 飛行機の出発時刻が迫る中、ジェシーはセリーヌを彼女の家まで送ります。 そして、1人住まいのその部屋で彼女の歌を聴くのです。 飛行場への時間が迫る中、観客は、彼が時間通り飛行機に乗れたのか乗れなかったのかわからないままこの物語は唐突に幕を閉じてしまいました。

f0090954_07425482.jpgビフォア・ミッドナイト(2013年)
これまでの映画と同じくリチャード・リンクレイターが監督、イーサン・ホークとジュリー・デルピーが出演し、リンクレイターとホークとデルピーが共同で脚本を執筆しました。

ウィーンでの出会いから18年、パリでの再会から9年、ジェシーとセリーヌは双子の娘とともにギリシャで夏のバカンスを過ごしているのですよ。 唐突ですね。

観客としては、ウィーンでの1夜の出会いの後再会が叶わず、それを小説にして9年後にセリーヌをパリで探しあてたジェシーが、セリーヌの部屋で彼女の歌を聴いた後、飛行機に乗らず、彼女の部屋で過ごし、やがて結婚したことがわかります。 彼らの間に双子の娘がいることに拍手喝采です。 しかし、順調にみえる彼らににも細かい溝が走っていました。

ジェシーは前妻が引き取って育てている息子ハンクと夏休みをギリシアで過ごし、空港まで見送るシーンから始まります。息子と離れて暮らす寂しさや罪悪感から、年頃の息子には父親が必要と考え、息子が暮らすシカゴへの引っ越しを考えるのです。 が、パリで仕事を持つセリーヌは反発します。 これをきっかけにジェシーとセリーヌは口論するようになり、2人切りで過ごせるようにと友人らが用意してくれたギリシアのホテルの一室で激しくぶつかり合うと、セリーヌは部屋を出て行ってしまいます。

ジェシーは1人で佇むセリーヌの前に現れると、自分は年老いた未来のセリーヌからのメッセンジャーとしてタイムマシンに乗ってやって来たと告げます。そして、2人は改めて互いの愛を確認するのです。

このときのセリーヌの台詞が可愛いですよ。 「そのタイムマシーンに乗るには、服を脱いで裸にならなきゃだめでしょう。」 「そうなんだ、操作は複雑でデリケートだからね。」 さすがの小説家ですね。 時間軸を拡げて互いの存在を俯瞰することで、出口の無くなった夫婦喧嘩の袋小路から二人は無事脱出できたようです。

ささいなことからすぐにぶつかり合う男と女の気持ちのすれ違いってミステリーのようなものですね。繊細に心を研ぎ澄まし慎重に共同作業で修復するしかないようです。

by zoompac | 2016-12-30 07:45 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

映画 「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」

f0090954_08301584.jpg「スター・ウォーズ」シリーズの原点となる1977年の「エピソード4 新たなる希望」の直前に起こった出来事を描いたアナザー・ストーリーです。

これまで語られることのなかった物語で、終盤に出てきた「レイア姫」の画像で、エピソード4への繋ぎを表していました。

「エピソード4 新たなる希望」でレイア姫がR2-D2に託した帝国軍の最終兵器「デス・スター」の設計図は、いかにして反乱軍の手にもたらされたのかを明らかにする前日譚物語の映画化でした。

2012年にディズニーによる買収以来、10年の休眠からそれこそ覚醒して昨年から再始動を始めた「スター・ウォーズ フォースの覚醒」の記録的大ヒットに続いて、このスピンオフ作品もヒットするような予感大です。公開第一週の王様のブランチランキングでは「妖怪ウォッチ」に抑えられて第2位というのがお愛嬌でした。

本流のスカイウォーカ家の人物を主要登場人物とするスター・ウォーズ・サーガとは別の様々なスター・ウォーズに関するエピソードを外伝ものとする「スター・ウォーズ・ストーリー」シリーズ誕生こそが、ディズニー資本で成しえた宇宙の大絵巻で語られえなかった部分の補填物語でしょう。

「ローグ(ならずもの)・ワン」の次は、「ローグ・ツー」となるのでしょうか?

一匹狼のヒロイン、ジン・アーソ(「デススター」設計者の娘)が、反乱軍の仲間(ならずもの?)とともに、帝国軍からデス・スターの設計図を奪う決死のミッションに挑む姿が描かれています。

昨年の「フォースの覚醒」のレイ(デイジー・リドリー)同様女子力炸裂でしたね。 ディズニー路線は女子力炸裂路線なのかもしれませんね。

反乱軍用に再フォーマットされたK-2SOという元帝国軍のドロイドのキャラもよかったです。口は悪いけど義理人情に篤いドロイドでした。

設計図を手にするのに必要なPWが、それを作図したお父さん(マッツ・ミケルセン)が娘ジンに語るときの呼びかけの言葉でした。このシーンは私のお気に入りです。

主人公ジン・アーソ役は「博士と彼女のセオリー」でアカデミー主演女優賞にノミネートされたフェリシティ・ジョーンズ、「インフェルノ」でもトム・ハンクスと共演し走り回っていましたね。ジン・アーソやK-2SOと共に設計図奪還に貢献する反乱軍パイロットのキャシアン青年にメキシコ人俳優のディエゴ・ルナ、そして監督は2014年のハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」のギャレス・エドワーズでした。

いずれにせよ、SWサーガーとSWストーリーを交互に毎年観られることになりそうなのは嬉しいですよね。

今年も小学4年生のお孫君と観ることができました。

12月は、妖怪ウォッチ、仮面ライダー、ハリーポッターシリーズのスピンオフ映画(ニュート・スキャマンダーシリーズ)に、スターウォーズ関連映画とお孫君が観たい映画が4作に増えてしまいました。去年からスターウォーズ関連が、今年からニュート・スキャマンダーシリーズが追加されました。


by zoompac | 2016-12-29 08:31 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

映画 「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」

f0090954_08573058.jpg世界的人気を誇る大ヒットファンタジー「ハリー・ポッター」シリーズ完結から5年を経て、新たに送りだされるシリーズの第1作です。

原作者J・K・ローリングが自ら脚本を手がけ、実際に発売もされたホグワーツ魔法魔術学校の指定教科書「幻の動物とその生息地」の編纂者である魔法動物学者ニュート・スキャマンダーが繰り広げる大冒険を描いていました。

未知の幻獣を求めて世界中を周り、ニューヨークにたどり着いたニュートの入国審査のシーンは、1920年代後半という設定でした。 で、そのときのニューヨークの魔法界には危機が迫っていました。 不可解な現象がニューヨークの街角に破壊の爪痕を残し、魔法社会は新セーレム救世軍をはじめとする人間(ノー・マジ)に存在を知られようとしていたのです。 新セーレム救世軍は魔法界の壊滅に血道をあげる過激集団です。 そして、アメリカ合衆国魔法議会(マグーザ)は、魔法界保護のため、機密保持違反に厳格に対処すべく目を光らせていました。

そのような緊張感走るニューヨークに、ニュート・スキャマンダーが魔法生物たちを詰め込んでいた魔法のトランクを持ち込んだのです。 パン職人を目指す人間(ノーマジ)ジェイコブのトランクとすり替わってしまい魔法生物たちが逃げ出してしまいます。 ニュートもジェイコブも魔法生物を禁じているアメリカ合衆国魔法議会のお尋ね者になってしまうのです。 彼ら二人に、マグーザの窓際族職員のティナとその妹アリソンが加わり、風変りな4人の混成チームで、逃げた動物たちを追いかけるとともに怪現象の謎に迫るという筋書きでした。 魔法の根絶を目論む秘密結社・新セーレム救世軍の主導者の養子も絡んで、事態は思わぬ方向へ転がっていきます。

主人公ニュートを「博士と彼女のセオリー」のオスカー俳優エディ・レッドメインが演じ、ヒロイン役ティナには「インヒアレント・ヴァイス」のキャサリン・ウォーターストが起用されていました。

共演にもコリン・ファレル、エズラ・ミラー、サマンサ・モートンら豪華キャストが揃っていました。 メガホンをとったのは、「ハリー・ポッター」シリーズ5作目から監督を務めてきたデビッド・イェーツでした。

ジョニー・ディップの顔も最後のほうで登場します。 ヨーロッパで惨劇を起こした後に逃走した巨悪な魔法使いグリンデル・バルドがニューヨークの怪現象の黒幕かと思わせる登場の仕方でした。 このニュート・スキャマンダーシリーズは全部で5部作となる予定だそうです。

by zoompac | 2016-12-28 08:57 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

TsutayaDVD映画 「つぐない」  

f0090954_08080482.jpgイアン・マキューアンの『贖罪』を、2005年公開の『プライドと偏見』のスタッフ・キャストで映画化した作品です。

今年の7月に観た私のお気に入り映画「ブルックリン」のシアーシャ・ローナンがセシーリア(キーラ・ナイトレイ)の妹ブライオニーの13歳のときの役を演じていました。 多感な少女の複雑な心の揺れを見事に演じ、評判通りの才能のきらめきを感じました。

このときの彼女の実年齢も13歳で、アカデミー助演上優勝にノミネートされて話題になりました。

両親が共にアイルランド人の彼女のシアーシャという名はアイルランド・ゲール語で「自由」という意味らしいですが、彼女自身はニューヨーク生まれで、自分のことをサーシャと呼んでいるそうです。

両親と共に3歳のときアイルランドに移り住んでいるといいますから、映画「ブルックリン」とは真逆な感じが面白い生い立ちです。 「ブルックリン」では、役者のイメージに合わせて、増量してふっくらした丸顔で演技をしているので、この13歳時に演じた「つぐない」の妹役とは別人に見えます。 ちなみに「ブルックリン」の主演時は20歳だったと思われます。(写真を比較してください!)f0090954_08174591.jpg

妄想好きの少女が思い込みと嫌悪感から、姉と相思相愛の青年を、ある少女強姦事件の犯人と証言(実は冤罪だった)し、彼と姉の人生を大きく狂わせ、それに第二次世界大戦という時代の大波がさらに覆いかぶさる構図になっていました。 後に、事件の真相を確信して、自分の犯した過ちの証言を償いたいブライオニーでしたが、戦時の非常事態の中でそれは叶いませんでした。 時が経ち、ブライオニーの晩年に彼女は「つぐない」のため、ある決意をします。 それが何であるかは、観てのお楽しみ。

ジェイン・オースティンの小説を原作とした映画「プライドと偏見」同様、勘違いが思わぬ誤解を招き、人の運命を翻弄していきます。 「プライドと偏見」ではその誤解に気づき修復された人の縁でしたが、「つぐない」では、人の死がその修復というか「つぐない」の機会を断ち切っていました。



by zoompac | 2016-12-25 08:20 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

映画 「ガール・オン・ザ・トレイン」で「ガール」について考えました。

f0090954_07343612.jpg「プラダを着た悪魔」(メリル・ストリープ扮する鬼編集長のアシスタント役で、アン・ハサウェイ演じる新米アシスタントの指導にあたっていました)「砂漠でサーモンフィッシング」(私の好きな作品です)「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のエミリー・ブラント主演で、世界中でベストセラーとなった同名のミステリー小説を映画化した作品です。

原作の舞台はイギリスなのですが、この映画の舞台は、アメリカ・ニューヨークのマンハッタンにあるグランド・セントラル駅からハドソン川に沿って北上する路線であるハドソン線になっていました。 ロバート・デニーロとメリル・ストリープの「恋におちて」の舞台となった有名な通勤路線です。

監督は、「ヘルプ 心がつなぐストーリー」のテイト・テイラーです。

夫と離婚したレイチェル(エミリー・ブラント)は、毎朝通勤電車の窓から見える、見ず知らずの「理想の夫婦」の姿に、別れた夫との幸せだった日々を重ねていました。

ある朝、通勤電車の窓からレイチェルの目に飛び込んできたのは、「理想の夫婦」の妻の不倫現場でした。そして、その女性は間もなく死体となって発見され、唯一の目撃者として、レイチェルに周囲から疑惑の目が向けられてしまうのです。

映画を観れば何故レイチェルが疑われたのかすぐにわかります。 レイチェルもお酒依存症で酔うと自分を見失ってストーカー紛いのこと行うちょっと脆くて危ないキャラクターなのです。

この映画を観終わった後の私の感想を一言で表すと、「隣の芝は青い」(The grass is greener on the other side.)です。

主人公レイチェルのエミリー・ブラントの他、「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」のレベッカ・ファーガソン、「マグニフィセント・セブン」のヘイリー・ベネット等、キレイどころのお姉さん3人が揃い踏みの映画でした。 ヘイリー・ベネットのスッポンポンのワン・カットの目の保養シーンがありますよ。

話は変わりますが、映画ジャーナリストの金原由佳さんが、30代のバツイチのレイチェルが何故「ガール」なのかってことについて面白いことを言っていました。

2000年代に入ってからの米国映画の傾向として、特にミステリーの分野では、事件に巻き込まれる女性に対して、年齢に関係なく、「脆く、儚く、危なっかしい」イメージとして「ガール」という言葉を当てているようなのです。そういわれれば、30代の人妻の失踪劇で大ヒットした「ゴーン・ガール」のタイトルにも納得できますね。

脆く、儚く、危なっかしい女性は、年齢に関係なく「ガール」です。日本風に言うと、「女子力」とか「女子会」の「女子」でしょうか、こちらは、脆く、儚いというニュアンスはなく、なんでも頑張る、元気な女性ってニュアンスが前面に出ているように思います。

日本語の「ガール」で山ガールって言えば、これも脆さも儚さもないですね、年齢不問ってことだけでしょうか。

そういえば、最近、会社の就業規則が、産休ということに配慮したからでしょうか、女子従業員から女性従業員に表記が変更されていました。

この「女子」って言葉はせいぜい高校生くらいまでだろーって固定観念を打ち破って年齢不問になってきたものの、まだまだお産を1つの区切りと考えたのでしょうか。

世の中では40代、50代の女性でも女子力アップにいそしんでおられる方は多いですよね。

そのうち還暦という壁も突破して、ひ孫と遊ぶ80歳女子という言葉も違和感なく使われる日がくるかもしれません。  

by zoompac | 2016-12-16 07:34 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

映画 「聖の青春」

f0090954_07131893.jpg難病と闘いながら将棋に人生を賭け、29歳の若さで亡くなった棋士・村山聖(さとし)の生涯を描いた大崎善生による同名ノンフィクション小説を、松山ケンイチ主演により映画化した作品です。

幼い頃から腎臓の難病・腎ネフローゼを患い、入退院を繰り返した村山聖は、入院中に何気なく父から勧められた将棋に心を奪われていきます。

師匠との出会い、そしてプロ棋士として羽生善治ら同世代のライバル棋士たちと死闘を繰り広げ、まさに命を削りながら将棋を指した村山聖の壮絶な一生が描かれていました。

監督は「宇宙兄弟」の森義隆、脚本を「リンダ リンダ リンダ」(私のお気に入り!)の向井康介がそれぞれ担当しました。

羽生善治と「東の羽生、西の村山」と並び称された村山聖(さとし)を演じる松山ケンイチは、役作りのため20キロ以上も増量しました。 とかく彼の肉体改造が注目されていますが、純粋さと卑屈さが混在する内面的な葛藤も上手く表現していたと思います。

私的には、羽生義治を演じた東出昌大の演技が印象的でした。 羽生が将棋を指しているところをTVで観たことはないのですが、自ら羽生ファンで、望んでその役を獲得した東出というだけあって、東出の仕草や顔の表情に羽生の姿が重なって見えました。東出の演技によると羽生義治の対局のときの癖ってかなりヘンです。集中力のなせる業か目つきがずいぶん怖いです。

この映画の圧巻は、やはり松山演じる村山と東出演じる羽生の対戦場面でしょう。 勝負の時の顔と顔のクローズアップ、そして盤上の指し手と駒のクローズアップ、そしてパチ~ンと響く駒の音、これだけで勝負の緊張感を浮かび上がらせていました。

その勝負が終わった後、場末の食堂で、村山と羽生が語り合うシーンも印象に残りました。1分切りの時間に追われた激しい指し手勝負が終わった後の「つわもの達の夢の後」って感じで、静かに悠久に流れる静かな時間って対比が素晴らしかったです。

この対戦は、羽生は前人未到の7冠達成の後だったのです。 そんな勢いに乗った羽生と対局し、激しい攻防の末、遂に打ち勝った村山聖はその夜、羽生を飲みに誘い、場末の静かな食堂のテーブルで向き合いました。

好きなものは少女漫画、勝負事は競馬、麻雀(マージャン)なんでも、の聖に対して、将棋以外の勝負事はチェス……の羽生で、趣味についての会話こそ噛み合わないのですが、将棋という盤上でのふたつの魂が切り結ぶような闘いの後の、静かな甘美ともいえる二人だけの沈黙の世界を楽しんでいるように見えました。

そして、羽生がおもむろに、「怖くなる時があるんです。深く潜りすぎて、そのうち戻ってこれなくなるんじゃないかって・・・、 私は今日、あなたに負けて死ぬほど悔しい」 と胸の内を明かすのです。

あ~、言っちゃった。これってひょっとしてネタバレですよね。

将棋という映像にするのが困難と思われるテーマを、うまくスポコンもののような形に切りとって、素晴らしい映画に脚色してくれていました。

広島出身の村山聖が、吉野家以外の牛丼を買ってきたお父さんに、「牛丼は吉野家じゃなーと、いけんので。 」「ほーなんか」 「ほーなんじゃ、牛丼は吉野家、シュークリームはミニヨン、お好み焼きはみっちゃん、かつ丼は徳川と決まっとるんじゃ。」 という、ローカル色(吉野家は全国区ですが)豊かな自分の好物を広島弁で父親に語るシーンも微笑ましかったです。

村山聖は、この映画で確かに、羽生善治に怖れられた棋士としてこの世に存在していたことを、将棋に詳しい人以外の多くの人々に知られることになりました。

私の甥が小さい頃、ネフローゼで顔を晴らしていた記憶も蘇って、興味深い映画でした。 彼は今でも元気ですけどね。


by zoompac | 2016-12-13 07:23 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)
RELEASE INFORMATION NEW ALBUM

[通常盤]「Now On Sale!!」
TOCP-66380/¥2,548(税込)

[DVD付 初回生産限定盤]
「Now On Sale!!」
TOCP-66381/¥3,500(税込)

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