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映画「プライベート・ライアン」_トム・ハンクスのカリスマ性が光る一兵卒の救出作戦!

f0090954_06034171.jpg昨日は、2001年公開映画「スターリングラード」を取り上げました。 その冒頭シーンの臨場感は、1998年公開映画「プライベート・ライアン」の影響を受けたと言われています。

ということで本日は「プライベート・ライアン」です。

ちなみにPrivateには個人の、私的なという形容詞の意味もありますが、ここでは兵卒という意味です。原題は、"Saving Private Ryan" です。 「兵卒ライアンの救出」という意味になります。

第二次世界大戦時のノルマンディー上陸作戦を舞台に、1人の兵士の救出に向かう8人の兵隊たちのストーリーです。

監督はスティーヴン・スピルバーグ、主演はトム・ハンクス、救出されるライアン役をマット・デイモンが演じています。
アカデミー賞では11部門にノミネートされ、興行面でも全世界で大きな成功を収めました。

冒頭のノルマンディー上陸シーンは、待ち構えるドイツ軍の銃撃砲弾の雨嵐に米軍が数を頼りの肉弾戦で突破口を拓こうというものでした。 兵卒の一人一人がまるで血袋のように血を流しながら倒れていきます。 臨場感溢れるというか鬼気迫る修羅場が印象に残ります。

その大評判を呼んだ臨場感あふれるオマハ・ビーチ上陸作戦のシーンはアイルランドで撮影されたそうです。 実際のオマハ・ビーチは歴史的に保護されているだけでなく、開発もされていたため、ロケ地としては使えません。プロダクション・デザイナーが何週間もの調査を行ってロケ地を探し、よく似たビーチをアイルランドで発見したのです。

私はとっさにディビット・リーン監督の「ライアンの娘」のアイルランド最西端の浜辺が頭に浮かび、”ライアン”繋がりかと嬉しくなりましたが、実際のロケ地はアイルランドの東側の海岸でした。

この映画のためにアイルランド陸軍はエキストラとして250名の兵士を貸し出したそうです。 現役の兵士であることから統制がとれており、大人数にもかかわらず撮影はスムーズに進行しました。この兵士達の大半はメル・ギブソン主演の「ブレイブハート」にも出演していたそうです。現役兵士エキストラに加えて1500人もの素人エキストラも冒頭シーンを盛り上げてくれました。(メル・ギブソンといえば、6月24日から日本公開の「ハクソー・リッジ」の監督をやっていますね。

冒頭とラストで映るノルマンディー墓地は実際の場所で撮影されたそうです。

本作のストーリーは、ナイランド兄弟(映画ではライアン兄弟)の逸話が基になっています。実際に彼らの母親は息子3人の死亡通知を同時に受け取ったようです。

ただこの映画で描かれたような若き1兵卒を救うための決死の救出隊が選ばれることはなく、生き残った末っ子も上からの命令に従って部隊を離れ帰国したそうです。

さて、映画です。米軍に所属する4人のライアン兄弟のうち3人の兄が違う場所で戦死し、その死亡通知を母親に届けなければならない事態を知った軍上層部は、ライアン兄弟の末っ子は是非生還させて母親に対面させたいと願います。 そして、オマハ・ビーチの激戦を生き残ったミラー大尉(トム・ハンクス)にノルマンディーの空挺師団に所属するジェームズ・ライアン上等兵の救出を命じる指令が下ったのです。

ミラー大尉は部下を8人引き連れてライアン上等兵の捜索に乗り出すことになりました。しかし、空挺部隊はドイツ軍の対空砲火によって四散しており、落下傘部隊として降下したライアン上等兵の生死や所在は定かではありません。 それに、ノルマンディー上陸後間がなく、いまだ解放されていないドイツ占領下のフランス領に侵入しなくてはならないという危険極まりない任務で、彼らの行く手には想像以上の困難が待ち受けていました。

最後のドイツ軍の戦車部隊とのゲリラ戦も壮絶でした。

咄嗟の状況判断と、確かな局面の戦略判断に長けたミラー大尉の前身が本当に学校の教師だったのかどうか疑問が残る映画でした。 カリスマ性のある指導者の役が本当に似合うトム・ハンクスでした。

by zoompac | 2017-06-14 06:04 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

映画「スターリングラード」_冒頭シーンが「プライベート・ライアン」のような迫力!

f0090954_06065909.jpgスターリングラード攻防戦(1942年6月28日 - 1943年2月2日)は、第二次世界大戦の独ソ戦において、ソビエト連邦領内のヴォルガ川西岸に広がる工業都市スターリングラード(現ヴォルゴグラード)を巡り繰り広げられた、ドイツ、ルーマニア、イタリア、ハンガリー、およびクロアチアからなる枢軸軍とソビエト赤軍の戦いです。

スターリングラードは戦略上の要衝の地であったことに加え、時のソビエト連邦最高指導者ヨシフ・スターリンの名を冠した都市でもあったことから熾烈な攻防戦となり、史上最大の市街戦に発展、動員兵力、犠牲者、ならびに経済損失も莫大な規模に拡大しました。 そしてドイツ軍は壊滅状態ともいえるほどの大敗北を喫し、結果的に第2次世界大戦の3大ターニングポイントの1つと数えられています。ちなみに残りの2つは映画プライベートライアンの冒頭シーンで有名なノルマンディ上陸作戦とミッドウェイ海戦です。

2001年公開の映画「スターリングラード」の冒頭シーンも、ジャン=ジャック・アノー監督自身は否定していますが、1998年公開の「プライベートライアン」の冒頭シーンと同じくその戦闘シーンは圧巻です。いわゆる肉弾戦によりバタバタと兵士が惨殺されていく地獄絵図を臨場感たっぷりに見せています。

スターリングラード市に兵士が送り込まれるとき、ヴォルガ川を渡るのですが、そのときドイツから空襲を受けなす術もなくソビエト赤軍に新規に徴兵された若者たちが殺されていきます。無事スターリングラード市に渡りついた新兵たちは兵器が不足しているので銃は二人で一丁です。銃を持って突撃した兵が死んだら、もう一人がその銃を拾って突撃するという徒手空拳の肉弾戦なのです。

乏しい武器事情でそうした肉弾特攻作戦を繰り返していたソ連軍の一兵卒に埋もれていた天才スナイパー(ジュード・ロウ)をソ連の政治将校(ジョセフ・ファインズ、レイフ・ファインズの弟君です)が見出します。ウラルの羊飼いの家に育ち、祖父に射撃を仕込まれたスナイパーは、ソ連軍にとってそしてスターリングラード攻防戦の作戦を考える高官たちにとっても救世主になるのです。

「スターリングラードを死守せよ」との命令の下で徒に特攻作戦を繰り返し戦局に打開策を見いだせない作戦指導者たちは迫りくるの責任問題に汲々としていました。

そんな矢先、のちのフルシチョフ首相(スターリン亡き後、スターリン批判をしたことでも有名ですが)が、天才スナイパーを見出した政治士官の提案した作戦を採用します。f0090954_06122322.jpg

それは特殊能力をもった狙撃兵(スナイパー)による、ドイツ軍将校の狙い撃ち作戦でした。天才的狙撃手、ヴァシリは、その能力を発揮して、次々とドイツ将校を射殺。彼の活躍はその政治士官の広報活動により、新聞・ラジオで報じられ、ウラルの羊飼いは次第に、国民的英雄にまつり上げられていくのです。もちろん、政治士官君も鼻高々です。そして彼は、女レジスタンスとして働いていたターニャ(レイチェル・ワイズ)を情報通信の内勤にスカウトします。彼女がドイツ語を解することはもちろん、彼女が彼と同じユダヤ系だったことと何よりファインズ弟君がターニャに一目ぼれしたことがその理由でした。

しかし、敵もさるもの、ウラルの羊飼い君の活躍をいつまでも許してはおきません。ドイツ軍きっての狙撃の名手ケーニッヒ少佐(エド・ハリス)が、今やソ連の英雄となって新聞に顔写真まで掲載された羊飼い君暗殺のため、スターリングラードに送りこまれます。 その少佐は息子をこの戦争で亡くしており復讐の鬼と化し羊飼い君の仲間が次々とその標的とされてしまうのです。

f0090954_06123731.jpg羊飼い君は、自信を失いながらも、政治士官君とターニャに励まされて、ケーニッヒとの対決にのぞんでいくのですが、この三人の仲がもつれてきます。ターニャが前線に来て羊飼い君と関係を持ったことで嫉妬するのです。羊飼い君の非難を上官への手紙に書きつけます。一方ケーニッヒは二重スパイの少年兵を使ってヴァシリをおびき出そうとします。しかし、その後ターニャが亡くなったと勘違いした政治士官君はせめてもの罪滅ぼしと自分の命を犠牲にして囮となりケーニッヒの狙撃場所を、羊飼い君に教え彼はケーニッヒの射殺に成功します。この頃は、独ソ戦争はほぼドイツ軍の壊滅状況となっており、ケーニッヒは使命感だけで羊飼い君との対決に臨んでいたのです。

市街戦がようやくソ連の勝利で終わった後、羊飼い君はは病院で怪我から元気になりつつあるターニャと再会するのでした。(余談ですが、レイチェル・ワイズは、ロシアが誇る女子フィギュアスケート女王のメドベージェワに似ています。写真右上がレイチェル・ワイズ、左下がメドベージェワです。)

政治士官君を嫉妬で狂わしたターニャと羊飼い君ヴァシリのラブシーンも秀逸でした。夜這いをかけたのはターニャのほうです。連日、繰り返される戦いの合間、戦士の多くがざこ寝して、見張りが立っているという状況下で、毛布の中にくるまってのラブシーンでした。ズボンを脱いで半分だけ尻を露わにしたレイチェル・ワイズの演技には生唾をごっくんでした。ありえないのですが、私だったら脚がつるだろうなぁ~。途中で見張りの巡回等もあって、ケーニッヒとの狙撃シーンより緊張しましたわい。雪の中にじっと身をひそめて、狼が現れるのを待つ少年時代の主人公ヴァシリ(ヴァ尻?)を彷彿させましたが、露れたのはレイチェル・ワイズのハンケツでした。

なお、ジュード・ロウが演じた羊飼いのヴァシリ・グリゴーリエヴィッチ・ザイツェフはスターリングラード攻防戦で敵兵257人を殺害して英雄に祭り上げられたのは史実ですが、映画でエド・ハリスが怪演したドイツ軍の好敵手「ケーニッヒ少佐」はドイツ側の記録に該当者の記録が一切なくソビエト連邦がプロパガンダ目的に創作した人物だという見方が一般的です。

by zoompac | 2017-06-13 06:18 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

映画「愛の嵐」_複雑なオーストリアの二面性とシャーロット・ランプリングの女心

f0090954_05550932.jpg去年の今頃銀座シネスイッチで観た「さざなみ」のシャーロット・ランプリングがまだ若い頃の作品です。その歳の差42歳です。

シャーロット・ランプリングといえば、私は、彼女の御年67歳のときの「リスボンに誘われて」と69歳のときの「さざなみ」しか知らなかったのですが、「愛の嵐」は彼女が27歳のときの作品です。

1957年の冬のウィーンが舞台です。1945~55年まで10年続いた米英仏ソの4か国共同統治が解け永世中立を条件に独立を認められて2年経ったところです。

その独立を謳歌しつつも、ウィーンには戦後のナチ残党狩りを生き残るために、かっての所業を互いにもみ消し合い、時には証人の抹殺間で行っていたオーストリア人の元ナチ将校のグループが暗躍していました。

あるホテルで夜番のフロント係兼ポーターとして働く男もそのグループの一味で、戦時中はナチス親衛隊の将校で、現在は素性を隠してひっそりと暮らしていました。

ある日、客としてアメリカから有名なオペラ指揮者が訪れますが、その男はフロントに現れた指揮者の妻(シャーロット・ランプリング)を見て困惑します。彼女は13年前彼が強制収容所で弄んだユダヤ人の少女だったのです。

彼女もまた驚きの表情を隠せませんでした。

当初は早くウィーンを出発したがっていた彼女でしたが、強制収容所で男から倒錯した性の玩具として扱われたことを追憶し、結局はそのサディステッィクな男に身を委ねるお話でした。 理性でコントロールできない程の究極のM体験から逃れたいと思いつつも惹かれていき自ら倒錯した愛憎の嵐の中に身を投じることになっていくのです。 シャーロット・ランプリングの肢体が妖しく蠢く様を光と陰で表現した撮影がなんとも艶めかしかったですわい。

この男が映画の中で親衛隊員としての過去を隠蔽して暮らしている住宅が、カール・マルクス・ホーフと呼ばれる第1次世界大戦後、オーストリア社会民主党がウイーン市政を支配していた時期に建設した社会主義労働者向けの集合住宅でした。

最近読んだ「エリザベート ハプスブルク家最後の皇女」の中でも説明されていました。

この住宅は、第一次世界大戦の敗戦、ハプスブルク帝国の崩壊を経たウィーンのドナウ運河近くの鉄道に沿った複数の街区建てられた住宅の1つであり、社会民主党が政権を握った(赤いウィーン)時代の記念碑的建造物とされています。 カール・マルクス・ホーフは、ベートーヴェンの家やホイリゲ(ワイン酒場)で知られるハイリゲンシュタットの駅前にあります。 住宅の名前は「資本論」で有名な思想家カール・マルクスに因んでいます。

映画で、二人が錯綜した愛の嵐に身を委ねる場所が、このカール・マルクス・ホーフの住宅の一室という設定でした。

元ナチ将校のグループは、そのホテルのフロントで働く男に危険な証人になり得るその女を殺害するよう命じますが、男はその命に逆らい二人で住宅に立て籠ります。

そして、食べ物も尽き、もはや何所にも逃げ場はないと覚った二人は、深夜にアパートを抜け出し、川の向こうを目指しますが・・・・。

この映画の原題はIl Portiere di notte( 英題: The Night Porter)です。 夜番のフロント係兼ポーターとして、ナチ狩りから身を潜めて生きている男が言います。「僕はあえてこの職業を選んだんだ。夜、働くのには訳がある。光だよ。私には光が眩しいんだ。」

「私には光が眩しいんだ」と語っていた夜行性の動物に徹してきた男が、その安全のための習性を止め、愛する女と夜明けの光を目指して歩いて行く最後の場面が印象に残りました。

どのみち、この世の何所にも救いはなく、ただ愛があるだけ・・・という、幸福とも不幸ともいえない刹那的でかつ切ない幕切れが目撃できます。

オーストリアはナチの恫喝の下、ドイツに強制的に併合させられた被害国とされていますが、実際にはオーストリアにもナチは存在し、被害者と同時に加害者の顔も持つ複雑な事情があったことも垣間見える映画でした。

ユダヤ人迫害の責任者になったアイヒマン親衛隊中佐はオーストリアで育っていましたし、彼は部下たちの大部分をオーストリア人からリクルートしていたようです。 ヒトラーも1932年にドイツ国籍を獲得しましたが、出生地はオーストリア=ハンガリー帝国オーバーエスターライヒ州であり、国籍としてはドイツ人ではなくオーストリア人でした。


by zoompac | 2017-06-11 05:55 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

WOWOW映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」_黒木華のメイド姿

f0090954_05551186.jpg「リップ・ヴァン・ウィンクル」とは、アメリカの小説家ワシントン・アーヴィングによる短編小説、および主人公の名前です。

「尻敷かれリップ」ことリップ・ヴァン・ウィンクルが、森の中に迷い込んで、見知らぬ人と酒を飲み交わしているうちに眠ってしまい、目を醒ますと彼は老人になっていました。彼が家に帰るとガミガミ女房も亡くなっていて、20年もの月日が経っていたというお話です。「アメリカ版浦島太郎」ですね。

しかし、浦島太郎伝説はどうもこの映画のテーマとしてはしっくりきません。

とすると、「リップヴァンウィンクル」という通販を行っている男性用アパレルメーカーに関した意味合いからきた題名なのでしょうか? それもイマイチぴんときません。

映画の題名の意味がやや不明ながら、黒木華の頼りなさ(自己主張のなさ)、綾野剛の胡散臭さ、Coccoの抱える爆弾の時限の中でそれをひた隠しそれでも金に糸目をつけずに何かを求める(たぶん幸せの絶頂で死を迎えたい?)神秘さが微妙にブレンドされた不思議な世界の物語でした。

岩井俊二監督が、長編実写の日本映画としては「花とアリス」以来12年ぶりに手がけた作品で、今月のWOWOWで「花とアリス」もこの「リップヴァンウィンクルの花嫁」も両方観れます。(「花とアリス」が8日木曜日で、「リップヴァンウィンクルの花嫁」が9日金曜日)

黒木華のメイド服姿が可愛かったですが、私は、今、NHK土曜時代劇の「みをつくし料理帖」の下がり眉、アヒル口の料理人「澪」を演じる黒木華の方が気に入っています。

嘘のような煙のような世界でメイドをして100万円稼いだ黒木華演じる派遣教員の皆川七海が、眺めの良い部屋を借りて現実的に生きていこうとする姿勢を示したところで終わった映画でした。ちょうど映画という虚構の世界から解放されて、現実の世界に戻っていく観客に同調したような終わり方でした。

現実と虚構の入り交ざった現代版おとぎ話といった感じです。3時間はちと長いような気がしますが、原作のアメリカ版浦島太郎のひと眠り20年に比べればなんて言うことはないですね。

そういえば、中国の故事にも、一炊の夢とか邯鄲の夢というのがありました。

唐の盧生(ろせい)という青年が、身を立てようと楚(そ)へ向かう途中、邯鄲の地で道士に枕(まくら)を借りてひと眠りし、その間の夢で、栄華を尽くした一生を送りますが、家族に看取られて死ぬところで目覚めてみると、まだ炊きかけの粟飯(あわめし)もできあがっていない程の短い時間にすぎなかったのです。「枕中記(ちんちゆうき)」の故事です。


by zoompac | 2017-06-07 05:55 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

映画 「マンチェスター・バイ・ザ・シー」_暗い暗~い映画!

f0090954_05500570.jpg今年のアカデミー賞で主演男優賞と脚本賞を獲得した作品です。 作品賞と助演男優賞の「ムーンライト」に匹敵する暗~い映画でした。 かってのハリウッド映画の象徴とされたアメリカンドリームのかけらも感じられない映画でした。

主演男優賞のケイシー・アフレック(ベン・アフレックの弟)の役をマット・ディモンが演じる予定だったようですが、この寡黙で無骨な男の孤独に寄り添う演技はケイシーで正解だったんじゃないかな。 ここまで気まずい沈黙に耐えられる主人公は暗さを超えて滑稽でさえありました。

故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーという海辺の町に居づらくなった男が、車で約1時間半離れたボストン近郊のアパートで雪かきや電気、配水管工事等の何でも屋として、心を閉ざしながら孤独に生きています。 しかし、兄の死をきっかけに、故郷に戻ることになり、そこで甥の面倒を見ながら過去の悲劇と向き合っていく姿が描かれていました。

16歳の甥の後見人を兄の遺言で託された主人公でしたが、故郷の町へ留まることがいかにつらい事かってことが、彼がその町で経験した過去の壮絶な悲劇がフラッシュバックによって観客に明らかにされていきます。

心のトラウマがおさまるまでにはまだ十分な時間が立っていない中、町の風景やすれ違う人々につらい過去の記憶が呼び起されます。 甥との将来のあり様を考えたり、甥との会話で甥の成長に戸惑いながらも心を開いて逆に慰められているようでもありましたが、やはり過去に負った心の傷は大きすぎました。 不器用な男の痛い生き様が、リアリスティックな説得力をもって描かれていました。

マンチェスターの海や海辺(バイ・ザ・シー)の町の風景も印象的で目にしみました。越えようとしても簡単に乗り越えられない過去の悲しみが胃の腑にずしんとくる映画でした。

by zoompac | 2017-05-22 05:52 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

不滅のラブロマンス映画「カサブランカ」について_実在のモデルがいた?

f0090954_08454106.jpg私の中では、「タイタニック」と「ローマの休日」と並ぶラブロマンス三大作品の1つがこの「カサブランカ」(1942)です。

主題歌の「アズ・タイム・ゴーズ・バイ("As Time Goes By")」がいいですね。「Here's looking at you, kid.(君の瞳に乾杯)」等の名セリフもいっぱい詰まっています。

私のお気に入りはリックを訪ねてきた女性に、リックがつれなく返事をする場面のセリフです。

(女性)「昨日なにしてたの?」(リック)「そんな昔のことは覚えていない」

(女性)「今夜会える?」(リック)「そんな先のことは分からない」

一度はこのセリフを使って決めてみたいと思ったこともありましたが、使う機会がないまま還暦を過ぎてしまいました。

老人ホームに入ったら使えるかもしれませんね。

(女性看護師)「昨日なにしてたの?」(私)「そんな昔のことは覚えていない」

(女性看護師)「今夜なにするの?」(私)「そんな先のことは分からない」

今、元毎日新聞ウィーン支局長だった塚本哲也氏の「エリザベート ハプスブルク家最後の皇女(下巻)」を読んでいますが、ナチスに追われる抵抗運動の指導者ヴィクター・ラズロ(ポール・ヘンリード)とその妻、イルザ・ルンド(イングリット・バーグマン)には実在のモデルがいたそうです。

ラズロのモデルはチェコ国籍のリヒャルト・クーデンホーフ・カレルギー伯爵(1894年11月16日 - 1972年7月27日)です。写真を見る限りハンサムですね。f0090954_08453166.jpg

クーデンホーフ家はオーストリア・ハンガリー帝国の貴族でカレルギー家はポーランド貴族の家系です。 彼の父はハイリンヒ・クーデンホーフ・カレルギー伯爵で駐日オーストリア大使として明治時代の東京に着任していました。母はゲランの香水「ミツコ」の命名で有名な青山光子(ミツコ・クーデンホーフ)です。

彼女は夫の帰国の際にオーストリアに渡りウィーン社交界の花形として脚光を浴びました。ボヘミヤ領地の城で伯爵夫人として暮らした彼女も文化・民族の壁を越えていたという意味で息子リヒャルトの思想に影響を及ぼしたのかもしれません。ちなみにリヒャルトは東京生まれで栄次郎という名(ミドルネーム)を持っています。

リヒャルトは、1923年に「汎ヨーロッパ主義」を著しセンセーションを起こします。その翌年に今のEUの原型となる汎ヨーロッパ会議を設立しました。

しかし、民族主義のドイツのヒトラーにとって「汎ヨーロッパ主義」は邪魔であり、1938年のオーストリア併合後彼はドイツにとっての危険人物としてナチスからマークされました。

チェコスロバキア、ハンガリー、ユーゴ、イタリアを経てスイスへ逃避行します。さらにフランスに渡ってパリを本拠に活動していましたが、1940年フランスがドイツの手に落ちるとスイス、ポルトガルを経てアメリカに逃げのびました。

イルザのモデルはウィーンの美人舞台女優イダ・ローランです。

リヒャルトとイダ夫妻は実際にオーストリーから逃れる際に、モロッコ経由亡命するという予定もあり、そこから「カサブランカ」のアイディアが生まれたとの説もあります。

当時のアメリカの大統領ルーズヴェルトはリヒャルトへのヴィザの支給を渋っていたようです。単に「汎ヨーロッパ主義」の考えに反対だったのか、リヒャルトに敵国である日本人の血が半分流れていたことを懸念していたのか定かでありません。

夫妻はリスボンでの渡米工作に行き詰って、闇の渡米パスポートとヴィザを入手できる北アフリカのカサブランカに渡ることを決意した矢先、アメリカの大学から教授として招聘するとの電報が届いたのです。(カサブランカというかモロッコはフランス領になる前、ポルトガル領でカサブランカの街つくりはポルトガル人によって行われたためポルトガル語の地名になっています)

クーデンホーフ・カレルギー夫妻が渡米すると、彼らのスリルに満ちた反ヒトラーの逃避行がニューヨークタイムスの報道によって大評判になり汎ヨーロッパ主義の支持者も増え熱烈な歓迎を受けました。それにあやかってハリウッドの映画界も反ナチスの命がけの脱出逃避行と愛妻イダ・ローランのロマンスをもとに映画「カサブランカ」を作りあげたのです。

ただ、映画を観る限りは、その逃避行はあくまで背景説明に使われ、アメリカを象徴するハンフリー・ボガードが三角関係に悩むイルザから黙って身を引いたって感じで、ラズロはあくまで脇役でしたね。 うがった見方をすると映画の題名カサブランカもモロッコの最大の都市名ではあるんですが、アメリカの大統領の官邸である「ホワイトハウス」を暗に象徴しているように思えます。

by zoompac | 2017-05-21 08:47 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

WOWOW映画「JUNO」_アメリカのおおらかさを感じる女子高生腹ボテ映画!

f0090954_07373830.jpg「JUNO/ジュノ」は、2007年公開のアメリカ・カナダ映画で、監督はジェイソン・ライトマン。
口コミや賞レースで話題を呼び、2008年に興行収入1億ドルを超える奇跡の大ヒットとなった映画です。
ゴッサム映画祭、トロント国際映画祭上映作品で、 第80回アカデミー賞脚本賞受賞、作品賞、主演女優賞、監督賞ノミネートにまで大化けしました。

予期せぬ大ヒットとなったこの作品には、予期せぬ妊娠をしてしまった16歳の女子高生ジュノの9ヶ月間の成長が描かれています。 お父さん役がJ・K・シモンズでした。 「セッション」での鬼指導者/指揮者のイメージが強いのですが、この「JUNO」では娘想いのおおらかで優しい父親を演じていました。

当初は7館のみの公開だったようですが、口コミで話題を呼び、2008年1月には2400館を越え、配給会社であるフォックス・サーチライト・ピクチャーズの歴代1位の興行収入となった奇跡の映画作品となりました。

また、同映画のサウンドトラックもビルボードの総合アルバム・チャートで見事に第1位に輝く大ヒットを記録し、嬉しい嬉しい大誤算が続きました。

赤裸々に綴られたアメリカの高校生生活映画としては、同じくエレン・ペイジが主役を演じた「ローラーガールズ・ダイアリー」(2009年)と共にこの「JUNO」が私にとっての双璧です。

パンクロックとB級映画が好きな平凡な女子高生が、意図せずできてしまった赤子を産んで里子に出すことを決め、決めたら迷わず、そのことを成し遂げるというちょっとマネのできなさそうな物語でした。

よくも悪くも、子を産んで、それを里子に出して、また普通の恋する高校生生活に戻る、そのジュノのドライさと明るさに圧倒され苦笑を禁じえませんでした。 なにもかも受け入れるアメリカ社会のおおらかさにも隔世感を覚えますが、反面、うらやましいとも思えました。日本の高校であれば学業を続けるのは体力的にも精神的にも困難ですよね。 進学校であれば学校当局が退学を勧めることもあるようですし学則で妊娠は退学と定めている高校もあるようです。

JUNOのような女子高校生の選択がアメリカで一般的とも思えませんが、そうした里子のやりとりが新聞広告を通じて行われるというよくも悪くもアメリカの社会の広くておおらかな包容力を見せられた映画だったとも言えます。 保守的な面をもつ一面、その反対の自由闊達さとの振幅の大きさが日本人の想像を超えるのがアメリカという移民国家なのかもしれません。

by zoompac | 2017-05-16 07:38 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

潜入捜査官映画_私が観た傑作5作品

f0090954_06342648.jpg潜入捜査官という存在そのものがドキドキで、このテーマを扱った映画作品はたくさんあります。 これまで、私が観た映画から5作品を選んでみました。

①インファナル・アフェア
私の観た中では、香港映画のインファナル・アフェアがベストですね。若き日のトニー・レオンとアンディ・ラウがとにかく恰好いいし、話の展開がまさに仁義なき戦いで度肝を抜かれます。インファナルとは「地獄の」という意味で、アフェアは「出来事」ですが、香港映画での表題は「無限道」になっていました。「無間地獄」ってやつですね。ちなみにシリーズ2作目は「無間序曲」、三作目が「終極無限」になっていました。第三作目には、中国の大物俳優チェン・ダオミンまで登場して、またまたとんでもない仕掛けが用意されていました。

猥雑な香港の街のにおい、もっと言えば なまあたたかい血のにおいを感じさせられる一方で仏教感の漂う映画でした。香港、中国にまたがる黒社会の描き方もその駆け引きの心理描写も見事で、まさに タイトルの 「無限地獄」がぴったりくる映画です。

登場人物のほとんどが死に絶えたシリーズ3作目を観てはじめてホントの「地獄」の意味を実感するという仕掛けにも感心しました。

ちなみに、無間地獄とは大悪を犯した者が、死後絶えることのない極限の苦しみを受ける地獄のことで、仏教で説かれている八大地獄の八番目にある最も恐ろしいとされる地獄のことです。

②ディパーテッド
ディパーテッドは、死んでしまった人という意味で、潜入捜査官としてそのボスが亡くなったりしたら誰もその人が警官だったなんてわからないという、まるでインファナル・アフェアのトニーレオンの役を暗示するような題名ですね。
①のリメイク作品に関わらず、アカデミー作品賞を獲得してしまったという作品です。それだけオリジナルが優れていたということにもなりますが、本作は登場人物などに変更を加え、よりアメリカナイズされたダイナミックな作品になっています。そうそうたるキャスト(監督・製作はマーティン・スコセッシ。出演はレオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォルバーグ。)が集結し、雰囲気も華やか。良くも悪くもアメリカ的な映画に変身しています。「男は死ぬまで正体を明かせない」というキャッチコピーが「デパーテッド」の意味をよく表しています。
マサチューセッツ州ボストン南部を舞台に、警察に潜入したアイルランド系ギャング組織への内通者の男とアイルランド系ギャング組織に潜入した警察官の数奇な運命を描いたサスペンス映画でした。

③フェイク
ジョニー・デップ演じるFBI捜査官が偽名を使ってマフィアの中に入って捜査をする映画です。サスペンスというよりは、男と男のせつない友情ドラマという趣きの強く、最後までその警官を仲間と信じつづけたマフィア役のアル・パチーノがお人好し過ぎて逆になんともやるせなさを感じる映画でした。
ちなみに、1997年に制作されたこのアメリカ映画は、マフィアのボナンノ一家に「ドニー・ブラスコ」の変名で6年間潜入し、彼らの大量摘発に貢献した連邦捜査局(FBI)の特別捜査官、ジョー・ピストーネ(英語版)の実録手記「Donnie Brasco: My Undercover Life in the Mafia」に基づいたものです。この潜入捜査が発覚後、しばらくマフィアから懸賞を懸けられ、潜伏を余儀なくされた実話であったことが印象に残った映画でした。

④フェイスオフ
去年のTVドラマですが、栗山千明主演で『コピーフェイス〜消された私〜』(コピーフェイス〜けされたわたし〜)というTVドラマがNHKで放映していました。こちらは、女性記者が飛行機事故か何かで誤って亡くなった他人の顔に整形手術で変えられる話です。その顔が、たまたま彼女が取材していた有名な整形病院の社長夫人の顔だったので、その顔のまま夫人に成りきり潜入調査をするという筋立てでした。

映画「フェイスオフ」は、息子殺しのテロリスト(ニコラス・ケイジ)の行方を執念深く追っていたFBI捜査官(ジョン・トラヴォルタ)が、やがて彼が弟とともに空港から逃亡を図るとの情報を掴み、罠を張って激戦の末逮捕するところから話が始まります。ついに宿敵を逮捕したのですが、テロリストは意識不明状態となっています。そんな最中そのテロリストがロサンゼルスに細菌爆弾を仕掛けていたことが判明しました。情報のカギはテロリストの弟ですが、彼は話をはぐらかし、爆弾の在り処を聞き出すことができません。苦慮した末FBI捜査官はテロリストの顔を自分に移植してなりすまし、弟が収監されている刑務所に入獄して兄として情報を聞き出すことを決意します。しかしそこに腰を抜かす程びっくりの大どんでん返しが起きます。ネタバレ容赦!なんとテロリストがFBI捜査官の顔で現れるのです。しかも、彼は自分で仕掛けた爆弾をFBI捜査官に成りきって自ら解除し英雄となっていました。

刑務所を出ることもできず、自分の顔や地位、家族までも奪われたFBI捜査官は、自分に成りすましたテロリストに復讐をはたすべく脱獄し戦いを挑むことになります。これって死んでしまって存在しないのと同じという意味で究極のデパーテッド状況ではないでしょうか? 4番目にランクしましたが、この映画、結構いけていました。

⑤北北西に進路をとれ
アルフレッド・ヒッチコック監督の映画で、その後の映画007シリーズに影響を与えた作品です。 オトリ捜査のため架空にでっち上げられたスパイと間違われてギャングから狙われた男(ケーリー・グラント)が、そのギャングの中に政府機関から潜入捜査官として送り込まれた女性(エヴァ・マリー・セイント)と協力してギャングに立ち向かう話でした。彼女は、ギャングの持つあるものを盗み出すため潜入していたのですが、ギャングから疑われはじめていたのです。その架空のスパイを登場させてギャングを攪乱しようと思っていたのですが、そのスパイと間違われた男の出現にまさにギャングは攪乱させられて、無事その勘違いされた男と女潜入捜査官とで目的達成一件落着という映画でした。
歴代大統領の顔が岩に刻まれた巨大なモニュメントのある岩場でギャングとの修羅場を無事切り抜けた後、画面が切り替わって、寝台車のベッドの上でその男と女潜入捜査官が抱き合うシーンでチャンチャンと幕になる最後がとても印象に残った映画でした。


by zoompac | 2017-05-15 06:35 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

WOWOW映画 「アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅」_今がすべて!

f0090954_05384236.jpgティム・バートン監督が「不思議の国のアリス」をもとに描いた大ヒットファンタジー「アリス・イン・ワンダーランド」の続編です。

今回のテーマは「時間」でした。

「時間が必ず解決するのよ。どんなに苦しい出来事だって・・・」とは、敏いとうとハッピー&ブルーの演歌「わたし祈ってます」の一節ですが、この映画は、悲しい過去にとらわれたマッドハッター(ジョニー・デップ)を救うため、時間を遡る(さかのぼる)旅に出るアリス(ミア・ワシコウスカ)の姿を描く物語でした。

赤の女王(ヘレナ・ボナム・カーター)の顔が何故あのように大きいのか、小顔の白の女王(アン・ハサウェイ)と赤の女王のそもそもの仲違いの原因は何だったのかという興味深いエピソードもアリスの時間を遡る旅で明らかになってきます。

アリス(ミア・ワシコウスカ)が過去に時間を遡るとき、追いかけてきたタイムは「時間と競争しても勝てるわけがないぞ!」と言っていました。

その言葉通り、過去に戻っても過去そのものを変えることはできなかったのですが、その代わりにアリスは、過去から学ぶことができる、今であれば将来を変えることができることを学びました。

そうです。 大事なのは時間が与えてくれる今を一生懸命に生きることなのです。 過去から学んだ教訓を活かして、今、何かを成すことで未来は変えられるという教訓がこの映画にはあったように思います。

過去から学んだ教訓を、未来に活かすため、今の時間としっかり向き合わないということは、何よりももったいないことなのかもしれませんね。

時間は、人からどんどん若さを奪っていくというのも事実ですが、多く生きると、それだけ出会いの喜び(孫の誕生とか)も与えてももらえます。

時間について思いを馳せるいいきっかけとなった映画でした。

「人生とは今日一日のことである」 デール・カーネギー

「明日死ぬかのように生きよ、そして永遠に生きるかのように学べ」 マハトマ・ガンジー

前作の「アリス・イン・ワンダーランド」が2010年公開で主演のミア・ワシコウスカはまだ19歳でした。第2作目の今作が2016年公開で彼女も26歳です(2017年現在で27歳)。 7年の年月が、白の女王(アン・ハサウェイも今や34歳です)から美しさを、アリスから初々しさを奪い取った気がしたのは私だけでしょうか? 「今が一番若い!」「やはり、今か!」

by zoompac | 2017-05-10 05:54 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

封切り映画 「美女と野獣 2017」_絢爛豪華な夢心地の王道ミュージカル

f0090954_11495108.jpgTOHOシネマズ日本橋で観ました。

ドルビー音響のワイドスクリーンで、いつものシニア料金より200円アップの1300円でしたが、大満足の音響と絢爛豪華な画質でした。

名作ディズニーアニメ「美女と野獣」を、「ハリー・ポッター」シリーズのエマ・ワトソン主演で実写映画化したものです。 エマ・ワトソンは知的で華麗でした。

2014年のフランス映画の「美女と野獣」は、野獣役にバンサン・カッセル、ヒロインのベル役はレア・セドゥーでしたが、兄弟・姉妹がいたり、お父さんも船乗りだったりで異なる家族背景でした。 レア・セドゥーのベル役の印象が薄かったのですが、エマ・ワトソンのベル役は印象的でした。

何より、エマ・ワトソン版はベルが大の読書家で(城の図書室の蔵書の豊富さに彼女が欣喜雀々するさまがキュート!)、その読書を通じて野獣王子と心を通じていくプロセスが気に入りました。知的好奇心と優しさを併せ持つ自立心旺盛のベルをエマ・ワトソンが見事に演じていました。

俳優たちと共演する置時計や燭台、ティーポットの擬人化も見事でした。呪いを解かれて人間に戻った家来の顔ぶれなども、わくわく感を持たせてもらいました。 丁寧に描かれていてこうした小物達が名脇役として素晴らしい歌声と音楽で盛り上げてくれるお城での食事シーンの豪華絢爛さにも瞠目させられました。

なんといっても、2014年のフランス版の「美女と野獣」との大きな違いは、この2017年版「美女と野獣」がミュージカルだということです。 画期的な手法の「ラ・ラ・ランド」とは違う、どちらかといえばむしろ古風な造りのミュージカルですが陶酔と高揚感はむしろ「美女と野獣」に軍配です。

エマ・ワトソンの歌もよかったし(「マイ・フェア・レディ」のオードリーの歌より随分肩の力を抜いて聴けます。)、意外感があったのはポット夫人のエマ・トンプソンの歌が素晴らしかったことです。

私は1991年に公開されたアニメ版「美女と野獣」を観ていないのですが、そのアニメ版で作曲賞と歌曲賞を受賞した「美女と野獣(BEAUTY AND THE BEAST)」を始め、「Belle」、「ひとりぼっちの晩餐会」、「Be our guest」など数々の名曲がこの2017年版でも残されています。 そのアニメ版で歌曲・作曲を担当したアラン・メンケンが、この2017年実写版では新たに3曲を加えてくれています。

「デイズ・イン・ザ・サン~日差しを浴びて~」(城の住人達がかつての幸せな日々を思いながら歌うナンバー)、「ひそかな夢」(野獣が解放したベルの後ろ姿を見つめながら歌う切ないバラード)と、「時は永遠に」(ベルと父モーリスの過去が明かされるシーンとエンド・クレジットで流れます。エンド・クレジットの歌は、91年のアニメ版で歌姫として大ブレイクしたセリーヌ・ディオンが歌っています。)

アラン・メンケンは歌曲賞・作曲賞等アカデミー賞にこれまで19回ノミネートされ8回受賞の常連ですが、この「美女と野獣2017」で早くも9回目の受賞の呼び声が高まっています。

ミュージカルに情熱と類まれなる蘊蓄を持つ「シカゴ」の脚本担当、「ドリームガールズ」の監督を務めたビル・コンドンがメガホンをとり、呪いで野獣の姿に変えられた王子(ダン・スティーブンス)と美しく聡明なヒロインのベルが惹かれ合っていく姿を描いていました。

ゴールデン・ウィークに遊びにきた孫嬢は、お泊りがなかったのでこの映画を一緒に観れませんでしたが、機会があれば、1991年のアニメ版を一緒に観て、そしてこの実写版もいずれDVDで観たいと思った映画でした。(孫嬢が「モアナと伝説の海」を怖がったため、この「美女と野獣」も怖がるに違いないと推測されました。今年の4月からぴかぴかの小1生です。)


by zoompac | 2017-05-07 11:50 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)
RELEASE INFORMATION NEW ALBUM

[通常盤]「Now On Sale!!」
TOCP-66380/¥2,548(税込)

[DVD付 初回生産限定盤]
「Now On Sale!!」
TOCP-66381/¥3,500(税込)

NEW SINGLE
WMP HIGH LOW
REAL HIGH LOW
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海外オフィシャルサイト
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