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映画 「ラスト・プリンセス ~大韓帝国最後の皇女~」_日本の植民地支配に埋もれた悲劇

f0090954_06004194.jpg新宿三丁目の「新宿シネマート」で観ました。

塚本哲也氏の「エリザベート ハプスブルク家最後の皇女」のイメージが残っていて、この映画の題名に興味を持ちました。

描かれていたのは、李氏朝鮮最後の王女の波乱の人生でした。1910年の日韓併合後の1912年、日本統治時代、大韓帝国の初代皇帝・高宗と側室である福寧堂梁貴人との間に生まれたのが主人公の徳恵翁主です。ちなみに翁主(オンジェ)は、王の側室から生まれた王女のことで、正室から生まれた王女は公主(コンジェ)となります。

1925年に12歳で日本留学、1931年に18歳で日本人と結婚、戦後も長く帰国を拒まれた徳恵姫(翁主)を淡々としたノンフィクションタッチながら、静謐な恋愛劇を軸に対日運動を絡め、撃ち合いを交えた逃亡劇を盛込む等やや荒っぽい味付けにしていました。

歴史に翻弄されながらも故郷を思い続けた大韓帝国最後の皇女が遂に韓国の空港に降り立ち多くの侍女に迎えられるシーンは涙なしにはみれませんでした。

映画は粗削りですが、歴史の中に埋もれて、日韓両国民の多くから忘れ去られた「徳恵翁主」を掘り起こしてくれた監督には感謝したいですね。

日韓でこの物語を捉える視点にはズレがあるかもしれませんが、日本の植民地支配の裏側にこのような悲劇が埋もれていたという事実は動かせません。

主役は「私の頭の中の消しゴム」のソン・イェジン、監督は「八月のクリスマス」のホ・ジノ、日本からは戸田菜穂が徳恵翁主の母違いの兄「英親王」の妻「李芳子」として出演していました。 梨本宮方子が結婚して李芳子として住んだ家は今も赤坂プリンスホテルの旧館として残っていますが、映画でもしっかり映っていましたね。 余談ながら、NHK韓国映画「オクニョ」での準主役格のユン・テォン役を演じているコ・スも反日運動家の徳恵の甥役として出演していました。


# by zoompac | 2017-07-12 06:01 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「蛇の王(下)」 東郷隆_一時インドで暗躍していた殺人カルト集団と東インド会社の物語

f0090954_05572966.jpg19世紀のインドに実在した殺人宗教団(タグ)を題材として描いた歴史・時代小説です。

このタグの実態を小説化しようと試みたアイルランド人作家が、インドの北部に幽閉されているタグの最後の首領・蛇の王(ナーガ・ラージ)ラージ・シンに面会し、彼の数奇としかいいようのない生涯を聴き取り取材をするという形式がとられています。

その殺人宗教団タグの起源は紀元前にまで遡ります。カーリー神を崇拝し、業に苦しむ人々を現世から抹消し、次の世に転生させることを教義としているのが殺人集団タグです。 黄色い布で相手の首を絞めて殺害するタグはその点単なる殺人強盗集団ではありません。死こそが平等であり救いであるとして、私利私欲を捨て、カーリー神の御心で殺人を儀式として行うのです。

ちょうど英国がインドの民から土地を奪い、飢饉を起こし、多くの命を奪っている状況との比較が興味深く描かれています。インドの各地で対英国独立運動の兆しが現れ、本来英国人を守るはずのインド人傭兵は英国から渡された武器を使って蜂起する動きも観て取れます。

英国が、東インド会社と名乗る商館をインドに設置したのは1613年でした。虎視眈々とインドの植民地化を狙い、18世紀初頭にムガル帝国が崩壊してからは、本格的にインドを侵略していきました。 その後、1857年のインドの大乱を経て、インドの統治権をイギリス王室に譲渡し、1858年に解散しましたが、この「蛇の王」で、アイルランド人作家が聴き取りをしている時代背景は、東インド会社は撤退して、インドが英女王の直接統治を受けているときです。

殺人集団タグでラージ・シンが首領として台頭していく過去の話とその話を聴き取り取材しているときの不穏なインド情勢がシャッフルしながら緊張の物語が展開していきます。

少年時代のラージ・シンが、武具選びで宿命のように黄色い布を手にし、タグになったこと。 タグが集まった渓谷で、ナーガ・ラージと呼ばれる伝説の大蛇を倒し、「蛇の王(ナーガ・ラージ」の尊称を奉ら、クマールという美しい恋人を得たこと。父親が殺されたことを知り、復讐を果たしたものの、その過程でイギリス人に手をかけたことから、タグ狩りに執心するウィリアム・ヘンリー・スリーマン(実在の人物)に追われるようになったこと。 そして、激しい戦闘を経て、故郷の村に帰ったものの、ついに捕らえられてしまうこと。そして彼の幽閉が30年近く続いたこと等が語られていました。

軍人だったヘンリー・スリーマンは1835年から2年間タグ掃討作戦の指揮を執っていましたので、ナーガ・ラージもその頃捕らえられたと思われます。

インドの大地で繰り広げられた波乱万丈の「蛇の王(ナーガ・ラージ)」の人生が綴られていたのですが、当時のインドに関する克明な描写に加えて、英国の植民地政策のエピソード等も興味をそそられる内容でした。

# by zoompac | 2017-07-11 05:57 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

DVD映画「天国から来たチャンピオン」_「天国から来たQB」に生まれ変わるべし!

f0090954_05303986.jpg原作はハリー・シーガルの舞台脚本の「天国は待ってくれる(Heaven Can Wait)」です。 映画の原題も「Heaven Can Wait」なのだから、何でこの邦題なのか不思議ですよね。

「天国から来たチャンピオン」は1978年のアメリカのファンタジー映画ですが、1941年の「幽霊紐育を歩く」(原題: Here Comes Mr. Jordan)のリメイク版なのです。 この「幽霊紐育(ニューヨーク)を歩く」って邦題もどうかとおもうのですが、その原作が「Heaven Can Wait」で、原作の主人公がプロボクサーという設定だったのです。

「天国から来たチャンピオン」の監督のウォーレン・ベイティ(ビーティ?)は当初、モハメド・アリ主演での制作を予定していたようですが、断られたため設定をボクシングからアメリカンフットボールに変更し、ベイティ自身が主演も兼ねて制作することになったようです。それだったらこの邦題も「天国から来たクォーターバック」にすべきですよね。

クォーターバックとはアメリカンフットボールの攻撃の起点となるポジションのことです。 プレーの展開を図る重要な司令塔です。

輪廻転生とか蘇りとかの類ではないのですが、今回の第157回直木賞候補作になっている、瑠璃って名前の少女の記憶が次々に引き継がれていく佐藤正午の小説「月の満ち欠け」の中に、この映画が登場していたので気になってTsutayaで借りて観てみました。f0090954_05311123.jpg

映画の邦題は変ですが、なかなかいいファンタジー映画でした。

今年のアカデミー賞でとんだ読み違いをするハプニングを起こしたウォーレン・ベイティの若さにびっくりもさることながら、女優がいいですね。ラーラのテーマの音楽で有名なあの「ドクトル・ジバゴ」で「ラーラ」を演じていたジュリー・クリスティでした。

ポジションが「クォータバック」という答えで亡くなった元カレの蘇り(よみがえり)と察するところが偉い彼女でした。

今回、ネタバレを封じ込めました。 是非、ご覧になってください。 天国からの水先案内人が登場しますが、この映画がその先駆けだそうです。

# by zoompac | 2017-07-10 05:32 | スポーツ | Comments(0)

韓国歴史ドラマ「オクニョ 運命の人」_次から次へとよくまぁと視聴者を安心させない物語_展開の妙!

f0090954_08134644.jpg番組宣伝の謳い文句は、「朝鮮王朝時代の監獄“典獄署(チョノクソ)”を舞台に、そこで生まれたひとりの天才少女の波乱万丈な人生を描く歴史長編大作。 主人公のオクニョが数々の出会いと別れを繰り返しながら、母の死の真相を探り、自分の夢のため、愛する人のため、そして苦しむ庶民のために奮闘していく姿を描いたヒロインのサクセス・ストーリー。」です。

先週7月2日(日曜日)の第13話で、「あれっ?」と思ったシーンがありました。

ユン・テウォンを巻き込んだ謀反騒動の裏にチョン・ナンジョンとユン・ウォニョンが暗躍していると内禁衛(ネグミ:王室を警護する親衛隊)のキ・チュンスに告げ、文定(ムンジョン)大妃(テビ)に会わせてもらおうとしたオクニョでしたが、推測だけでは手出しできないと無下に追い返されてしまったのです。

濡れ衣を着せられて、捕盗庁(ポドチョン:犯罪を取り締まる官庁)で厳しく尋問されるユン・テウォンを救うには、テビ様の力添えが必要だと思ったオクニョでしたが、チェタミン(特殊部隊/諜報部隊)のパク・テス殺害の真相探求のためにはオクニョにあれほど親切だったキ・チュンスが手のひらを返すような冷たい態度でした。ちょっと驚かされましたね。

これまでのいきさつから困ったときのオクニョの駆け込み寺=文定大妃(ムンジョン・テビ)様という視聴者の思い込みにあっさりカワズ掛けを喰らわせました。 味方と思えば敵、敵と思えば味方というイ・ビョンフン監督の自家薬籠中の技ですね。

ここらあたりが、日本の時代劇、たとえば「水戸黄門」のようなシンプルで安全安心な勧善懲悪劇とは大いに異なるところです。

それで思ったのですが、テビ様もいろいろ理由(ワケ)ありで、完全にオクニョの味方とはいえないのではないかということです。 ある意味、チョン・ナンジョンとユン・ウォニョンと同じ穴のムジナっぽいです。 そうでなければ明の特使の暗殺に関わるはずがありません。 案外、オクニョの母親殺害の黒幕も彼女かもしれないとまで思ってしまいました。

これまでの韓国歴史ドラマのパターンからすると、典獄署(刑務所)で生まれ育ったオクニョが王家の血筋って線も大いにありでしょうしね。

私の想像はさておき、波乱万丈の物語の展開をハラハラドキドキしながら観ています。

韓国ドラマは白黒の敵味方の構図を視聴者に刷り込んで、すぐにそれをひっくり返す意外性の連続ってパターンを理解しつつも、その展開のアイディアにはいつも感心させられ、監督の術策にまんまとはまっています。

平均視聴率は17.3%(16.5%~22.6%)だそうです。

NHK大河ドラマ「女城主直虎」はここ4週連続で12%台ですから、韓国歴史ドラマに圧倒されていますね。

ちなみに朝ドラ「ひよっこ」の視聴率は、18~19%です。

余談ですが、今日から始まるTBSの新作ドラマ「ごめん愛している」は大ヒット韓国ドラマを原作にしたリメイク版のようですね。 日韓を舞台に、長澤智也、吉岡里穂、坂口健太郎等が出演しています。

TBS日曜劇場は9:00からでこの「オクニョ」と重なっていますので、録画して月曜日に観るようにしています。 前作の長谷川博己主演の「小さな巨人」も面白かったです。

# by zoompac | 2017-07-09 08:14 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

WOWOWTVドラマ「三国志~趙雲伝~」_美人女優百花繚乱!

f0090954_08104414.jpg「ケニー・リン、ユナ(少女時代)出演、総製作費約40億円を掛けて描く超大作歴史ドラマ。三国志の時代、蜀随一の武将といわれた趙雲(趙子龍)の成長と活躍、恋愛を描く。」というのがWOWOW番組宣伝での謳い文句です。

放送スケジュールをみると全50話で8月末に終了予定です。そして2話づつ放送していますが先週33話と34話でした。

半ばを過ぎ終盤に入りつつあると思うのですが、まだ蜀の劉備玄徳陣営に入っていません。「いつまで史実と無関係の山賊と戦っているんだよ」と突っ込みたくなるのですが、それはそれで史実でも正体の不明な趙雲の話ですからよしとして見続けています。

三国志とか水滸伝とかの武侠物は、血湧き肉躍る男の世界で、生半可な恋物語は御法度が通例のことと思っていたのですが、この「三国志 趙雲伝」はその点、思い切り異色といっていいでしょう。美女がこれでもかこれでもかと登場し、番宣謳い文句にある通り、趙雲(趙子龍)(ケニー・リン)の成長と活躍、そして夏侯軽衣(ユナ)との恋愛をしっかり丁寧に描いています。f0090954_08110164.jpg

とりあえずわんさか登場する美女たちの写真を参考までに掲載しておきます。順番は次の通りです。

趙雲の想い人である夏侯傑の娘「夏侯軽衣」、趙雲の幼馴染の柳慎の妹「柳擎児(りゅうけいじ)」、公孫瓚の娘「公孫宝月」、師匠李全の娘「李飛燕」、そして董卓を呂布に殺させる「連環の計」を演じた「貂蝉」です。

もう一つ、物語のポイントとなるのが、「楽毅百選術」という軍略の巻物です。楽毅は、三国時代魏の夏侯玄が「楽毅論」を著し再評価され、その後、書家の王羲之がかの名書体で写し有名になっています。諸葛孔明が軍師の鏡として楽毅を尊敬していたことは有名な話です。このドラマで執拗にこの軍略巻物を探し求める夏侯傑は架空の人物ですが、実在の夏侯覇(夏侯淵の子でのちに蜀に寝返る)をモデルにしているという説もあります。そうすると、夏侯玄 の父親の夏侯尚の伯父(叔父)である夏侯淵がこのドラマの夏侯傑 ということになります。そうするとこれほど「楽毅百選術」という著作にこだわったのも、夏侯玄の「楽毅論」に結実するってことで腑に落ちます。

f0090954_08122192.jpg
三国志演義で、趙雲の得物は青紅(せいこう)剣だったように記憶しています(勘違いかもしれません)。この物語の冒頭で、護国神器の2本の宝剣、倚天(いてん)剣と青紅(せいこう)剣が登場していました。漢帝国、存亡のとき。太師、董卓(とうたく)の専横に身の危険を感じた若き皇帝少帝(しょうてい)が、倚天剣を趙雲の父趙安(ちょうあん)に、青紅剣を趙雲の師匠李全(りぜん)に託していました。

趙雲の想い人夏侯軽衣の父である夏侯傑が董卓の命を受け仮面を被って趙雲の父趙安(ちょうあん)を殺して倚天剣を奪います。趙雲の想い人夏侯軽衣は、したがって趙雲の父親を殺した仇の娘だったのです。それを薄々察している師匠の李全は、趙雲と夏侯軽衣の仲を裂こうとするのですが・・・・。f0090954_08125357.jpg

それはともかく、今の時点では、趙雲が使っている武器は、槍です。師匠李全、父趙安、そして父の仇の夏侯傑3人の師匠だった楽淵から譲り受けた百鳥朝鳳(ひゃくちょうちょうほう)槍です。趙雲が無双の強さを身に着けたのも絶命谷という秘密の場所で楽淵から直に手ほどきを受けたためでした。

f0090954_08132028.jpg趙雲の得物が百鳥朝鳳槍だと知った夏侯傑は彼が探し求めている「楽毅百選術」も彼の師匠「楽淵」が持っていたため、趙雲が隠し持っていないかと疑います。

その夏侯傑の手先となって動いているのが、夏侯傑が娘「夏侯軽衣」の婿として認めている「高則」です。小出恵介似の韓流俳優のキム・ジョンフンが「高則」を演じています。小出恵介は未成年少女との交友問題で俳優活動無期中止ですが。f0090954_08161739.jpg

さてさて、今後は劉備玄徳の下に馳せ参じて大活躍が待たれる趙雲ですが、その前に親の仇「夏侯傑」、師「李全」の仇「高則」との決着、「夏侯軽衣」との恋の行方が気になります。

諸葛孔明の伏龍に対して、鳳雛(ほうすう)と呼ばれた軍師龐統(ほうとう)が、先週から登場しています。今週といっても今日ですが、趙雲を劉備玄徳陣営まで導いてくれそうな予感がしています。


# by zoompac | 2017-07-08 08:29 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

TsutayaDVD映画「うたかたの恋」_ハプスブルク家最後の後継者ルドルフの情死

f0090954_05331368.jpg「うたかたの恋」(原題: Mayerling )は、1936年のフランスの恋愛映画です。

1889年に起きたオーストリア=ハンガリー帝国の皇太子ルドルフ(シャルル・ボワイエ)と男爵令嬢マリー・ヴェッツェラ(ダニエル・ダリュー)の心中事件(マイヤーリング事件)を題材にしたフランスの作家クロード・アネの1930年の小説『うたかたの恋』を原作としています。

大流行した同時代の映画「会議は踊る」と違い、この「うたかたの恋」は、戦前の日本では皇室のスキャンダルを扱った恐れ多い作品とされ検閲により上映禁止になってしまいました。日本で公開されたのは戦後1946年になってからでした。

情死したこと有名な皇太子ルドルフですが、当時の欧州情勢の分析や外交能力は優れていたようです。彼はジャーナリズム関係の友達が多く欧州全域にわたって広い情報網をもっていました。反ドイツ主義の先鋒でトラと呼ばれたフランスのクレマンソーとも親交がありました。

映画では、因習と頑迷のみが支配する宮廷生活に背を向け社会主義運動に没頭する反体制的(反抗的な?)なルドルフが描かれ、その一方で、「戦争は他家に任せておけ。幸いなオーストリアよ、汝は結婚せよ」というハプスブルク家の家訓に従ってベルギー皇女を妃として迎えることに同意するルドルフの複雑な性格の二面性を対峙させていました。

そうした葛藤が、男爵令嬢マリー・ヴェッツェラとの出会いでバランスを失い、父親フランツ・ヨーゼフ皇帝に対する反目がますます強まり、やがて純粋な愛に生きがいを見出し、その純粋さを求めて死に急ぐ道を邁進することになってしまいます。

塚本哲也の「エリザベート ハプスブルク家最後の皇女」に登場する”エリザベート”のお父さんが皇太子ルドルフです。 ちなみにそのエリザベートのお母さんがルドルフが両親から勧められるるままに娶ったベルギー皇女(ステファニー妃)でした。

宝塚歌劇団の「エリザベート~愛と死の輪舞(ロンド)」で有名なシシィの愛称で知られるエリザベートは、皇帝フランツ・ヨーゼフの妃です。すなわち彼女はルドルフの母であり、塚本哲也がハプスブルク家最後の皇女と呼ぶエリザベートの祖母にあたります。

この「うたかたの恋」も宝塚歌劇団によって上演されているミュージカル作品の一つで、初演は1983年で、その後、幾度か再演を繰り返されていますが、人気は圧倒的に「エリザベート~愛と死の輪舞(ロンド)」の方が上です。

「エリザベート~愛と死の輪舞(ロンド)」は1996年に初演、その後チケットが取れないほどの人気を博し、2016年には上演900回を達成しています。この大人気の演目で、女性を中心に「ハプスブルク帝国ブーム」がおき、その華麗な宮廷生活への憧れなどからオーストリア・ウィーンへの観光客増加を引き起こしたことも有名です。

「うたかたの恋」の映画は、1957年にはオードリー・ヘップバーン(ルドルフの愛人男爵令嬢マリー・フォン・ヴェッツェラ役)とメル・ファーラー(ルドルフ役)の共演でアメリカ映画「マイヤーリング」としてリメイクされ、その後、1968年にイギリス・フランス合作のリメイク版映画「うたかたの恋」も、ルドルフ役にオマー・シャリフ、マリー役にカトリーヌ・ドヌーヴで上演されています。

塚本哲也の「エリザベート ハプスブルク家最後の皇女」には、映画ではなかなか伝わらないルドルフの先見性の高さと国際性が描かれていました。そうした背景知識があったからこそみれた映画で、そうした知識抜きでは物足りなさを感じたかもしれません。

# by zoompac | 2017-07-07 05:34 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

DVD映画「会議は踊る」_ナポレオン失脚後のウィーン会議!

f0090954_05575031.jpgこの「会議は踊る」は1931年の作で俗にオペレッタ映画と呼ばれるものです。音声入り映画(トーキー)のごく初期の白黒作品になります。

オペレッタとは台詞と踊りのあるオーケストラ付き歌劇のことで、原則としてオペラ系の声楽家、合唱団、オーケストラによって上演されます。

ナポレオン・ボナパルト失脚後のヨーロッパの再編を議した1814年のウィーン会議を時代背景にしたこのドイツ映画は、1933年に誕生したヒトラー政権からは退廃的だという理由でドイツでは上映禁止になりましたが、日本では1934年に配給され、太平洋戦争の初期の1942年頃まで何度も公開されました。

私の母のお気に入りの映画の1つでもありました。

日本での封切り以来、第二次世界大戦に徴兵された年代の若者らの世代にまで好まれた。とりわけ、1940年以降に米英の文化が敵性文化として排斥されるなかで、ヒトラーは上映禁止にしていたことを知ってか知らずか、日本では同盟国ドイツの文化作品として許可されていた外国映画の象徴的存在となっていました。

青春時代に文化的に閉塞化した学徒出陣の世代にはドイツ語で歌える者が多くいました。第二次世界大戦以前は、旧制高校や旧制中学では英語以外もドイツ語を外国語として教え、かつ法学や哲学、医学や理化学、工業の技術分野においてドイツ語が現在以上に学術用語として学校や社会で重んじられていた為です。

この映画の2つの主題歌「新しい酒の歌」と「唯一度だけ」とを組みあわせたSPレコードが当時日本でも市販され、非常な評判になりました。映画では居酒屋の歌手が歌った「新しい酒の歌」を、レコードではロシア皇帝アレクサンドル一世とその替玉の二役を演じたのヴィリー・フリッチが吹きこみ、「唯一度だけ」は、リリアン・ハーヴェイ(手袋屋の娘クリステル)が映画版の短縮版を歌いました。

また、映画ではワルツ「天体の音楽」(ヨーゼフ・シュトラウス作曲)がテーマ音楽として使われ、主題歌「新しい酒の歌」にもワルツ「わが人生は愛と喜び」(ヨーゼフ・シュトラウス作曲)のメロディーが使われました。f0090954_05582469.jpg

映画「会議は踊る」の題材になった「ウィーン会議」はナポレオン失脚後(当時エルバ島に幽閉)の1814年に開催されました。その主要目的は、ナポレオンによって蹂躙されたヨーロッパの平和と秩序をどう構築していくかを諸国が一堂に会して決めることでした。特にナポレオンに占領され併合された国々の国境線を満足いくように再編することが各国の最大の関心事でした。

オーストリアのメッテルニヒ首相兼外相が議長を務めたこの会議は、各国の利害と思惑が交錯して結論がいつまでも出ず、1814年年の9月から翌年の6月まで約10ヶ月に渡って延々と続くことになりました。

しかも、舞台裏の駆け引きということで、連日のように宴会や舞踏会が繰り広げられました。これを揶揄して「会議は踊る、されど進まず」と評され、その言葉の一部がこの映画の題名となりました。

この会議に参加した人数は会議関係者だけでも700人余といわれ、2人の皇帝(フランツ・オーストリア皇帝、アレクサンドル・ロシア皇帝)、4人の王(プロイセンのフリードリヒ3世等)、215人の中小国の諸公候が含まれました。お付きの侍従、女官等を加えると1万人を超えた人々がウィーンに集結したことになります。 当然、ウィーン市内は人々と馬車で大賑わいとなり、さほど大きくないウィーンの街はホテルや宿舎がパンク状態で食費などの物価の高騰からインフレまで引き起こしました。

会議の主催国オーストリアは莫大な出費負担となりましたが、スポンサーにはロスチャイルドがついていました。それに議長のメッテルニヒも経済観念に薄いところがあり、戦争に比べると戦死者も出ないし、平和構築のためひとのためになることなので安いものだと達観していたそうです。

この会議の主賓はロシア皇帝アレクサンドル1世でした。ナポレオンを打ち破ったロシアがヨーロッパに発言力を強めることを警戒したメッテルニヒは、フランスのタレイランや英国とスクラムを組んで丁々発止の交渉力を発揮していくのですが、映画ではそのあたりはシンプルな味付けにしていました。

メッテルニヒが盗聴したり、舞踏会等の社交に忙しく出席者の少ない会議で重要事案を自分の思惑通り承認可決したりしていますが、ロシア皇帝アレクサンドル1世もさるもので、替え玉を使ってメッテルニヒに隙を見せません。(実際に、この二人はお互いを嘘つき野郎と罵り合い、年長のフランツ皇帝が仲裁した有名なエピソードがあります。)

映画は、「ウィーン会議」を巡るメッテルニヒとロシア皇帝アレクサンドル1世の主導権争いと束の間のアレクサンドル1世とウィーンの町娘クリステルとの恋物語を組み合わせた構成となっていました。

ちなみにロンバルディアからベネト州を含むヴェネツィアをオーストリアが獲得したのはこの会議の成果でした。ロシアはポーランドの大部分とフィンランドの宗主権を手に入れました。オーストリアにとってもロシアにとってもウィンウィンの成果が上がった会議だったようですね。

その後約100年に渡ってヨーロッパに平和をもたらしたウィーン会議の成果については、ドイツ系ユダヤ人で米国に亡命しニクソン政権およびフォード政権期の国家安全保障問題担当大統領補佐官、国務長官として活躍したハーバード大教授の国際政治学者ヘンリー・キッシンジャーも彼の代表的な著書「回復された世界平和」の中で高く評価しています。


# by zoompac | 2017-07-06 05:58 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

WOWOW映画「第三の男」_第2次大戦後の四ヶ国統治下のウィーンが舞台

f0090954_05474480.jpgこの映画は去年の2月に一度観て、2月6日に感想記事をブロブにアップしています。

ただ、最近読んだ塚本哲也氏の「エリザベート ハプスブルク家最後の皇女」に、第二次世界大戦後10年に渡って米、英、仏、ソの四か国共同統治時代のオーストリア・ウィーンの状況は映画「第三の男」によく描かれていると書いてありましたので、もう一度観ました。

「エリザベート ハプスブルク家最後の皇女」を読む前と、読んだ後では、この映画に対する見方、関心の角度が若干広がったような気がしました。

「第三の男」は、イギリス人作家グレアム・グリーンのオリジナル脚本を名匠キャロル・リードが映画化したフィルムノワールです。1949年公開の作品です。

作品のテーマ曲となったアントン・カラスの演奏(ツィター/チターというオーストリア民族楽器を使用)や光と影を効果的に用いた映像美、アップになったハリー・ライム役のオーソン・ウェルズのアップ顔等ですっかり有名ですよね。

第2次大戦終戦直後のウィーンが舞台です。その頃のウィーンはアメリカ・ソ連・フランス・イギリスの4ヶ国が勝手に分割統治していました。リング・シュトラーセ(環状道路)に囲まれたインナーシュタット(中心部)は、この第二次大戦で凱歌をあげた4大国が1カ月交替で治安し、それぞれの国の兵士が夜陰の都市をパトロールしていたのです。

ハプスブルク家が統治していたかつての美しく華やかなウィーンはすっかり陰を潜めてしまっていました。キャロル・リード監督の下、この白黒映画のカメラワークは戦争の爪痕たる廃墟を隠さずに光と影を織り交ぜて写実してくれました。そこへアントン・カラスのチターの演奏が甘くも激しくも入ってきます。(条件反射的にエビスビールが飲みたくなってしまいますけど。)映画『第三の男』の始まりです。そのウィーンに親友ハリー・ライムを訪ねてきたアメリカ人作家のホリー(ジョセフ・コットン)が物語の狂言回し役です。

ハリーの家に着くと守衛からハリーは交通事故で死亡したといきなり告げられます。

腑に落ちないホリーはウィーン中の関係者をあたり、真相究明に奔走することになります。 その過程で、故ハリーの愛人(アリダ・バリ)に出会い、次第に惹かれていきます・・・・・・・・・・。

出演はジョセフ・コットン、アリダ・バリ、そして謎の男ハリー・ライムにオーソン・ウェルズでした。49年のカンヌ国際映画祭ではグランプリを受賞しています。

戦争によって倫理観が歪められた男の影がクローズアップされた映画でした。

地下水道を逃げるハリーの顔と影も印象的でしたが、ラストシーンに大きなインパクトがありました。 男と女の溝の深さをえぐったような結末が訪れるまで微妙な時間が流れます。

ハリー・ライムの葬儀の後、落ち葉が舞い散る墓地の並木道が画面いっぱいに映し出されます。

友であるハリー・ライムを裏切ることで女性のパスポートを取り返し彼女の窮地を救ったはずでした。

その愛する女性をその並木道で待つ男・ホリーが手前の左端に映っています。 並木道の彼方から手前に歩いてくるその女性は、しかしながら自分の恋人だったライムへの裏切りを許すことは出来ないということなのでしょうか、 男の前を無言で一瞥することも無く歩き去って、ジ・エンドとなりました。

究極のシカトを強烈にかました幕切れでしたよ。

この長い長い約1分20秒のシーンで男女の心のうちを一言の台詞もなく表現したこのラストには、聞こえてくるのはアントンカラスの「第三の男」のテーマ曲と男の胸の鼓動、女の胸の内(怒り?)だけでした。

息詰まるラストシーンとはこのことですね。観た映画は数々ありますが、ラストシーンのインパクトの大きさではこの映画は十指にはいりますね。

強烈な最後っ屁に参ってしまいましたが、もう一つ、観覧車の場面でのハリー・ライムのセリフも強烈な印象でした。

「ボルジア家支配のイタリアでの30年間は戦争、テロ、殺人、流血に満ちていたが、結局はミケランジェロ、ダヴィンチ、ルネサンスを生んだ。スイスの同胞愛、そして500年の平和と民主主義はいったい何をもたらした? 鳩時計だよ」

水清ければ魚棲まず・・・ってところでしょうか? 悪が栄えてこそ文化が??? 悪の権現ヒトラーもスターリンも毛沢東も彼らの通った跡には文化どころかぺんぺん草も生えなかったと思うのですが。

# by zoompac | 2017-07-05 05:49 | Comments(0)

公開映画「ハクソー・リッジ」_強い宗教観に支えられた戦場での不屈の人命救助!

f0090954_05462394.jpg久々の109シネマズ木場で観ました。6ポイント溜まっていたので、ポイントで観させてもらいました。

今年2月に同じくアンドリュー・ガーフィールド主演の「沈黙」(マーティン・スコセッシ監督)を観たばかりでした。 「沈黙」が迫害される人々に救いを求め祈り続ける受動の映画とするなら、「ハクソー・リッジ」は激戦地のど真ん中で見捨てられる運命にあった負傷兵を救出する行動の映画でした。

「プライベート・ライアン」や「スターリングラード」のように冒頭から、胸の悪くなる臨場感溢れる戦闘シーンは出てきません。しばらくは幽霊の出ないお化け屋敷って感じで、主人公の幼少期の様子から家族関係、宗教的な背景、そして看護師との出会いと恋の成就、志願兵応募に至るまでのエピソードがたんたんと語られていきます。後でわかりますが巧妙な伏線も織り込まれています。

そしていよいよ(幽霊満載の)激戦地沖縄です。日本側は「前田高地」、米国側は「ハクソー・リッジ(のこぎり状の崖)」と呼んでいました。

米国側が6度そのハクソー・リッジの崖をよじ登って制圧しようとしてこれまで失敗に失敗を重ねていました。沖合の米軍艦から弾を雨あられと浴びせるのですが、地中深く塹壕を巡らせた日本兵の神出鬼没なゲリラ作戦に米軍は悩まされていたのです。

10年ぶりにメガホンをとったメル・ギブソンは相変わらずの過激さですね。肉が散り血がほとばしるグロテスクな戦闘シーンにはクラクラさせられてしまいます。あれだけの至近距離で機関銃を浴びせると肉塊は吹き飛んで当然ですね。そうした映像を作ることを監督が楽しんでいるような気さえします。とにかく執拗に肉体が破裂する地獄のような戦闘シーンがこれでもかこれでもかと出てきます。

同じく塹壕戦を描いた白黒映画の「西部戦線異状なし」(第一次世界大戦の独仏の戦い)とは迫力という点では雲泥の差です。

第2次世界大戦の沖縄戦で75人の命を救った米軍衛生兵デズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)の実話を映画化した戦争ドラマなのですが、それにしても、あんな可愛い奥さん(テリーサ・パーマー)がいながら、何が悲しゅうての志願兵やねん、と突っ込みをいれたくなります。彼の宗教的信念を映画を観る前に理解しておいたほうがいいかもしれません。

さもなければ、きれいな奥さんはともかくも、訓練中に、臆病者、卑怯者として偏見の目で見られて執拗にいじめられても、さらに上官の命に逆らって軍法会議にかけられても、覆らなかったデズモンド・ドスの信念が非現実的に思えてしまいます。 そしてその理解は、修羅場の戦地で自らの命を顧みず75人の負傷兵を救出した彼の行為の説明にもなると思います。

デズモンドの一家は、熱心なクリスチャン一家でした。彼らはセブンスデー・アドベンチスト教会という、アメリカ国内でもあまり知られていない、急進的なプロテスタント系の宗派を信奉していたのです。

デズモンドが兄をレンガで殴り倒した後、反省した彼が見入っていたのは壁にかかっていた「モーセの十戒」が映画に出てきます。それが「モーゼの十戒」をわかりやすく絵で表したセブンスデー・アドベンチスト 教会のポスターです。彼は、この「モーセの十戒」の第6項「汝、殺すなかれ」の言葉を見てひどく動揺していましたね。

映画でははっきり説明されていませんでしたが、アドベンチスト教会の終末観は、キリストが再臨した際に選ばれし者となるためには、十戒に記された掟を守らなければならないのです。デズモンドにとっては、武器を持って地上の命を守ることより、信仰を守って永遠の命を得る方がはるかに重要だったのです。

そういう宗教的な理由を抱えた上で、デズモンドは、軍隊に「良心的兵役拒否者」として参加したのです。

良心的兵役拒否(conscientious objection)とは、本来宗教や良心などの個人的な信念に基づき、戦争などの兵役を拒否することです。

彼は、拒否をしたのではなく「志願兵」として自分の意志で兵役に就いたのですが、宗教上の理由から、どうしても「(殺人兵器である)銃に触らない」「土曜日は休息日とする」という戒律を守らねばならず、それが部分的に「良心的兵役拒否者」にあたるとされ、「良心的兵役拒否者」として軍隊に所属するというきわめて例外的な扱いとなったのです。

もっとも、本人の中では自らを「良心的協力者」と定義しており、喜んで兵役を務めようとしていました。「人殺しだけはしない」と決めていただけでした。戦地で敵の命を奪うのではなく、衛生兵として一人でも多くの命を救うための志願でした。

そうでなければ、あのような激戦区で命を顧みず負傷者の救助はできないですよね。その功績で、デズモンドは「良心的兵役拒否者」として史上初めてアメリカの「名誉勲章」(Medal of Honor)を受けた人物となりました。


# by zoompac | 2017-07-04 05:46 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

NHKBS映画「西部戦線異状なし」_戦争の悲惨さを詩的に伝える反戦映画

f0090954_05591299.jpgボブ・ディラン氏はノーベル文学賞を受けた時、自分の曲が文学と一体どんな関係があるのだろうかと考えたそうです。そして自身が影響を受けた音楽家や、古典文学を列挙してみました。

その古典文学の中に、「白鯨(Moby Dick)」や「オデュッセイア」と混ざって「西部戦線異状なし)」が取り上げられていました。 彼の反戦歌に大きな影響を与えたようですね。

その「西部戦線異状なし(All Quiet on the Western Front)」は、第一次世界大戦の敗戦国ドイツ出身のエーリヒ・マリア・レマルクが1929年に発表し、世界的な大ベストセラーになった反戦小説です。

それを原作とした映画「西部戦線異状なし」は実は1930年のアメリカ映画です。 ドイツ兵の視点から第一次世界大戦の西部戦線の模様を捉えたという点で異色のアメリカ映画です。第3回米国アカデミー賞最優秀作品賞、および最優秀監督賞を受賞しました。

アメリカ映画であるがゆえ、登場するキャラクターはフランス人役以外は英語を話し、名前も英語読みに変えられています。主人公のポールは、本来のドイツ語読みではパウルとなります。

ちなみに、第一次世界大戦における「西部戦線」では、フランス北西部に攻勢をかけたドイツ軍と、それを防ぎきった英仏両軍によって4年間に亘る塹壕戦が展開されました。

数度に渡る戦闘によって数百万にも及ぶ死傷者が発生したといわれています。機関銃の登場などがその膨大な死傷者の数に貢献しました。英国海峡に接するごく一部のみがベルギー領であった他は全てフランスの領土を横切っており、終戦時にもドイツの国土には戦火が及ばなかったそうです。映画での主人公が対峙する敵兵はフランス兵です。

映画の冒頭、たぶん高校だと思うのですが、ドイツのとある学校で老教師が授業そっちのけで愛国心を説いています。そしてその老教師の言葉に感化された生徒たちは我先にと入隊を志願していきます。その中に級長ポールとその級友4人がいました。

練兵場で猛特訓を一緒に受けた彼らでしたが、初めての任務、鉄条網の敷設に駆り出されます。敵軍の銃砲撃の中、ポールの級友の1人が無惨な死を遂げます。訓練とはまったく違う本物の戦争を目の当たりにして衝撃を受ける若者たちの顔がクローズアップされます。

学徒である彼らに戦場で生き延びて行く為のノウハウを授けてくれたのは分隊の古参兵たちでした。しかし、それにもかかわらず、連日の戦闘の中、ひとり、またひとりとポールのクラスメイトたちが戦死していきます。

ある日の戦闘でポールは砲弾穴へ落ちますが、同じ穴に飛び込んできたフランス兵をとっさに突き殺す羽目になります。その兵のポケットから落ちた彼の妻子の写真を見たポールの胸は痛みます・・・・・・。

第一次世界大戦の西部戦線に投入されたドイツ軍志願兵のポールことパウル・ボイメルが戦争の恐怖、苦悩、虚しさを味わい、戦死するまでの物語が描かれた映画です。

題名は、パウル・ボイメルが戦死した1918年10月のある日の司令部報告「西部戦線異状なし、報告すべき件なし」に由来しています。

作品では、激しい戦闘、戦友の死、帰郷、負傷といった様々なエピソードが盛り込まれ、戦争の悲惨さを訴えていました。

「プライベート ライアン」のラストでトム・ハンクスの死によって、それまでの米国の少数部隊がドイツの戦車部隊との戦いで大活躍の高揚感が一気に冷水をかけられたように感じましたが、それが戦争の現実なのでしょうね。 この映画では、プライベート・ライアンのラストシーンのようなやるせない戦死のシーンが次から次へと繰り返されます。

戦場に舞い降りた美しい蝶に、思わず手を伸ばしてポールが敵兵の銃弾に倒れるシーンはただただやるせない哀しみに胸がつぶれるとしか表現のしようがありませんでした。


# by zoompac | 2017-07-03 05:59 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)
RELEASE INFORMATION NEW ALBUM

[通常盤]「Now On Sale!!」
TOCP-66380/¥2,548(税込)

[DVD付 初回生産限定盤]
「Now On Sale!!」
TOCP-66381/¥3,500(税込)

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