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黒澤明DVDコレクション「用心棒」_「荒野の用心棒」の原型とは言うけれど・・・・!

f0090954_06544055.jpg
去年か一昨年だったか定かではないのですが、松岡修造さんのお父さんで、私が結構お世話になっているTOHOシネマズの東宝で長年社長を務めた松岡功さんが「私の履歴書」を書いていらっしゃいました。

その松岡さんがイタリアへ渡ってクリント・イーストウッド主演の「荒野の用心棒」を観たところ、黒澤明の「用心棒」のパクリであることに気づきます。

東和の川喜多さんという方の助手になって松岡さんも著作権交渉に臨んだエピソードが「私の履歴書」に書かれていて面白く読まさせていただきました。

登場人物、演出、台詞等が「用心棒」のそれらにそっくりだというのです。

私は先に「荒野の用心棒」を観ていて、後で三船敏郎主演の「用心棒」を観たのですが、あまりピンときませんでした。 ぼんやりとした記憶を手繰っても作品の持つイメージが似て非なるものに思えています。

当時落ち目のテレビ俳優と見なされていたクリント・イーストウッドががそのセルジオ・レオーネ監督の「荒野の用心棒」の主演抜擢で大ヒットしスターになりました。

後に黒澤と対面した彼は「あなたがいなければ今日の私はなかった」と感謝の言葉を述べたそうです。世の中の縁はわからないものですね。

「用心棒」は三船敏郎演じる桑畑三十郎が空っ風荒ぶ上州の無法者博徒たちの二大勢力が拮抗しにらみ合っている宿場町にふらりとやってきて、自分を用心棒として雇うよう双方に働きかけるといったところから始まります。

口八丁手八丁の桑畑三十郎の型破りのやんちゃぶりが痛快でした。 コメディタッチで進む物語の展開から、桑畑三十郎はどうやら二つの悪の勢力を共倒れさせて、町の正常化を図ろうとしていることがみてとれます。

剣戟の効果音や、まだ青年顔の仲代達也が赤いマフラーを巻いて拳銃を持っているところなど、むしろこちらが「荒野の用心棒」をパクったのではないかと思えるほど、斬新でユニークな時代劇でした。

ハードボイルドな雰囲気漂う浪人の椿三十郎の人物像は、逆に黒澤明氏が読み込んだ翻訳ハードボイルド小説あたりを参考にしたとしていたら面白いですね。

こだわりの強い黒澤監督は、上州名物空っ風が舞う砂ぼこりを起こすのに60馬力の扇風機5台を使ったそうですが、演じる三船敏郎はホコリが目に入って撮影が終わった後は目が真っ赤になって大変だったそうです。

WOWOWの番組表を見たら、2月26日月曜日の13:00から「荒野の用心棒」が放映予定となっていました。

あの「用心棒」で犬が人間の手首をくわえていたシーンが印象に残っているのですが、荒野の用心棒ではどうだったのでしょう。子連れの美しい人妻(司葉子)をその旦那ごと助けるシーンあたりだけ共通点としてぼんやり記憶しているのですが、じっくり比較してみたいと思っています。 楽しみです。


# by zoompac | 2018-02-10 06:57 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「翔ぶが如く(五)」 司馬遼太郎_大久保利通、面目躍如の対清交渉@北京

f0090954_05253279.jpg西郷隆盛の人気が高いのに比べると、その反比例で大久保利通は評判が悪いイメージがつきまといます。

俗にいう判官贔屓(ほうがんびいき)というやつですね。人々は弱い立場の義経に同情や哀惜の心情を持ちますが、その反面、頼朝は嫌われます。徳川家康が、秀吉、信長に比べて人気のないのも同じような理由でしょう。

ところが、この「翔ぶが如く(五)」で描かれる大久保利通が、私は好きです。多分読者の私がそう思うのですから、作者の司馬遼太郎さんも実は大久保利通を憎からず思っていたのではないでしょうか?

判官びいきと同じような心理だと思うのですが、私たちは勝ち目の薄いものが勝つのを見るのが好きなのだと思います。

司馬遼太郎氏は、判官贔屓で評判の悪い大久保利通に、あえてその判官贔屓で征台の後始末について対清交渉の八方塞がりの苦境下で脅威の粘り勝ちを収める活躍を活写してくれました。そしてこれがこの五巻の目玉でした。

西郷兄・隆盛の征韓論は、大久保利通に対して「そりゃ貴公、本気の一言か」という捨て台詞で、けんか別れになってしまいました。西郷隆盛が東京を去ると、近衛兵を統括していた桐野利秋も近衛将校たちと集団辞職して鹿児島へ帰郷してしまいます。そんな最中、弟の西郷従道は征台を思いつき、大久保がそれを採用してしまいます。国内に沸騰する征韓気分を鎮めるためでした。

まさに、「兄が征韓、弟が征台」という奇妙なことになったのです。

琉球民が台湾の生蕃に殺害された事件は征台当時から2年位前の古い事件で清との微妙な関係を斟酌して有耶無耶になっていましたが、西郷隆盛、桐野等が征韓問題の決裂で鹿児島に閉じこもってしまったことを契機に弟・西郷従道が持ち出したのです。

長州の木戸孝允は当然のことながら怒り心頭です。「国家は薩摩の玩具ではない。西郷従道も大久保利通も薩摩の問題で国家を振り回している」として参議を辞職してしまいました。

台湾での戦闘は20日で終結してしまいます。原住民の武器は火縄銃だったからです。征台軍3000人の戦死者は12名の大勝利でしたが、マラリア熱に征台軍は苦しめられます。

いざ、交渉が決裂して清との戦いとなったとき先鋒の働きをするのがこの征台軍の役目でもあり、大久保の北京での外交交渉が決着するまで彼らは身動きがとれませんでした。その交渉50日の間、マラリア等での病死者が561名に上ったのです。

大久保のつらさは、台湾にいる西郷従道以下3000人の将兵があたかも巨大な鍋の上でなす術もなくマラリアと戦う惨状でした。彼らは大久保の北京での外交が好転しない限り征台軍は日に日に炒られる鍋の外に出ることが叶わなかったのです。

しかし大久保の北京に向けられた粘着力は、常人離れしたものでした。清国は、払いのけようとしても歯を喰い込ませて離れない動物に食いつかれたかのようでした。

ただ、大久保も北京との交渉では途方に暮れる思いでした。彼の主張には無理もあり、矛盾もあったからです。

他国の領土の島に、他国の人民を懲らしめるべく、その国の政府の了解も得ず、いきなり軍隊を派遣しているのです。それをその国の政府に乗り込んで謝るのではなく、抗議をしさらに出兵につかった金の賠償まで要求したのです。

そのうえ、大久保は、外国人の誰もが台湾は清国領だとしているその時代に台湾は清国領ではないということも主張しているのです。

台湾が清国領でないとすれば、清国が日本にお金を払う必要がないのが道理ですが、この道理が引っ込んで大久保の無理が通ってしまいます。

清国に確立した既得権を守りたいがため英国が清と日本の戦争を回避すべく調停役を買って出たからです。 ドイツやフランスに戦争のどさくさで英国の持つ既得権に付け入る隙を与えたくなかったのです。

大久保は結局50日間の交渉の結果、清国から賠償金50万両を得、押し込み強盗のような征台を「義挙」と清に認めさせたのです。それだけではありません。大久保の「わが琉球の人民を台湾の生蕃が殺傷した」との抗議が通ってしまったため、琉球が日本の領土と公然と認められる副産物までつきました。

司馬遼太郎氏は、大久保利通の立場に寄り添って、西郷隆盛を非難している一方で大久保利通を擁護しているようにも感じられる五巻でした。

「ー何を、恥ばかきにゆくか、西郷がこの現場にいれば、一言で吐き捨てたに違いない。西郷ならば、かれも壮士ではなく政治家であるにせよ、しかし多分に後世悲壮の慷慨詩にうたわれるような美的行動を好むところがあり・・・。」

「大久保の特徴のひとつは、自己の責任についてはつねに不退転でいることであり、決して回避しないことであった。大久保が、盟友だった西郷に終始不満をいだいていたのも、この点だった。西郷は事に乗り出して途中で嫌気がさすとさっさと身を退いてしまうところがあり、そのことについては大久保の解釈では西郷は気ままで、泥をかぶって責任を全うすることに欠けている、ということになる。」


# by zoompac | 2018-02-09 05:41 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

映画 「スリー・ビルボード」_憎しみの連鎖と赦しをテーマにした映画

f0090954_07091205.jpgさすが、アカデミー脚本賞最有力候補作品だけのことはありました。

警察署長の悪口を書いた広告看板を立てる冒頭のシーンから引き込まれます。

ヒロイン・ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)の憤怒を象徴する真っ赤な3枚の看板には、「RAPED WHILE DYING(殺されながらレイプされた)」, 「AND STILL NO ARRESTS? (それなのにまだ逮捕されていない)」, 「HOW COME, CHIEF WILLOUGHBY(何故なの、ウィロビー署長)」 と書いてありました。

娘を殺された母ミルドレッドは、遅々として進まない捜査の指揮を執る警察署長ウィロビー(ウディ・ハレルソン)をこの看板で追い詰めて捜査を進展させようとしたのです。

しかし、ミズーリ-州の片田舎エビングの町の人たちは人情味あふれる署長を敬愛していました。しかも署長が末期の癌を患っていたことも知っていたのです。

3枚の看板はミルドレッドの願う捜査の進展には役立たず、逆に町の人たちの反感をかってしまいます。

署長を父のように慕う部下の暴力巡査・ディクソン(サム・ロックウェル)に「警察を敵に回すのか、(看板)を取り外せ」とすごまれたり、神父に説教されたり、歯医者に麻酔なしで治療されようとしたりします。

彼女は、しかし、ひるみません。”つなぎ”というかジャンプスーツを戦闘服のように着て、頭にバンダナを巻いて、自分に向かってくる敵には口撃と暴力で対抗していくのです。

怒りのエネルギーを全方位的に放射し続けるミルドレッドですが、娘を守れなかった悲しみとその娘と最後に言い争ったときの言葉を悔悟する表現力も見ものでした。

娘の生き返りのような鹿が登場し、その鹿に話しかけるシーンなどはとても印象的でした。

簡潔、的確に物語が展開していき、衝撃的な事件が起き、そこから物語の展開が全く読めなくなります。

泣き寝入りするくらいだったら火炎瓶を投げつけることを選ぶミルドレッド、署長亡き後看板を取り扱う社長を半殺しの目に合わせたディクソン、この敵対関係の対極にいた武闘派の2人が、ウィロビーの残した手紙で考え方を変え、意気投合する様を納得させる脚本力と役者の演技力で描いていました。

複雑な性格のディクソンを演じたサム・ロックウェルの演技も見事でした。母親に取り仕切られていて、ホモの気もあり、瞬間湯沸かしのレイシストですぐ暴力に訴えかける問題警察官です。

余談ながら、TVドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のティリオン・ラニスター役で大ブレイクしたピーター・ディンクレイジもこの映画に出演していました。いい味だしていました。

マーティン・マクドナー監督・脚本のこの作品は第75回ゴールデングローブ賞で作品賞(ドラマ)、主演女優賞(ドラマ)、助演男優賞、脚本賞の最多4冠に輝きました。

そしてアカデミー賞6部門にノミネートされていますね。脚本賞の最有力候補ではないでしょうか? 音楽もカーター・パウエルの引き出しの豊富さが印象的でした。作曲賞でノミネートされています。

脚本の秀逸さを存分に引き出した役者の演技も素晴らしかったと思います。

「ファーゴ」で身重の心優しい地方(サウス・ダコタ州)警察官を演じてアカデミー主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドがこの「スリー・ビルボード」(Three billboardsなのでスリー・ビルボーズではないかと思うのですが?)では圧巻の戦う女を西部劇のガンマンのように演じてくれました。フランシス・マクドーマンドはジョン・ウェインの姿勢のとり方を参考に演技をしたそうです。

今年のアカデミー賞で2度目の主演女優賞を獲得するかどうかが注目されています。

前評判の高いサリー・ホーキンス主演の「シェイプ・オブ・ウォーター」をまだ観ていないのですが、フランシス・マクドーマンドの演技は主演女優賞に値すると個人的に思っています。

若い娘の母親役としては老けている感じ(現在、60歳)は否めませんが、テンポの良い物語の展開にそんな疑問が頭をもたげる暇はありませんでした。ひるまない、ぶれない、怒り狂った女の強さと一徹さをみせてくれました。映画評論家の誰かが言っていましたが、まさに女性版クリント・イーストウッドでした。

助演男優賞ノミネートのウディ・ハレルソン、サム・ロックウェルもよかったです。1つの映画から2人の助演男優賞ノミネートってすごいですね。

ゴールデン・グローブ・助演男優賞を受賞したサム・ロックウェルの変貌演技が印象的なドラマでしたが、私が二人のうちどちらかと言われれば、意表を突かれたという点で署長のウディ・ハレルソンを選びます。

これから観る人は、フランシス・マクドーマンドが演じる母親が看板にどのような怒りを込めるのか楽しみにしてください。 ブラック・ユーモア漂うサスペンスフルな物語の展開で、憎しみの連鎖と赦しをテーマにした映画に仕上がっています。

赦しの連鎖シーンもよかったですね。大やけどで入院したディクソンが同室となった自分が大怪我を負わせた看板屋の若社長からストロー付きのオレンジジュースをもらったことが赦しの第一走者、その赦しのタスキは、共闘仲間となったミルドレッドが車の中で火炎瓶を警察署に投げたことを白状しますがディクソンは「他に誰があんなことをやるか」って一言で済ませてしまったことでミルドレッドに渡されます。そしてこの二人はこれから殺そうとしている男への憎しみの連鎖を断ち切るのです。この映画はやはり西部劇っぽいなと感じた一瞬でもありました。

3月5日のアカデミー賞発表が楽しみです。


# by zoompac | 2018-02-08 07:31 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

NHKBS録画「日の名残り」_2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ原作の映画

f0090954_06060064.jpg「日の名残り」(The Remains of the Day)は、1993年のイギリスの映画です。2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの同名の小説を映画化したものです。

ちなみにこの「日の名残りの」原作は1989年のイギリス最高の文学賞ブッカー賞受賞していますが、映画作品に対する第66回アカデミー賞では、主演男優賞、主演女優賞、美術賞、衣装デザイン賞、監督賞、作曲賞、作品賞、脚本賞の8部門にノミネートされながら、受賞はなりませんでした。

ちょっと政治色のかかった微妙な映画だったことの影響もあるかもしれませんが、第66回では「シンドラーのリスト」、「フィラデルフィア」、「ピアノ・レッスン」等の名作がライバルとして立ちはだかりました。

この「日の名残り」は、一流の名家であるダーリントン・ホールに執事として勤めた、主人公スティーヴンスの視点から語られる物語です。物語は1956年の「現在」と1920年代から1930年代にかけての回想シーンを往復しつつ進行します。

執事スティーブンス(アンソニー・ホプキンス)は、新しい主人ファラディ氏の勧めで、イギリス西岸のクリーヴトンへと小旅行に出かけるという設定から物語は始まります。前の主人ダーリントン卿の死後、親族の誰も彼の屋敷ダーリントンホールを受け継ごうとしませんでしたが、それをアメリカ人の富豪ファラディ氏が買い取ったのです。

ダーリントン卿亡き後、屋敷がファラディ氏に売り渡される際に熟練のスタッフたちがごそっと辞めていったため屋敷では深刻な人手不足という問題を抱えていました。そんな折スティーブンスのもとに、かつてダーリントンホールでともに働いていたベン夫人(エマ・トンプソン)から手紙が届きます。現在の悩みとともに、昔を懐かしむ言葉がそこに書かれていました。

ベン夫人に職場復帰してもらうことができれば、人手不足が解決すると考えたスティーブンスは、彼女に会うために、ファラディ氏から許可された束の間の小休暇を取って旅に出たのでした。

映画では、ステーブンスは(ダーリントン卿が所有していた?)ベンツに乗っていたと記憶していますが、原作では(ファラディ氏所有の?)キャデラックだったかと? 近いうちに原作「日の名残り」も読んで原作と映画の違いを確認しようと思っています。 何しろノーベル文学賞受賞のカズオ・イシグロ(63歳)の代表作ですから。 彼の35歳のときの作品です。

そのベンツでのドライブの道すがら、スティーブンスは、ダーリントン卿がまだ健在で、ベン夫人がまだミス・ケントンと呼ばれていた頃彼女と共にとともに屋敷を切り盛りしていたの懐かしき良き時代を思い出すところから、回想シーンが繰り広げられていきます。 どうやら少し華やいだ気分にもなっているようです。

英国のお屋敷の執事といえば、NHKドラマの「ダウントン・アビー」のカーソンを思い出してしまいますが、「ダウントン・アビー」は1912年~1925年の第一次世界大戦を挟んで前後の英国貴族社会の衰退を描いていました。シーズン6では、労働者階級の台頭と使用人を削減せざるを得ない貴族の経済的困窮がテーマになっていたと思います。「日の名残り」は、現在の1956年からの回想となっていますので、第二次世界大戦後なのですが、回想で描かれるダーリンホールの時代は第一次大戦後の1920年~30年という意味で「ダウントン・アビー」と重なります。

スティーブンスが心から敬愛する前の主人・ダーリントン卿は、ヨーロッパが再び第一次世界大戦のような惨禍を見ることがないように、戦後ヴェルサイユ条約の過酷な条件で経済的に混乱したドイツを救おうと、ドイツ政府とフランス政府・イギリス政府を宥和させるべく奔走していました。やがて、ダーリントンホールでは、秘密裡に親ドイツ派的な国際色豊かな会合が繰り返し開催されるようになりますが、政治の素人であるダーリントン卿は、次第にナチス・ドイツによる対イギリス工作に巻き込まれていくのです。

ホロコースト学者のリップシュタットが、ホロコースト否定論者のデイヴィッド・アーヴィングに名誉毀損で訴えられた裁判(アーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタット事件)の様子を描くレイチェル・ワイズ主演の映画「否定と肯定」を去年の11月に観たばかりですが、このあたり、ドイツと一戦を交えた英国にも親ナチ派の人たちが蠢いていたということが驚きでした。

以前、NHKBSで「刑事フォイルの事件簿」なるものを観ていましたが、時代が第二次世界大戦と戦後ということもあって、犯罪の多くに親ドイツ派とかドイツ人スパイ等が絡んで、単一民族日本では想像のつかない事件のドラマが描かれていました。

最初に「日の名残り」を観たときはアンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンの昔の淡い恋を懐かしむ話かいとしてしまいましたが、今回、観たときは、第一次大戦後という時代背景と英国貴族でありながら親ナチ勢力の中心人物と化した主人の会合を取り仕切る執事の矜持のようなものに興味を強く持ちました。

ベン夫人との再会が実を結ばず残念な結果に終わってしまいましたが、スティーブンスの執事としての矜持は新しい米国人の主人にも揺らぐことなく保たれることでしょう。

私は、(たぶんNHKBSプレミアムの)録画で観ましたが、去年の10月28日(土)~11月10日(金)まで渋谷のBunkamuraル・シネマで、カズオ・イシグロのノーベル賞受賞記念として彼のこの原作映画「日の名残り」が限定上映されていました。


# by zoompac | 2018-02-07 06:15 | 読書・映画・音楽 | Comments(1)

読書 「銀河鉄道の父」_宮沢賢治と父・政次郎の二人三脚ぶりを活写した直木賞受賞作!

f0090954_06022253.jpg門井慶喜が、父・政次郎の目を借りて、宮沢賢治の生涯の物語を紡ぎだ小説だと思っていました。

確かにそうした読み方もできるのですが、宮沢賢治という天才作家を媒体として、普遍的な父親像を描き出してくれているという読後感でした。

この作者の物語の切り口・手法は斬新なものがあります。

この「銀河鉄道の父」では、宮沢賢治の父・政次郎を狂言回しとして操るのかと思っていましたが、逆でした宮沢賢治をの生涯を軸に描かれたのは政次郎の父としてのとまどい、瑞々しい感性でした。

政次郎が主役です。

父・政次郎の立場から、賢治を物足りなく思ったり、病気になった賢治をかいがいしく看病したりする一方で、あきらかに著者の門井慶喜が政次郎を通して著者目線の宮沢賢治の人物や作品の分析や感想を述べたりしています。

政次郎が息子・宮沢賢治に接したり、突き放して観察したり、心配したり、世話を焼いたりする様を作家門井慶喜がさらに高みから俯瞰しているような構図なのですが、著者の目線と父親の目線がときどき重なってみえることもあります。

そこらあたりの操り方が実に巧みです。それに父親目線での表現の一つ一つの瑞々しさにも驚かされました。

たとえば、

「政次郎は、目の奥で湯が煮えた。あやしてやりたい衝動に駆られた。いい子いい子。べろべろばあ!それは永遠にあり得なかった。家長たるもの、家族の前で生をさらすわけにはいかぬ。 つねに威厳をたもち、笑顔をを見せず、きらわれ者たるを引き受けなければならぬ。」

「政次郎は、認めざるを得ない。その証拠になるかどうかわからないが、この二週間のいとなみは想像していたより楽しかった。腹が痛いと言われれば湯沸し部屋でこんにゃくをあたため、薬の時間になれば白湯に溶かして銀の匙で口へ運んでやる。ひたいの手ぬぐいを冷たくする。全身をぬぐう。着替えさせる。便所に立つとき肩を貸してやる。われながら有能だったのではないか。ときおりは賢治と無駄話ができたのも貴重な時間だった。その代償として下腹の激痛と高熱を得たくらいなら、収支は十分(黒字だな)。」

「子供のやることは、叱るより、不問に付すほうが心の燃料が要る。そんなことを思ったりした。」

などです。

他に印象に残った点は、この著者の読者の視覚に訴えかけるような土地の説明のうまさです。それは2016年の直木賞候補作「家康、江戸を建てる」を読んだときも感じました。

「岩手県は、海鼠(ナマコ)を縦に置いたかたちをしていて、その左三分の一を奥羽山脈が、右三分の二を北上山地が、それぞれ縦につらぬいている。」

「岩手県をまないたに載せ、すっぱりと包丁で東西に切れば、その断面はMの字を成しているだろう。そのMの字のまんなかのくぼみ、ふたたび俯瞰すれば細道のような縦長の平野は、古来文字通り、細道の役割を果たしたのである。」

司馬遼太郎も「城塞全三巻」で大阪城のことを、上町台地をナマコにたとえて。その南北に横たわったナマコの北の端に建っているような表現をしていたことを思い出しました。

「花巻はその宿駅ないし停車場のある街として発達したのである。たまたま岩手県のほぼ真ん中に位置するのも、-岩手の、へそだじゃい。 などと、どこかしら住民の誇りになっていた。」

「花巻は地勢的には南北に走る二本の山脈のあいだに位置するが、その二本は、じつは生まれ年がうんとちがう。西の奥羽山脈は新生時代、東の北上山地は古生代と中生代。」

「いうなれば小学生と老人みたいなもので、地中の様子もまったく別。それを北上川がそれぞれの山から支流を集めて南下してくるものだから、花巻の人は、いわば労せず地質時代(の鉱石)を一網打尽にできるわけだ。」

いやいやこれは楽しみな作家が登場してくれました。

宮沢賢治は、質屋のお金持ちの長男さんだったんですね。 政次郎という父親の存在なしには、イーハトヴ・岩手を覆う夜空の銀河に鉄道を走らせることはなかったことでしょう。

父親としての政次郎の決断と反省の往復の苦悩から国民作家・宮沢賢治の傑作の数々が誕生しました。 童話創作には賢治の妹トシの存在も大きかったですね。


# by zoompac | 2018-02-06 06:03 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

丸亀ハーフ、別府大分マラソン、千葉全中クロカン等の結果

2月4日の香川の丸亀ハーフマラソンでは、ホンダの設楽悠太(26)が1時間1分13秒で日本人トップの2位に入りました。
レース開始後、飛び出した旭化成の村山謙太(24)を8kmあたりで捕らえると、ケニア出身のNTNのエドワード・ワウエル(27)とトップを激しく争いました。 ワウエルの優勝タイムは1時間31秒でした。 3位は1時間1分42秒の村山謙太。 神野大地は1時間2分35秒で17位でした。

この後、設楽悠太と神野大地は2月25日の東京マラソン、村山謙太は3月4日のびわ湖毎日マラソンを走る予定です。

同日に行われた別府大分マラソンでは、園田隼(黒崎播磨)が日本人トップの2時間9分34秒で全体2位に入りMGCへの出場を決めました。

同日の千葉全中クロカンでは、石田洸介(福岡・浅川中) が3kmを8:47で走って大会新でした。去年から今年にかけて1500m、3000m、5000m、全中、ジュニア五輪、都道府県、今回の全中クロカン等ことごとくで脅威の記録更新を続けています。

女子は、不敗記録を続けていた群馬・大類中の不破聖衣来が2位という波乱がありました。 1位は橋本充央(京都・大住中) 9:47でした。


# by zoompac | 2018-02-05 06:10 | スポーツ | Comments(0)

わたしの好きな映画_「ラ・ラ・ランド」

スカパー!
毎年1月後半から2月になるとアカデミー賞ノミネート作品が発表され話題になった作品に興味を掻き立てられます。

2017年は、「ラ・ラ・ランド」の前評判に期待が高まったのを覚えています。そして私の期待を裏切らないいい作品でした。

夢と現実の境界線が明白でないということは青春時代の象徴なのでしょうか?

LAを見下ろす夜の公園に駐車した車を探すために歩いていたミア(エマ・ストーン)とセバスチャン/セブ(ライアン・ゴズリング)二人がいきなりという感じではなくいつの間にかという感じでダンスを始めます。薄暗がりの中ミアの纏った黄色のドレスに命が吹き込まれたかのような絶妙長回しのカメラ撮影技術も光っていました。さりげなくミアをリードするセブもよかったです。

売れない女優ミアとジャズピアニストセブの夢の実現への葛藤と互いの夢の実現を励ましながら寄り添う恋を、往年の名作ミュージカル映画を彷彿させるゴージャスでロマンチックな歌とダンスで描いていました。(と言って、私がこの場面はあのミュージカルのあの場面だと言えるほどミュージカルを観ているわけではありません。)

ミアがプリウスに乗ったり、スマホを使ったりで、時代は現代のなのでしょうが、1950年代の雰囲気を醸し出す場面も取り入れられていたためか、懐かしい感じのする不思議な映画でした。

ミュージカルっぽく感じたのは冒頭から前半にかけてです。 LAのハイウェイの入り口での大人数の歌と踊りが、ミアのルームメイト4人の歌と踊りに、そして次第にミアとセブ二人きりの踊りにスケールダウンされる中、歌も口を大きく開けて叫ぶようなものから弾き語りのせつない哀愁を帯びたものに変化していきました。 従来のミュージカルとは異質の作品に思えました。ドラマとミュージカルの境界線が曖昧で、その変化に徐々に慣らされていったためそう感じたのかもしれません。

夢中で夢を追っかけその実現のため別れた二人が5年後に、再会した場面が、何故か、映画「カサブランカ」のボガードとバーグマンの再会のようでした。

女優を目指すミアの部屋にバーグマンの写真が飾ってあったため無意識のうちにそう思ったのか、監督の計算づくの仕掛けにやすやす嵌ったのかよくわかりませんが、私の好きな映画「カサブランカ」を重ねて見せてくれた粋な計らいが私がこの「ラ・ラ・ランド」を気に入った一番のポイントです。

「カサブランカ」では「リックのバー」にバーグマンが演じる主人公が夫婦で現れますが、この映画では「セブのバー」にミアが夫婦で音楽に誘われて入ってくるのです。この再会は偶然ではなく、必然の運命のようにも思えました。そこでセブがミアにとってそして観客にも懐かしい(懐かしく思える)曲をピアノで奏でます。 さすがにアカデミー賞の歌曲賞と作曲賞を獲得しただけはあります。い~い曲です。

そこからの走馬灯のように(二人にとって、そして観客にも)懐かしいシーンがコマ送りされます。現実の世界は長回しで思い出や妄想の世界はカット写真の早コマ送りのメリハリが効いていました。

二人が共に疾走した過去が回顧され、そこからミアとセブのありえたかもしれないもう一つの運命がパラレルワールドのように立ち上がってきます。 そして、音楽も走馬灯の妄想も終わり、やがて現実に立ち戻り失ったものの大きさに立ち尽くす二人の表情が印象的でした。夢のようなふんわりしたミュージッカル映画の興奮から、ちょっぴり苦い現実を突き付けられ我に戻って観客はそれぞれの日常に戻っていくって映画でした。

エマ・ストーンは今まであまり意識したことのなかった女優さんでしたが、この作品で私の評価は一変しました。彼女のダンス(身体表現力)や演技、特に顔芸というか、オーディション一発不合格シーンでの痛い表情から喜びへの七変化、そしてセブとの再会のときの複雑な表情が絶品でした。大きな瞳の動きで実に細かい感情の変化を表現できる彼女の才能に驚きました、セブ役のライアン・ゴズリングが表情で演技する役者ではないので、そのさりげない彼の演技との組み合わせも効果的でよかったです。さすがの主演女優賞受賞演技でした。

ミュージカル映画の中での無粋な車のクラクションもいい小道具になっていました。 最初は最悪の出会いでしたが、とにかく出会いのきっかけを作ってくれました。 2回目は彼女への呼び出しの合図、ミアの満面の笑顔と上ずった声の台詞が印象的でした。 そして3回目はミアに運命の知らせをセブがミアの実家付近に運んできたシーンです。 今後も車のクラクションを聞くたびにミアは条件反射を起こしてしまうかもしれませんね。

映画好きの人が見ても、それほどでない人が見ても、程度の差こそあれ、青春の挫折を経験した人なら、時代や世代に関係なく、心に響くものを感じ取ることができる作品です。人生は取り戻すことはできないけど、できないからこそ思い出は大事で光を放ってくれるのかもしれません。そうした思いに寄り添ってくれる映画でした。


# by zoompac | 2018-02-04 08:45 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書「白村江」荒山徹_大胆な著者の発想から半島を舞台に紡ぎ出してくれた古代史ロマン!

f0090954_07191162.jpg百済の王子「余豊璋」が蘇我入鹿に救われるところから物語が始まります。

昔、日本史の勉強で遣唐使の年代を、「蒸される(630)夜に」に「ゲロ吐くよ(894)」とか「白紙に(894)に戻す遣唐使」等の語呂合わせで覚えました。 630年が第1次遣唐使で、894年、菅原道真によって白紙(894)というか廃止になった遣唐使です。

この遣唐使派遣は360年続き19回遣唐使が唐に派遣されていますが、そんな中、白村江の戦い(はくそんこうのたたかい、はくすきのえのたたかい)が、663年10月に朝鮮半島の白村江(現在の錦江河口付近)が、倭国・百済遺民の連合軍と、唐・新羅連合軍との間で勃発しているのです。

白村江の戦い(ろくろくみないで白村江・663年)の前後では、第4次遣唐使が659年、第5次が665年です。百済の復興を巡って倭国と唐が戦争をした割にはわだかまりもなく(なさそうに)、遣唐使派遣が続いていることに違和感を覚えたという記憶があります。

この荒山徹の「白村江」の物語はそんな私のモヤモヤを吹き飛ばしてくれました。

この先、ネタバレ注意です!

白村江の戦いへ向けての倭国からの派兵は智将葛城皇子(中大兄皇子?)のやらせというかフェイクだったというのです。そこには新羅を仲介し唐-新羅-倭国の間に密約があったという大胆な著者の歴史解釈が描かれていました。

倭国にとっての密約のメリットは、百済の人材です。 消滅する百済に形だけの援助で恩義を売っておけば百済の優秀な人材を自国に取り込むことが可能になります。そんな倭国にとって百済はむしろ滅亡してくれた方が好都合でした。

百済を例えるなら倒産間際の企業のような捉え方なのです。いかにも再建に力を貸すような形をとって恩を売って、その実、形だけの茶番劇で実のある援助がないわけですから百済は倒産してしまいます。 百済で働く優秀な技術者や研究員がその倒産後倭国に丸ごとリクルートされたってイメージでしょうか。

倭国に丸抱えされた百済の優秀な学者や政治家とかお坊さんは亡命貴族ですから、唐の影に怯えて防衛体制も構築し強化しました。一方倭国にとっては律令体制を構築する等国家体制の確立に貴重な人材を多量に確保できました。

これはありかも!?という気持ちで読んでしまいました。 フェイクな派兵であれば遣唐使が何事もなかったように続いていても不思議はないですね。

人は言いたいことしか言わないし、聞きたいことしか聞かない・・・という法則のツボにはまったようです。

そのアイディア自体は面白かったのですが物語の構成にはややバランスの欠けた感じがありました。

中大兄皇子・中臣鎌足等による蘇我入鹿の暗殺、乙巳の変と呼ばれる政変がすこぶるあっさりと書かれていた一方で、百済からの攻撃に苦しむ善徳女王の新羅が、王位継承者である金春秋を高句麗に送り込み高句麗の実権を握る泉蓋蘇文との交渉が不首尾に終わるにも拘らず長い(長すぎる)紙面を割いて語っていました。 このあたりは筆者の書き残しておきたかった部分なのでしょうがややこだわりが出過ぎていたようにも思えました。

全体的にちぐはぐな感じがしたのも無理からぬことを後で知りました。この小説は昨年末恒例の週刊朝日の2017年度歴史・時代小説ベスト10の第1位に選ばれており、そこで荒山徹氏が次のようなことを述べられていました。𧐐

元々の原稿は大河ドラマが演じられるくらい長いもの(原稿用紙3000枚)だったらしいです。それを大河ドラマの総集編くらい(原稿用紙600枚)にカットして出来上がったのがこの小説だとのことでした。書きたかったところは残し、といってバランスを考えて著者は豊璋の成長物語として軸を据えてつなぎ合わせたと言っていました。つなぎあわせでは、ちぐはぐ感はやむを得ないかもしれません。というか、百済、新羅、高句麗の三国志の物語に唐と倭国の絡みが書かれているのであればその原作を全編通して読んでみたいなと思いました。

「古代東アジアを舞台にした国際謀略小説」とは書評家の末國善己の言葉ですが、いい得て妙だと思いました。

天皇位簒奪を目論む倭国の蘇我入鹿を暗殺した葛城皇子等の陰謀の構想が白村江開戦の20年前から水面下で暖められ、実行に移されていくサスペンスフルな物語でした。

それにしても謀略に利用された余豊璋の妻はああしたけじめのつけかたしかなかったのでしょうね。 終盤はあまり多くを語りませんが古代史ロマンというような余韻は深く感じるところも広がっていくいい幕切れでした。


# by zoompac | 2018-02-03 07:17 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

2018年1月、スポーツ記事の総括

1月の駅伝では期待の選手達がその期待に応える走りを見せてくれました。

元旦のニューイヤー駅伝では、福島の学法石川出身の高卒ルーキー遠藤日向が1区区間賞を獲得し鮮烈なデビュー戦を飾ってくれました。

今年、住友電工へ就職予定の青学の田村和希は箱根の3区では東洋大の山本修二の後塵を拝して区間2位でしたが、都道府県対抗男子駅伝では山口県代表として3区を区間賞で走り23人抜きを見せてくれました。福島代表の遠藤日向に追いつき意地と意地のぶっつかり合う強烈な競り合いに痺れました。住友電工の渡辺康幸監督はさぞ嬉しかったでしょうね。

箱根駅伝では、東洋大のルーキー西山和弥の1区区間賞が見事でした。復路で青学の逆転優勝を許しましたが、往路では東洋大が一度もトップの座を譲ることなく完全優勝でした。その口火を切ったのがスーパールーキーの西山でした。

往路では、6区山下りの青学の小野田勇次が素晴らしい走りでした。トップを走る東洋大の選手に追いつき差を拡げました。区間記録にあと3秒足らなかった圧巻の走りでした。小野田からタスキを渡された7区は駅伝デビューの林奎介でしたが、この林もいきなり区間新の走りで2位の東洋大を大きく突き放し青学の復路と総合優勝を決定づけました。青学の箱根での強さと選手の層の厚さをみました。小野田も林も3年生です。青学は田村、下田裕太のWエースが卒業しますが5連覇に向けて底知れぬ力を温存している感じです。

都道府県対抗女子駅伝では2区では、長野東高の和田有菜(区間1位)と大坂薫英女学院の高松智美ムセンビ(区間2位)の爆走ごぼう抜きの競演がありました。和田有菜が14人抜き、高松智美ムセンビが8人抜きでした。この2人が進学する名城大学は昨年の全日本大学女子駅伝@杜の都・仙台で12年ぶり2回目の優勝を達成しました。連覇に向けて強力なスーパールーキー2人が加わります。

都道府県対抗女子駅伝での4区は、去年も高校1年ながら12位からトップへと驚異の追い上げを見せましたが、今年も長崎代表の廣中璃梨佳の独壇場でした。今年は8位からトップを奪還しました。展開は去年同様でしたが去年7秒差で達成できなかった区間記録の塗り替えを今年の走りで成就しました。トラックよりロードで強そうですね。東京五輪に向けて来年あたりマラソンデビューって運びにならないですかね。

3区の中学生区間では、群馬大類中の不破聖衣来が2年連続の区間賞で相変わらずの強さをみせてくれました。 この区間でチームの順位を13位から10人抜きの3位に押し上げていました。

都道府県対抗男子駅伝での福岡・浅川中の石田洸介選手も去年1500mと3000mの中学生記録を塗り変えた勢いをみせてくれました。区間新の22位から15人抜きの7位へ順位を押し上げる快走をみせてくれました。

高校生では、12月の全国高校駅伝で全国制覇を達成した佐久長聖高の選手が活躍しました。今年東海大に進学予定の本間敬大が4区区間賞、今年、早稲田に進学予定の中谷雄飛が5区で区間賞で、長野チームをトップに押し上げましたが、アンカー区間の7区で4位でタスキを受けたHondaの設楽悠太に東海大の関颯斗が逆転を許してしまいました。

設楽悠太はニューイヤー駅伝でも4区のエース区間を圧倒の区間賞で走って、旭化成の連覇は許してしまいましたが、Hondaの2位入賞に大きく貢献しました。

ハーフマラソン日本記録(1時間0分17秒)保持者の設楽悠太(26)は今年2月25日に開催予定の東京マラソンの招待選手です。2002年シカゴマラソンで高岡寿成(現カネボウ監督)がマークした2時間06分16秒の日本記録更新が期待されています。楽しみです。

駅伝・マラソン(9本)
ニューイヤー駅伝2018_1区で高卒ルーキー遠藤日向(住友電工)が華々しい区間賞デビュー!
[ 2018-01 -02 07:33 ]
ルーキー西山和弥の1区区間賞で東洋大往路完全優勝!_箱根駅伝
[ 2018-01 -03 07:25 ]
箱根駅伝 6区の小野田勇次の復路完全優勝の口火を切る韋駄天山下りで青学大総合4連覇!
[ 2018-01 -04 09:45 ]
2017年12月のスポーツ記事の総括_仙台育英のヘレン・エカレラの豊田自動織機への加入!
[ 2018-01 -05 07:58 ]
2018年大学女子駅伝界に旋風!_長野東の和田有菜と大阪薫英女の高松智美ムセンビが名城大へ進学!
[ 2018-01 -14 08:02 ]
都道府県対抗女子駅伝2018_兵庫が14年ぶり4度目の優勝! 京都は連覇ならず2位!
[ 2018-01 -15 06:08 ]
屈指の高校生駅伝ランナー、佐久長聖の中谷雄飛、学法石川の半澤黎斗、東農大二高の千明龍之佑の三人は2018年4月に早稲田大に進学!
[ 2018-01 -21 09:58 ]
都道府県対抗男子駅伝2018_設楽悠太がアンカー区間で逆転Vの埼玉!
[ 2018-01 -22 06:08 ]
腹筋走法の松田瑞生、初マラソンで大阪国際女子マラソンを制す!
[ 2018-01 -29 06:26 ]

がっかりする話題の多い相撲界にジョージア(グルジア)出身のニューヒーロー(栃ノ心)が誕生してくれました! 来場所は三役での優勝に期待がかかります。

相撲
ジョージア出身の栃ノ心、大けが乗り切って2018大相撲初場所初優勝!
[ 2018-01 -30 05:51 ]

卓球界は世代交代の印象を強くしましたね。張本智弘が王者水谷隼を手玉にとっていました。

卓球
卓球、全日本選手権大会2018、シングルスを制したのは男子は14歳の張本智和、女子は17歳の伊藤美誠、「チョレイ!」
[ 2018-01 -23 07:14 ]

総括(3本)
2017年 駅伝・マラソン・中長距離陸上記事の総括_大迫傑、玉城かんな、石田洸介等
[ 2018-01 -11 06:01 ]
2017年柔道記事の総括_印象に残った選手は、女子63㎏級田代未来、52㎏級阿倍詩、男子100㎏超級小川雄勢
[ 2018-01 -12 05:46 ]
2017年その他のスポーツ記事の総括_主役は桐生祥秀、四横綱、そしてゴルフの宮里兄妹
[ 2018-01 -13 07:06 ]


# by zoompac | 2018-02-02 07:14 | スポーツ | Comments(0)

2018年1月の読書、映画などの総括

スポーツ観戦等に忙しく、あまり読書、映画に時間が避けませんでした。

NHK大河「西郷どん」が始まり、私も司馬遼太郎の「翔ぶが如く」全十巻の第四巻まで読み進めてきましたが、爽やかなイメージの鈴木亮平の演じる西郷どん(せごどん)とこの「翔ぶが如く」に登場する西郷隆盛のイメージが噛み合いません。

まさにNHK大河ドラマ「西郷どん」の冒頭の上野公園の銅像の除幕式で、西郷隆盛の妻イト役の黒木華が、「ちごっ!うちの旦那ハンはこげな人じゃあいもはん!」 と不満をもらしたエピソードそのままですね。

しばらくは、大河ドラマの爽やか西郷どんと「翔ぶが如く」の不平士族の象徴のような存在に祭り上げられてしまった沈鬱な西郷隆盛のイメージのギャップにとまどいながら、ドラマを観、そして「翔ぶが如く」を読み進めていきたいと思っています。

一方、塩野七生の「ローマ人の物語」は、その全43巻の第1巻目をついに読み始めてしまいました。完読できるか不安ですが、プロセスを楽しみたいと思います。ローマは1日にしてならずという言葉の重さをひしひしと感じています。43巻の完読も1日にしてならずです。

ちなみにこの文庫本43巻は塩野七生氏が1992年から毎年1冊のペースで2006年に完成した単行本15巻を分冊にしたものです。すなわち完成に至るまでに15年かかったわけです。2018年1月現在80歳の彼女がこの大作を書き始めた年齢は69歳のときです。寿命を迎えるまでに書き上げられるかどうかの不安との戦いもあったと思います。ただただ頭が下がります。

気合を入れて読み進め、塩野七生氏の想いに近づこうと思っています。

この著作が歴史書なのか小説なのか学者の間で喧々諤々とも聞いていますが、そんなジャンルを飛び越えたところに塩野七生の著作は位置していると思います。司馬遼太郎の作品が小説であろうと歴史書であろうと私にはそのような分類はどうでもいいのと同じです。私にとって面白いか、興味が掻き立てられるかが全てです。

しかし、ローマの繁栄の約1500年に比べて、私の1生のなんと短いことよ!

読書(3冊)
読書 「かがみの孤城」辻村深月_本屋大賞最有力候補?
[ 2018-01 -24 06:01 ]
読書 「翔ぶが如く(四)」司馬遼太郎_四巻後半からスポットライトを浴びる大久保利通!
[ 2018-01 -26 06:00 ]
読書「ローマ人の物語1(上)_ローマは一日にしてならず」塩野七生_全43巻の読了も一日にしてならず!
[ 2018-01 -27 07:08 ]

映画(3本)
映画 「ユダヤ人を救った動物園~アントニーナが愛した命~」
[ 2018-01 -19 06:09 ]
映画「花筐」_唐津くんちの祭りと常盤貴子の演技が印象的!
[ 2018-01 -28 09:43 ]

TVドラマ
NHK大河ドラマ「西郷どん」_いよいよ始まりましたね。
[ 2018-01 -16 05:59 ]

総括
2017年12月の読書と映画等の総括
[ 2018-01 -01 07:48 ]
2017年下半期の読書_陳浩基の「13.67」、マージョリー・シェファーの「胡椒_暴虐の世界史」、佐藤優の「自壊する帝国」が私のベスト3!
[ 2018-01 -06 10:47 ]
2017年下半期の映画、 「否定と肯定」、「ドリーム」、「ダンケルク」が私のベスト3
[ 2018-01 -07 11:49 ]
2017年のTVドラマの総括_「陸王」、「みをつくし料理帖」、「三国志~趙雲伝~」が私のベスト3
[ 2018-01 -10 07:19 ]
第158回直木賞は門井慶喜氏の「銀河鉄道の父」に決まりました。
[ 2018-01 -17 06:25 ]

展望
2018年の私の注目映画_何はさておき「ペンタゴン・ペーパーズ」、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」と「シェイブ オブ ウォーター」
[ 2018-01 -08 08:54 ]
2018年の私の読書に関する展望_さて何を読もうか?
[ 2018-01 -09 05:54 ]
本屋大賞2018候補作_私の一押し本命は「かがみの孤城」!
[ 2018-01 -20 07:07 ]
アカデミー賞ノミネート作品発表_ファンタジーロマンス「シェイプ・オブ・ウォーター」が最多ノミネート
[ 2018-01 -25 07:37 ]


# by zoompac | 2018-02-01 05:51 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)
RELEASE INFORMATION NEW ALBUM

[通常盤]「Now On Sale!!」
TOCP-66380/¥2,548(税込)

[DVD付 初回生産限定盤]
「Now On Sale!!」
TOCP-66381/¥3,500(税込)

NEW SINGLE
WMP HIGH LOW
REAL HIGH LOW
OFFICIAL SITE
海外オフィシャルサイト
http://www.gorillaz.com/
日本オフィシャルサイト
(PC&携帯共通)
http://toemi.jp/gorillaz/
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