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Would-be ちょい不良親父の世迷言

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全日本柔道選手権大会2017_流血戦を制したドラキュラ王子谷剛志の連覇!

f0090954_10012818.jpgまるでプロレスの流血乱闘試合を彷彿させる決勝戦でしたね。 流血の怪我をすると普通の人間は意気消沈するのですが、王子谷は逆に火が付いたように「人間ブルドーザー」並みの怒涛の攻めに転じました。

23日のリーガルエスパニューラのサッカーの対レアルマドリード戦でバルセロナのメッシが試合中の接触で口から流血後勝利に貢献する2得点を挙げた燃えるメッシの獅子奮迅の滅私奉公活躍を彷彿させました。(写真は口から血を流しながら優勝カップを受け取る流血王子の王子谷! 血をしたたらせながらの笑いが不気味!)

体重無差別で男子柔道日本一の座を争う全日本選手権は29日、世界選手権(8月28日開幕、ブダペスト)の100キロ超級代表選考会を兼ねて東京・日本武道館で行われました。 口から流血の人間ブルドーザー王子谷剛志(旭化成)が決勝でウルフ・アロン(東海大)を下し、2年連続3度目の優勝を果たしました。

大会連覇は2004、05年大会を制した鈴木桂治以来12年ぶりの快挙でした。

去年この大会で優勝しながら、国際試合での実績不足から、リオ代表の座を原沢久喜に奪われてしまった王子谷が溜飲を下げる連覇を達成しました。

王子谷は準決勝で初優勝を目指した七戸龍(九州電力)に一本勝ち。決勝では出身大学の後輩に当たるウルフに圧力をかけ続け、延長戦で相手が通算二つ目の指導を受けて優勢勝ちしました。

延長戦の途中でもつれあって王子谷の歯がウルフの顎に当たり、ウルフは顎から、王子谷は口から出血する乱戦になりました。 流血でのドクターストップを懸念したのか、自分の血に逆上したのか、ここから王子谷のブルドーザーエンジンがぐっと加速しました。 東海大出身の王子谷が現東海大のキャプテンのウルフを破って先輩の意地をみせました。 試合後、王子谷は口の傷口を14針縫ったそうです。(今頃、腫れあがって、優勝の喜びを噛みしめる度に、ズキズキ痛みマシマシなのでしょうね。)

ウルフも試合中、顎からの出血のため包帯で顔をぐるぐる巻きにされ痛々しい感じでした。 太ったドラキュラ対小柄なフランケンシュタインの対決のようでした。(写真右はドラキュラ王子谷のブルドーザー並みの馬力に体が浮くフランケン・ウルフ)f0090954_10015176.jpg

2年ぶりの優勝を狙ったリオデジャネイロ五輪100キロ超級銀メダルの原沢久喜(日本中央競馬会)は、なんとなんと3回戦で百瀬優(旭化成)に一本負けでした。 得意の内股を仕掛けてもつれたところを本日の試合を最後に引退宣言を行っていた百瀬の送り襟締めに落とされてしまいました。
しゃれではないのでしょうが、試合後のインタビューで、「落ちる(絞め技での失神に掛けていた?)ところまで落ちた。 また一から出直す。」と屈辱に耐えるように言葉を絞り出していました。

個人的には、原沢の100キロ超級での王子谷と二人での代表選出の可能性も潰えてしまったと思いました。 直近の試合で原沢に2連勝の若手の景浦心にチャンスが回ってきたかと予想しましたが、代表の二人目はえっと驚く原沢でした。

全日本柔道連盟の強化委員会は、世界選手権で100kg超級の王者リネールの兜首を狙うには、若手の景浦よりリオで対決経験の原沢のほうが有利とみたのでしょうね。(景浦も東京での予選会で取りこぼしてこの全日本選手権大会に出場できなかったことが痛かったですね。)

8月のブダペストの世界選手権には、王者リネールに、人間ブルドーザー王子谷とどん底から這い上がるチャンスに賭ける原沢の二人が刺客として送り込まれることになりました。

100㎏級もすでに代表が決まっていたウルフ・アロンに加えて、羽賀龍之介(旭化成)の五輪メダリストが追加されました。 90kg級はベイカー茉秋(日本中央競馬会)の負傷を受けて、残念ながら選手派遣が見送られました。

東京五輪へ向けてのスタートで原沢は王子谷に大きく差をつけられてしまいましたが、世界柔道で成績を残せばまだ失地回復の可能性があります。

同年代のライバルとして王子谷と原沢の切磋琢磨を期待したいですね。

リオ五輪73キロ級金メダルの大野将平(同)は初戦の2回戦で池田賢生(日本中央競馬会)に延長戦の末、一本負けでした。 やはり体重差の違いからか延長戦では大野も相当息が上がっていましたね。 


by zoompac | 2017-04-30 10:17 | スポーツ | Comments(0)

TVドラマ 「女の勲章」_関西ファッション界に蠢く迫真の人間ドラマ!

f0090954_07463262.jpg4月15・16日(土・日)に二夜連続で放映されたフジTV系ドラマです。 その録画を観ました。

山崎豊子の同名小説が原作となっています。

山崎豊子は自身の出身地(実家は老舗昆布屋「小倉屋山本)である大阪・船場を舞台に、緻密な取材に基づき黎明(れいめい)期の日本ファッション界を重厚なタッチで描き出しています。

山崎豊子自身が毎日新聞社勤務時代にファッション関係の担当記者だったこともあり業界情報に精通していることが伺えます。 あまりに生々しくてモデルとなった日本のファッション界の草分けとなった方とこの小説が発表になった後しばらく気まずい関係に陥ったようです。 ファッション業界のいやらしい面も赤裸々にえぐり出されたドラマとなっていました。

松嶋菜々子主演のTVドラマでした。 フジTVがパリロケも含めて力を込めた作品でしたが、視聴率は二夜連続ドラマでいずれの日も10%を切る期待外れの結果だったようです。確かに主役の松嶋菜々子からオーラが感じられませんでしたが、私には玉木宏の演技が出色で面白いドラマでした。

大阪・船場の裕福な羅紗問屋の娘として生まれた大庭式子(松嶋菜々子)は、戦争で家族も家も失ってしまいます。

焼け野原の中、これからは洋服、婦人服の時代が来ると感じた式子はミシンと共に立ち上がり、洋裁教室を開きます。式子の読みは当たり、三人の弟子・倫子(ミムラ)、かつ美(相武紗季)、富枝(木南晴夏)と共に、甲子園に服飾学校の設立を計画することになるのです。

丁度そのとき、東大卒の美男子・八代銀四郎(玉木宏)が現れ、自分を雇うよう迫ります。彼も船場の生まれで、幼い時ご近所のお嬢様だった式子にあこがれていたのです。

華やかな表舞台の仕事を女性に任せ、銀四郎は裏方の汚い仕事を一手に引き受けます。

この男、しかし、一癖も二癖もある一筋縄でいかない曲者でした。 波留と共演した「アサがきた」では人のいい船場のぼんぼん役でしたが、同じ船場言葉でもこのドラマの玉木宏には凄みがありました。

ファッションショーで話題を集めるなど成功への階段を上る式子を助けながらも銀四郎は次第に洋裁学校の実質的な主導権を握っていきます。銀四郎は式子のみならず、三人の弟子とも関係を持ち欲と策略の愛憎劇を繰り広げていくのです。ここら辺の手段を選ばぬ手腕は、山崎豊子の代表作の「華麗なる一族」を彷彿させていました。山崎豊子はこの辺りのドロドロ感を描くのが上手いですね。

以前、WOWOWかNHKBSで同じ山崎豊子原作の映画女系家族を観ました。三人の姉妹が親の遺産を巡って生々しい(大阪弁でえげつない)争いを繰り広げていました。その姉妹三人の争いと式子の弟子三人の出世欲と嫉妬の入り交ざった争いの構図が似ていました。

式子がパリへ飛んで本場のファッション界へ喰い込みの交渉を進める傍ら、銀四郎の恩師・大学教授の白石(長塚京三)とひとときのアバンチュールを楽しみますが、銀四郎がパリに現れエライ修羅場になります。

結末はあっと驚く為五郎!(古くてすいません!)でした。 銀四郎の涙にほんの少し人間らしい感情をみました。

原作で銀四郎の造形を再確認したいと思うのですが、山崎豊子の作品といえば「沈まぬ太陽」が残っています。順序は逆ですが、「会長室篇」の2冊(4巻・5巻)を先に読み、あまりに面白かったので、アフリカ篇1巻・2巻と御巣鷹山篇3巻を購入し、そのまま本棚で待機させています。

読みたい本は多いのですが、読める時間に限りがあるのが残念です。

by zoompac | 2017-04-29 07:46 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「ツバキ文具店」 小川糸

f0090954_12323895.jpg今年の本屋大賞ノミネート作品10冊のうち、第4位の小説です。(1位「蜜蜂と遠雷」恩田陸、2位「みかづき」森絵都、3位「罪の声」塩田武士)

その小川糸の原作小説と同名のドラマを金曜日のNHKドラマ10で放映中です。

主人公の鳩子(通称ポッポちゃん)を多部未華子が演じています。

ポッポちゃんは、古都鎌倉にある「ツバキ文具店」で祖母にひらがな、漢字、習字等、文字に関するあらゆることを厳しく仕込まれ育ちました。自分を捨てた母のことは、顔すら知りません。

祖母に反発して、高校2年になってガングロヤンキーに転身します。デザイン系の専門学校に入ってガングロは卒業しましたが、専門学校を卒業すると鎌倉を飛び出してしまいました。確執を残したまま先代(祖母)が亡くなり8年ぶりに帰郷します。思いがけず代書屋を継ぐことになり、周りの人に支えられながらさまざまな手紙の代書に取り組むことになるというお話です。

落語の「代書」は大笑いですが(2016年NHK新人賞受賞の桂雀太の「代書」が絶品です。彼も落語の「枕」でこのNHKドラマに触れていました。)、この「ツバキ文具店」の代書屋も面白いですよ。

筆、ペン、インク、紙等に関する蘊蓄満載です。それに、「ツバキ文具店」への代書の依頼が相当変わっているのです。

「伝えたい思いありませんか? その手紙、あなたに代わって書きます」という呼びかけに、舞い込んできた依頼は、

「ペットの死に対するお悔やみ状」、「離婚のお知らせ」、「借金依頼への断りの手紙」、鏡文字を使った「絶縁状」、「天国からのラブレター」等々です。

小説の頁の間に、それらの代筆手紙の写真が掲載されてなかなか面白い趣向が凝らされています。 依頼への応え方も見事です。

四苦八苦、苦労して仕事をこなしていると、やがて海外に住む祖母の元文通相手のお孫さんから、鳩子へ祖母の手紙が渡されることになります。そこにはポッポちゃんの知らない祖母の孫鳩子への愛情、思いやりにあふれた文章が綴られていました。鳩子にとって悔いの残ることですが、後の祭りです。 孝行したいときに、祖母は無しです。

そんな折、いい言葉に出会います。

「亡くしたものを追い求めるより、今、手のひらに残っているものを大事にすればいい。」「誰かにおんぶしてもらったら、今度は誰かをおんぶしてあげればいい。」

妻に先立たれた幼い娘持ちの小さなレストラン経営者の言葉は、鳩子の胸に刺さり、実質的なプロポーズの言葉となりました。

この本のもう一つの効用は、鎌倉の四季の風物詩に触れながらの美味しい食べ物情報です。地元の人目線です。

たとえば、光泉のいなりずし、鳥一のコロッケ、荻原精肉店のローストビーフ、ベルグフェルドのソーセージ、麩帆の麩まんじゅう、つるやの鰻、オクシモロンのカレー等々です。 冒頭に鎌倉のイラストマップがあって小説を読みながら頭の中で寺巡りや食べ歩きを疑似体験できます。

言葉の重み、大事さは、原田マハのスピーチライターの小説「本日はお日柄もよく」でも学びましたが、この「ツバキ文具店」からも感じました。

「言葉は残るのだ。相手がその手紙を読んでしまったらもう後戻りはできない。」

by zoompac | 2017-04-28 12:33 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

小説「みおつくし料理帖2_花散らしの雨」高田郁

f0090954_05560165.jpg付け火で全焼となった「つるや」は神田明神昌平橋付近から、武家屋敷の多い元飯田町、九段坂の俎橋(まないたばし)付近にその場所を移しました。

新キャラ登場で澪の周りがますます賑やかになります。 13歳の「ふき」という名の娘が口入屋(人材あっせん業)の紹介で手伝いにやってきます。

「つるや」の主人の種市が腰を痛め、澪(みお)と芳も元の「つるや」のあった場所の長屋住まいでしたので通いに時間がかかるためです。

この「ふき}の登場で、ある事件がおきますが、その事件解決に向けての澪の人情あふれる差配と怖いもの知らずの行動には感動させられます。

新しい場所では、有名な偽作者「清右衛門」も常連客として登場します。 食通グルメで口は悪いですが根はいい人です。 「つるや」のライバルの「登龍楼」の常連でもあり、「つるや」と「登龍楼」の間に持ち上がった事件を客観的にみてくれますし、この巻で登場回数の少なくなった小松原に代わって澪の新作料理に辛口コメントを授けてくれています。

口入屋の母で75歳の「りう」も一時「つるや」を手伝うことになります。 75歳の婆さんですが、昔江戸城の大手門の下馬先の茶屋で働いていた経験から侍客のあしらいに長けていて客からも好評です。

江戸城登城のため、馬や籠を下りる「下馬先」という場所があり、下馬評という言葉が、そこで主人を待つ供の者たちが暇つぶしに好き勝手に噂話に興じたことに由来するということを知りました。

元江戸城、今の皇居には下馬先という呼び名はありませんが、馬場先門という地名が残っています。

「りう」は、歯の上下が全部ないのですが、固い煎餅でも何でもばりばり歯茎で食べるため、「ふき」から恐れられています。 でも、優しくよく気の付く一本気なおばあさんです。

上方料理と江戸料理の違いということでは天ぷら油の違いが面白かったですね。 

上方では菜種油を使って素材の味や香りを殺さず色も綺麗に引き出し淡白な味わいを出すのだそうです。 

一方、江戸料理では胡麻油を使います。炒った胡麻から搾り取った油には、独特の濃い香りとコクがあり揚げたときに美味しそうな色めもつくのです。 濃い狐色という江戸っ子好みに仕上がるのです。

澪は上方の昆布出汁と江戸の鰹出汁の合わせ出汁を工夫したのと同じ要領で、菜種油と胡麻油の合わせ油を追求します。

落語「青菜」で暑気払いの酒の隠語として使われていた「柳陰」(やなぎかげ)も登場します。 この小説では井戸で冷やした酒ではなく女性が飲む味醂の焼酎割りとして紹介されていました。

落語「鷺とり」に出てくる雀を捕獲させる餌としての「こぼれ梅(こぼれんめ)」も出てきます。 上方でひな祭りに娘たちが食するおやつで、味醂の搾り粕です。 落語ではこれを雀が食べ酔っぱらったところを捕まえるという噺になっていました。

胡瓜の切り口の模様が徳川の三つ葉葵の御紋に似ていることから「つるや」の料理に出した胡瓜の酢の物が侍客に不評だったというエピソードもありました。

その他、上方で好まれる夏の身の柔らかい蛸が江戸っ子には評判が悪いというエピソードも面白かったです。 江戸では真蛸の旬は冬とされているのですね。

by zoompac | 2017-04-27 05:56 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

映画 「ジャッキー ファーストレディ 最後の使命」

f0090954_05534939.jpgナタリー・ポートマンがジョン・F・ケネディ元大統領夫人ジャクリーン・ケネディを演じ、ケネディ大統領暗殺事件をファーストレディの視点から描いた伝記ドラマでした。

半生を描いた伝記ではなく、大統領暗殺後5年にギリシャの大富豪アリストテレス・オナシスと再婚し世界を驚かせたエピソードはもちろんなく、1961年から1963年までアメリカのファーストレディであった(彼女が32歳から34歳)約2年に凝縮した物語でした。

その短い期間を3つの事項に分割し、その事項間を行きつ戻りつで編集されるという変わった手法を取っていました。

その3つの出来事とは、1962年2月にジャッキー自身がTV出演して案内役を務めたドキュメンタリー番組「ホワイトハウス案内」についてのエピソード、1963年11月のJFK暗殺事件とJFKの葬儀を巡ってのエピソード、そしてその葬儀の後行われたライフ誌とのインタビューです。

映画はそのインタビューを軸として、ファーストレディとして画期的な「ホワイトハウス」案内を買って出たジャッキーの斬新性、そして暗殺の現場で打たれた大統領の頭を抱きかかえ血まみれになりながらもファッションアイコンとして人々の記憶に焼き付いたピンクのシャネルのスーツにピルボックス帽の組み合わせ、そして狙撃犯容疑のオズワルドまで暗殺された不安の漂う最中、各国の要人を引き連れて歩いて墓地まで大統領の遺体と行進をする毅然としたジャッキーの姿を活写していました。

それらの人々の脳裏に残っているジャッキーの姿からは伺いしれない内面にカメラは迫ります。ナタリー・ポートマンは人間ジャッキーの感情の深層に入り込み、困惑、不安、悲嘆、混乱の中での迷いとそこから気力を振り絞って決断し実行する揺らぎのない強い意志とのせめぎ合いを切り取って見せてくれていました。

目の前で夫を殺害された妻ジャクリーンは悲しむ暇も与えられず、葬儀の取り仕切りや代わりに昇格する副大統領の大統領就任式への出席、ホワイトハウスからの退去など様々な対応に追われることになります。そんな中で事件直後から夫が「過去の人」として扱われることに憤りを感じた彼女は、夫が築き上げたものを単なる過去にはさせないという決意を胸に、ファーストレディとして最後の使命を果たそうとするのです。

インタビューに訪れていた記者が、そのジャッキーの強さに驚いていた表情が印象に残りました。

オバマ政権の終了に伴い離任、2017年1月18日、離任し帰国の途に就いた元駐日米大使のキャロライン・ケネディの幼少期の姿も垣間見ることができます。

人によってとらえ方は様々だと思いますが、私はナタリー・ポートマンがジャッキーに憑依したようにみえ印象に残りました。

再婚で、世間をお騒がせしたジャッキーでしたが、1994年に死去し、元の大統領夫人としてアーリントン国立墓地のジョン・F・ケネディの墓の横に埋葬されました。

by zoompac | 2017-04-26 05:54 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「Dive‼(下) 森絵都

f0090954_05553621.jpg私のお気に入りのスポーツ(根性?)物語(スポコン小説)の三冊めが決まりました。

あさのあつこの「バッテリー」、佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」、そしてこの森絵都の「DIVE‼」です。

それにしても、「高飛び込み」も「板飛び込み」もマイナーなスポーツですよね。

飛込競技は、水泳の競技で、高さのある飛び込み台より水面に落下、空中の演技から着水までの一瞬を競うスポーツです。

弾力性のある1m・3mの飛び込み板より跳ね上がって飛び込む飛び「板飛び込み」と、5m・7.5m・10mの飛び込み台から飛び込む「高飛び込み」競技の二種類があり、更にそれぞれに、2人一組で飛び込むシンクロナイズドダイビングという競技もあります。

飛込競技は勝負が決するまでの時間がもっとも短い競技であり、わずか2秒弱の中に高度な技を行なう採点競技です(高さ10メートルからの飛翔は時速60メートルになりその空中演技の時間はわずか1.4秒です)。水しぶきをあげない入水をノースプラッシュと呼び、高い評価点となります。さらに、唇を弾くような音がするだけで全く水飛沫が上がらない入水を「リップ・クリーン・エントリー」といい、これは最高の入水方法であるとされています。「シュッ!」という感じの音なのですかね。

私は、この「飛び込み」に対して、スポーツというより、街中の建物間の「綱渡り」と同様の「見世物」の類のようなイメージを持っていました。

昔、題名を思い出せないのですが、映画でこの飛び込みを「見世物」としてやっていたシーンがありました。たぶん10mよりも高かったのではないかと思います。 飛び込みする人の目線で下のプールが映されていたのですが、プールがとても小さく見え、空中にダイヴした後横風が吹いたらプールの外へ落下するのではないかと感じるほどプールが小さく見えました。

競技としての10mの高飛び込みも、入水角度が乱れたりすると危険だということをこの小説「Dive‼」から学びました。 クリフ・ダイヴィングで海に飛び込むときは、頭からではなく脚から入水しているのもそうした理由があってのことなのですね。

この「飛び込み」は、オリンピック競技になっています。近代オリンピックでは1904年のセントルイスオリンピックからオリンピック競技の仲間入りを果たしています。

日本人としてのオリンピックへの出場は1920年アントワープオリンピック男子明白高飛込に出場した内田正練が最初です。1936年ベルリンオリンピックで男子飛板飛込の柴原恒雄と女子高飛込の大沢礼子の4位が最高で、2017年現在今だメダルを獲得できていません。

選手数の少なさや指導者の手薄、練習環境の不備など選手育成に厳しい状況も、この「Dive‼」から見てとれました。

戦前のベルリン五輪で日本飛び込み界の最高到達点で、後にも先にもこの4位を上回るオリンピックの成績がないというのも寂しいですね。

オリンピックでの入賞に限って言えば、去年の2016年のリオ五輪で板橋美波(17歳、JSS宝塚、リオ五輪当時は16歳)が、10m高飛び込みに出場し、8位でアトランタオリンピックでの元渕幸以来となる入賞を果たしました。

元渕幸は、1996年のアトランタオリンピックで、3m飛び板飛び込みで6位入賞し、女子飛び込みとしては60年ぶりの入賞という快挙でした。

男子としては、1992年のバルセロナ五輪で金戸恵太が8位入賞を果たしています。 ちなみに彼のお父さんは金戸俊介で1960年のローマ、1964年の東京オリンピックに出場しています。

金戸恵太は、88年のソウル、92年のバルセロナ、96年のアトランタの3大会に出場しています。92年のバルセロナで8位入賞した時、父俊介は日本選手団コーチを務めていました。

この「DIVE‼」は2008年に映画化されており、3人の中学生に、林遣都、池松壮亮、溝端淳平、コーチが瀬戸朝香です。

現在は金戸ダイビングクラブ(旧ミキハウスダイビングクラブ)で若手の育成に当たっている金戸恵太が、映画『DIVE!!』では撮影前の合宿時から選手役を演じた俳優のダイビング指導をし、劇中でも川口コーチ役として出演しています。

そして、この金戸恵太の次女が中学生ながら今年の2月に初のシニア大会となる飛び板飛び込み(3メートル)で、女子高飛び込みでリオデジャネイロ五輪8位入賞で現在の日本人エース板橋美波(17歳、JSS宝塚)の4連覇を阻む快挙で頂点に立った東京五輪期待の星金戸凛(りん)です。

金戸一家のダイビング競技は彼女の祖父と父だけではありません、彼女の祖母も母もオリンピック選手なのです。 そして彼女のお母さんが金戸恵太と結婚したアトランタ五輪の入賞者元渕幸です。

三世代続く飛び込み一家のサラブレッド金戸凛が、健在の祖父・祖母に、共に五輪入賞の実績を持つ父母に、いや日本国民に、4位入賞よりさらにその上のメダルをもたらせてくれる東京五輪まで残り3年半を切りました。

今年の7月のブダペストの世界選手権は、16歳の池江璃花子とか400個人メドレーで日本新を出した21歳の大橋悠依だけが注目選手ではありませんよ。金戸凛は出場しませんが、飛び込みで17歳の板橋美波も日本代表に選ばれています。

by zoompac | 2017-04-25 05:56 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

2017年のアカデミー作品賞受賞作 「ムーンライト」

f0090954_06011821.jpg今年のアカデミー賞で大本命の「ラ・ラ・ランド」をハプニングの末破って、最優秀作品賞を受賞した話題作です。

剛腕トランプ政権で少数派に対する偏見や差別が助長される中ハリウッドの映画人がそうした流れに逆らう良心の証として選んでくれた作品として注目していました。

同性愛、差別、いじめ、麻薬中毒、親子の断絶とテーマが重たくて暗いのですが、映画を観てみると斬新さを感じました。

刺激的な印象から程遠く、むしろ静謐さを感じたのは、主人公の受動的ながら一途な性格からっだような気がします。カメラワークも見事で、黒人の肌艶の輝きが美しく見えました。月明りでお前はブルーに輝くという言葉に見事に応える映像でした。

マイアミを舞台に自分の居場所とアイデンティティを模索する少年の成長を、少年期、ティーンエイジャー期、成人期の3つの時代構成で描いた作品です。

主人公の小学生、高校性、成人という人生の三段階を3人の異なった役者が演じていたところが斬新でした。

三人は、姿、形は似ても似つかないのですが、観客には同じ人物に見えるのが不思議です。ちょっとした目の仕草、うつむき加減の内向性等々が共通なのです。

この三人が同じ一人の人物を演じながら、撮影現場で顔を合わすこともコミュニケーションを取ることもなかったそうです。

孤独な少年、青年を支えたのは、麻薬ディーラーの「フアン夫妻」と、唯一の男友達である「ケヴィン」だけでした。 そのファン役のマハーシャラ・アリがアカデミー助演男優賞を受賞しました。

観る前に、そのテーマに肩肘張って身構えていたのですが、観た後は不思議と涼風を感じる爽やかさが残りました。 ブラピもなかなかやりますね。

007シリーズで、ボンドの上役Mの秘書役のミス・マネーペニー役のナオミ・ハリスが役柄とは言え、結構シワシワなのがショックでした。 最近はニコール・キッドマンのシワシワも「ライオン」で見たばっかりでショックが続きます。

五つ星ばらまき映画評論家の中条省平氏が四つ星でしたが、これは額面通り私にとっても四つ星でした。 少しだけ、中条省平氏との価値観の距離が縮まったような気がした作品でした。

by zoompac | 2017-04-24 06:01 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

小説 「八朔の雪_みおつくし料理帖(1)」高田郁

f0090954_07295682.jpg2010年の8月に読んで、読後のブログも書いていましたが、5月13日(土)から黒木華主演で八回TVドラマ「みをつくし料理帖」をNHKで放映する機会に合わせて再読しました。

大阪出身の女料理人が江戸で悩み、成長しやがて活躍しはじめる話です。

江戸と上方の食べ物文化の違いがいろいろ学べたり、再確認できたりして楽しいです。

例えば、

・上方で好まれる土手鍋(白味噌)の牡蠣、それに対し小ぶりで味の濃い深川牡蠣は焼殻牡蠣、牡蠣の口が開いたところに醤油と燗冷ましの酒を回し入れる
・俵形の上方風の握り飯VS三角おむすび
・上方の昆布出汁(だし)と江戸の鰹出汁
・江戸では一本箸で食べる心太_「お澪坊、心太は一本箸で食うもんだろう?」 澪は、ええっという顔になった。箸は二本揃って一膳。一本箸というと、弔いの席で死人に供える枕飯に挿すものを想像してしまう澪である。
・「酢醤油?」声が裏返っていた。心太に酢と醤油をかけるというのは澪には衝撃だった。大阪では物心ついた時から黒砂糖を煮詰めてトロリとさせたのをひんやりした心太にかけて食べるのが暑い夏の一番のご馳走なのだ。
・脂の乗った戻り鰹を味わい深いと評価する上方、猫跨ぎといって見向きもしない江戸

澪は迷って悩みます。

「何とかしたい、と。何とかしなくては、と。」そう思いながら、彼女には出口が見えないのです。

「最初は、上方の味を押し通して、拒まれた。江戸には江戸の味がある、そう思い、合わせる努力をした。自分の作るものを人が旨い、旨いと食べてくれることに喜びを感じる一方でどうしても自分自身、納得できない料理がある。」

ある人から「料理の基本がなっていない。」と言われます。

そこで、出汁について学び、そして工夫を重ねます。

昆布出汁の旨みはまろやかで甘い。口に入れると全体にふんわり広がる。逆に鰹出汁の旨みは鋭くて、舌の上に集まって来る感じ。片や広がり、片や集まる・・・で、澪は合わせ出汁を思いつきます。

「ええ?、江戸の茶碗蒸しは玉子を使わないのですか?」

天性の味覚の持ち主「澪」は、ミシェラン番付のような料理番付で関脇の初星を獲得します。その料理が「とろとろ茶碗蒸し」でした。

澪が生まれ育った大阪は、商人の町であって、武士の数が極端に少ない。そして商いの前でひとは押しなべて平等でした。料理番付で評判をとった「茶碗蒸し」を食べたいある藩の留守居役がお忍びで食べたいので人払い(今、店で食べている連中を追い出せということ)をせよとねじ込まれます。

「茶碗蒸しに入れる鰻を背開きにするところ、うっかり上方流に腹から捌いてしまいました。お武家さまにそんな縁起の悪いものをお出ししては大変!」

その他、おぼろ昆布や粕汁に対するエピソードも面白く読みました。

「江戸にはおぼろ昆布がない。大阪に居た頃、心斎橋に昆布屋が何軒もあって、そこの店先で昆布を削る光景をよく目にした。削られた昆布はふわふわと舞う天女の羽衣のようだった。」

「何事にも始末を身上とする大阪育ち。粕汁は船場煮と並んで、冬場、大阪の寒い台所で奉公人ががごくたまに主(あるじ)のお相伴に与れる(あずかれる)ご馳走なんです。」

発売当時、書店の店員さんの評判がよい作品でした。口コミで広がり大人気のシリーズ読物(全10巻)になりました。そして、今年の5月13日土曜日(夕方6時5分スタート)から連続8回のTVドラマの原作となります。脚本は「ちりとてちん」の藤本有紀、出演は、黒木華、森山未來、永山絢斗、成海璃子、小日向文世、安田成美等です。

by zoompac | 2017-04-23 07:30 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

落語の「米朝一門会」と緊張の「米朝関係」

f0090954_07044350.jpg米朝一門会@紀伊国屋ホール(新宿三丁目)に行ってきました。

桂ざこば(演目は一門笛)、桂南光(鹿政談)に米朝さんの息子さんの桂米團治(蛸芝居)の噺を楽しみました。 若手では、桂りょうば(桂枝雀の長男、演目は強情灸)と桂雀太(2016年のNHK新人大賞受賞者で受賞演目の代書)が出演していました。

雀太の「代書」と米團治の「蛸芝居」がよかったです。

雀太の「代書」のマクラで、NHKドラマの「ツバキ文具店」(鎌倉在住の代書屋の物語で、主人公ポッポちゃんを多部未華子が演じています)に触れてくれたことも嬉しかったですね。今、小川糸の原作を読んでいましたので。

観客の中に、近藤正臣の姿もありました。

落語は、究極の「緊張の緩和」たる「笑い」を誘うものですが、笑いをふりまく「米朝一門」とは対極の緊張を強いる「米朝」の太文字が最近の新聞で目につきます。

落語の「米朝」は腹を抱えて笑ってすむのですが、新聞を賑わす「米朝」はキナ臭いですね。

20日木曜日の日経の朝刊に掲載された英Financial Timesのコメンテーターの翻訳記事「米朝首脳 誤算のリスク」を興味深く読みました。

1950年の朝鮮戦争勃発は、米国の政府高官の不用意な発言とその発言を鵜呑みにして行動を起こした北朝鮮政府の状況判断ミスがきっかけになったと分析していました。 そして、今再び朝鮮半島(今度は日本も含む?)は朝鮮戦争の二の舞となりかねない紛争突入の危険が高い状況であると警鐘を鳴らしていました。

当時のアチソン国務長官が1950年1月に行った記者クラブの講演会で、彼はアジアにおける米国の「防衛線(アチソン・ライン)」に言及し、無頓着にも朝鮮半島はその防衛線の外にあると示唆したのです。

北朝鮮の当時の指導者だった金日成氏は、この発言から米国は明らかに韓国を防衛しない方針だと読み取り、それから5カ月後の6月に北朝鮮の大軍が北緯38度線を越え韓国侵攻という行動を起こしたのです。

しかし、米国は参戦しました。結果的には、金氏は大きく読み違えをしたということになります。

この朝鮮戦争で、少なくとも何十万人もの命が失われ、後に米軍と中国軍が直接衝突する事態にまで発展しました。

しかも、この戦争は公式には未だに終結していません。今日に至るまで正式な平和協定が結ばれないまま、朝鮮半島の和平は停戦協定のもとで保たれているにすぎないのです。

祖父の軍国主義と孤立主義、偏執的な面を受け継いでいると言われる孫である現在の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が、祖父と同様、予想外の動きに出る危険があることを否定できません。

北朝鮮はまだ、米西海岸を射程に入れた核弾頭搭載ミサイルの開発を終えていませんが、韓国や日本に核弾頭を落とせるミサイルは保有しているようです。加えて、北朝鮮国境から35マイルほど(約56キロ)しか離れていない韓国の首都ソウルは、通常兵器による集中砲火を浴びれば壊滅する危険が高いですし、対韓国のみならず日本に対しても北朝鮮が化学兵器を使用する可能性があることも否定できません。

トランプ氏は、中国に対して貿易不均衡のカードを引っ込めるアメで、中国をして同国のいわば属国である北朝鮮に「核開発を諦めさせる」選択をしました。その背後で、習近平訪米中にシリア攻撃を仕掛け、北朝鮮への攻撃も辞さない構えをとっています。演習と銘打って、「極めて強力な艦隊」を、朝鮮半島に送りこむなど一触即発の構えです。

しかし、あまり脅しが効きすぎると、トランプ政権の強気が裏目に出て、金正恩政権が先制攻撃に打って出るかもしれませんし、トランプ大統領も意外性の人ですから「断固たる行動」と銘打って先制攻撃を選択する可能性があります。

金正恩政権とトランプ政権の心理的なチキンレース(我慢比べ)に耐えきれなくなったどちらかが行動を起こして、韓国と日本が巻き込まれて修羅場となるというシナリオだけはなんとか避けて欲しいですね。

国際問題としての「米朝」関係の緊張が増す中で、束の間の「緊張の緩和」の笑いの渦に巻き込まれた「米朝一門会」でした。

by zoompac | 2017-04-22 07:05 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

映画 「ライオン」_25年目の母を訪ねて三千里

f0090954_06051134.jpg最後の最後にこの映画の題名が何故「ライオン」なのかがわかる仕掛けになっています。ネタばらしはしません、映画を観てのお楽しみ!

1986年、インドのスラム街で暮らす5歳の少年サルーは、兄と仕事を探しにでかけた先で停車中の電車で眠り込んでしまい、家から遠く離れた大都市カルカッタ(コルカタ)まで運ばれます。そのまま迷子になったサルーは、やがて養子に出されオーストラリアで成長して、2012年に25年ぶりに家を見つけ母親との再会を果たすという実話に基づいた物語でした。

「キャロル」のルーニー・マーラ、ニコール・キッドマンら豪華キャスト共演で、主人公のサルーを「スラムドッグ$ミリオネア」、「マリーゴールドホテル」のデヴ・パテルが演じていました。 5歳時のサルーを演じた5歳の俳優サニー・パワールの演技も見事でした。

老け役のニコール・キッドマンの首元の皺が演技なのかすっぴんなのかがとても気になりました。

幼かったサルーが自分のかって住んでいた町「ガネッシュ・タライ」をガネストレイと記憶していたため、Google Erathを使ってもなかなかたどり着けなかったのですが、ある日、天からの啓示のように道筋が露わになったのです・・・。 潜在意識に隠れていた6歳の頃の遠い記憶が突然蘇ったような不思議で感動的な瞬間でした。

インドで迷子になった5歳の少年が、25年後にGoogle Earthとかすかに残る記憶で故郷を探し当てたという実話をもとにしたストーリーです。 泣くもんかと歯を食いしばって観ていましたが、涙腺は自然に緩んでしまいました。


by zoompac | 2017-04-21 06:06 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)
RELEASE INFORMATION NEW ALBUM

[通常盤]「Now On Sale!!」
TOCP-66380/¥2,548(税込)

[DVD付 初回生産限定盤]
「Now On Sale!!」
TOCP-66381/¥3,500(税込)

NEW SINGLE
WMP HIGH LOW
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