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人間ブルドーザー王子谷剛志が2016柔道日本一

f0090954_8373494.jpg4月29日、東京・日本武道館でリオ五輪男子100キロ超級代表最終選考会と兼ねて行われた体重無差別で争う全日本選手権は、一昨年の決勝と同じ顔合わせとなり、23歳の王子谷剛志(旭化成) が26歳の上川大樹(京葉ガス)に合わせ技で一本勝ちし2年ぶり2度目の優勝を果たしました。

これまでの選考レースですでに五輪代表は絶望的になっていた王子谷ですが、5試合中4試合で一本勝ちでした。 準決勝でも五輪代表争いレースに残っていた七戸龍(九州電力)に得意の大外刈りで一本勝ち、決勝でロンドン五輪代表の上川を圧倒しました。 (写真は昨日の決勝ではなく、2年前のものです。)

まさに、人間重機というかブルドーザーと男子代表監督井上康生が呼ぶ王子谷の根こそぎもっていく馬力の面目躍如の大会となりました。 100㎏超級の試合でこれだけ有力選手がなぎ倒されるシーンを見た経験はありません。 100㎏超級の世界チャンピオン、フランスのテディ・リネールを投げ飛ばすのは王子谷かもしれないなと思ったほどの凄まじい馬力でしたよ。

一方、この大会2連覇を狙った23歳の原沢久喜(日本中央競馬会)は、準決勝で上川大樹に旗判定で敗れてしまいました。 去年のこの大会で、王子谷剛志と七戸龍を連覇して初優勝をもぎとったときの代名詞の豪快な投げと底なしのスタミナは影をひそめ、追う立場から追われる立場に変わっての重圧におしつぶされたような沈鬱でもどかしい試合が初戦から続きました。

原沢の去年の全日本優勝からの公式戦の連勝記録は37でストップしてしまいましたが、それでもここ1年の国際大会での好成績が評価され、五輪初代表に選出されました。

七戸龍には対戦成績4戦連勝の原沢久喜ですが、実は彼は同年代の王子谷剛志が大学時代から(原沢が日大、王子谷が東海大)大の苦手で、これまでの対戦成績も2勝6敗1分けです。

リオ五輪が終わっていない今から、2020の東京五輪の話はいささか勇み足気味ですが、この選考レースも今から楽しみです。

王子谷剛志と原沢久喜の現23歳ライバル争いに、急成長の19歳の明治大学生小川雄勢(父は日本一に7度輝いた小川直哉)を巻き込んでの三つ巴の争いになりそうな気がしています。

今大会初出場での小川雄勢は準々決勝で七戸の大内に刈り取られてしまいましたが、4月2,3日に行われた体重別選手権では王子谷剛志に勝っています。
by zoompac | 2016-04-30 08:37 | スポーツ | Comments(0)

読書 「君の膵臓をたべたい」 住野よる

f0090954_10194954.jpg本屋大賞の第1次集計時点のポイント数ではこの「君の膵臓をたべたい」が391点、2位の「羊と鋼の森」の181.5点に倍以上のポイント差の断トツでした。

でも、第2次投票では、「君の膵臓をたべたい」は得点が327.5点にとどまり、一方「羊と鋼の森」が372点まで得点を伸ばした結果、逆転うっちゃっりで、今年の本屋大賞受賞作品は「羊と鋼の森」(宮下奈都)に決定し、「君の膵臓をたべたい」(住野よる)は第2位となりました。

以下、3位が「世界の果てのこどもたち」、4位に「永い言い訳」、5位に「朝が来る」、6位に「王とサーカス」、7位に「戦場のコックたち」でした。 芥川賞受賞作の「火花」とか直木賞受賞作の「流」とかは、やはり、書店員さんが自分が後押しして世の読者層に広めたいというモチベーションが上がらないようで、それぞれ10位と8位でした。その間の9位に「教団X」が入りました。

今回の本屋大賞の選考プロセスは以下の通りです。

2014年12月1日から2015年11月30日までの1年間に刊行された日本の小説を対象に、投票は1次、2次の2回行われます。

新刊書店に勤務するすべての書店員が投票資格を持ちます。 「自分が読んで面白かった」「もっと売りたい」と思った本を三作選び順位をつけ推薦理由とともに投票するのです。 1次、2次とも1位に3点、2位に2点、3位に1.5点の得点が与えられます。

第1次投票で得点の多かった十作品が2次投票のノミネート作品として発表されます。 今年のノミネート作品発表は1月21日でした。 19日の直木賞発表のすぐ後の発表でした。

その十作品をすべて読んだうえで、あらためて3作品を選び、3位までの順位をつけて投票します。その際、十作品すべてに推薦、非推薦のコメントをつけるのだそうです。

本年の投票者数は1次投票が435書店、552人(去年は580人)、2次投票が276書店、331人(去年は342人)だったそうです。 去年、出版不況の中、取引書店が相次いで閉店になったにもかかわらず、投票者数は微減にとどまりました。

ただ、都道府県別でみると、秋田県、沖縄県が1次、2次ともにゼロ、和歌山県、宮崎県が2次でゼロで、この本屋大賞への思い入れに地域差があることがわかっています。 全国書店員が選んだという標題も看板倒れの危機に瀕している感が否めませんね。

去年6月に刊行された「君の膵臓をたべたい」に比べて、9月に発売となった「羊と鋼の森」は初版部数も7500部と少なく知名度が低かったようですが、いきなり2015年下半期の第154回の直木賞候補に選ばれたことで脚光を浴び、2次投票でそれを読んだ書店員からその表現の美しさと内容のよさを認められたようです。 特に女性書店員から高評価を得ていました。

閑話休題

私の「君の膵臓をたべたい」の読後感想は、一言でいうならば”あざとい”というものでした。

本の題名からして、読者の度肝を抜くアピール狙いミエミエですよね。

ペンネームの「住野よる」にもあざとさがプンプンしています。 女性かなと思ったら大阪在住の27歳の男性ということでした。

ボーイミーツガールに不治の病を織り込んだ陳腐化された材料なのですが、膵臓を病んだ高校生山内桜良と「ネクラのクラスメイト君」の会話はウィットに満ち、筋立てもいろいろ計算しつくされた伏線が仕掛けているところは才能のきらめきを感じます。特にラスト4分の1あたりからはページをめくるスピードが加速させられました。

この作者、ネクラ、引きこもり、他人との接触が苦手な主人公の造形が上手いですね。 意外にウィットに富んだ会話が「ネクラのクラスメイト」君からポンポン出てきます。 対するは、膵臓に致命的な病気を抱えた、超テンネンの明るく社交的な人気者の桜良という組み合わせの妙はなかなか興味深いものでした。

ただデビュー作としての荒削りの部分も目立ちました。 桜良の最期は何かの映画でみたような取ってつけたような設定で意外性狙いの意図が透けてみえてちょっとしらけましたし、その桜良の友達恭子と恭子が敵視していたネクラのクラスメイト君が友達になるってことも結果先にありきでそのプロセスが描き切れていないところに不満が残りました。

桜良と「ネクラのクラスメイト」君の出会いから、桜良が最期を迎えるまでの出来事すべてが偶然じゃなく、ある程度選択してきた結果だと「ネクラのクラスメイト」君が自分で気付くシーンがありましたが、そこは意識的に選択した結果ではなく、結果から遡及してそういう見方もできるってことですから、むしろ天の配剤(divine intervention)のような意味合いにしたほうが、私にはしっくりきました。

「羊と鋼の森」との一騎打ちとなると、その完成度と言葉の紡ぎ方で、見劣りのする「君の膵臓をたべたい」ですが、そこまで陳腐なボーイミーツガール材料を風変りでおしゃれな物語に料理するしたたかさがこの著者にはありました。 読者の心をくすぐる仕掛けとか引出を多く持った、そういう良い意味でのあざとさを感じさせる作品でした。

彼の二作目「また、同じ夢を見ていた」が今年2月に発売されています。 友達のいない少女、リストカット女子高生、あばずれとののしられる女性、余生を送る老婆が登場人物とされています。

彼の作品が、全国の引きこもり層に主役としてのスポットライトを浴びせ、共感を呼び、さらに彼らの読書欲を沸き立たせ、再び「本屋大賞」ノミネートのメジャーリングに登場する日を楽しみにしています。
by zoompac | 2016-04-29 10:19 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

兵庫リレーカーニバル2016の結果(女子1万mと高校女子3千m)

一般の部が、リオデジャネイロ五輪の代表選考会を兼ねた陸上の日本グランプリシリーズ第1戦と位置づけされた兵庫リレーカーニバルは4月24日、神戸市のユニバー記念競技場で男女8種目が行われました。残念ながら、今大会で新たにリオ五輪の参加標準記録をクリアした日本選手はいませんでした。

私が興味のある女子の中・長距離での結果の概要です。

女子1万メートルは今年の世界ハーフマラソン選手権代表の安藤友香(スズキ浜松AC)が32分16秒34で日本勢トップの2位に入りました。 私が期待していた須磨学園出身、現豊田通商の横江里沙が安藤から約8秒50遅れの32分24秒87で3位、昨夏の北京世界選手権代表の小原怜(天満屋)は32分27秒51で5位に終わりました。

私の注目する、豊田自動織機のスーパールーキー島田美穂は、29日の織田記念陸上(広島)で登場します。 何が何でも五輪出場の切符が欲しい安藤友香はこの織田記念陸上にも連続出場です。 その他、デンソーの小泉直子、ユニバーサルエンタテイメントの中村萌乃、木村友香、青山瑠依、豊田自動織機から福田有衣、山本菜緒、林田みさき等伸び盛りの選手が29日の織田記念にエントリーしています。

兵庫リレーカーニバルの高校女子3000mの部の参加者は、兵庫県勢で占められていました。薫英女学院、立命館宇治、世羅、その他九州の高校の有力選手の多くは、次の織田記念に出場予定です。

兵庫カーニバルはしかしながら実力が全国クラスのライバル2校の西脇工高と須磨学園の今期の勢力分析には大いに役立つのです。

去年は記念大会ということで、西脇工高が兵庫県代表、須磨学園は県代表選考に敗れたものの、近畿ブロックからの出場が認められ、須磨学園が全国4位、西脇工高が5位という兵庫県の高校女子のレベルの高さを立証しました。

今期の西脇工高のエースは後藤夢(2)ですね。去年は1年生ながら、暮れの全国高校駅伝の第4区の区間賞の走りが印象的でした。

後藤夢が、今年4月24日の兵庫リレーカーニバルの高校女子3000mの優勝者となっています。 その全国高校駅伝アンカー区の第5区で西脇工業を躱した須磨学園の太田麻衣(2)が、この兵庫のリレーカーニバルの3000mで後藤夢に次いで2位でした。 須磨学園の今期のエースといっていいでしょう。

須磨学園は、兵庫県の全国に誇るスーパー中学生の二枚看板の大西ひかりと金山琳を獲得しました。この二人が早速、大活躍で、この女子3000mの第3位と第5位に入賞をしています。

高校女子3000mの成績です。

1位: 9:32.03 後藤 夢(2) (西脇工高)、2位: 9:32.36 太田 麻衣(2) (須磨学園高)、3位: 9:32.88 大西ひかり(1) (須磨学園高)、4位: 9:35.15 秋山あみる(3) (須磨学園高)、5位: 9:36.67 金山 琳(1) (須磨学園高)、6位: 9:42.66 村上 美桜(2) (西脇工高)、7位: 9:44.31 礒野 恵梨(2) (西脇工高)、8位: 9:47.38 鳴瀧ほのか(2) (須磨学園高)、9位: 9:49.01 和田さくら(3) (須磨学園高)、10位:9:51.69 今枝 紗弥(2) (西脇工高)

1500m専門のスピードが持ち前の、西脇工業の田中希実(2)と須磨学園の樽本知夏(2)は、高校3000mではなく、一般の1500mの部で出場し、上位を実業団選手が占める中、樽本が6位、田中が8位でした。 スピードランナーとして中学生時代から有名だった西脇工業の高橋ひなの名はエントリーリストにありませんでした。

両校とも、去年の全国高校駅伝経験者5人が西脇工高の山本菜月(卒業)を除いて全員残っています。

この結果をみる限り、有力新人2人を獲得した須磨学園が、暮れの全国高校駅伝の兵庫代表選考に向けて1歩リードしていると見受けました。ちょっと早いですが・・・・、兵庫の女子高校生のガチの熱い戦いが始まりましたよ。
by zoompac | 2016-04-28 08:55 | スポーツ | Comments(0)

読書 「羊と鋼の森」 宮下奈都

f0090954_73691.jpg競技かるた漫画「ちはやふる」に、東京の主人公綾瀬千早と福井に離れた綿谷新が、携帯で初めて話すシーンで、千早が新に「ケイタイ電話ってすごいね! カササギみたいというシーンがありました。」

これは、「かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ゾ更けにける」の歌ですね。 織姫と牽牛を繋ぐ橋となったのがカササギです。

同じ、かささぎの逸話が、今年の本屋大賞受賞作の「羊と鋼の森」でも紹介されていました。

この小説「羊と鋼の森」の主人公である調教師外村のセリフです。 外村は高卒後、調律師の専門学校へ2年通い、調律師になったばかりの新米ほやほやで、自分の仕事に対する、自分の姿勢とか立ち位置を模索する毎日です。

「カツンカツンって、たぶんカササギのことですよね。」
「天の川で、カササギが橋になってくれるっていう話がありますよね。ピアノとピアニストをつなぐカササギを、一羽ずつ方々から集めてくるのが僕たちの仕事かなと思います。」

このあたりのことを著者は「羊と鋼の森」のP.190から193に渡って丁寧に書き込んでいます。

昨日のブログで紹介した「重版出来」も、出版会社の編集部で働き始めた新入社員黒沢心(黒木華)が、自分の仕事を漫画家さんと読者の懸け橋であることを見出す物語でした。

突発性難聴に罹って、病室で、左耳の空気の抜けるような耳鳴りを聴きながら、この世界に解けた音楽を形にするピアノができるだけ美しく音楽を形に出来るよう、弦の張りを調整し、ハンマーを整え、波の形が一定になるよう、ピアノがすべての音楽とつながれるよう(かささぎとなって)調律する物語を読むのは、少々つらかったです。

外からの音は、内耳の有毛細胞が揺れることで脳へ伝わるのだそうです。 内耳で、白と黒のピアノの鍵盤のように細胞は横一列に並んでいて、その場所ごとに周波数(音の大きさ)を受け持っているのだそうです。 内有毛細胞が音を受け取って脳に伝える役割、外有毛細胞が収縮運動で、微弱な音は増幅し、過大な音は抑制するというまことに複雑な調整機能をもっているようです。

突発性難聴は、それらの細胞が一気にダメージを受けたときに出る症状です。

突発性難聴に罹って1週間あまり経ち、入院5日、退院後自宅静養4日めになります。 左耳が音を受け取る力は自覚として半分程度回復してきました。 ところが過大な音を抑制する機能が働かず、鳩時計の音とかTVドラマの高い(大きい?)音が反響してしまうのです。 まったく聞こえないよりマシですが、これもこれで聴き疲れを起こしてしまいます。 安静療養というのはこういう刺激的な音を聞くことを避けるということなんでしょうね。

この小説で、外村が調律師になろうとしたきっかけとなった名人調律師板鳥さんに私の内耳の中のピアノの調律を頼めたらなぁ・・・って、つくづく思いました。

新人職人の外村が「才能」をめぐり葛藤と決断を繰り返しながら少しづつ成長をいく過程を描く中で、いろいろ勇気づけられる言葉をこの小説の文中から得られました。 いくつかを備忘録として取り上げます。 

・才能がなくたって生きていけるんだよ。 だけど、どこかで信じてるんだ。一万時間を越えても見えなかった何かが、二万時間をかければ見えるかもしれない。早くに見えることよりも、高く大きくみえることの方が大事なんじゃないか

・才能があるから生きていくんじゃない。 そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。

・「ピアノで食べていこうなんて思っていない」和音は言った。「ピアノを食べて生きていくんだよ」

・根気よく、一歩一歩、羊と鋼の森を歩き続けられる・・・・。

・努力をしているとも思わずに努力をすることに意味があると思った。努力していると思ってする努力は、元を取ろうとするから小さく収まってしまう。 自分の頭で考えられる範囲内で回収しようとするから、努力は努力のままなのだ。それを努力と思わずにできるから、想像を超えて可能性が拡がっていくんだと思う。

・何一つ無駄なことなどないような気がすることもあれば、何もかもが壮大な無駄のような気もする。

・ピアノは一台ずつ顔のある個々の独立した楽器だけれど、大元のところでつながっている。たとえばラジオのように。どこかの曲が電波に乗せて送った言語や音楽を、個々のアンテナがつかまえる。同じように、この世界にはあらゆるところに音楽が溶けていて、個々のピアノがそれを形にする。ピアノができるだけ美しく音楽を形にできるよう、僕たちはいる。弦の張りを調整し、ハンマーを整え、波の形が一定になるよう、ピアノがすべての音楽とつながれるよう調律する。

研ぎ澄まされた言葉を連ねる宮下奈都節を皆様も是非ご堪能あれ!
by zoompac | 2016-04-27 07:36 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

TVドラマ「重版出来(じゅうばんしゅったい)」

f0090954_9476.jpg先週火曜日、病院のベットでTVドラマ「重版出来(じゅうばんしゅったい)」を観ました。 (火曜日 夜10時 TBS系列)

このドラマ、面白いです。

何より、黒木華のコミカルな顔と、体育系の全力疾走がいいです。

主人公の黒沢心(黒木華)が柔道一直線、オリンピック候補だったのに、重傷を負って、五輪を断念し、心機一転、編集者を目指すって設定もたまりません。

「面接は柔道と同じだ!(面接官の心の動きと息づかいを測り、相手が息を吐くと同時に仕掛ける・・・なんて!)」という超テンネン、前向きキャラで、大手出版社(興都館)に入社し、青年漫画誌の編集部に配属されます。

明るく元気で、ひたすら前向きで、アイディアが閃くと、社外から会社のロビーを全力疾走ですよ。

あの、少し蔭のある役の印象が強かった黒木華が、小熊というニックネームをつけられ、体育系女子を全力で演じています。 その意外性というか、いや、黒木華の演技の幅の広さに脱帽です。 観終わって実に後味のいいTVドラマになっています。

先週のストーリーは、一冊でも多く刷って、新人漫画家を世に出したい編集部と無駄な赤字を少しでも増やしたくない営業部との社内会議で丁々発止の掛け合いというところから始まりました。

販売実績もない新人作家の初単行本なので、基本最低部数の6千部でってことで、営業部に押し切られた編集部でしたが、営業部も売るのが仕事です。 黒沢心も駆り出され、営業部の覇気のない「ユウレイ」って綽名のついた担当社員と、初単行本の宣伝活動を大手の本屋に仕掛けていきます。 予算があまり採れないので、手作りの漫画見本とかお手紙作戦とか、鉄道に関係ある漫画なので、書店の漫画コーナーだけでなく、鉄道コーナーにも置いてもらうという様々な工夫が紹介されていました。

その営業努力の甲斐あって、その作品のよさが多くの人に認知され、重版決定でめでたしめでたしって話でした。

ドラマタイトルの「重版出来(しゅったい)」とは、一度出版した書籍を再び、または何度も印刷する「重版」が出来上がり、書籍として販売することです。 この四文字は出版業界の全員が幸せになれる言葉なのだそうです。

黒沢心がこの重版出来の場で、歓びのカズダンスぽいオリジナルダンスを披露したその仕草と茶目っ気たっぷりな歓びの表情に心掴まれましたよ。

先週火曜日のドラマ放映から5日が経って相変わらず同じ病室で、土曜日の朝のTV番組「王様のブランチ」(余談ながら、「王様のブランチ」は全国放送かと思っていましたが関西では放映されないのです。関西では「せやねん」というお笑い系のバラエティが放送されています。 どうでもいいことですが。)を観ていたら、今年の本屋大賞を「羊と鋼の森」で受賞された宮下奈都さんがゲスト出演されていました。

そして彼女の受賞作品の初版本の去年の9月に刷られた部数が著名でない作家さんということで7500部だったことを知りました。 まさに重版出来の第2話の無名の新人作家さんの単行本の部数扱いだったのです。 ちょっとびっくりですよね。

その話の中身のよさ(去年年末に発表された王様のブランチのBook of the yearとか今年1月に紀伊国屋のベストセラー賞であるキノベス20161位獲得)と、そのよさを多くの人に伝えたいという出版社営業の努力と多くの書店員のチームプレーがあって短期間に版を重ね、しかも書店員さんが選ぶ「本屋大賞」まで登りつめたのは、まさにドラマ重版出来の第2話めのストーリーと思いがけなく重なり、ますます印象を強くしました。

がんばれ、黒沢心(黒木華)、がんばれ、宮下奈都!

余談ながら、本屋大賞第2位の住野よる(男性作家です!)の「君の膵臓をたべたい」も、今読んでいるところですが、なかなか面白いです。「うわははっ!」
by zoompac | 2016-04-26 09:04 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

突発性難聴体験記

今週月曜日(19日)の夜から、突然、左耳にアブラゼミのような耳鳴りが起きました。 去年は飛蚊症という目の病気に罹りましたが、加齢と共に、蚊の次は蝉かよとショックでした。

落語CDを聴きながら寝るとき、耳鳴りの雑音で聴こえにくいけど左耳が音をは取ってるのは確認できました。 目の前をたくさんの蚊が飛んでいるように見える飛蚊症も病院へ行ったけど結局は自然治癒でした。 耳鳴りも明日の朝目が覚めれば気にならなくなるだろうと思っていました。

翌朝、耳鳴りの音は小さくなっていましたが耳の中に空気圧を感じる詰まり感が出ました。 そして、風呂に入って音楽を聴いたとき、左耳からほとんど音が入ってこないことに気づきました。 音がパタッと左耳から入らなくなったのです。 左耳から音が消えました。

会社に行こうと家は出たものの、駅前あたりの朝の通勤者の群れの中で、ぶつからずに歩くのに不安を感じました。 バランス感覚に不安ありという感じです。 たまたま駅前に耳鼻科の看板を見つけたので飛び込んでみました。

検査を受けたら、突発性難聴と診断され、早い治療が肝心ですからすぐ入院設備のあるところで再検査をと薦められ紹介状を用意されました。

タクシーで東京臨海病院へ行き、MRI検査や聴力の再検査の後、ここでも突発性難聴と診断され、火曜日即日から入院して、1日約5時間のステロイド点滴治療を毎日行うことになりました。

入院して、いきなり大量のステロイドを点滴で入れ、それから徐々にステロイドの量を減らしていくということでした。

この病気の大きな特徴は、原因を特定できないことなのだそうです。

ですから対処も消去法で行う感じでした。

MRI検査で、脳腫瘍が認められないことから、腫瘍が原因で聴神経を圧迫しているという要因は少なくとも排除されました。

その他の要因としてウイルス感染とか、内耳の血管の血栓症の可能性があり、経験値的にとりあえずの処置としてはステロイドの点滴治療(ウィルス感染処置)と血管を拡張し血流をよくする薬の服用と相場が決まっているのだそうです。

ステロイド点滴は、副作用もあるとの説明も受けました。

火曜日、水曜日と大量のステロイド注入治療で何の変化もなかったのですが、木曜日の夜から喉の渇きがひどくなり、寝つけず、金曜日の朝は、顔がパンパンにむくんでいました。 体重も毎日1㎏増量するし(3日で3㎏)、血圧も80~120くらいから、95~145くらいになってきました。

ステロイド副作用って糖尿病に近い症状を示すのですね。高血症になり、喉は乾く、食欲は増長され、むくみはひどくなり、にきびまで噴き出てきました。そのくせ免疫力は下がり、風邪を引きやすくなるって話です。 ステロイドって抗炎症の薬って思っていたのに、免疫力が下がるなんてどういうこっちゃって言いたくなりました。 胃潰瘍の人とか糖尿病の人には副作用が強すぎて選択が難しい薬のようです。

そもそも原因が特定されないわけですから、この点滴治療もそれがビンゴというわけではなく、完治する人1/3、症状が軽減する人1/3、そして治らない人1/3という統計があって、それでも原因が特定できないながら、早期治療として今やれることはやったという後悔しないための保険にはなろうという割り切りが必要な治療のようです。

4日めも、浮腫みがでました。

耳鳴りは、2,3種類で、手前でタイヤの空気の抜けるような音、奥で蝉が鳴いているような少し金属音が入っているような感じ、これがときに二筋になったり、三筋になったり、まっすぐ流れているときは比較的穏やかなのですが、ときどき波系になって混ざり合ってわさわさと交響することもあります。これが大きくなったり小さくなったりで忙しいのです。

4日めも、とても外からの音をキャッチしてくれるようには思えませんでしたが、実は改善が2つあったのです。

まず、電話ですが、入院に必要なものをもってきてもらおうとかけました。 右耳で用を済ませて、左耳の聴こえを確認したところ、火曜日には左耳には全く入ってこなかった相手の話し声が、高い声は多少金属音が響く感じなのですがキャッチできるようになっていました。

もう1つの改善点の話です。

突発性難聴と診断され入院したとき、耳詰まり感があって綿棒で耳の掃除をしたのですが、左耳は、右耳のような「かさこそ」という音が、全くしなかったのです。 うがいをしても左耳の反応が違っていました。 体外からの音を拾ってくれないどころか、体内の音に対しても反応がなく、左耳の音は体内、体外を問わず死んでいたのです。

まだ鈍いながら、その左耳の中の綿棒のカサコソという音が感じられる程度に戻ってきていました。

さて、火曜日から毎日5時間の点滴治療を続けて5日の土曜日となりました。 聴力の再検査をしたところ、本人の聞こえにくいという違和感は相変わらずなのですが、数値としては改善が見られました。 左右の聴力差は相変わらず歴然としているのですが、だいぶ縮まっていました。

同じ突発性難聴でも、人によっては高い音が聞こえにくいとかあるようですが、私の場合は低い音を拾いにくくなっているようです。

最初のテストでは、その低音領域が重度の難聴といっていい80デシベルだったのが、50~60付近にまで数値が改善していました。 高度難聴が70~90ですから、中程度難聴に改善ですね。 ちなみに右耳はどの音域も正常値の25デシベル以下におさまっていました。

この結果をみて、医者から浮腫みや不眠等の副作用のデメリットの大きさに比べ、継続ステロイド治療のメリットは小さいので、この治療はこの程度にして、退院して構わないとの説明を受けました。

治ったから、退院というわけではなく、とりあえず不特定要因の1つに対処するための入院治療という手段の1つをこなしたからという感じでした。

退院後は、これまた保険をかけるような話ですが、今度は、内耳のリンパ液の過剰な内耳リンパ水腫(蝸牛型メニエール病:目眩はないが症状が進むとメニエール病になる?)が原因の可能性もあるのでということで、浮腫みを取るイソバイトというゼリーのまずい薬と内耳の血液循環をよくする薬を服用してくださいという指示にに従って、自宅で安静療養中です。

退院して、近所のスーパーにちょろっと行ったのですが、片耳が詰まって聞こえにくいというだけで、実にバランスが悪いですね。 火曜日の出勤当時の違和感は残っています。

慣れるより仕方ないのかもしれません。 そういえば、病院で診察を待って名前を呼ばれても、どこから声が飛んできたのかをキャッチしにくくなっていました。 自分の位置情報を左右の耳でキャッチする音波で測っていたのかもしれませんね。 なんとなくコウモリを想像してしまいました。

要因が特定できなく、完全な治療法も確定されていないという突発性難聴ということですので、長い目でみて、自分がこの症状に寄り添って仲良く付き合っていく立ち位置を探っていくしかないのかもしれません。 時間の経過と共に、自然に改善するということを期待しつつも、そう覚悟しました。

余談ながら、目眩といえばヒッチコック作品のジェームズ・スチュアートとキム・ノバック主演作品「めまい」が、今年の午前十時の映画祭7のプログラムに含まれていました。 目眩を感じながら観たくない映画ですよね。
by zoompac | 2016-04-25 09:37 | 健康 | Comments(0)

漫画 「ちはやふる」

f0090954_8202939.jpg左耳が突発性難聴に罹り、治療入院となった東京臨海病院のレクレーションルームでこの漫画を見つけ、17巻、一気読みしました。 全部で30巻以上あるみたいですが・・・・。

漫画の一気読みは久しぶりでした。 私にとっては、非常に面白かったです。 One Peaceも、進撃の巨人も、途中挫折した私にとっては、久々のヒットでした。 今、映画で公開中ということも背中を押してくれたのかもしれません。

自身も経験のある競技かるたを題材とした末次由紀の少女漫画で、ただ今公開中の広瀬すずを主演とした映画「ちはやふる 上の句」の原作です。下の句は4月29日より公開予定です。

競技かるたはイメージと違ってスポーツですね。 スポーツというよりクイズはや押しゲームですかね。 出会い、別れ、再会に、しのぶ恋を百人一首の歌に被せながらの、私にとっては少し風変りな青春熱血スポーツ漫画でした。f0090954_8225066.jpg

本作の主人公はクイーンを目指す少女・綾瀬千早であり、物語は千早がクイーンの座をかけて争う場面から始まります。 その後は千早が過去を回想する形ちなり第6話までは小学校編が、第7話から高校生編が描かれています。

小学6年生の綾瀬千早の夢は、姉の千歳が日本一のモデルになることでした。 しかし、福井から来た転校生・綿谷新に「自分のことでないと夢にしてはいけない」と諭されます。 そんな新の夢は競技かるたで名人になり、日本一になることであることを知り千早は、幼馴染の真島太一も巻き込んで、かるたの魅力へ惹きこまれていきます。 かるたの団体戦の面白さに目覚めた、新、千早、太一の3人でしたが、小学校卒業後は、新は再び福井へ、太一は有名な中高一貫校へ、そして千早は(府中市がモデルとされていますが)地元の中学校とバラバラになってしまいます。(1巻 - 2巻前半)

2巻後半では高校生になった千早が、太一も同じ瑞沢高校に進学していたことを知ります。 千早の情熱に心を動かされ、太一は二人で瑞沢高校かるた部の設立を目指すことになります。

たとえ離れていても、3人のかるたへの情熱は変わらないと信じていた千早でしたが、実は、福井へ戻り、千早との連絡も途絶えていた新は、祖父の死がきっかけでかるたから離れていたのです。

一方、千早と太一の2人は小学校卒業の時に交わした「かるたを続けていればまた会える」という約束を胸に、強くなって新と再会するつもりになっていました。

千早は、古典オタクで呉服屋の娘大江奏、小学生かるた全国2位(1位は新)の肥満児西田優征、勉学成績学年2位(1位は太一)の秀才駒野勉の勧誘に成功し、瑞沢高校かるた部を設立します。 たぶん映画はこのあたりから始まるのでしょうね。

そして、かるた部は「団体戦優勝」という目標のもとに、日々の練習を重ね、ついには強豪である北央高校を破り、東京代表として全国大会に出場することになるのです。

全国大会が開かれる滋賀県大津市にある近江神宮で、千早は現クイーンであり同い年の若宮詩暢(しのぶ)と出会います。

祭神が天智天皇である近江神宮は、小倉百人一首の第1首の歌を詠んだ天智天皇にちなみ、競技かるた大会のメッカになっているようです。

全国団体戦初出場の瑞沢高校は千早が途中棄権したために決勝トーナメントで敗退し、個人戦でも千早はクイーンの詩暢に大差で敗れますが、その戦いぶりで詩暢に記憶を残します。

おそらく、映画の原作としてはここらあたりまでを脚本にまとめるのではないかと思います。 たぶん漫画単行本の1巻から5巻ないし6巻あたりまででしょう。

ちなみに、タイトルの『ちはやふる』は小倉百人一首の撰歌「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」に由来しています。原作者末次は本作についてインタビューで「“勢いの強いさま”という“ちはやふる”の本当の意味を、主人公が知り表現していく物語なのだと思う」と発言しています。

なお、競技かるたでは「ちはやふる」は「ちはやぶる」と「ふ」を濁音にして発音するが、本作のタイトルはそのまま清音で発音します。

4月29日以降、映画館で「上の句」「下の句」の上下篇を一気に観たいと思っています。 それまでに難聴が治らないと楽しみも半減してしまいますね。
by zoompac | 2016-04-24 08:23 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「ローマ亡き後の地中海世界 4 海賊、そして海軍」塩野七生

f0090954_7524382.jpg面白くて面白くてたまりませんでした。

それにしても、塩野七生はローマとヴェネツイァ共和国を愛してやまない人ですね。 それに比べるとスペイン王国は大嫌いなようです。切って捨てるような表現が目立ちます。

「スペインは大植民地帝国にはなったが、『パクス・ヒスパニカ』の時代は訪れなかった。 その要因の第一は、近視眼的とするしかないスペイン人の政治感覚にあったのではないかと思う。 自分たち以外の他の民族を活用する才能に欠けていた。 インカ帝国を滅ぼしたのもスペイン人だった。」

この「ローマ亡き後の地中海世界 4」には大いに好奇心を掻き立てられました。海賊という切り口から地中海世界を捕らえた大傑作といっていいと思います。

さて、地中海での海賊対策ですが、ローマ帝国では、前一世紀後半より、地中海に横行していた海賊を物理的に根絶し、本拠地を占領し、海賊業に従事していた人全員を内陸部に移住させ、農地を与え農耕の民に変えることでこの難問を解決しました。 ローマの栄えた前一世紀から後六世紀前半までの600年間の地中海はローマ帝国によって統治されていました。

ローマ亡き後、七世紀から実に十八世紀にまでの実に1000年を超える歳月、地中海は、北アフリカから来襲してくるイスラムの海賊の脅威に脅かされ続けられました。

613年にマホメッドの布教から、台頭したイスラム勢力は、急拡大し、698年には北アフリカ全域、710年にはイベリア半島に侵攻します。 御存じのようにイスラム勢力には国境という概念がありません。納める税金もありませんし、パックマンのように拡大を続けるのです。 その活動は海賊行為とほぼ同じです。 この頃のイスラム勢はサラセンの海賊と合わさって、サラセン人と呼ばれたり、サラセン帝国と呼ばれたりしましたが、シチリア等を含めて地中海全域の覇権はサラセン人が握っていました。
正確には違いがあるのかもしれませんが、この時代の地中海は、サラセン人を含むイスラム勢力が猛威を振るっていました。 イタリアの海岸都市や、シチリア等の島で海賊襲来の見張りのための「サラセンの塔」が数多く造られたのもこの頃です。

アタック25ってクイズ番組の優勝者に、最後のパネルクイズで地中海クルーズの旅への挑戦権が与えられます。夢のような美しい憧れの地中海というイメージですが、この本を読むと、そのイメージが吹き飛びますよ。 拉致されて奴隷として海賊船の船漕ぎとして使われていたキリスト教徒の数、無数です。 海賊による、拉致、誘拐が日常茶飯事だったようです。

時代が飛びますが、1453年にトルコ軍にコンスタンティノーブルを攻め落とされ、東ローマ帝国ともよばれていたビザンチン帝国が滅亡します。

コンスタンティノープルを分岐点として、キリスト教勢とイスラム勢が東西でバランスしていた拮抗が崩れて、オスマントルコがその勢力を西に、そして地中海に伸ばそうとします。

オスマントルコは自前の海軍を建設することはせず、北アフリカを拠点とする海賊を必要に応じて外注のような形で海軍働きを依頼する方法をとります。今でいう業務提携のようなものです。 この本の副題に「海賊、そして海軍」とあります。 そのあたりの物語が3巻の中心でした。

多くの地中海に接した国々が、オスマントルコという後ろ盾を手にして俄然勢いづいた海賊の跳梁跋扈に悩まされる中、唯一ヴェネツィア共和国は例外でした。

ヴェネツィア共和国は、元々、東方と西方を物産によって結ぶ交易国として繁栄してきました。「イスラムの家」に併合することでオリエント全域の制覇を成し遂げて東地中海も制圧しつつあったオスマントルコも、領土欲がなく、宗教へ捕らわれない、経済政策が一貫して継続的で信用ができる東と西の世界の仲介者としてのヴェネツィア共和国の存在価値を知り尽くしていました。

オスマントルコと友好通商条約を結んだヴェネツィア共和国の通商船は、海賊の襲撃からは無縁のものだったのです。

オスマントルコの全盛期を築き上げた大帝スレイマンの死後、でスルタンの座についた阿保息子セリムは、しかし、ヴェネツィアが東地中海に交易拠点として所有するキプロス島を攻め落としてしまいます。 その島のワインを独り占めしたかったことと、偉大なる父がしなかったことをしたかったという単純な理由だったようです。

これが、スペイン・ヴェネツィア連合艦隊とオスマントルコの対決(レパントの海戦)のきっかけとなり、連合艦隊の勝利となります。 海賊を寄せ集めたオスマン帝国の海軍は完膚なきまで叩かれますが、 ヴェネツィアは弱体化したトルコと単独講和を結びます。 元々、スペインは異端教徒に厳しく、異端教徒たちの駆け込み寺のようになっていたヴェネティア共和国とは宗教的には相容れない国同士でした。 トルコに止めを刺そうとのヴェネティアの呼びかけにスペインが応じなかったためこのような仕儀となりました。

ヴェネツィアは通商国として小さな国であるけれど、トルコの属国ではないという意思表示をして一矢報いました。

スペインのドン・キホーテの作者のセルバンテスも従軍した1571年のレパントの海戦以後の地中海世界は、パトロンとなっていたオスマントルコの地中海での活動が衰えるにつれ、海賊の勢いも分散され小規模なものと変わりました。 それでも、地中海での海賊の横行はフランス革命(1789)後、10年くらいまで続きました。

1740年にトルコは、海賊行為を全面的に禁じた「海賊禁令」に調印します。
1816年、北アフリカの海賊の三大基地トリポリ(リビア)、チェニス(チュニジア)、アルジェ(アルジェリア)で海賊禁止令が実施に移された後、1830年のフランスによるアルジェリアの植民地化に続いて、西欧諸国による、モロッコ、チュニジア、リビア、エジプトへの植民帝国主義の時代に入ります。
1856年、あらゆる海賊行為の厳禁を宣言した「パリ宣言」が成立します。

ローマの治世の素晴らしさを知ると同時に、その後の1000年以上の海賊が覇権を握った地中海世界を見ると、歴史は前進するのではなく、後退していくことも多いのです。むしろ覇権のパワーバランスは右に揺れたり左に揺れ戻したりしているだけだとも思えます。

歴史は繰り返します。 今、また地中海がきな臭くなりつつあります。

余談ながら、この4巻にある、レパント海戦の前の、聖ヨハネス騎士団がトルコの大軍団を、まるで寡兵の真田軍団が大軍徳川兵を退ける上田合戦のように退けるマルタ島での戦いも面白かったです。マルタ島のもつ不利を防衛に活用して戦いを有利に転化していました。 ロードス島の戦いで敗れたラ・ヴァレッテは、このマルタ攻防戦で勝利し、70歳ながら「マルタの鷹」と呼ばれることになります。 痛快でした。

戦後の平和な国日本では想像もつかない地中海を舞台とした歴史を「海賊」という切り口で堪能させてもらいました。
by zoompac | 2016-04-23 07:52 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

Tsutaya 映画DVD 「ハバナ」

f0090954_7243119.jpg「ハバナ」(原題:Havana)は、1990年制作のアメリカ映画で、メガホンをとったのはシドニー・ポラック監督、主演はロバート・レッドフォードです。

革命前夜のキューバ・ハバナを舞台に、プロのカード・ギャンブラー(ロバート・レッドフォード)と革命運動闘士の女性(レナ・オリン)との恋と運命を描いた映画で、“90年代版『カサブランカ(1942)』”といわれる作品です。

ただカサブランカのようなリック(ハンフリー・ボガード)とイルザ(イングリッド・バーグマン)の陥落前のパリでの燃え上がる恋のような前日譚(「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」の切ないメロディーが印象深い)はなく、それだけに比較するとこの「ハバナ」はやや薄っぺらい感じが否めませんでした。

1961年以来断絶したキューバと米国が2015年に約半世紀ぶりに国交正常化を果たしましたが、断絶前の緊張したキューバを舞台にした映画という点に興味を持ちました。

1958年、アメリカ人のプロ・ギャンブラー、ジャック(ロバート・レッドフォード)は世界最大のカード・ゲームが開催されるキューバのハバナに船(カーフェリー)で向かっていましたが、その船中で当局に追われるボビーという美しい女性(レナ・オリン)と出会います。乗ってきた車を交換してくれと依頼されます。

当局に見つかると面倒なことになる禁制の盗聴装置のようなものが彼女の車に隠されていましたのです。ハバナ到着後、なんとかうまく切り抜けてジャックはボビーと再び車交換をします。 その後のハバナのあるパーティでの再開で、ジャックは、ボビーがキューバの共産主義革命運動闘士の妻であり、同じく運動に関わっていたために追われている要注意人物の1人である事を知ることになるのです。

ジャックは彼女の身を案じて何とか救い出そうと奔走します。ボビーもいったん革命運動家の夫が死んだものと思い運動から離れてジャックを愛するようになります。
しかし、夫は生きており(当局も一枚岩ではなく、政情の変化を睨みつつ、捕らえた夫をいざというときのキューバ脱出の切り札にとっておいたのです)、革命の足音はすぐそこまで迫ってきていたのです。

そしてジャックとボビーの2人の恋と運命もまた翻弄されていくのですが、ジャックは結局カサブランカのリックと同様、愛する女性のために苦渋の選択をするのでした。

革命の嵐近づく1958年のハバナを舞台に異国の地での熱愛を主軸にした、カード・ゲームのプロとレジスタンスの女性との運命を描いたラブ・ストーリーでしたね。“90年代の「カサブランカ」”らしく、当時の風俗や歴史の再現などが興味深い作品でした。
by zoompac | 2016-04-22 07:24 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

Tsutaya 映画DVD 「戦場にかける橋」

f0090954_741493.jpg「戦場にかける橋」(せんじょうにかけるはし、The Bridge on The River Kwai)は、1957年公開の英・米合作映画で、第30回アカデミー賞作品賞受賞作品です。

題名の「戦場にかける橋」とは、タイ王国のクウェー川に架かるクウェー川鉄橋を指します。舞台となった鉄橋が架かる川の旧来の名称はメクロン川でしたが、この映画によって「クワイ川」の呼び名が著名となったために、クウェー・ヤイ川と改名され、クウェー川鉄橋は公開後半世紀経過した現在でも観光名所となっています。

私はバンコック発シンガポール行きの観光用寝台特急「オリエント急行」の2泊3日の旅の経験がありますが、この「クワイ川」では途中下車し、日本軍の捕虜収容所の跡地まで案内されました。 英国兵・オーストラリア兵の墓や当時の鉄道工事で働かされる捕虜兵の写真などを見せられ説明を受けた記憶があります。エネルギーを使うし、特に希望したわけではありませんが、日本の学校で学べなかった生々しい日本軍が残した戦争の爪跡を知ることができました。そのときは映画「戦場にかける橋」の舞台になった場所だと聞いていたのですが、その旅行から10年経ってはじめてこの映画を観た次第です。 これも何かの縁だったのかなと思っている次第です。

製作会社はコロムビア映画で、監督はデヴィッド・リーンです。
昨年新10時の映画祭で観た彼の「ライアンの娘」の映画がとってもよかったので、今年は彼の作品を集中的に鑑賞して、勝手にデヴィッド・リーン祭りで盛り上がりたいと思っているのです。 彼の作品では、「アラビアのロレンス」、「ドクトル・ジバゴ」が有名ですね。 今年の新10時の映画祭では、リーン監督の「旅情」と「ドクトル・ジバゴ」が放映予定になっています。

この映画は、フランスの小説家ピエール・ブールの『戦場にかける橋』(Le Pont de la rivière Kwaï(fr) / The Bridge over the River Kwai(en))を原作にリーンらが脚色した作品だそうです。

第二次世界大戦の只中である1943年のタイとビルマの国境付近にある捕虜収容所を舞台に、日本軍の捕虜となったイギリス軍兵士らと、彼らを強制的に泰緬鉄道建設に動員しようとする日本人大佐との対立と交流を通じ極限状態における人間の尊厳と名誉、戦争の惨たらしさを表現した戦争映画でした。f0090954_7445355.jpg

写真は今のクワイ川に架かる鉄橋です。 映画では木製の鉄橋で、ラストシーンで爆破されてしまいます。

劇中で演奏される「クワイ河マーチ」(ボギー大佐)も世界各国で幅広く演奏されており、数ある映画音楽の中でも最も親しまれている作品の1つですね。私も、もう50年近く前の事になりますが小学生時代の運動会等での行進曲としての記憶が蘇りました。

10年前の旅行経験から、最近観た映画を通じて、50年前の運動会の情景が浮かんできました・・・・、イヤー、映画って本当にいいですね!
by zoompac | 2016-04-21 07:42 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)
RELEASE INFORMATION NEW ALBUM

[通常盤]「Now On Sale!!」
TOCP-66380/¥2,548(税込)

[DVD付 初回生産限定盤]
「Now On Sale!!」
TOCP-66381/¥3,500(税込)

NEW SINGLE
WMP HIGH LOW
REAL HIGH LOW
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海外オフィシャルサイト
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