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カテゴリ:読書・映画・音楽( 1506 )

WOWOW映画「インフェルノ」_シエナの金柑頭が登場しなかった原作とは違うラスト!

f0090954_05552584.jpg日本での公開は昨年10月でしたが、1年も経たないうちにWOWOWで観ることができました。

原作は読んだのですが、ダン・ブラウンの原作は、世界的にヒットを飛ばしているというものの、「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」に続いて、宗教的知識が欠けた私には少々難しく感じられました。

相変わらず、ハーバード大学の宗教象徴学者ラングドン教授(トム・ハンクス)が、敵と思しき集団から追いかけられます。 逃げながら謎を追ういつものお決まりパターンですが、今回の相棒は女医のシエナです。

前作に比べると、走って逃げまわるシーンが多く、また追いかける敵集団も複数で、時に敵の敵は味方のようになり複雑でした。

読後、女医シエナ役をいろいろ想像しました。

逃げ回るシーンが多いし、アクションもあるのでクロエ・グレース・モレッツあたりを適役としていたのですが、実際にはフェリシティ・ジョーンズでした。 彼女は2015年公開の「博士と彼女のセオリー」でホーキング博士の妻役でブレイクしましたね。

昨年12月公開のスター・ウォーズ、スピン・オフ版の「ローグ・ワン」でも主役を張っていました。

ただ、原作にあったシエナが実はつるっぱげで、カツラをラングドンに被せるという印象的なシーンが、映画からカットされていましたし、シエナのラストシーンではラングドンの敵役になっていました。

私の記憶では、原作でのシエナは最後までラングドンの味方でハッピーエンドだったはずです。

それでも、原作の文字の説明ではよくわからなかった絵画やデス・マスクが、映画では一目瞭然ですね。 空から見たヴェネツィアの映像は、塩野七生の「海の都の物語_ヴェネツィア共和国の一千年」を読んだばかりだったので感無量でした。

舞台は、イタリアのフィレンツェ、ヴェネツィア、そしてトルコのイスタンブール(昔の東ローマ帝国の首都コンスタンチノープル)
の三都市です。

原作との違いが気に喰わない映画ではありましたが、サスペンス映画を観ながら、数々の美術作品、由緒ある建物、そして有名な三都の街の景観はたっぷり楽しめる映画でした。

by zoompac | 2017-07-25 05:59 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

漫画 「風雲児たち 6巻」 みなもと太郎_ 和製ダ・ヴィンチ「平賀源内」の生涯

f0090954_05502567.jpg漫画「風雲児たち」の第5巻でも後半はほぼ、江戸幕府老中田沼意次(1719~1788)と平賀源内との馴れ初めや関係のことが描かれていました。

平賀源内と田沼意次の馴れ初めは、意次が町人出身の女性を側室にしようとした際にそのままでは身分の問題で側室に出来ないので困っていたところ、源内が女性の養女先を幕府の医者の家に斡旋するという抜け道にわたりをつけた事に始まっていました。

この後、意次は源内の才を見抜いて、オランダ貿易関係の仕事をさせたり、鉱山開発のアドバイザーなどに珍重し資金援助を行います。

この「風雲児たち 6巻」は、なんとなんと、和製ダ・ヴィンチ「平賀源内」のエピソードが丸々1巻に満載でした。

平賀源内(1728~1779)は、高松藩足軽白石良房の三男として生まれ。24歳の時に藩の命令で長崎に留学し蘭学を修めました。

続いて江戸において植物を主にした漢方医学の“本草学”を学ぶ。1757年(29歳)、全国の特産品を集めた日本初の博覧会を開き、それを元に図鑑「物類品隲(ぶつるいひんしつ)」を刊行、世人の注目を浴びます。

本草学者として名を成した彼は、高松藩の薬坊主格となりますが、藩の許可がなくては国内を自由に行き来できない事に不便を感じ脱藩してしまいます(33歳)。

脱藩と言えば坂本龍馬(1836~1867が)有名ですが、坂本龍馬の脱藩(1861)よりちょうど100年前の1761年に脱藩した大先輩が平賀源内です。

この際、高松藩は源内を「仕官御構(おかまい)」に処しました。これは他藩へ仕官することを禁止するものです。

自由人源内は自ら“天竺浪人”と名乗り、秋田秩父での鉱山開発、木炭の運送事業、羊を飼っての毛織物生産、輸出用の陶器製作、珍石・奇石のブローカーなど、様々な事業に手を出しました。また静電気発生装置“エレキテル”、“燃えない布”火浣布(かかんぷ、石綿)、万歩計、寒暖計、磁針器、その他100種にも及ぶ発明品を生みます。正月に初詣で買う縁起物の破魔矢を考案したのも源内だそうです。

一方、画才、文才も惜しみなく発揮します。

油絵を習得して日本初の洋風画「西洋婦人図」を描き、司馬江漢、小田野直武(「解体新書」の挿絵画家)らに西洋画法を教え、浮世絵では多色刷りの技法を編み出し、この版画革命を受けて色とりどりのカラフルな浮世絵が誕生させるなど、八面六臂の活躍でした。

作家としても、ガリバー旅行記のような「風流志道軒伝」を書いています。主人公が、巨人の国、小人の国、長脚国、愚医国、いかさま国など旅するもので当時の江戸でベストセラーになりました。 蘭語のできる源内のことですから、長崎遊学中にオランダ人からガリバー旅行記のネタを仕入れていたかもしれませんね。 (ガリバー旅行記は源内が生れる2年前に英国で刊行されたばかりでした。)

文章の「起承転結」を説明する際によく使われる、「京都三条糸屋の娘 姉は十八妹は十五 諸国大名弓矢で殺す 糸屋の娘は目で殺す 」の作者も源内だとの説があります。

源内が亡くなる1779年夏には橋本町の邸へ移ります。

大名屋敷の建築法で材料と柱と梁の組み方に画期的なアイディアを盛り込み費用の大削減を提案しし、ある大名屋敷の修理を請け負うことになりました。 江戸版プレハブ大名屋敷といった感じです。

大工棟梁に酒を飲みながら、彼の工夫を語る機会を設けたのですが、その際に酔っていたために修理計画書を盗まれたと勘違いして大工の棟梁2人を殺傷する事件を起こしてしまいます。

11月に投獄され、12月に破傷風により獄死したということになっています。

享年52でした。

杉田玄白らの手により葬儀が行われました。

罪人である源内を讃える碑の建立は許されず、結局、その墓碑銘が表されたのは源内の死後150年の昭和5年のことでした。

平賀源内 碑銘(杉田玄白 撰文)
「嗟非常人、好非常事、行是非常、何死非常 」
(ああ非常の人、非常の事を好み、行ひこれ非常、何ぞ非常に死するや)
(大意)ああ、何と変わった人よ、好みも行いも常識を超えていた。どうして死に様まで非常だったのか)

平賀源内の波乱の人生は、夢枕獏氏が「大江戸恐龍伝」1~5巻に描いています。 機会があれば読んでみたいです。


by zoompac | 2017-07-24 05:51 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「敵の名は宮本武蔵」 木下昌輝_墨絵の濃淡から武蔵の境地の変化を描く木下節!

f0090954_08062604.jpg7編から成る連作短編集でした。

有馬喜兵衛の童討ち
クサリ鎌のシシド
吉岡憲法の色
皆伝の太刀
巖流の剣
無二の十字架
武蔵の絵

武蔵に敗れた吉岡憲法が武蔵の描いた絵と立ち会った武蔵から立ち上がる闘気 に濃淡のない漆黒の黒色を視ました。 その色に憑りつかれ、自ら染料を工夫し「憲法黒」という黒染めの色を創り出し、染物屋の職人として生きてゆく様がサイドストーリーとして流れていました。 (「吉岡憲法の色」)

天下に鳴り響く京の剣術流派の筆頭に位置する「吉岡道場」の当主は武蔵との立ち合いで左腕を砕かれる代償に得た「憲法黒」で染料の世界で成功を収めました。 その彼が、巌流の戦いから20年経った武蔵の元を訪ね、今度は墨の濃淡だけで多彩な色を引き出しているかのような飛ぶ一羽の鴈の絵を視、武蔵の到達した境地に想いをはせるところで終わっていました。(「武蔵の絵」)

吉川英治の「宮本武蔵」からは想像もできない武蔵像が立ち上がってきます。

七人の敗者の視線から描かれた武蔵です。 名前から、吉川英治の宮本武蔵の脇を固める本因田又八を彷彿させる本因田外記、佐々木小次郎と思われる津田小次郎、於通に当たる於青、武蔵の弟子青木丈太郎少年を連想させる青木条右衛門等が登場しています。

ただ、吉川版宮本武蔵からは想像もつかない、それぞれのキャラクター像でした。 特に「無二の十字架」が圧巻です。 ネタバレになるので多くは語れませんが、武蔵の出生の秘密が語られています。 古いギャグで申し訳ありませんが、あっと驚く為五郎・・・・でした。

木下昌輝の腕にかかると、「宮本武蔵」という材料がこのように料理されるのかと感心しました。 その点では、木下節の味がよく浸みた満足な作品でした。

伏線が少し錯綜し過ぎているキライは否めませんが、7人の敵の視線から「白抜き文字」のように、武蔵像を浮き上がらせる試みなのですから仕方ないかもしれません。

「宇喜多の捨て嫁」では、宇喜多直家の凄まじき裏切り、調略の血生臭さと、直家自らの宿痾の肩傷から吹き出す血膿の腐臭が混ざりあって、読者の嗅覚を刺激していましたが、この木下版「武蔵」では、吉岡憲法が語る武蔵の描く墨絵を読者も視ているかのような気にさせられました。 活字を通して五感が刺激される木下節を楽しめます。

吉川版「宮本武蔵」のだまし絵のような木下版「宮本武蔵」を楽しんでください。

史実もしっかり押さえているようなので、案外、木下版のほうが史実に近い武蔵像を描いているかもしれません。

by zoompac | 2017-07-23 08:23 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

WOWOW映画 「サウスポー」_怒りにまかせた野生ボクシングから理詰めのチェスプレイヤーのようなスタイルへの変身物語!

f0090954_06185153.jpg筋は単純です。ボクシング元世界チャンピオン・ビリー(ジェイク・ギレンホール)が落ちるところまで落ち、そこからの奇跡の再起と家族の絆を描いた映画です。

怒りをエネルギーに変え勢いで相手を圧倒していた世界チャンピオンのボクサーが、ある乱闘事件をきっかけに妻(レイチェル・マクアダムス)を死なせてしまい、さらにボクサー・ライセンスをはく奪され、娘の親権まで失ってしまいます。

経済観念もなく自暴自棄になったビリーでしたが、最愛の娘を取り戻したい一念から、過去に自信を苦しめた対戦相手のトレーナー、ティック(フォレスト・ウィテカー)のもとを訪れます。このティックは名トレーナーです。漫画「あしたのジョー」でジョーにボクシングを叩きこんだ名トレーナー丹下段平を彷彿させます。

ティックに頭を下げやり直しを誓うビリーでしたが、ティックはビリーのファイティングスタイルを全否定し、彼に辛辣な言葉を浴びせます。これに当初は反発していたビリーでしたが、自分を変えたいと願う一心から過去の栄光もプライドもかなぐり捨ててティックに教えを乞うことにしました。なかなかできることではありませんが、ビリーはティックのもとでボクシングの基礎を一から学び直したのです。

今までは自らの本能に従って怒りを爆発させていた流血必至のボクシングスタイルでした。そのためにガードを下げて相手に殴らせて怒りのエネルギーをチャージすることもありました。ティックの教えはそうしたスタイルとは真逆で、ガードを固め相手に向かって対角線上に上半身を左右にスエイしながら前に詰める練習の反復でした。何より怒りや衝動を抑える我慢を叩きこまれました。ティックはボクシングはチェスのような理詰めのゲームだと主張したのです。

そしてやがてカムバックの機会が訪れます。 妻を亡くした事件に絡んだ因縁の男が現世界チャンピオンなのですが、「因縁の新旧チャンピオン対決」が金儲けになると踏んだプロモーターが裏からビリーのライセンス復活に手を回し、ライトヘビー級の新旧世界チャンピオン同士の対決が聖地マディソン・スクエア・ガーデンで興行されることになったのです。

この映画の題名「サウスポー」ですが、ビリーは本来右構えです。これはティックがビリーに与えた秘策に関係ありますので口チャックしておきます。

最後は、お約束の愛娘を自分の腕に取り戻すお約束の感涙のラストなのですが、本当に泣かされます。

それにしても元々ガタイのよいシルベスタ・スタローンと違って、ジェイク・ギレンホールのボクサーとしての体の鍛え方には恐れ入りました。撮影に向けてのトレーニングは相当なものであったと思われました。

私も体を鍛えたいのですが、鍛えるトレーニングに体が耐えられないような恐怖が寄る年波の本能として立ち塞がっています。

by zoompac | 2017-07-22 06:20 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

NHKBS映画 「M★A★S★H マッシュ」_野戦病院の軍医たちの破廉恥イタズラ満載映画

f0090954_07010308.jpg「M★A★S★H マッシュ」は、1970年のアメリカ映画で、朝鮮戦争を舞台に3人の軍医のやりたい放題のいたずらを描くブラック・コメディでした。

タイトルのMASHとは移動米軍外科病院(Mobile Army Surgical Hospital)の略語です。

実際に朝鮮戦争時にMASHで外科医として働いた経験を持つリチャード・フッカー原作の小説をロバート・アルトマンが映画化したもので、カンヌ国際映画祭パルム・ドールやアカデミー脚色賞を受賞しました。

脚本はアカ狩りでハリウッドを追われたハリウッド・テンの1人、リング・ラードナー・Jr.が手掛けました。 しかしアルトマン監督と主演俳優たちは、この脚本を無視し、映画さながらにイタズラ根性全開で全編アドリブに次ぐアドリブで映画を作ってしまったそうです。 「おれの台詞は一行も残っていない」とラードナーは本気で激怒していたらしいのですが、皮肉なことに彼はこの作品でアカデミー脚本賞を受賞しました。

1950年代、朝鮮戦争のさなか、第4077MASH(移動野戦外科病院)に、3人の外科医、ホークアイ(ドナルド・サザーランド)、デューク(トム・スケリット)、トラッパー(エリオット・グールド)が赴任してきます。(余談ですが、主演3人は、この映画が出世作となりました。)彼らはいずれも名医でしたが、平気で軍規を無視し、とんでもない悪戯を繰り返すのです。

お決まりのイタズラ3人組といったところでしょうが、こういうイタズラ仲間には、必ず級長顔した真面目な「先生へのチクリ家」のようなキャラクターも登場してきます。

それが、新任の女性将校ホーリハン少佐(サリー・ケラーマン)です。

この3人のイタズラ軍医を目の敵にするバーンズ少佐(ロバート・デュヴァル)と共に、上官に病院の軍紀の乱れを訴えようと告発状を用意するホーリハンでしたが、その告発状を用意する過程で意気投合してバーンズと一夜を共にすることになります。ホークアイたちも抜け目がありません。二人の籠る部屋にマイクを仕掛け、ベッドシーンをそのまま軍放送で中継してしまいます。それが原因でトラブルを起こしたバーンズが逆に本国に強制帰国させられ、ホーリハンは返り討ちを喰らってしまいます。

その後、三人の軍医は、「ホーリハンは本当にパツキン(金髪)なのか染めているだけなのか」という話で盛り上がり、下のヘアの色を確かめようということになります。 彼女がシャワーを浴びている小屋を壊して彼女の全裸を衆目に晒す映画「マッシュ」で有名なシーンの登場となります。我慢の限界を超えたホーリハンは、彼らの行動を放置する現場の長に怒りをぶつけ、さらにその上官に直訴するのです。

政治家の息子の手術で日本の小倉に出張に出かけ、ゴルフを楽しんだ後、韓国に戻ってきた彼らイタズラ軍医たちにはその上官が待っていました。 話をすり替え、上官の愛してやまないアメフトの話から、上官の持つアメフトチームと野戦病院の急ごしらえのチームで親善試合(実は賭け試合)をしようということで盛り上がり、ホーリハンのセクハラ事件は有耶無耶になってしまいます。

その親善試合の数日後、ホークアイとデュークに帰国命令が届き、二人はトラッパーと別れを交わして病院を去っていきます。 映画で詳しくは語られませんでしたが、これがホーリハンへのセクハラ事件へのケジメだったかもしれません。

戦闘場面が出てこない戦争映画でした。 イタズラとおふざけ満載ですが、軍医としての手術シーンは、プロフェッショナル精神に溢れており、その対比というかバランスが印象的でした。


by zoompac | 2017-07-21 07:03 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

157回直木賞は佐藤正午の「月の満ち欠け」_1粒で2度愛を感じられる生まれ変わり物語!

f0090954_05553211.jpg6月20日のブログで、「読書 「月の満ち欠け」佐藤正午_直木賞ノミネートされてもいい作品だと思うのだけど・・・と題したブログ記事をアップしましたが、ノミネートどころか、直木賞受賞に輝きました。

61歳という佐藤正午さんは、大まかに括るとほぼ私と同年代で、遅咲きという印象ですが、ご本人は、「作家の人生にはいろんなコースがある。 直木賞にはこの年になってばったり出会った感じ」と自宅の佐世保市で受賞の知らせを聞き、電話取材に喜びを語られたそうです。

長崎県佐世保生まれですが、大学は何故か北海道大学。

大学在学中、同郷の作家野呂邦暢の『諫早菖蒲日記』(1977年)を読んで感銘を受け、ファンレターを書いて返事をもらったのをきっかけに小説を書き始めることになります。

小説執筆に専念するためでしょうか、1979年に北海道大学を中退し佐世保に戻り、2年がかりで長編小説「永遠の1/2」を書きあげます。 筆名の「正午」は佐世保市の消防署が正午に鳴らすサイレンの音を聞いて彼が小説の執筆作業に取り組んだ習慣から思いついたようです。

そのデビュー作「永遠の1/2」は1983年のすばる文学賞受賞作品となりました。

その後、人生の岐路を描いた「Y」(1998年)や日常の分岐点から失踪をテーマにした「ジャンプ」(2000年)等がベストセラーになります。

私が、彼の作品に出合ったのは、「身の上話」(2009年)です。 今は亡き児玉清さんが司会をされていたNHKBSの「週刊ブックレビュー」という放送であるゲスト出演者が激賞されていたのを聞いたのがきっかけでした。

その「身の上話」を原作とした、NHKドラマ「書店員ミチルの身の上話」が戸田恵梨香主演で2013年に放映されましたが、ドラマもハラハラドキドキの展開で面白かったです。 日常の積み重ねの中でささいでありがちな選択、判断がとんでもない事件にどんどん進化していく話で、私としては、映画「ファーゴ」を彷彿させるものでした。

そして、読んでいないのですが、2014年の「鳩の撃墜法」です。 2015年に山田風太郎賞を受賞しますが、選者の筒井康隆さんが大絶賛で、気になっていました。 筒井さんが、「こんな優れた作家の存在を今まで知らなかった。受賞は当然であろう。」とコメントされていましたが、他の選者から、筒井さんが、「絶対この人を逃すな!」と激賞していたとの話のほうが印象的でした。

そして、今回直木賞を受賞した「月の満ち欠け」です。 2017年4月に岩波書店から出されましたが、今回のノミネート作品とされるには日があまりなくぎりぎりすべり込んだというタイミングでのノミネートでした。

生まれ変わりをテーマとした、虚実ない交ぜというよりあり得ない世界の話なのですが、読んでいるうちに引き込まれ、構成は時系列と登場人物が錯綜して複雑なのですが、ページを行きつ戻りつしながら、大ウソの世界にどっぷり浸かってその世界を楽しんでいる自分がいました。 前のページに戻る度、この作家がいかにこの錯綜の世界を緻密に練り上げたかの仕掛けの発見がありそれがまた読書の楽しみを倍加させてくれるのです。

藤沢周平似の容貌の佐藤正午氏の秀でた文章力の底流に潜む静かな「愛」もいいですね。一粒で二つの愛を味わえました。

だまされる楽しみを味わえるという意味では、巨匠ジェゼッペ・トルナトーレ監督、ジェフリー・ラッシュ主演の映画「鑑定士と顔のない依頼人」(2013年)に通じるものを私は感じました。 そういえば、ジェゼッペ・トルナトーレ監督も奇遇ながら、佐藤正午氏と同じ61歳です。

まだ、この「月の満ち欠け」を読んでいない人がうらやましいです。

by zoompac | 2017-07-20 08:10 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書「忍びの国」和田竜_脚本先にありきの天正伊賀の乱小説!

f0090954_05513532.jpg著者の和田竜は元々TV番組制作会社のシナリオライターとして働いていました。 そうした経歴からか、彼は小説を書き下ろす前にシナリオを書くそうです。

すなわち、小説を原作にして映画脚本を作成する手間が要らないということです。

それは、この「忍びの国」だけでなく、すでに映画化された「のぼうの城」、水面下での映画化の権利獲得競争激化の「村上海賊の娘」(主演は杏とか綾瀬はるかとかいろいろ噂はありますが)にもあてはまります。 脚本、先にありきですね。

そして和田竜の作品の素晴らしいところは、融通無碍、荒唐無稽、奇想天外の物語にしっかりとした歴史的根拠を絶妙に挟み込んでくれているところです。 このリアリティとフィクションの調合具合がまことに読者の側にとっては嬉しいのです。

適度に自分の歴史知識が刺激され、かつ面白い物語に仕上がっているのです。

物語は、天正4年(1576年)11月25日の織田信長と当時北畠家の養子となっていた信長の次男の信雄の命を受けた北畠家の旧臣(長野左京亮、日置(へき)大膳、柘植三郎左衛門)等が、南北朝時代から足利尊氏、足利義満等、足利幕府に敵対してきた伊勢(現在の三重県)を本拠とする名門北畠家の八代目の国司北畠具教(とものり)を討つ、三瀬の変から始まります。

そして、天正6年(1578年)の第一次天正伊賀の乱が物語の目玉です。 そうした歴史事件を軸に、桁外れに強いものの怠け者で剽軽な「無門(映画では大野智)」と呼ばれる伊賀百地家の下人や彼が唯一頭の上がらない簒奪嫁?武家出身の「お国(石原さとみ)」や後の石川五右衛門「文吾」、百地家頭領の百地三太夫(國村準)、裏切り者となって北畠信雄陣営に加わる下山平兵衛(鈴木亮平)等のキャラクターが丁寧に描かれていきます。ちなみに伊勢谷友介は日置大膳役です。

少数の伊賀勢が8000人の北畠信雄軍を壊走させた第一次伊賀の乱の後、「村上海賊の娘」が活躍する石山本願寺との抗争が激しくなり、信雄もそちらに駆り出されます。

伊賀の国が、再び織田信雄を総大将に5万の兵の侵攻を受け、壊滅状態になったのは天正9年(1581年)の第二次天正伊賀の乱のことです。

忍びとして、お金に汚く、人殺しをなんとも思わなかった「無門」の成長物語という側面が好印象の物語でした。

さて、原作は読んだ。 その原作の前に作成されたシナリオ(脚本)を下敷きにした映画を観に行きますかね?

そろそろ夏休みですね。 小5の「歴坊」の孫君からは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」、「関ケ原」とこの「忍びの国」のリクエストがありましたが、小1の孫嬢はどうでしょう? 興味を持ってくれるかな?

by zoompac | 2017-07-19 05:59 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

NHKBS映画「ブレードランナー」_30年後に映画を検証する喜び?_たぶん次はない?

f0090954_10401868.jpg「ブレードランナー」(原題:Blade Runner)は、1982年公開のアメリカ映画です。

フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(原題:Do androids dream of electric sheep?)を原作としていますが、時代は、映画公開の1982年から37年後の2019年のLAです。

今が2017年ですから2年後ですね。遠い未来の話ではありません。

現実は、映画で描かれているようなレプリカントと呼ばれるクローン人間が跋扈はしていませんし、人間社会に紛れ込もうとするレプリカントを「解任/抹殺」する任務を負う、ブレードランナーという専任捜査官
も存在していません。

そこで描かれている未来都市(LA)が日本文化と日本企業(看板)等に支配されている感じが面白いですね。1980年代の日本経済の国際経済を席巻する勢いの延長線上に描かれた未来図でした。パンナムの看板が掲げられていたのもおかしかったです。(パンナムは経営悪化で1991年に破産、知名度を生かして名は使って運航していたが、2008年以降名実共に完全消滅)

ということで、2019年が視野に入ってきた今年の10月27日には、2019年からさらに30年先の「ブレードランナー2049」が公開予定です。

リドリー・スコット監督がフィリップ・K・ディックの小説をもとに生み出した1982年公開の傑作SF「ブレードランナー」から、35年の時を経て生み出された続編ということになります。今回、リドリー・スコット氏は製作総指揮を務め、「メッセージ」「ボーダーライン」などで注目を集めるカナダ出身の俊英ドゥニ・ビルヌーブ監督が新たにメガホンをとりました。

脚本は、前作も手がけたハンプトン・ファンチャーと、「LOGAN ローガン」のマイケル・グリーンです。

前作から30年後の2049年の世界を舞台に、新人ブレードランナーの“K”が、新たに起こった世界の危機を解決するため、30年前に行方不明となったブレードランナーのリック・デッカードを探す物語が描かれる。前作の主人公デッカードを演じたハリソン・フォードが同役で出演し、「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリングがデッカードを探す“K”を演じます。

今度の未来都市はどのような感じになっているのか楽しみですね。

昔の映画が、その当時から30年以上先の未来世界を描いた作品としては、「バックトゥザフューチャー」もそうでした。 第一作目が「ブレードランナー」公開から3年遅れた1985年でした。 第一作目は1985年から30年遡った1955年が舞台になりましたが、1989年公開のPart2では、1985年を基点として30年先の2015年の未来世界が描かれていました。

TV電話やタブレット端末など実用普及されたものもありましたが、空飛ぶ自動車や空中高速道路、宙に浮くホバーボード、自動で紐をフィットしてくれる靴等、開発はできているかもしれませんが一般に未だ普及していないものもたくさんありました。

まあ、こうした映画を観て30年先に生き証人として検証するのも楽しいですけど、「ブレードランナー2049」を検証する頃は、100歳近いですよ。せいぜい孫と一緒に見て、30年後におじいちゃんの思い出として彼の記憶に蘇ることを期待しますかね。その頃は今は小5の孫君も40歳台のおっさんですね。


by zoompac | 2017-07-18 10:45 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

NHKBS映画「鷲は舞い降りた」_ターゲットはチャーチル英首相!

f0090954_05584476.jpg「鷲は舞いおりた」(原題The Eagle Has Landed)は、1976年のイギリスの映画です。ジャック・ヒギンズの小説「鷲は舞い降りた」を原作とした映画で、ジョン・スタージェス監督の遺作となりました。

1943年9月12日に実施されたムッソリーニ救出作戦の成功に気をよくしたアドルフ・ヒトラーは、同様の作戦で英国首相のウインストン・チャーチルを拉致してドイツへ連れてくる計画を思いつき、国防軍情報部の長官カナリス( アンソニー・クエイル)にこの計画の可能性評価を命じることから物語は始まります。

1973年に英仏合作の映画として公開された「ジャッカルの日」と好対照ですね。こちらは1971年に出版されたフレデリック・フォーサイスの同名小説が原作で、1960年代始めのフランスを舞台に、シャルル・ド・ゴール大統領暗殺を企てる武装組織「秘密軍事組織(OAS)」が雇ったプロの暗殺者「ジャッカル」と、大統領暗殺を阻止しようとするフランス官憲の追跡を描いていました。

国防軍情報部の長官カナリスは、非現実的な計画と判断して部下に名目が立つ程度の表面的な調査を命じました。

ところがこの部下の大佐ラードル(ロバート・デュヴァル )の元に英国に居住する工作員からチャーチル首相が英国ノーフォーク郡の東海岸にあるスタドリー村を訪問する予定があるという情報がもたらされます。千歳一隅のチャンスにこの大佐は真剣に作戦計画を練り始め、現地で支援に当たらせる予定でアイルランド独立運動の活動家リーアム・デヴリン(ドナルド・サザーランド)を呼び出し、実行部隊の指揮官にも目星をつけます。

そうこうしているうち元々この作戦に乗り気ではないカナリス長官から作業中止の命令が下ります。ラードルは気落ちしますが、たまたま彼が作成した作戦要綱を読んだ 親衛隊の長官ハインリヒ・ヒムラーは、ヒトラーの署名入りの作戦実行命令書をラードルに渡しカナリスには内密に計画を進めるように命じました。

ヒトラーの命令書という万能の手札を手にしたラードルは目を付けた実行部隊の指揮官クルト・シュタイナー中佐(マイケル・ケイン)に会いに行きます。シュタイナーは親衛隊によるユダヤ人狩りに遭遇し少女の逃亡に手を貸したとして部下共々懲罰の対象となっていました。みすみす懲罰を受けるより、無謀とも思えるチャーチル拉致作戦の任務を部下15人と共に受けたシュタイナーは、チャーチルが訪問予定のスタドリー村に
ポーランド義勇軍のパラシュート部隊として入り込みました。

その前にデヴリンがいち早くその村に入り込み作戦部隊の受け入り準備をしていました。

偽装の演習を行いながら、チャーチルの訪問を待っていた作戦部隊でしたが、用水路にはまって溺れかけていた少女を助けようとした部隊の隊員が水車にはさまれて死んでしまいます。そのとき迷彩服がはだけて下に着ていたドイツ軍の制服が村民に目撃されてしまいます。

作戦は失敗してしまいますが、シュタイナーは孤軍奮闘、チャーチルの潜伏する警戒厳重な屋敷に忍び込み銃殺される前にチャーチルを射殺します。撃たれたのはチャーチルの影武者で田舎周りの役者だったというオチがついていましたけど。

そのころ作戦失敗を恐れたヒムラーはラードルに「反逆的な越権行為」が有ったとして逮捕し、銃殺してしまっていました。

一方、デブリンは恋仲となった村娘に別れを告げ、一人立ち去っていきました。

個人的には、「ジャッカルの日」のドキュメンタリータッチの緊迫の映画の方が面白かったです。

ただ、両作品とも原作を読んでいないので、機会があれば読んでみたいと思っています。タフで人道的なシュタイナーには少し興味があります。

by zoompac | 2017-07-14 05:59 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)

読書 「あとは野となれ大和撫子」 宮内悠介

f0090954_05554832.jpg今年、「彼女がエスパーだったころ」で吉川英志文学新人賞、「カブールの園」で三島由紀夫賞を受賞され、勢いのある作家さんです。

過去にも直木賞だけでなく芥川賞候補にもなっています。

2012年に「盤上の夜」で147回の直木賞候補、2013年に「ヨハネスブルグの天使たち」で149回の直木賞候補、2016年に「カブールの園」で芥川賞候補になりました。

それで彼の3度目の直木賞候補となった「あとは野となれ大和撫子」を読んでみたのですが、私にとっては大外れ。 この本を読む時間をもっと有意義に他にたくさんある読みたい本に向けるべきだったと思わず「機会損失」の臍を噛んでしまいました。

あくまでも私との相性とか感性の問題であると思います。作品に対する誹謗中傷の意図は全くありません。

途中で挫けそうになりましたが、それでも何かあるのではないかと最後まで読み続けたのですがまったく面白さを感じることができなかったことに虚しさが残りました。

私が芥川賞受賞作品の多くに面白さを感じられないこととある意味同じことかもしれません。 小説世界に入り込めないまま読了してしまいました。

直木賞発表の19日まで後わずか。木下昌輝の「敵の名は、宮本武蔵」を読むか、それとも佐藤巖太郎の「会津執権の栄誉」を読むか迷っています。

by zoompac | 2017-07-13 05:56 | 読書・映画・音楽 | Comments(0)
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TOCP-66380/¥2,548(税込)

[DVD付 初回生産限定盤]
「Now On Sale!!」
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