コーエン兄弟監督のファーゴも結構、不気味な連続殺人事件に田舎の女保安官のまじめさが妙にコミカルな感じを醸し出していました。
このノーカントリーはむしろ殺人鬼のまじめさが妙におかしいのです。あの逃亡者で、ハリソンフォードを執拗に追っかけたトミー・リー・ジョーンズが、この作品では打って変わった田舎のアメリカ人丸出しの老保安官を演じています。いい線で殺人鬼を追い詰めていくんですが、殺人鬼から相手にされないという情なさです。時代に取り残された保安官の悲哀をよく出しています。
構図が、ベトナム帰還兵のタフガイ、モス(ジョシュ・ブローリン)、それを追っかけて殺人鬼アントン・シガー(ハビエル・バルデム)、それを追ってエド・トム・ベル保安官(トミー・リー・ジョーンズ)となっています。それに殺人鬼に、もう一人雇われ始末屋がくっつくという設定にはわくわくしました。
それにしても、この映画の終わり方には唖然としますよ。えっという感じです。そしてはじめて知るのです。この映画にはサンドトラック・ミュージックが流れていなかったことに。