人によっては、ユニバーサルの4区の伊沢菜々花を殊勲賞に挙げるかもしれません。 予定したワンジュクが不調で欠場というピンチの中、代役で走った伊沢が外国人ランナーが多く走る4区を日本人トップの区間2位(1位はTOTOのシュル・ブロ)で走り、3区終了時44秒あったトップを走るパナソニックとの差を9秒差にまで縮め、5区の中村萌乃がトップの座を奪うお膳立てをしたからです。
写真は中村萌乃(左)がトップを走るパナソニックの森田詩織を捕らえた瞬間です。
それでも私があえて中村萌乃を今回の殊勲者に挙げた理由は2つあります。
1つめは、チームの中で唯一2012年の優勝経験者です。チームを優勝へ導く精神的支柱であったに違いありません。 当時のユニバーサルは1区青山瑠偉、2区中村萌乃、3区新谷仁美が3区連続で区間新を叩き出し、4区の今回欠場したワンジュクが区間タイでの圧勝でした。 中村萌乃は城西国際大からユニバーサルに新加入の新人でした。
もう1つの理由は、昨年のクイーンズ駅伝での活躍です。2016年の大会では中村はアンカーでした。 10位でもらったタスキを8位まで押上げシード権をもぎ取った中村の激走が今年の優勝に結び付いたと思っています。
アンカーを走った豊川高卒業の新人猿見田裕香が唯一の区間賞、1区の木村友香、4区の伊沢、5区の中村が区間2位で2012年時のような圧勝って感じではありませんでしたが、中村萌乃を中心に総合力で勝ち取った価値ある優勝とみました。
2位は新生パナソニックでした。1区の森田香織、2区の渡辺菜々美、3区の堀優花が連続区間賞で先行逃げ切りを図りましたが、プリンセス駅伝(クイーンズ駅伝予選会)で活躍した4区の森田詩織がその後負傷があって本来の走りができませんでした。 去年シード権が取れなかったパナソニックと去年シード権をもぎ取ったユニバーサルの差がこういうところで影響したと思っています。その点でシード権をもぎ取った中村萌乃の去年のアンカーでの走りが光っているのです。
シード権を取れなかったチームは10月後半の予選会(プリンセス駅伝)と11月後半のクイーンズ駅伝のわずか1ヶ月の間に2度ピークを持ってくる困難な調整が要求されます。今回のパナソニックをみてつくづくそう思いました。
3位が、5区区間賞で完全復活を印象付けた前田彩里擁するダイハツ、4位が連覇を狙ったJP日本郵政、5位が第一生命、6位天満屋、7位ヤマダ電機、8位資生堂の順でした。
豊田自動織機は16秒差でクイーンズエイト(8位までのシード権獲得)の座を取れませんでした。