「女城主直虎」は菅田将暉が成人直政として登場以来、私は面白くなったと思っているのですが、視聴率は相変わらず12%前後で低迷していますね。
過去10年の大河ドラマでは2008年の「篤姫」の平均視聴率が24.5%でトップ、反対に幕末の長州藩を扱った「花燃ゆ」が吉田松陰の妹が主人公(井上真央)でしたが12%で最低でした。
来年は「西郷(せご)どん」でどうでしょうかね。
主人公・西郷隆盛の知名度は高いですし、視聴率の高かった「篤姫」繋がりもありますので人気は上々ではないでしょうか?
「篤姫」では小澤征悦が演じていましたが篤姫の輿入れの差配を取り仕切ったのが西郷隆盛でした。子に恵まれなかった篤姫は島津斉彬の意を汲んで家定の後継を一橋慶喜で大奥の意見統一しようと画策する様が裏面史として新鮮でした。
そのあたりの二匹目のどじょう効果もあるのではないでしょうか、瑛太の起用(「篤姫」では小松帯刀役、「西郷どん」では大久保正助(利通)役)もそのあたりの効果狙いの匂いがプンプンですよね。
宮崎あおいに比べて実力でやや見劣りする北川景子ですが・・・、主役ではないのでいい塩梅でしょうか。北川景子は大河ドラマ初出演となります。
大奥政争のフィクサー役の篤姫付きの女中頭「幾島」役が、斉藤由貴のスキャンダルで急遽南野陽子に変更というハプニングがありました。「篤姫」では幾島役を松坂慶子が演じていましたが、その松坂慶子は「西郷どん」では西郷吉之助の生母役です。子だくさんの貧乏な西郷家を表現するにあたって健康で太り過ぎな印象を演技でどのようにかばーしてくれるのでしょうか?
西郷吉之助(隆盛)役の鈴木亮平は以外でした。
漫画が原作の映画「俺物語」の剛田猛男役に抜擢され、役作りのため激太りしてどことなく西郷隆盛のようなイメージになっていたことを思い出しました。
一橋慶喜か徳川慶福(家茂)かの将軍継嗣問題の政争の最中島津斉彬が急死し、大老井伊直弼が仕掛ける安政の大獄の嵐が吹き荒れます。
そういう意味では、今年のNHK大河「女城主直虎」に登場する直政の系列子孫である近江彦根藩16代藩主井伊直弼に繋がっていきます。初代はもちろん赤備えの井伊直政です。 井伊直弼はその暴政ぶりから「赤鬼」と呼ばれました。 「女城主直虎」から「西郷どん」へ受け継がれるタスキが井伊直政・直弼だというのも一興ですね。
渡辺謙扮する島津斉彬の政敵井伊直弼は佐野史郎が演じます。
その政変というか、安政の大獄のあおりを喰らって指名手配の追われ人となった西郷は僧月照(尾上菊之助)と入水自殺を図りますが、命をとりとめ奄美大島に送られます。
陰謀渦巻く政争の中で島津斉彬の手足となって東奔西走していた西郷が、いきなり何もない自然豊かな奄美大島に島送りになります。
このあたりのコントラストが今回のドラマの前半の最大の見どころではないでしょうか。そしてそこには西郷の現地妻というか島妻になる愛加那(二階堂ふみ)がいます。
このあたりのドラマチックな転変が面白そうで、今から楽しみです。
左遷で地方の支社に飛ばされたサラリーマン諸氏の共感を呼びそうですね。
激変する江戸末期から明治維新、そして維新後の西郷の生き様を縦軸にして、彼に纏わる、前編が篤姫・北川景子、中編が島妻・二階堂ふみ、そして後編が西郷の三番目の妻(西郷のさいごうの妻なんちゃって!)となる糸(黒木華)の横串3本締めのドラマ建てとみましたがどうでしょうか?
ドラマを盛り上げるには悪役あるいは敵役が必須ですよね。西郷にとって、安政の大獄の仕掛け人井伊直弼が前門の虎とすればさしずめ後門の狼は島津斉興(鹿賀丈史、「翔ぶが如く」では大久保利通役でしたね)の側室のお由羅(島津久光の母)でしょう。
呪詛か毒殺かわかりませんが島津斉彬自身も含め彼の血筋の子供達が次々怪死していきます。このヘビ女のように怖~いお由羅を演じるのはかつて思春期の私が憧れた瀬戸の花嫁・小柳ルミ子です。
奄美大島までが青春篇、その後は怒涛の明治維新、征韓論政争、西南の役と再び革命、政争の身を置くことになります。
原作者林真理子・ドラマ脚本中園ミホの女性視点から、この男の中の男「西郷隆盛」がどのように料理されるのか楽しみです。