9月18日月曜日のNHKで宮崎あおい主演で放送されていました。
原作は、朝井まかての同名小説「眩(くらら)」です。
葛飾北斎を長塚京三、善次郎(後の渓斎英泉・けいさい えいせん)を松田龍平が演じていました。
番組宣伝文句をそのまま引用します。
「江戸の天才絵師・葛飾北斎の三女として生まれたお栄(後の葛飾応為:宮崎あおい)は、町絵師である吉之助と夫婦になったものの、箸を持つより絵筆を持つのが好きで、父であり、師である北斎(長塚京三)の元に嫁ぎ先から戻ってきた。そこから「超えられぬ高き壁・北斎」の絵の手伝いが始まった―。
そんな中、お栄は北斎の弟子筋の絵師・善次郎(後の渓斎英泉:松田龍平)にだけは、苦しみや悩みを話すことができた。それは思うに任せない、「出戻りお栄」の密かな恋心であった。
生まれながらにして北斎という大きな背中を見てきたお栄は、父・北斎を手伝う中で、「色」というものに執着を始める。そして北斎の代表作である「富嶽三十六景」が完成した時にも、そばにはお栄がいた。父が高齢となり、思うがままに筆を動かせなくなってからも、お栄は父の「筆」として北斎の絵を描き続ける。やがて時は過ぎ、心の中で常によりどころであった善次郎そして、北斎もこの世を去る。60歳を過ぎたお栄の手に残ったのはやはり絵筆であった――。」
私は、2015年のアニメ映画「百日紅~Miss Hokusai」(さるすべり)で葛飾北斎の娘・お栄を主人公にした物語を観ました。
蕎麦好き(ソバ好き連、通商「ソ連」の立ち上げ人)で、日本酒党で、江戸風俗研究家として、昔のNHK番組「コメディお江戸でござる」の解説者をしていて、漫画家でもあった杉浦日向子さんの代表作「百日紅」をアニメ化した作品でした。彼女は2005年に咽頭癌を患い46歳の若さで亡くなってしまいました。
両国橋を行き交う人波から垣間見えてくる往時の風俗や、江戸の町の人々の暮らしが季節の移り変わりを通して伝わってくる、杉浦日向子ワールドに彩られた映画でした。
お栄と北斎という親子にしてともに浮世絵師である二人の関係を軸に物語が進行します。お栄を主人公に、絵師としての矜持、家族への愛情、揺れる恋心が語られます。
貧しくとも、人生を謳歌する人々の喜怒哀楽が江戸を舞台に描かれていました。
お栄は枕絵も描くのですが、その絵に色気がないと言われ、男娼を買いに行く下りなどは、さすが杉浦日向子さんの創作だと思わず笑ってしまいましたよ。
男娼婦は買いに行きませんでしたが、このTVドラマでは、松田龍平扮する善次郎がお栄を吉原に連れて行っていました。芸に奥行きを出すのに色事は必須なのですかねぇ?
江戸後期の浮世絵師・葛飾北斎の作品は、後に、フィンセント・ファン・ゴッホなどの印象派画壇の芸術家を始め、工芸家や音楽家にも影響を与えました。シーボルト事件では北斎はも摘発されそうになりましたが、なんとか難を逃れました。TVドラマでもシーボルトが熱心にオランダからの買い付けの仲介を取っていた様子が描かれていました。
ありとあらゆるものを描き尽くそうとした北斎は、晩年、銅版画やガラス絵も研究し試みたようです。また、油絵に対しても関心が強かったようですが、長いその生涯においても、遂に果たせませんでした。
1999年には、アメリカ合衆国の雑誌である『ライフ』の企画「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」で、日本人として唯一選ばれています。 門人の数は極めて多く、孫弟子も含めて200人に近かったといわれています。(ドラマでは制作費用の関係からでしょう、さすがにそこまでの人数ではありませんでした。)
シーボルトの関与に興味を覚え、朝井まかての「眩(くらら)」を読もうかなと思って、アマゾンを検索しましたら、このドラマに反応してか、中古の値段が高騰しており送料を入れると新品より高くなっていました。とりあえず購入するのを控えました。