男子73㎏級五輪覇者の大野将平が休んでいるうちに橋本壮市(パーク24)が国際大会で実績を上げ、ランキング1位で世界選手権大会@ブダべストを迎えました。
2015年のグランプリ青島、2016年のアジア柔道選手権@タシュケント、ワールドマスターズ@グアダハラ、グランドスラム東京、2017年2月のグランドスラムパリ、5月のグランドスラム@エカテリンブルグと国際大会6連勝中でした。
そしてこの世界選手権で彼の実力は証明されましたね。
奇しくも、決勝での対戦相手はリオ五輪で大野将平から決勝で1本負けを喫して銀メダリストとなったアゼルバイジャンのルスタム・オルジョフでした。
橋本壮市も大野将平が下した相手に負けるわけにはいかない試合でした。 GSに入って体落としで技ありを獲っての初出場初優勝を飾りました。(今大会での日本人選手の初出場初優勝が多いことに驚きます。女子48㎏級の渡名喜風南、女子52㎏級志々目愛、男子66㎏級阿部一二三に続いて4人目が73㎏級の橋本壮一でした。)
国際大会での連勝記録を7に伸ばしましたが、その7つ目は世界選手権という頂上にそびえ立つ檜舞台でした。これで橋本も正真正銘の頂点に立つこととなりました。
今年26歳の橋本壮市は、しかし、これで東京五輪に向けての戦いのスタートラインに立ったところです。この階級にはリオ五輪チャンピオンの大野将平(25歳)がいますし、東海大の6年後輩の立川新(19歳)も急成長してきています。今年4月の体重別でも決勝で立川と対戦し結局橋本が優勝しましたが、圧勝ではなくGSに入って指導2差での勝ちでした。今後の三つ巴の戦いが楽しみです。
女子57㎏級ではロンドン五輪金メダリスト、リオ五輪銅メダリストの松本薫が産休中です。
そこで代表入りを果たしたのが世界ランキング2位の芳田司(21歳、コマツ)でした。
順当に勝ち上がって決勝まで進み、そこで対戦したのが世界ランキング1位のリオ五輪銀メダリストのスミヤ・ドルジスレン(モンゴル)でした。
芳田にとっての決勝戦はまさに死闘でした。結果を先に言うと、芳田司は銀メダルでした。初出場で銀メダルは立派ですが、金に手が届きかけていただけに残念な結果に思えました。新ルール適用に戸惑う審判の微妙な判断、判定に左右された試合に思えました。
本戦4分の後ゴールデンスコア(GS)の延長戦での戦いは8分55秒に及びました。すなわち本戦、GS戦併せて約13分近くの体力消耗戦となったのです。
今までのルールであれば、芳田が繰り出す足技で芳田の勝利が何度も確定していました。しかしこれまで通用した「有効」「効果」のポイントがなくなったのです。技あり以上しか認められなくなったのです。それでもGS形式の延長戦では技ありの解釈が拡大され、芳田の足技も技ありに近いと思えるものが3回はありました。
勝負に決着をつけたドルジスレンの首投げ風の腰車でしたが、芳田の体が回転して腹這い風に逃れたように見えました。
GS方式で互いに決め手を欠き千日手のような形で時間が経っていくので審判も焦ったでしょうね。ここであの程度の決めでで技ありにするなら芳田の今まで繰り出した技のどれでも技ありでよかったじゃないかと思えました。
こんな消耗戦のようなGS延長戦が今後増えるようだと、柔道にも相撲でいうところの「水入り」休憩制度を採用することを検討しないと選手には過酷ですね。