第156回芥川、直木賞(日本文学振興会主催)の候補作が20日付で発表されました。直木賞には本屋大賞や山本周五郎賞などの受賞歴がある恩田陸さんらの5作品がそれぞれノミネートされました。
直木賞ノミネート作品は下記のとおりです。
冲方丁「十二人の死にたい子どもたち」(文芸春秋)
恩田陸「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎)
垣根涼介「室町無頼」(新潮社)
須賀しのぶ「また、桜の国で」(祥伝社)
森見登美彦「夜行」(小学館)
この中で、まだ読んでいないのですが、一押しは6回目の候補となった恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」です。 彼女の初期の作品の「六番目の小夜子」や第2回本屋大賞受賞作品の「夜のピクニック」等の学園モノが私の好きな作品でした。 「蜜蜂と遠雷」はピアノコンクールを舞台とする青春群像劇のようで、今から読むのが楽しみです。
本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞作した垣根涼介の「室町無頼」も楽しみな作品です。 舞台は応仁の乱前夜です。現代よりひどい格差社会でした。まっとうに生きている人間が納得いく人生を歩めない怒りが一揆という形での社会変革に繋がっていきます。 何も期待しないあてにしない「無頼」という生き様がテーマになっているようです。
今、「応仁の乱」という内乱に歴史の転換点としての注目が集まっているのでしょうか、丸善日本橋店の新書コーナーで目立つ場所に飾られていました。 この長引く内乱が秩序を崩壊させ、やがて下剋上の戦国時代へ移行したという流れが現代にあてはまるとも思えませんが、日本というより、国際社会のほうが日本版の「応仁の乱」の状況に似てきたかなって感があり、この新書を読む前に、「室町無頼」を読んでみたいと思っています。
気になっているのが、須賀しのぶの「また、桜の国で」です。 本来童話やファンタジーっぽい作品の多かった作家ですが、6年前にナチス政権下のドイツを舞台とした「神の棘」シリーズで歴史オデッセイという分野での地位を確立しました。 昨年発表した『革命前夜』は、冷戦下の東ドイツを舞台に1人の音楽家の成長を描いた物語ですが、第18回大藪春彦賞を受賞していました。 この作品は第37回吉川英治文学新人賞候補にもなっていました。 興味があって購入した本ですがまだ読んでいません。
今回の直木賞ノミネート作品は、ショパンの名曲『革命のエチュード』が、日本とポーランドを繋ぐ!という謳い文句が魅力的ですね。
ドイツのポーランド侵攻前後のワルシャワを舞台に、その地の在ポーランド日本大使館に着任した外務書記生(ロシア人の父をもつ日本人)の生き様と決意が歴史に翻弄されていく様が描かれているようですね。
昨年、映画館でリバイバル作品「戦場のピアニスト」でショパンをさんざん聴きまくり、ドイツのポーランド侵攻の映像を観まくった私としては大いに興味をそそられる作品です。
ただ、この「また、桜の国で」はアマゾンでは品不足のようで、祥伝社刊の値段は1850円なのですが、新刊は在庫なしで、中古品の最低価格が3455円なのです。
じっくり、1月19日の直木賞発表まで待って、適正値段で購入したいと思っています。